プレス工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プレス工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の自動車部品メーカー。トラック用フレームやアクスル等の自動車関連事業と、建設機械用キャビン等の建設機械関連事業を展開しています。直近の連結業績は、売上高1,899億円(前期比4.0%減)、経常利益103億円(同23.6%減)と減収減益で着地しました。


※本記事は、プレス工業株式会社の有価証券報告書(第123期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. プレス工業ってどんな会社?


トラック用フレームや建設機械用キャビンなどを主力とする輸送用機器メーカーです。

(1) 会社概要


同社は1925年2月に合資会社プレッス作業所として創業し、1934年6月に株式会社へ改組しました。1961年8月には東京証券取引所市場第一部(現プライム市場)へ上場を果たしています。海外展開も積極的に進め、1988年7月に米国子会社PK U.S.A.を、2011年8月にはインドネシア子会社を設立するなど、グローバルな生産体制を構築しています。

現在の従業員数は連結5,438名、単体1,766名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は主要取引先でもあるいすゞ自動車、第3位は日鉄物産となっています。自動車や建設機械業界との強力なパートナーシップのもと、事業を展開しています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.35%
いすゞ自動車 10.23%
日鉄物産 5.06%

(2) 経営陣


同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は清水勇生氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
美野 哲司 代表取締役会長CEO 1980年同社入社。常務執行役員、取締役専務執行役員などを経て、2018年代表取締役社長に就任。2024年4月より現職。
増田 昇 代表取締役副社長、副社長執行役員CTO技術開発本部、生産本部所管 1982年同社入社。常務執行役員、取締役専務執行役員、代表取締役専務取締役などを経て、2024年4月より現職。
清水 勇生 代表取締役社長社長執行役員COO監査部担当 1986年同社入社。上席執行役員、取締役常務執行役員などを経て、2024年4月より現職。
矢原 洋 取締役専務執行役員人事部、労働部管掌総務部所管 1984年同社入社。執行役員、上席執行役員、取締役常務執行役員を経て、2022年4月より現職。
唐木 剛一 取締役専務執行役員CFO経営企画部管掌経理部、100年史編纂室、海外事業所管事業企画部担当 1986年同社入社。執行役員、上席執行役員、取締役常務執行役員を経て、2024年4月より現職。
佐藤 昌彦 取締役専務執行役員技術開発本部長 1985年同社入社。執行役員、上席執行役員、取締役常務執行役員を経て、2024年4月より現職。
新川 春正 取締役常務執行役員生産本部長 1980年同社入社。PKロジスティックス社長、同社執行役員、上席執行役員などを経て、2023年6月より現職。
坂野 正典 取締役(常勤監査等委員) 1984年住友銀行入行。同行グローバル・アドバイザリー部部付部長を経て、2016年同社に出向し資金部長に就任。2020年6月より現職。


社外取締役は、山根八洲男(広島大学特任教授)、古里健治(東京富士法律事務所弁護士)、岡部友紀(株式会社デジタルホールディングス社外取締役)、村上佳代(Kazu and Company 合同会社代表社員CEO)です。

2. 事業内容


同社グループは、「自動車関連事業」「建設機械関連事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 自動車関連事業


トラック等の自動車用フレーム、アクスル(車軸)、その他の自動車部品および自動車用金型の製造・販売を行っています。主要顧客はいすゞ自動車などの完成車メーカーであり、国内のみならず、北米、タイ、インドネシア、スウェーデン等に拠点を展開し、グローバルに製品を供給しています。

収益は、自動車メーカー等への製品販売代金として受け取ります。運営は、国内ではプレス工業、協和製作所などが担い、海外では米国のPK U.S.A.、タイのTHAI SUMMIT PKKグループ、スウェーデンのPRESS KOGYO SWEDENなどが現地生産・販売を行っています。

(2) 建設機械関連事業


パワーショベルやホイールローダー等の建設機械用キャビン(運転席部分)および関連部品の製造・販売を行っています。建設機械メーカーのモデルチェンジに合わせた製品開発や、各国の需要に応じた供給体制を構築しています。

収益は、建設機械メーカー等への製品販売により得ています。運営は、国内ではプレス工業、尾道プレス工業などが担当し、海外では中国の普莱斯冲圧部件(蘇州)有限公司やインドネシアのPT.PK Manufacturing Indonesiaなどが事業を展開しています。

(3) その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、立体駐車装置等の製造・販売を行っています。また、運送事業や福利厚生施設の運営なども含んでいます。

