※本記事は、株式会社メイコーの有価証券報告書(第51期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. メイコーってどんな会社?
電子回路基板の製造販売を中心に、設計から実装までを手掛けるグローバルな電子部品メーカーです。
■(1) 会社概要
メイコーは1975年にプリント配線板の製造販売を目的に名幸電子工業として設立され、1991年に現在の社名へ変更しました。1998年の中国進出や2007年のベトナム進出などグローバル展開を加速させ、2008年には日本ビクターのサーキット事業を買収しました。直近ではベトナムに新会社を設立しています。
同社グループの従業員数は連結で14,332名、単体で565名体制です。大株主については、筆頭株主は創業者の名屋佑一郎氏で、第2位および第3位は資産管理業務などを行う信託銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 名屋 佑一郎 | 18.09% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 11.95% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 7.07% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長執行役員は名屋佑一郎氏が務めています。取締役12名のうち、社外取締役は4名です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 名屋 佑一郎 | 代表取締役社長執行役員 | 1973年昭和無線工業入社。1975年設立と同時に代表取締役社長就任。中国やベトナムの現地法人の董事長などを歴任し、2006年より現職。 |
| 坂手 敦 | 代表取締役副社長執行役員基板事業統括本部長 | 1996年同社入社。経営改革室長や製造本部長などを経て、2021年取締役常務執行役員に就任。2022年基板事業統括本部長となり、2024年より現職。 |
| 和田 純也 | 取締役専務執行役員管理統括本部長 | 1984年日本ビクター入社。2008年同社入社。中国・ベトナム子会社の工場長や社長室長などを経て、2021年取締役専務執行役員に就任。2022年より現職。 |
| 桔梗 芳人 | 取締役常務執行役員電子機器事業統括本部長 | 1978年協和銀行入行。近畿大阪銀行代表取締役社長、シークス代表取締役社長などを歴任。2020年同社顧問となり、2021年取締役常務執行役員、2022年より現職。 |
| 名屋 茂 | 取締役常務執行役員基板事業統括本部技術開発本部長 | 1998年コダマコーポレーション入社。2004年同社入社。新事業開発部長などを経て2021年取締役執行役員に就任。2024年取締役常務執行役員、2025年より現職。 |
社外取締役は、土屋奈生(LINEヤフー執行役員)、西山洋介(旧京セラサーキットソリューションズ代表取締役社長)、原田隆(ソニーフランス取締役)、小林俊文(日本電子回路工業会会長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「電子関連事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 電子関連事業
車載、スマートフォン、情報通信、スマート家電、産業機器などのメーカーを主要顧客とし、最終製品の中核機能を構成する部品である電子回路基板の設計および製造販売を行っています。また、半導体パッケージ基板や電子機器の受託開発などのEMS事業も強化し、幅広いニーズに対応しています。
収益源は、国内外の顧客に対する電子回路基板や電子機器の販売代金です。グローバルな事業展開を行っており、運営は同社のほか、メイコーテックなどの国内子会社や、中国およびベトナムなどに所在する複数の海外現地法人が担っています。
■(2) その他(売電事業)
報告セグメントに含まれないその他の事業として、売電事業を展開しています。再生可能エネルギーの活用や環境負荷低減への取り組みの一環として、太陽光発電設備等を利用した発電および電力の供給を行っています。
収益源は、発電した電力の売電に伴う収入です。運営は主に同社が担っており、福島工場敷地内に開設した「メイコーソーラーパーク福島」などを活用して、脱炭素社会の実現に貢献する事業活動を推進しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は一貫して増加傾向にあり、堅調なトップラインの拡大が確認できます。利益面についても、一時的な増減はあるものの、直近では大きく成長しており、収益力の向上が見受けられます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,513億円 | 1,673億円 | 1,795億円 | 2,068億円 | 2,406億円 |
| 経常利益 | 143億円 | 112億円 | 143億円 | 188億円 | 265億円 |
| 利益率(%) | 9.4% | 6.7% | 8.0% | 9.1% | 11.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 54億円 | 50億円 | 49億円 | 27億円 | 86億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益も拡大しており、売上総利益率は21.0%へと改善しています。生産性改善や高付加価値製品へのシフトが奏功し、営業利益率も向上するなど、本業の稼ぐ力が高まっていることが分かります。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 2,068億円 | 2,406億円 |
| 売上総利益 | 398億円 | 504億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.2% | 21.0% |
| 営業利益 | 191億円 | 246億円 |
