指定された構成とデータに基づき、株式会社メイコーの企業分析記事を作成しました。
***
メイコー転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
※本記事は、株式会社メイコー の有価証券報告書(第50期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. メイコーってどんな会社?
同社は、神奈川県に本社を置く電子回路基板の専業メーカーです。車載、スマートフォン、AIサーバーなど幅広い分野に製品を供給し、グローバルに事業を展開しています。
■(1) 会社概要
1975年にプリント配線板の製造販売を目的として設立され、1980年代には多層板製造を開始しました。2000年に店頭登録を行い、中国やベトナムへの生産拠点拡大を進め、2021年に東証市場第一部(現プライム)へ移行しました。近年では2023年に天童工場を新設するなど、生産体制の強化を継続しています。
連結従業員数は12,706名、単体では552名です。筆頭株主は代表取締役社長の 名屋佑一郎氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。創業家が経営の舵取りを行いつつ、国内外の機関投資家も株主として名を連ねる構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 名屋 佑一郎 | 18.09% |
| 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口) | 14.68% |
| 株式会社日本カストディ銀行(信託口) | 12.37% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長執行役員は名屋佑一郎氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 名 屋 佑一郎 | 代表取締役社長執行役員 | 1973年昭和無線工業入社。1975年同社設立と同時に社長就任。2006年より現職。 |
| 坂 手 敦 | 代表取締役副社長執行役員基板事業統括本部長 | 1996年同社入社。製造本部長、基板事業統括本部長などを経て2024年より現職。 |
| 和 田 純 也 | 取締役専務執行役員管理統括本部長 | 日本ビクターを経て2008年同社入社。品質保証本部長などを経て2021年より現職。 |
| 桔 梗 芳 人 | 取締役常務執行役員電子機器事業統括本部長 | りそな銀行常務執行役、近畿大阪銀行社長、シークス社長等を経て2021年より現職。 |
| 名 屋 茂 | 取締役常務執行役員パワーエレクトロニクス本部長 | コダマコーポレーション等を経て2004年同社入社。2024年より現職。 |
社外取締役は、土屋奈生(LINEヤフー執行役員法務統括部長)、西山洋介(元京セラ有機材料部品事業本部技術開発部副事業部長)、原田隆(元ソニー本社総務センター戦略企画部統括部長)、小林俊文(一般社団法人日本電子回路工業会会長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「電子関連事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 電子関連事業
貫通多層基板、ビルドアップ基板、フレキシブル基板、半導体パッケージ基板などの電子回路基板を製造しています。これらは自動車、スマートフォン、AIサーバー、産業機器などの最終製品に組み込まれる重要部品であり、セットメーカー等が主な顧客となります。また、電子機器の受託開発・製造(EMS)も行っています。
製品の販売対価や受託製造サービスの対価を収益源としています。運営は、国内では同社および株式会社山形メイコーなどの子会社が、海外では名幸電子(広州南沙)有限公司、名幸電子(武漢)有限公司、Meiko Electronics Vietnam Co., Ltd.などの現地法人が担っています。
■(2) その他
報告セグメントに含まれない事業として、売電事業などを行っています。メイコーソーラーパーク福島などの太陽光発電設備を活用し、再生可能エネルギーの供給を行っています。
売電による対価を収益源としています。運営は主に同社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は順調に拡大傾向にあり、直近5期間で大幅に伸長しています。利益面では、経常利益率が7〜9%台で推移しており、安定的かつ高い収益性を維持しています。特に直近の第50期では、売上高・利益ともに過去最高を更新しました。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,193億円 | 1,513億円 | 1,673億円 | 1,795億円 | 2,068億円 |
| 経常利益 | 57億円 | 143億円 | 112億円 | 143億円 | 188億円 |
| 利益率(%) | 4.8% | 9.4% | 6.7% | 8.0% | 9.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 46億円 | 115億円 | 88億円 | 113億円 | 149億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も拡大しています。売上総利益率は19.2%まで改善しました。営業利益率も向上しており、コストコントロールと高付加価値製品へのシフトが進んでいることが窺えます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,795億円 | 2,068億円 |
| 売上総利益 | 305億円 | 398億円 |
| 売上総利益率(%) | 17.0% | 19.2% |
| 営業利益 | 117億円 | 191億円 |
| 営業利益率(%) | 6.5% | 9.2% |
販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が55億円(構成比27%)、給料及び手当が32億円(同15%)を占めています。売上原価においては、材料費や労務費が含まれますが、具体的な構成比は開示されていません。
