ダイコク電機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダイコク電機 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ダイコク電機は東京証券取引所プライム市場、名古屋証券取引所プレミア市場に上場し、パチンコホール向けコンピュータシステムや遊技機の開発・製造・販売を行う企業です。業界標準の管理システム「DK-SIS」等で高シェアを誇ります。直近の業績は、スマート遊技機関連の需要を取り込み、増収増益となっています。


※本記事は、株式会社ダイコク電機 の有価証券報告書(第52期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ダイコク電機ってどんな会社?


パチンコホール向けコンピュータシステムの最大手企業です。業界のデータインフラを担う情報システム事業と、遊技機開発を行うアミューズメント事業を展開しています。

(1) 会社概要


1973年に設立され、翌1974年にホールコンピュータ「オミクロンコンピュータⅠ型」を発売しました。1990年には全国のパチンコホールの営業情報をデータベース化する戦略情報システム「DK-SIS」を開始し、業界のデファクトスタンダードを確立しました。2004年に東京証券取引所・名古屋証券取引所市場第一部へ指定され、現在はプライム市場・プレミア市場に上場しています。

連結従業員数は736名、単体では423名です。筆頭株主は遊技機販売大手の円谷フィールズホールディングスで、第2位は名古屋市に拠点を置くKCプラス、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。創業家の栢森氏らも大株主に名を連ねており、業界内での資本提携と安定株主によって支えられています。

氏名 持株比率
円谷フィールズホールディングス 13.44%
KCプラス 8.10%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.52%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は栢森雅勝氏です。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
栢森雅勝 代表取締役社長 1995年取締役就任。常務、専務、副社長を経て2005年社長就任。2012年会長、2023年4月より現職。グループ会社数社の取締役も兼務。
大上誠一郎 取締役会長 1990年入社。制御システム事業部事業部長、常務等を経て2019年社長就任。2023年4月より現職。
栢森健 代表取締役専務 1989年監査役就任。取締役、常務を経て2005年代表取締役専務就任。経営管理本部本部長等を歴任し、2019年4月より現職。
大成俊文 代表取締役専務コーポレートマネジメント統括部 統括部長 1995年入社。情報システム事業部営業本部本部長、事業部長、常務等を経て2025年4月より現職。


社外取締役は、櫻井由美子(公認会計士・税理士)、小紫正樹(一般財団法人金属系材料研究開発センター副理事長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「情報システム」「アミューズメント」および「その他」事業を展開しています。

(1) 情報システム事業


パチンコホール向けのコンピュータシステム、景品顧客管理システム、情報公開システムの開発・製造・販売を行っています。また、業界最大規模の会員制情報提供サービス「DK-SIS」を通じて、ホールの経営支援や市場分析データを提供しています。

収益は、パチンコホールに対する製品(ホールコンピュータ、情報公開端末等)の販売代金や、情報サービス「DK-SIS」等の利用料から得ています。運営は主にダイコク電機が行い、ダイコク電機コミュニケーションPLUSやグローバルワイズ等の子会社も関連業務を担っています。

(2) アミューズメント事業


パチンコ・パチスロ遊技機に関わるソフトウェアおよびハードウェアの開発・製造・販売を行っています。具体的には、パチンコ遊技機の表示ユニットや制御ユニット、パチスロ遊技機そのものの企画・開発を手掛けています。

収益は、遊技機メーカーに対するユニット・部品の販売や、遊技機の販売、ソフトウェア開発の受託費等から得ています。運営はダイコク電機のほか、ゲーム開発を行う元気、遊技機メーカーであるDAXEL、ソフトウェア開発のアロフト等の子会社が行っています。

(3) その他


上記セグメントに含まれない事業として、ディスプレイ・装飾およびメンテナンス事業、スマートデジタルサービスの企画・運営等を行っています。

収益は、ディスプレイ・装飾の施工料やサービスの提供対価等から得ています。運営は西本産業、Stadd等の子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は着実に増加傾向にあり、特に直近2期で大きく伸長しています。利益面でも、経常利益率が20%を超える高水準を維持しており、高い収益性を確保しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 233億円 244億円 318億円 539億円 574億円
経常利益 10億円 14億円 43億円 121億円 122億円
利益率(%) 4.2% 5.6% 13.4% 22.5% 21.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 8億円 11億円 30億円 87億円 77億円

