ヘリオス テクノ ホールディング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヘリオス テクノ ホールディング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場するヘリオス テクノ ホールディングは、産業用ランプやLEDランプを扱うランプ事業と、配向膜印刷装置などを扱う製造装置事業を展開しています。直近の業績は、主力製品の需要増や出荷の順調な推移により、大幅な増収増益を達成しており、堅調な成長を続けています。


※本記事は、ヘリオス テクノ ホールディング株式会社の有価証券報告書(第50期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヘリオス テクノ ホールディングってどんな会社?


ランプ事業と製造装置事業を柱に、高付加価値製品を提供する持株会社です。

(1) 会社概要


1976年にフェニックス電機として設立され、一般照明用ハロゲンランプの生産を開始しました。2002年にJASDAQ市場に上場、2005年に東証二部、2006年に東証一部への指定替えを果たしました。2009年に現在のヘリオス テクノ ホールディングへ商号を変更して純粋持株会社体制へ移行し、ナカンテクノを設立して製造装置事業へ参入しました。

従業員数は連結で272名、単体で22名です。筆頭株主は投資運用会社グループを代表するNIPPON ACTIVE VALUE FUND PLCで、第2位は資産管理業務を行うSTATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505103、第3位も投資運用関連のNAVF SELECT LLCとなっています。

氏名 持株比率
NIPPON ACTIVE VALUE FUND PLC 12.22%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505103 7.61%
NAVF SELECT LLC 7.60%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は佐藤良久氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤良久 代表取締役社長 2009年ナカンテクノ入社、2010年同社代表取締役社長。フェニックス電機などの社長を歴任し、2026年台湾納慷泰克股份有限公司董事長より現職。
秋葉泰 取締役 2011年ナカンテクノ入社。2020年同社常務取締役。フェニックス電機などの社長を歴任し、2025年テクノ工房代表取締役、同年同社取締役より現職。
西田真澄 取締役 2008年日興シティグループ証券入社。ダルトン・アドバイザリー等の要職を経て、2025年同社取締役、2026年ホンダ取締役より現職。
水落一隆 取締役 1997年東京青山法律事務所入所。Rising Sun Management Ltd. Presidentなどを経て、2025年同社取締役、2026年ホンダ代表取締役より現職。


社外取締役は、名倉啓太(淀屋橋合同法律事務所入所)、木下玲子(SBIキャピタルソリューションズ代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ランプ事業」および「製造装置事業」の2つの報告セグメントを展開しています。

ランプ事業

産業用ランプおよびLEDランプなどの製造販売を行っており、プロジェクター用や露光装置用光源ユニット用ランプを中心に、独自の競争力を発揮しています。労働人口の減少を背景とした省人化・自動化ニーズに対応するため、半導体製造装置など多様な分野への展開を推進しています。

収益は、これらのランプ製品の販売を通じて顧客から直接得ています。事業の運営は、主にフェニックス電機およびルクスが行っています。

製造装置事業

配向膜印刷装置、特殊印刷機、UV露光装置光源ユニットなどの製造販売を行っています。インクジェット印刷機などの環境負荷低減や省エネルギー化に貢献する装置を提供しており、さらにSiCパワー半導体の普及を見据えたウェハー加工プロセスの開発にも取り組んでいます。

収益は、液晶パネル等のエレクトロニクス業界の顧客への製造装置の販売や、据付・調整などのサービスを通じて得ています。運営は、主にナカンテクノ、フェニックス電機、リードテック、テクノ工房などが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は一時的な増減があるものの、直近では大きく成長し、142億円規模に達しています。経常利益も売上高の拡大に伴い大きく増加し、直近では23億円、利益率も16.3%へと大幅に向上しており、収益力の高さが伺えます。当期利益も直近で16億円規模となり、好調な推移を示しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 90億円 80億円 109億円 99億円 142億円
経常利益 6億円 5億円 15億円 9億円 23億円
利益率(%) 6.5% 6.2% 13.7% 9.6% 16.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 1億円 2億円 2億円 6億円 16億円

