バッファロー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

バッファロー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード・名証プレミア上場のIT関連企業。デジタル家電やPC周辺機器の開発・製造・販売を主力とします。当期は食品事業の子会社スピンオフを実施。業績は売上高1,432億円で減収となるも、株式売却益等により経常利益は90億円、当期純利益は60億円と大幅な増益を達成しました。


※本記事は、株式会社バッファロー の有価証券報告書(第39期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。


1. バッファローってどんな会社?


デジタル家電やPC周辺機器の開発・製造・販売を行うIT関連企業です。2025年4月に持株会社体制を解消し、商号をバッファローに変更しました。

(1) 会社概要


1978年に音響機器メーカーとして創業し、PC周辺機器へ事業を拡大しました。1996年に株式を上場し、2003年に持株会社体制へ移行しました。2016年には製麺大手のシマダヤと資本業務提携を行い完全子会社化しましたが、2024年10月にスピンオフを実施しました。2025年4月、事業会社バッファローを吸収合併し、商号を株式会社バッファローに変更しました。

連結従業員数は1,020名、単体従業員数は24名です。筆頭株主は創業家資産管理会社のメルコグループで、第2位は社長の牧寛之氏、第3位は海外投資家と思われる外国法人です。

氏名 持株比率
メルコグループ 41.53%
牧 寛之 14.78%
ECM MF 10.31%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性2名、計7名で構成され、女性役員比率は29.0%です。代表取締役社長執行役員CEOは牧寛之氏です。社外取締役比率は42.9%です。

氏名 役職 主な経歴
牧 寛之 代表取締役社長執行役員CEO 2004年Melco Asset Management Limited代表取締役などを経て、2014年同社代表取締役社長に就任。2025年4月より現職。
津坂 巌 取締役 1992年公認会計士津坂巌事務所所長。1999年バッファロー監査役を経て、2004年より現職。
中山 千里 取締役 1987年ブラザー工業入社。弁理士として特許事務所勤務後、バッファロー入社。法務部長、監査部長を経て2023年より現職。
長瀬 吉昌 取締役(監査等委員) 1981年大和証券入社。同社代表取締役専務などを歴任。ジェイ・アンド・ユー代表取締役を経て2025年6月より現職。


社外取締役は、神谷純(元ブラザー販売代表取締役社長)、宮嶋宏幸(元ビックカメラ代表取締役社長)、大塚久美子(元大塚家具代表取締役社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「IT関連」、「食品」および「その他」事業を展開しています。なお、食品事業は期中にスピンオフが完了しています。

IT関連

デジタル家電やパソコン周辺機器の開発・製造・販売のほか、データ復旧サービス、ネットワークインフラ構築などを手掛けています。個人・法人顧客へ製品を販売するほか、保守サービスも提供しています。
収益は主に製品販売による代金やサービス利用料から得ています。運営は主にバッファロー、シー・エフ・デー販売などが担っています。

食品

麺類および関連食料品の製造・販売を行っていましたが、2024年10月のスピンオフにより連結から除外されました。
収益は商品の販売代金等から得ていました。運営はシマダヤが担っていましたが、現在は資本関係が解消されています。

その他

報告セグメントに含まれない事業として、グループの全社管理機能などが含まれています。
収益はグループ会社からの経営指導料などが主となります。運営は同社(持株会社時代)などが担っていました。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は1,400億円台で推移しており、比較的安定しています。利益面では、2024年3月期に経常利益率が1.8%まで低下しましたが、2025年3月期には6.3%まで回復しています。当期純利益も前期の損失から黒字回復し、20億円となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,299億円 1,441億円 1,426億円 1,458億円 1,432億円
経常利益 91億円 131億円 47億円 26億円 90億円
利益率(%) 7.0% 9.1% 3.3% 1.8% 6.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 32億円 53億円 64億円 -4億円 20億円

(2) 損益計算書


直近2期間を見ると、売上高は微減となりましたが、営業利益は大幅に増加しています。特に2025年3月期は営業利益率が6.2%となり、収益性が大きく向上しました。売上原価率の改善や販管費の抑制などが寄与していると考えられます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,458億円 1,432億円
売上総利益 361億円 394億円
売上総利益率(%) 24.7% 27.5%
営業利益 26億円 89億円
営業利益率(%) 1.8% 6.2%