| 営業利益率(%) | 9.2% | 10.2% |
販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が73億円(構成比28%)、給料及び手当が38億円(同15%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の電子関連事業は、データセンター向けや車載向け、ハイエンドスマートフォン向け基板などの需要増大を背景に、売上高が大きく成長しています。その他事業の売電収入については前年並みの水準を維持しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 電子関連事業 | 2,067億円 | 2,404億円 |
| その他 | 1億円 | 1億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う「積極型」の状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 217億円 | 275億円 |
| 投資CF | -243億円 | -555億円 |
| 財務CF | 41億円 | 301億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は16.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は40.6%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「モノづくりを通してお客様に最高の製品とサービスを提供し社員と社会に幸福を」という経営理念を掲げています。この理念のもと、エレクトロニクスの進化がもたらす社会の変化に対応し、最先端の電子回路基板を大量かつ安定的に供給することを目指しています。
■(2) 企業文化
最高の価値とサービスを提供するグローバル企業として、全てのステークホルダーの信頼に応え、持続的成長と中長期的な企業価値向上を図ることを重視しています。また、「企業の最大の財産は人」との考えから、多様性を尊重し、安全で働きがいのある職場づくりを推進する文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、資本を効率的に活用して収益性を高める観点から、売上高営業利益率および自己資本利益率(ROE)を重要な指標と位置付けています。また、将来の事業拡大を見据え、以下のような具体的な中期成長目標を掲げています。
* 売上高 年平均成長率(CAGR)24%(2028年度まで)
* 営業利益 年平均成長率(CAGR)38%(2028年度まで)
■(4) 成長戦略と重点施策
スマートフォン、衛星通信、AIサーバー向け基板などの需要増大に迅速に対応するため、ベトナムの工場を中心に積極的な設備投資と量産体制の構築を進めています。あわせて、M&Aを活用した電子機器の受託開発事業の強化や、スマート工場の推進による生産性改善に注力しています。
* ベトナムにおける新工場の建設および稼働の推進
* M&Aを通じたグローバル・ワンストップサービスの加速
* 工場のスマート化・自動化による生産性と歩留まりの改善
* 太陽光発電の導入など脱炭素社会の実現に向けた環境投資
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「企業の最大の財産は人」との考え方のもと、国籍等を問わず多様な人材が能力を発揮できる環境づくりを推進しています。グローバルな事業展開に対応するため、海外人材の積極的な採用や適材適所の配置を行うとともに、階層別教育やキャリア面談、柔軟なジョブローテーションを通じて社員の長期的な成長を支援しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 45.6歳 | 15.4年 | 7,131,677円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 0.8% |
| 男性育児休業取得率 | 87.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 63.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 71.2% |
| 男女賃金差異(パート・有期) | 58.4% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性比率(26.3%)、外国籍比率(4.2%)、中途採用比率(69.1%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 主要顧客とその業界動向等に関するリスク
車載やスマートフォンなどのセットメーカーを主要顧客としているため、景気の動向や自然災害等により顧客の属する業界の状況が悪化した場合、同社の業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 原材料の市況変動に関するリスク
原油、銅、金などの素材価格の不測の高騰が原材料仕入価格に影響を与え、取引先との価格に適切に反映されなかった場合や、仕入材料の調達に支障をきたしビジネスチャンスを逸した場合、業績に影響するリスクがあります。
■(3) 技術開発及び価格競争に関するリスク
自動車の電装化やIoTの普及により技術的な差別化が求められる中、中国や東南アジア企業との価格競争が激化しています。新技術が市場ニーズと乖離した場合や歩留まりが悪化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 設備投資の時期等に関するリスク
需要動向に応じた設備投資を積極的に行っていますが、景気後退や顧客の戦略変更により設備投資が過大となった場合や、新規設備の稼働が遅れた場合、減価償却費の負担増などにより財務状況に影響を及ぼすリスクがあります。



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