(2) 損益計算書


売上高の大幅な成長に伴い、売上総利益も38億円から52億円へと拡大しています。売上総利益率自体も38.9%から36.3%と高水準を維持しつつ、営業利益は9億円から18億円へと倍増し、営業利益率も大きく改善しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 99億円 142億円
売上総利益 38億円 52億円
売上総利益率(%) 38.9% 36.3%
営業利益 9億円 18億円
営業利益率(%) 9.1% 13.0%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給与が6億円(構成比17%)、研究開発費が5億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


両セグメントともに好調に推移しています。ランプ事業は主力製品の需要増により増収となり、セグメント利益も黒字転換しました。製造装置事業も配向膜印刷装置や露光装置用光源ユニットの出荷が順調に進み、売上・利益ともに大きく伸長しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
ランプ事業 20億円 27億円 -0億円 3億円 12.3%
製造装置事業 79億円 115億円 15億円 21億円 18.1%
調整額 - - -6億円 -6億円 -
連結(合計) 99億円 142億円 9億円 18億円 13.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.8%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は81.8%であり、いずれも市場平均を上回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 9億円 19億円
投資CF -0億円 -8億円
財務CF -9億円 -8億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、株主をはじめ顧客、仕入先、従業員、地域社会等のステークホルダーに報いるため、グループ一丸となって業績の伸張に努め、企業価値の増加と企業としての社会的責任を果たすことを目指しています。また、他社が追随できない高付加価値製品・サービスの開発と提供を追求することを基本方針としています。

(2) 企業文化


同社グループは、ランプ事業における「小回りを効かせて、顧客の利便性を向上させる」という行動指針のもと、独自の競争戦略を構築し、ニッチな市場で存在価値を発揮する文化を持っています。また、製造装置事業においては精密印刷技術力をコアとし、新たな分野への開拓や新製品の開発に積極果敢に挑戦する姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループでは、持続的な成長の実現を図り、「連結売上高」と「連結営業利益」を主要な経営指標として定めています。これらをグループの収益力を示す重要な財務数値と位置づけており、効率的な経費運営等により目標達成を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


両事業において他社が追随できない高付加価値製品の開発を推進するとともに、互いの技術力(光源技術と装置技術・販売力)を活かしたシナジー効果の創出による新規事業の開拓を目指しています。さらに、M&Aや資本提携を通じて事業ポートフォリオを拡大し、持続的な成長と経営基盤の安定化を図る戦略を掲げています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、「従業員が健康で、意欲的に仕事に取り組める会社をつくる」というビジョンを掲げ、人的資本を持続的な成長と企業価値創出を支える最も重要な経営資源と位置付けています。従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織全体の生産性と競争力の向上へつなげることで、持続的な企業価値の向上を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.6歳 2.4年 7,260,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は規定による公表義務の対象ではないため、有報には本稿の記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) アジア市場など海外販売におけるリスク

中国および台湾を中心とする海外市場への販売比率が高いため、各国の政治状況や経済状況の急変、法令の予期せぬ変更、貿易摩擦に伴う追加関税などがサプライチェーンや製品需要に波及した場合、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 液晶パネル製造装置の需給変動リスク

製造装置事業の売上の大半が液晶パネル製造装置の一部であり、その需要は液晶パネル自体の需給に影響を受けます。さらに、製品需要の上昇時に受注が集中し、一段落すると減少する傾向があるため、想定を超える需要の増減が生じた場合は業績に影響を与える可能性があります。

(3) 競争激化に伴う開発競争と価格低下リスク

エレクトロニクス業界に高精度・高品質な製造装置を提供していますが、業界内の価格競争は激しく、投資コストも抑制される傾向にあります。他社との競争が激化し、当初の想定を超えて販売単価が低下した場合、収益性や財務状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(4) 放射性同位元素の取り扱いに伴う法的規制リスク

ランプ事業の主要製品である水銀灯には、放電を促進するために微量の放射性同位元素が封入されています。これを取り扱うため原子力規制委員会から許可を受けていますが、万一、許可の取消や停止事由が発生した場合には、事業継続に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。