ヘリオス テクノ ホールディング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヘリオス テクノ ホールディング 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場し、ランプ事業と製造装置事業を展開しています。2025年3月期の連結業績は、売上高99億円(前期比9.2%減)、経常利益9億円(同36.4%減)となり、減収減益でした。主力製品の納入時期の後ろ倒しやLED関連製品の販売不振などが影響しました。


※本記事は、ヘリオス テクノ ホールディング株式会社 の有価証券報告書(第49期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヘリオス テクノ ホールディングってどんな会社?


産業用ランプや製造装置の製造販売を主力とし、独自技術とニッチ市場での競争力を強みとする持株会社です。

(1) 会社概要


1976年にフェニックス電機として設立され、ハロゲンランプ等の生産を開始しました。2002年にJASDAQ市場へ上場し、2009年に持株会社体制へ移行して現社名となりました。同年、ナカンテクノを設立して製造装置事業を強化し、2016年にはリードテックを完全子会社化しました。2022年に東証スタンダード市場へ移行しています。

同グループは連結従業員286名、単体15名の体制で運営されています。筆頭株主は英国の投資ファンドであるNIPPON ACTIVE VALUE FUND PLCで、第2位は資産管理を行う信託銀行、第3位は証券会社関連の法人となっており、機関投資家やファンドが上位を占めています。

氏名 持株比率
NIPPON ACTIVE VALUE FUND PLC 11.02%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505103 8.18%
MSIP CLIENT SECURITIES 8.12%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性2名の計9名で構成され、女性役員比率は22.2%です。代表取締役社長は佐藤良久氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤 良久 代表取締役社長 ナカンテクノ代表取締役社長を経て、2018年より現職。フェニックス電機等のグループ会社役員も兼任。
秋葉 泰 取締役 ナカンテクノ入社後、同社常務取締役等を歴任。フェニックス電機代表取締役社長も務める。
西田 真澄 取締役 日興シティグループ証券等を経て、Rising Sun Management Ltd. Partnerに就任。2025年より現職。
水落 一隆 取締役 弁護士。Rising Sun Management Ltd. Presidentを務める。2025年より現職。


社外取締役は、名倉啓太(弁護士)、木下玲子(元アドミラルキャピタル代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ランプ事業」および「製造装置事業」を展開しています。

(1) ランプ事業


産業用ランプ、一般照明用ハロゲンランプ、およびLEDランプ等の製造販売を行っています。プロジェクター用ランプや露光装置用光源ユニット用ランプなど、ニッチな市場に向けた製品を提供しています。

主な収益源は、これらの製品の販売による対価です。運営は主にフェニックス電機およびルクスが行っています。

(2) 製造装置事業


配向膜印刷装置、特殊印刷機、およびUV露光装置光源ユニットの製造販売を行っています。液晶パネル製造装置の一部である高精度な印刷装置などをエレクトロニクス業界向けに提供しています。

主な収益源は、装置の製造販売およびそれに付随するサービスによる対価です。運営は主にナカンテクノ、フェニックス電機、およびリードテックが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は80億円から109億円の範囲で推移しています。2024年3月期には売上高109億円、経常利益15億円と大きく伸長しましたが、2025年3月期は減収減益となりました。利益率は変動がありつつも黒字を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 81億円 90億円 80億円 109億円 99億円
経常利益 6億円 6億円 5億円 15億円 9億円
利益率(%) 7.8% 6.5% 6.2% 13.7% 9.6%
当期利益(親会社所有者帰属) 4億円 4億円 3億円 23億円 7億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い、売上総利益、営業利益ともに減少しました。売上原価率は低下傾向にありますが、販売費及び一般管理費の増加が利益を圧迫しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 109億円 99億円
売上総利益 41億円 38億円
売上総利益率(%) 37.6% 38.9%
営業利益 15億円 9億円
営業利益率(%) 13.5% 9.1%


販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が6億円(構成比19%)、従業員給与が6億円(同19%)を占めています。売上原価については、製品製造コストが主となっています。

(3) セグメント収益


ランプ事業は、産業用LED関連製品の受注未達や一般照明用LEDの販売不振などにより減収となりました。製造装置事業も、主力製品の納入時期が後ろ倒しになったことなどから減収となりましたが、利益面では安定して貢献しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ランプ事業 27億円 20億円 3億円 -0億円 -0.4%
製造装置事業 82億円 79億円 16億円 15億円 19.6%
その他 - - - - -
調整額 -0億円 -0億円 -4億円 -6億円 -
連結(合計) 109億円 99億円 15億円 9億円 9.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動によるキャッシュ・フローがプラスで、その範囲内で借入金の返済や配当支払いを行っており、投資活動による支出は限定的であることから「健全型」と言えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 25億円 9億円
投資CF 14億円 -0億円
財務CF -2億円 -9億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.5%でスタンダード市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は76.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「ランプ事業」及び「製造装置事業」において、他社が追随できない高付加価値製品・サービスの開発、提供を追求することを基本方針としています。事業シナジー効果の創出と成長の加速化を通じて、事業の拡大と経営基盤の安定化を図り、企業価値の増加と社会的責任を果たすことを目指しています。

(2) 企業文化


フェニックス電機では「小回りを効かせて、顧客の利便性を向上させる」という行動指針のもと、ニッチな市場での存在価値を重視しています。また、ナカンテクノでは精密印刷技術力をコアとし、新たな分野の開拓や新製品開発に注力しています。各事業会社が自主的経営を行いながら、相互の技術力を活かす風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループでは、更なる成長を目指し、「連結売上高」及び「連結営業利益」を重要な経営指標として企業経営を実施しています。2025年3月期の実績は以下の通りです。
* 売上高:99億円
* 営業利益:9億円

(4) 成長戦略と重点施策


フェニックス電機では、既存の露光装置等の高品質維持に加え、半導体製造装置向け石英ガラス部品の加工製造を開始し、生産体制を強化します。ナカンテクノでは、インクジェット印刷機の環境対応や、需要拡大が見込まれるSiCパワー半導体向け研磨装置の開発・事業化を推進します。また、グループ全体のシナジー発揮による新規事業開拓を進めます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


経営の持続的な成長には人的資本への投資が不可欠であるとし、社員の活性化と能力向上、働きやすい職場環境や制度設計を通じた人材の確保と育成を重要課題としています。一人ひとりの能力を活用し、納得性のある公正な処遇を通じて、充実感や達成感を分かち合える組織を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.5歳 2.5年 7,870,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、フェニックス電機株式会社における男性社員の育児休暇取得率(100%)、ナカンテクノ株式会社における一定等級に占める女性割合(18%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 海外販売に潜在するリスク


グループの売上の多くが中国および台湾への輸出となっています。各国の政治・経済状況の急変、法令変更、自然災害、貿易摩擦による需要減少や為替変動などが顕在化した場合、グループの経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 製造装置特有の需給による影響


ナカンテクノの売上の多くは液晶パネル製造装置関連であり、その需要はパネル需給の影響を受けます。また、受注が集中した後に減少する傾向があるため、想定を超えた需給変動が生じた場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 技術・製品の開発について


継続的な製品技術開発を行っていますが、開発が想定通りに進まない場合や、開発した技術が製品化できない場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 競争激化による開発競争と価格低下


エレクトロニクス業界への納入において、他社との競争激化や顧客の投資コスト抑制により販売単価が想定を超えて低下した場合、業績に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。