■(3) セグメント収益
主力の電子関連事業が売上のほぼ全額を占めており、AIサーバー向けやモジュール基板などの好調により増収となりました。その他事業(売電事業)は規模が小さく、全体への影響は限定的です。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 電子関連事業 | 2,067億円 | 2,067億円 |
| その他 | 1億円 | 1億円 |
| 連結(合計) | 1,795億円 | 2,068億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のCFパターンは「積極型」です。本業で稼いだ資金(営業CFプラス)に加え、借入等による資金調達(財務CFプラス)を行い、それらを生産能力増強などの設備投資(投資CFマイナス)に積極的に投じています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 234億円 | 217億円 |
| 投資CF | -216億円 | -243億円 |
| 財務CF | 7億円 | 41億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.5%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は42.2%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「モノづくりを通してお客様に最高の製品とサービスを提供し社員と社会に幸福を」という経営理念を掲げています。この理念の下、企業価値の向上と持続的成長を実現する体制の構築を進めています。
■(2) 企業文化
同社グループは、「エレクトロニクスの進化に挑戦し発展して社会に貢献する」をパーパスとして掲げています。不確実性が増す環境下においても、エレクトロニクスの進化がもたらす社会変化に対応し、最先端の電子回路基板を安定的に供給することを使命としています。
■(3) 経営計画・目標
2027年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定しています。持続的成長を目指し、生産体制の強化や高付加価値製品の拡充に取り組んでいます。具体的な数値目標として以下を掲げています(実績値も含む)。
* 売上高営業利益率の向上(2025年3月期実績:9.2%)
* 自己資本利益率(ROE)の向上(2025年3月期実績:14.5%)
■(4) 成長戦略と重点施策
基板事業では、貫通多層基板から半導体パッケージ基板まで幅広いラインアップを取り揃え、生産体制を強化します。特に新規事業である半導体パッケージ基板の生産を行う石巻第2工場やベトナム第3工場の黒字化、車載向け基板強化のための天童工場での量産、ベトナムでの新工場立ち上げに注力します。
* 電子機器事業:車載関連に加え、受託開発事業を強化しグローバルワンストップサービスを展開。
* 損益・環境面:工場のスマート化・自動化による生産性向上、省エネ活動や再生可能エネルギー導入による脱炭素化を推進。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「企業の最大の財産は人」との考えのもと、多様性を尊重し、社員が成長できる環境づくりを推進しています。グローバル人材の育成に注力しており、外国人研修制度や企業内転勤制度を活用した海外拠点との人材交流を活発に行っています。また、次世代リーダーの育成や、女性・外国籍社員を含む多様な人材の登用を進めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 45.9歳 | 15.6年 | 6,591,465円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.2% |
| 男性育児休業取得率 | 25.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 61.1% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 69.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 62.0% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性比率(25.4%)、中途採用比率(67.7%)、管理職中途採用比率(76.6%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 主要顧客とその業界動向等に関するリスク
同社は車載、スマートフォン、情報通信等のセットメーカーを主要顧客としています。景気動向や自然災害等により主要顧客や業界の状況が悪化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。顧客分散を図っていますが、市況急変時には影響を受ける可能性があります。
■(2) 原材料の市況変動に関するリスク
原油、銅、金などの素材価格が高騰し、それが製品価格に転嫁できない場合、または材料調達に支障をきたした場合には、業績や財務状況に影響を与える可能性があります。デリバティブ取引等でリスク低減に努めていますが、完全に回避することは困難です。
■(3) 技術開発及び価格競争に関するリスク
電子回路基板業界は世界的競合が激化しています。技術的差別化を図るため研究開発を進めていますが、新技術が市場ニーズと乖離した場合や価格競争に巻き込まれた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 設備投資の時期等に関するリスク
需要動向に応じた生産能力確保のため積極的な設備投資を行っていますが、景気後退や顧客の戦略変更等により設備が過剰となるリスクがあります。また、新規設備の稼働遅延や資産価値下落による減損損失が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。