収益は、製品の販売やサービスの提供対価として顧客から受け取ります。運営は、プレス工業およびPKロジスティックスなどのグループ会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は1,500億円台から一時1,900億円台後半まで伸長しましたが、直近では約1,900億円で推移しています。経常利益は50億円台から130億円台へ大きく増加した後、直近では103億円となっています。当期純利益も同様の傾向を示し、利益率は3〜7%台で推移しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,537億円 1,601億円 1,848億円 1,978億円 1,899億円
経常利益 50億円 127億円 137億円 135億円 103億円
利益率(%) 3.3% 7.9% 7.4% 6.8% 5.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 17億円 38億円 53億円 62億円 54億円

(2) 損益計算書


売上高は前期の1,978億円から当期は1,899億円へ減少し、売上総利益も284億円から258億円へ減少しました。これに伴い、営業利益は128億円から96億円へと低下しており、利益率も6.5%から5.1%へ下がっています。全体的に減収減益の傾向が見られます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,978億円 1,899億円
売上総利益 284億円 258億円
売上総利益率(%) 14.4% 13.6%
営業利益 128億円 96億円
営業利益率(%) 6.5% 5.1%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が37億円(構成比23%)、製品発送費が20億円(同12%)を占めています。売上原価については、売上高に対する構成比は86%となっています。

(3) セグメント収益


自動車関連事業は、国内やタイ、インドネシア等での需要変動の影響を受け減収減益となりました。建設機械関連事業も、国内外での需要減により減収となり、セグメント損失を計上しました。全体として、主力の自動車関連事業の利益率は確保されていますが、建設機械関連事業の収益性改善が課題となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
自動車関連事業 1,625億円 1,582億円 161億円 132億円 8.3%
建設機械関連事業 322億円 287億円 4億円 -4億円 -1.4%
その他 31億円 30億円 2億円 2億円 5.4%
調整額 -26億円 -23億円 0億円 0億円 0.0%
連結(合計) 1,978億円 1,899億円 128億円 96億円 5.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 272億円 186億円
投資CF -141億円 -177億円
財務CF -70億円 -43億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は57.6%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「ビジョン・ミッション・バリュー」を掲げ、持続可能な社会の実現と中長期的な企業価値向上を目指しています。不確実で変化の激しい時代においても「なくてはならない存在」として成長し続けることを目指し、経済的価値と社会的価値の両立を追求しています。

(2) 企業文化


同社は「やりぬく」「創造力」「多様性」「安心・安全」をキーワードとした人的資本戦略を推進しています。特に「やりぬく」を重視しており、これを企業文化として根付かせるため、専門の研修を展開しています。また、リスクマネジメントやコンプライアンス遵守、人権尊重の方針に基づき、誠実と努力によってステークホルダーとの信頼関係を築くことを重視しています。

(3) 経営計画・目標


2024年度よりスタートした5か年中期経営計画では、基本方針に「質を追求し、プレゼンスを高める」を掲げています。最終年度となる2028年度の経営目標値として、以下の数値を設定しています。

* 売上高:2,400億円
* 営業利益率:8.0%以上
* ROE:9.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画では、「コア事業における攻めと挑戦」「電動化に向けたコア商品の進化」「サステナビリティ経営の推進」の3つを骨子としています。自動車関連事業では生産能力増強や現地生産化、建設機械関連ではキャビンのフルラインナップ化を進めています。また、EV化に対応したアクスルやバッテリー保護部品等の開発、カーボンニュートラル実現に向けた取り組みを強化しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「人材の多様性と活性化」を重要課題とし、一人ひとりが「自ら考え、行動し、やりぬく」経験を通じて成長し続けることを目指しています。「やりぬく力と創造力の醸成」「ダイバーシティと機会均等の推進」「安心・安全な職場づくり」等を活動項目とし、多様なバックボーンを持つ人材が活躍できる環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.2歳 19.2年 7,025,861円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 1.2%
男性育児休業取得率 32.3%
男女賃金差異(全労働者) 78.3%
男女賃金差異(正規雇用) 77.3%
男女賃金差異(非正規雇用) 59.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 大規模災害等による影響


地震、津波、台風、火災等の大規模災害が発生した場合、生産設備の破損やサプライチェーンの寸断により、操業停止や製品供給の遅延が生じる可能性があります。これにより、同社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 経済状況および海外事業環境の変動


主要製品である自動車部品や建設機械用部品の需要は、国内外の経済状況の影響を強く受けます。また、海外展開に伴い、地政学リスク、法規制の変更、インフレ、為替変動等の影響を受ける可能性があり、これらが経営成績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

(3) 技術革新と競争環境の変化


自動車業界のEV化や企業再編が進む中、技術革新や新製品開発への対応が遅れた場合、競争力を失う可能性があります。電動化対応や環境規制への適合が不十分であった場合、将来的な事業展開や業績に悪影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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