ダイコク電機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダイコク電機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダイコク電機は東京証券取引所プライム市場および名古屋証券取引所プレミア市場に上場する企業です。パチンコホール向けシステムを展開する情報システム事業と、遊技機関連のアミューズメント事業を主に手掛けています。直近の業績は、前年度の特需一巡等の影響で減収減益ですが、スマート遊技機対応等により堅調です。


※本記事は、ダイコク電機株式会社の有価証券報告書(第53期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ダイコク電機ってどんな会社?

(1) 会社概要


1965年にダイコク産業として創業し、1973年にダイコク電気が設立されました。1974年にホールコンピュータを発売し、1990年には戦略情報システム「DK-SIS」のサービスを開始するなど、パチンコ業界向け情報システムで成長を遂げました。2004年には東証・名証一部に上場し、近年は美術館運営等にも事業領域を広げています。

現在、同社グループの従業員数は連結で796名、単体で433名となっています。筆頭株主は事業展開で協業関係にある円谷フィールズホールディングスで、第2位はKCプラス、第3位には代表取締役社長である栢森雅勝氏が名を連ねています。

氏名 持株比率
円谷フィールズホールディングス 13.42%
KCプラス 8.09%
栢森 雅勝 6.02%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は栢森雅勝氏が務めています。取締役6名のうち2名が社外取締役となっています。

氏名 役職 主な経歴
栢森 雅勝 代表取締役社長 1995年取締役就任。常務、専務を経て2005年代表取締役社長。2012年代表取締役会長、2023年より現職。
大上 誠一郎 取締役会長 1990年入社。2014年取締役。常務を経て2019年代表取締役社長。2023年より現職。
栢森 健 代表取締役専務 1989年監査役、1990年取締役就任。常務を経て2005年代表取締役専務。2019年より現職。
大成 俊文 代表取締役専務コーポレートマネジメント統括部 統括部長 1995年入社。九州支店長、情報システム事業部長等を経て2017年取締役。常務を経て2023年代表取締役専務。2025年より現職。


社外取締役は、櫻井由美子(櫻井由美子公認会計士事務所所長)、小紫正樹(元通商産業省・経済産業省)です。

2. 事業内容


同社グループは、「情報システム事業」「アミューズメント事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 情報システム事業


パチンコホール向けコンピュータシステム、景品顧客管理システム、情報公開システムの開発・製造・販売を展開しています。全国のパチンコホールを主要顧客とし、スマート遊技機に対応したカードユニットや台毎液晶端末など、店舗運営のDX化とデータ活用の高度化を支援する製品やサービスを提供しています。

システムの販売代金や、「DK-SIS」をはじめとする各種情報提供サービスなどの月額利用料が主な収益源です。当事業の運営は、ダイコク電機のほか、子会社のダイコク電機コミュニケーションPLUSやグローバルワイズなどが連携して行っています。

(2) アミューズメント事業


パチンコ・パチスロ遊技機に関わるソフトウェアの開発およびハードウェアの開発・製造・販売を行っています。遊技機メーカー向けに表示ユニットや制御ユニットを供給するほか、自社ブランドのスマートパチスロ機の企画から製造・販売までを手掛けており、コンシューマ向けゲームの開発も展開しています。

遊技機メーカーからの部品販売代金やソフトウェアの受託開発料、自社製パチスロ機の販売代金、自社ゲームタイトルの販売代金などを収益源としています。ダイコク電機がハードウェア等の販売を行う一方、元気、DAXEL、アロフト、ライリィなどの子会社が開発・製造・販売を分担しています。

(3) その他


報告セグメントに含まれない事業として、不動産賃貸業、イベントの企画・運営、ディスプレイ・装飾事業、美術館の運営など多岐にわたる領域を展開しています。2024年に事業承継した「箱根ガラスの森美術館」の運営を通じた観光・文化分野での価値提供も担っています。

不動産の賃貸収入やイベント企画・施工の受託料、美術館の入館料などが主な収益源です。ダイコク電機のほか、LILIUM、西本産業、ログオンシステム、箱根ガラスの森リゾートといった子会社がそれぞれの専門領域を運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績推移を見ると、スマート遊技機の普及拡大に伴う設備投資需要を取り込み、売上・利益ともに大幅な成長を遂げました。特にここ数年は高い利益水準を確保していましたが、直近の事業年度は新紙幣対応に伴うカードユニットの改刷対応特需が一巡した影響などにより、減収減益となっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 245億円 319億円 539億円 575億円 543億円
経常利益 14億円 43億円 121億円 122億円 98億円
利益率(%) 5.6% 13.4% 22.4% 21.3% 18.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 11億円 30億円 87億円 76億円 60億円