(2) 損益計算書


売上高は増加し、売上総利益率も安定しています。営業利益率は20%を超える高い水準を維持しており、本業でしっかりと稼ぐ力があることがわかります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 539億円 574億円
売上総利益 250億円 267億円
売上総利益率(%) 46.4% 46.5%
営業利益 120億円 122億円
営業利益率(%) 22.3% 21.3%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び賃金が24億円(構成比16%)、賞与が18億円(同12%)を占めています。売上原価については、商品及び製品の仕入や製造にかかる費用が計上されています。

(3) セグメント収益


情報システム事業が売上の大半を占め、かつ高い利益率を誇る主力事業です。同事業はスマート遊技機関連の設備投資需要を取り込み増収となりました。アミューズメント事業は黒字転換を果たしています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
情報システム事業 494億円 521億円 146億円 144億円 27.6%
アミューズメント事業 44億円 44億円 -4億円 4億円 8.1%
その他 - 9億円 - -2億円 -20.1%
調整額 -1億円 -1億円 -22億円 -24億円 -
連結(合計) 539億円 574億円 120億円 122億円 21.3%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は「健全型」です。本業で稼いだ資金(営業CFプラス)の範囲内で、将来への投資(投資CFマイナス)と株主還元や借入返済(財務CFマイナス)を行っており、財務体質は極めて健全です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 84億円 77億円
投資CF -17億円 -78億円
財務CF -32億円 -33億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は79.1%で市場平均を上回っています。収益性・安全性ともに高い水準にあります。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、創業以来「パチンコファンが喜ぶこと」を発想の原点とし、誰もが楽しめる新しいシステムやサービスの開発に挑戦しています。今後も独自の発想と技術力で市場創造型の製品を提案し続け、社会へ貢献していくことを基本方針としています。

(2) 企業文化


「顧客からの支持は、継続的業績発展につながる」を企業品質方針として掲げています。また、経営理念である「イノベーション」に基づき、個人の能力と組織の力のシナジーで新しい価値を生み出すことを重視しており、自由闊達な組織風土づくりに取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、経営の効率化と高付加価値化により収益力を高めることが企業価値向上につながると考え、以下の指標を重要な経営指標として掲げています。

* 売上高営業利益率

(4) 成長戦略と重点施策


情報システム事業では、スマート遊技機の普及に伴う市場変化に対応し、ホール運営を集約化する新プラットフォームの構築や、AI・クラウドを活用した経営支援サービスの強化を推進します。アミューズメント事業では、事業の主軸を「スマートパチスロ」へ移行し、企画から製造までの内製化を進めます。また、ディスプレイ事業や飲食・観光分野への展開など、事業領域の拡大にも取り組んでいきます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「イノベーション」を支えるのは人の力であるとの考えのもと、人材育成への投資を惜しまず実施しています。教育研修の充実とともに、個人の力が最大限に発揮される自由闊達な組織風土づくりや社内環境の整備に取り組んでいます。また、女性活躍推進や働き方改革も重要課題と位置づけ、各種制度の見直しを進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 46.7歳 19.2年 9,506,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.8%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 61.5%
男女賃金差異(正規雇用) 67.7%
男女賃金差異(非正規雇用) 46.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、人材育成に対する投資額(約1300万円)、女性役職者比率(8.6%)、障害者雇用率(2.32%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制について


主要顧客であるパチンコホールは風営法等の法的規制を受けて営業しており、規制強化や業界団体の自主規制により設備投資動向が変化した場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は情報収集と迅速な戦略立案によりリスク低減に努めています。

(2) 遊技機の型式試験について


遊技機の販売には指定試験機関の型式試験への合格が必須ですが、技術の高度化により試験が複雑化しています。試験通過の遅延や不適合が発生した場合、販売計画に影響が生じる可能性があります。同社は専門性の向上と業務効率化により、設計品質と開発生産性の向上を図っています。

(3) 製品開発について


ソフトウェアのバグを完全に無くすことは困難であり、製品納入後に重大なバグが発見された場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社はテスト&デバッグの実施や品質管理体制の強化、再発防止策の徹底により、品質の安定とリスク低減に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。