※本記事は、株式会社日本抵抗器製作所の有価証券報告書(第78期、自 2025年1月1日 至 2025年12月31日、2026年3月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 日本抵抗器製作所ってどんな会社?
抵抗器やポテンショメーターなど各種電子部品の開発・製造・販売を手掛ける老舗メーカーです。
■(1) 会社概要
同社は1943年に設立され、1953年に株式会社へ組織変更しました。1964年に東京証券取引所市場第2部へ上場を果たし、1980年にはハイブリッドICの本格生産を開始するなど製品ラインナップを拡充してきました。近年では2015年にタイへ製造子会社を設立し、グローバルな生産体制の強化を進めています。
同社グループの従業員数は連結で302名、単体で45名です。筆頭株主は経営トップである木村準氏で、第2位は個人株主の永山敬健氏、第3位は従業員持株会となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 木村 準 | 8.61% |
| 永山 敬健 | 4.98% |
| 日本抵抗器関連会社従業員持株会 | 4.92% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は木村準氏が務めています。取締役7名中2名が社外取締役です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 木村 準 | 取締役社長(代表取締役) | 1971年入社。1982年取締役、1984年常務取締役を経て、1992年より代表取締役社長に就任。日本抵抗器販売など各子会社の代表取締役社長も兼務。 |
| 愛山 良信 | 取締役 | 1963年入社。設計部長、製造部長、管理部長などを経て、1993年取締役に就任。2008年より現職。 |
| 森 悦夫 | 取締役 | 1984年日本抵抗器販売入社。ジェイアールエムグループの経営本部長や取締役などを経て、2015年より現職。 |
| 橋爪 道也 | 取締役 | 1980年日本抵抗器販売入社。マイクロジェニックスの開発統括部長や取締役などを経て、2023年より現職。 |
| 魚 孝浩 | 取締役 | 1984年日本抵抗器販売入社。総務部長や経理部長、ジェイアールエムグループの取締役などを経て、2023年より現職。 |
社外取締役は、今井治(今井機業場相談役)、今井芳範(シーエスフィールド代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、電子部品の製造・販売および付帯事業の単一セグメントを展開しています。
■電子部品の製造販売
抵抗器やポテンショメーター、ハイブリッドIC、電子機器の開発および製造販売を行っています。自動車用をはじめ、建設機械、農電機器、住設機器、電源機器、医療機器、家電用など、幅広い産業分野の顧客に向けて各種電子部品を提供しています。
収益源は各製品の販売代金です。事業運営は日本抵抗器製作所のほか、国内子会社の日本抵抗器大分製作所やサンジェニックス、海外拠点である中国の解亜園電子製造有限公司やタイのJRM(Thailand)などが製造を担い、日本抵抗器販売などを通じて販売を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
売上高は一時期70億円台で推移していましたが、直近2期は連続して減収となっています。利益面でも、原材料価格やエネルギー価格の高止まり、物流コスト上昇などの影響を強く受けており、直近2期は経常赤字に転落するなど、収益環境の悪化がみられます。
| 項目 | 2021年12月期 | 2022年12月期 | 2023年12月期 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 62億円 | 72億円 | 72億円 | 65億円 | 59億円 |
| 経常利益 | 1.1億円 | 2.6億円 | 1.4億円 | -1.0億円 | -1.4億円 |
| 利益率(%) | 1.7% | 3.6% | 1.9% | -1.6% | -2.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.6億円 | 0.8億円 | 0.7億円 | 0.3億円 | -0.6億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が減少する中で、売上総利益は同水準を確保しており、売上総利益率は改善傾向にあります。一方で、販売費及び一般管理費や営業外費用などの負担が重く、営業利益は前期に続いて赤字の状態が継続しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 65億円 | 59億円 |
| 売上総利益 | 13億円 | 13億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.2% | 21.5% |
| 営業利益 | -1.3億円 | -1.1億円 |
| 営業利益率(%) | -2.1% | -1.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が5.0億円(構成比36%)、法定福利費と運賃がそれぞれ1.1億円(同8%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は電子部品事業の単一セグメントですが、製品群別に見ると、ポテンショメーターが建設機械用や農電機器用の需要増により増収となりました。一方で、主力のハイブリッドICのほか、産業機器向けの抵抗器や省エネ機器向けの電子機器などが減少したため、全体として減収となっています。
| 区分 | 売上(2024年12月期) | 売上(2025年12月期) |
|---|---|---|
| 抵抗器 | 19億円 | 16億円 |
| ポテンショメーター | 6.6億円 | 7.9億円 |
| ハイブリッドIC | 19億円 | 18億円 |
| 電子機器 | 20億円 | 17億円 |
| 連結(合計) | 65億円 | 59億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFおよび財務CFはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態を示しています。
| 項目 | 2024年12月期 | 2025年12月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 0.8億円 | 2.3億円 |
| 投資CF | -2.0億円 | -0.8億円 |
| 財務CF | 2.4億円 | -1.7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)はマイナス28.1%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も16.2%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「抵抗器及び電子回路の製造を通じて社会に貢献する」ことを経営の基本方針とし、すべての利害関係者との良好な関係を維持・発展させることを目指しています。JRMブランドのもと、グループ全体のコスト競争力を高め、財務体質を強化して収益性を高めることを重要視しています。
■(2) 企業文化
グループ会社の垣根がない調和のとれた企業文化を育むことを重視しています。また、株主重視の考え方をグループ経営の重要施策とし、適正な利益を確保して会社の成長発展の基盤とするとともに、株主や社員、社会へ還元していく姿勢を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
技術革新が著しいエレクトロニクス業界において、環境変化に対応するためのグローバル化推進と新規事業への取り組みを軸に据え、市場拡大および売上拡大を達成することを目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
中国や東南アジアでの展開を強化し、海外売上の拡大を図ります。また、自動車市場(xEV)や産業機器市場への新製品展開を強化するとともに、生産工程の省人化やロボット導入によるコスト競争力の向上、顧客との企画段階からの協業を通じた高付加価値製品の提供を重点施策として推進しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「環境に優しいものづくりの推進」を基本理念とし、全ての従業員が働きやすい職場づくりを推進しています。人権と多様性を尊重し、高齢者や障がい者雇用の促進などを通じて、多様な人材が分け隔てなく平等に働くことができる職場環境の整備を目指しています。また、社内資格・技能認定制度を通じた社員教育にも注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月期 | 43.4歳 | 16.3年 | 4,460,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 金利・為替相場の変動リスク
金利の変動リスクを回避するための対策を一部で講じていますが、それ以外は金利変動の直接的な影響を受けます。また、海外子会社の財務諸表の円換算や外貨建て取引において、為替相場の変動が同社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
■(2) 特定製品市場における競争激化
国内外の市場において激しい価格競争にさらされています。特にハイブリッドICや電子機器においては、十分な利益を確保できる価格設定が困難な場合が多く、価格下落圧力が同社グループの収益確保に多大な影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) 海外事業展開に伴うカントリーリスク
中国やタイを拠点とする海外子会社を運営しており、為替リスクに加えて、現地の政情不安や経済動向の不確実性、宗教・文化の違い、現地の労使関係の悪化といった海外進出に特有のリスクが存在しています。
■(4) 製品の品質に係るリスク
世界的に認められた基準に基づいて品質管理を行っていますが、全ての製品に欠陥がないとは保証できません。万が一製品の欠陥が発生した場合、多額の対応費用が発生したり、社会的評価が低下したりすることで、業績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。



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