(2) 損益計算書


減収に伴い売上総利益も減少していますが、依然として40%台半ばの高い売上総利益率を維持しています。一方で、人件費の増加等により販売費及び一般管理費が増加したため、営業利益率は前年度と比較して低下する結果となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 575億円 543億円
売上総利益 267億円 247億円
売上総利益率(%) 46.5% 45.5%
営業利益 122億円 97億円
営業利益率(%) 21.3% 17.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び賃金が26億円(構成比17%)、賞与が17億円(同11%)を占めており、人材への投資が大きなウエイトを占めていることが分かります。また、売上原価は296億円(売上原価率54%)となっており、製品の製造や開発にかかるコストが計上されています。

(3) セグメント収益


主力の情報システム事業は、カードユニットの改刷対応特需の一巡により減収となりました。一方、アミューズメント事業はスマートパチスロ機やコンシューマ向けゲームの販売が好調に推移し増収を達成しています。その他事業も、新たに美術館運営が加わったことで売上を伸ばしています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
情報システム事業 521億円 458億円
アミューズメント事業 44億円 64億円
その他 10億円 22億円
連結(合計) 575億円 543億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業です。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は12.1%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は83.8%で、いずれも市場平均を上回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 77億円 59億円
投資CF -79億円 -27億円
財務CF -33億円 -16億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「パチンコファンが喜ぶこと」を発想の原点とし、「イノベーションによる新しい価値づくりを通じ、これからも一貫して持続的な成長を果たしてまいります」という経営理念を掲げています。独自の発想と技術力でコンピュータを中心に時代の変化を読みとり、ニーズを先取りする市場創造型の製品を提案し続けることで、社会へ貢献していくことを使命としています。

(2) 企業文化


『顧客からの支持は、継続的業績発展につながる』という企業品質方針を掲げています。ブランド力の向上により、顧客からの支持を強めることが企業の継続的な発展につながるという価値観を重視しています。教育研修などに代表される人材育成に支援を惜しまず、個人の力が最大限に発揮される自由闊達な組織風土づくりに継続的に取り組む文化があります。

(3) 経営計画・目標


経営の効率化、高付加価値化を推し進めることにより収益力を高め、資本効率の向上を図ることが企業価値・株主価値の向上につながると考えており、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標に設定しています。また、サステナビリティ目標として、2030年度に向けて温室効果ガス排出量を2023年度比で30%削減することを目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


2030年ビジョン「Make CX Amazing ~未知の顧客体験を世界に~」のもと、従来の設備提供にとどまらない新たな価値創出に取り組んでいます。情報システム事業ではDX推進やAIを活用したデータ分析支援を強化し、アミューズメント事業では自社製スマートパチスロ機の市場シェア拡大を推進しています。また、M&A等を通じて既存の枠にとらわれない事業領域の拡大を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


イノベーションを創出できる人材の確保・育成・定着が不可欠であるとの考えから、戦略的人員配置やリスキリングの強化を推進しています。DX・データ活用を推進する専門人材や新規事業を担う人材の育成を重点課題とし、年齢や社歴に関わらず挑戦と成果を適切に評価する新たな人事制度「ミライロ」を導入して、従業員エンゲージメントの向上を図っています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 46.1歳 18.5年 9,375,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.5%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 67.8%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 74.2%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 55.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性役職者比率(9.3%)、従業員エンゲージメントスコア(68.5pt)、障害者雇用率(1.89%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 風営法等の法的規制


パチンコホールの営業は風営法や各都道府県条例の規制を受けており、過度な射幸性を抑制する目的等で自主規制が行われることがあります。これらの規制強化によりホールの営業が制限され、設備投資動向に急激な変化が生じた場合、同社グループの製品販売等に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 遊技機の型式試験の複雑化


遊技機の販売には国家公安委員会の指定試験機関による型式試験と都道府県公安委員会の検定への適合が必要です。技術仕様の複雑化により試験の通過に予想を超える時間を要したり、不適合となったりした場合、遊技機メーカーの販売計画に狂いが生じ、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) コンピュータシステムの品質とバグ


ソフトウェアにおけるプログラムのバグを皆無にすることは困難であり、特定の操作や設定の組み合わせにより、納入後にバグが発見されるケースが過去に発生しています。システムを止めるような内容や正確性に欠けるデータ表示等が発生した場合、同社の信用低下や業績悪化につながる可能性があります。

(4) 大幅な需要変動


遊技機市場は、特定の人気機種が大きく販売を伸ばす一方、短期間で終息してしまう機種も増加するなど、機種ごとの優勝劣敗が激しくなっています。メーカーへの納入計画が達成できない場合や受注キャンセルが発生した場合、同社の業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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