販売費及び一般管理費のうち、給料・賞与が71億円(構成比23%)、支払手数料が70億円(同23%)を占めています。また、広告宣伝費も64億円(同21%)と高い割合を占めており、マーケティング活動への投資が積極的であることがわかります。

(3) セグメント収益


主力のIT関連事業は増収となり、利益も大幅に伸長しました。一方、食品事業はスピンオフの影響で売上・利益ともに減少しています。IT関連事業の利益率改善が全社の増益を牽引する形となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
IT関連 1,066億円 1,211億円 4億円 76億円 6.3%
食品 390億円 219億円 33億円 26億円 12.0%
その他 2億円 2億円 93億円 12億円 580.2%
調整額 -117億円 -37億円 -105億円 -25億円 -
連結(合計) 1,458億円 1,432億円 26億円 89億円 6.2%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ資金をもとに借入返済や自己資本の充実を進めつつ、投資も手元資金で賄っている「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 66億円 147億円
投資CF 54億円 -14億円
財務CF -26億円 -72億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は11.0%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.7%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は経営コンセプトとして「Original Value Creation(オリジナルな「価値」の創造)」を掲げています。これは、IT関連業界の最大の課題である技術革新の波に逆らわず、付加価値の創出を繰り返すことで持続的に成長し、ステークホルダーへ分配していくという姿勢を表しています。

(2) 企業文化


同社は「Value Chain Engineering」をコーポレートスローガンとし、エンジニアリング活動を通じた付加価値創出を重視しています。また、「Fair and Open」「Logical Thinking」「Simple and Speedy」「Leading Edge」という4つの行動指針を実践することで、企業価値の最大化に取り組む文化を醸成しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、成長への投資と安定した株主還元を両立させながら、長期的な「1株当たり当期純利益」の成長を最重要指標として事業活動を推進しています。具体的な数値目標としてのKPI等は記載されていませんが、IT関連事業への集中を通じて持続的な成長を目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、持株会社体制を解消しIT関連事業へ集中する組織再編を完了しました。今後はハードウェアだけでなく、サービスやソリューションといった無形資産にもエンジニアリング活動を通じて付加価値を創出していく方針です。また、執行役員制度の導入や報酬体系の変更など、変革を実行できる体制整備を進めています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、多様な価値観が持続的成長につながると考え、様々な業界から中核人材を積極的に採用しています。管理職の約6割を中途採用者が占めており、今後もこの水準を維持する方針です。また、女性管理職比率の向上や、各々の特性を最大限活かせる職場環境の整備にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.9歳 12.4年 7,641,000円


※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 4.1%
男性労働者の育児休業取得率 38.5%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 66.2%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 66.0%
労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用) 68.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、中途採用管理職比率(59.8%)、女性管理職の人数目標(2027年5月31日までに10名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 技術革新と競争激化

IT業界は技術革新が激しく、市場構造が変化する可能性があります。同社が主導的立場を失うと業績に影響を与える恐れがあります。また、世界的な大手企業等の参入による競争激化も、販売シェアや収益力に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 部材調達と在庫リスク

製品製造には複数国からの部材調達が必要ですが、世界的な供給不足や調達先の状況悪化により安定供給が困難になるリスクがあります。また、技術革新による陳腐化リスクに対し、在庫の鮮度管理や価格改定に伴う補償が発生する可能性があります。

(3) 代理店契約の終了

海外メーカー製品の国内販売において、代理店契約が更新できない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、高性能空気清浄機「Airdog」シリーズに関する独占販売契約が2025年8月末で終了することが決定しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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東証スタンダード上場のカー用品店運営企業です。埼玉県南部や東京都北部で「オートバックス」のフランチャイズ店舗を展開するほか、外食事業として「焼肉ライク」や「PISOLA」も運営しています。2025年3月期は、飲食事業の拡大等が寄与し、売上高122億円、経常利益5.4億円の増収増益となりました。