プレス工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プレス工業 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

プライム市場に上場し、自動車関連事業および建設機械関連事業を展開するプレス工業。当期は売上高2,022億円、営業利益135億円と増収増益を達成しました。国内の普通トラック向け部品の好調や、北米・アセアン等での油圧ショベルの需要増加が収益に貢献し、強固な事業基盤を示しています。


※本記事は、プレス工業株式会社の有価証券報告書(第124期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. プレス工業ってどんな会社?

自動車のフレームやアクスル、建設機械用キャビンの製造を手がけ、いすゞ自動車等を主要顧客とする大手部品メーカーです。

(1) 会社概要

1925年に「合資会社プレッス作業所」として創業し、1934年に株式会社へ組織変更して現在の「プレス工業」となりました。1961年に東京証券取引所市場第一部へ上場し、1977年には建設機械用部分品部門へ進出しています。1988年には米国に合弁会社を設立するなど、海外展開も積極的に進めてきました。

同社グループは連結で5,433名、単体で1,756名の従業員を擁しています。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は主要取引先である事業会社のいすゞ自動車、第3位は日鉄物産です。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.55%
いすゞ自動車 10.41%
日鉄物産 5.15%

(2) 経営陣

同社の役員は男性9名、女性3名の計12名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長社長執行役員CEOは清水勇生氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
清水勇生 代表取締役社長社長執行役員CEO 1986年同社入社。常務執行役員などを経て、2024年4月より現職。
唐木剛一 代表取締役専務取締役 専務執行役員CFO経理部、総務部管掌、経営企画部、IR部、事業企画部、人事部、労働部、100年史編纂室、国内/海外関連事業所管 1986年同社入社。常務執行役員などを経て、2026年4月より現職。
佐藤昌彦 代表取締役専務取締役 専務執行役員CTO生産本部所管、技術開発本部長 1985年同社入社。常務執行役員などを経て、2026年4月より現職。
新川春正 取締役常務執行役員生産本部長 1980年同社入社。上席執行役員などを経て、2023年6月より現職。
岡田京子 取締役常務執行役員総務部所管、人事部、労働部担当、100年史編纂室長 1990年同社入社。上席執行役員などを経て、2025年6月より現職。
奥垣内完 取締役常務執行役員業務本部長 1991年同社入社。上席執行役員などを経て、2025年6月より現職。
増田昇 取締役 1982年同社入社。代表取締役副社長などを経て、2026年4月より現職。
坂野正典 取締役(常勤監査等委員) 住友銀行入行、ロシア三井住友銀行社長などを経て、2020年6月より現職。


社外取締役は、山根八洲男(元広島大学特任教授)、古里健治(東京富士法律事務所入所)、岡部友紀(岡部友紀公認会計士・FP事務所開設)、村上佳代(Kazu and Company合同会社代表社員CEO)です。

2. 事業内容

同社グループは、「自動車関連事業」「建設機械関連事業」および「その他」事業を展開しています。

自動車関連事業

自動車用部分品(フレームやアクスルなど)および自動車金型の製造・販売を行っており、主にトラックなどの商用車メーカーに向けて製品を供給しています。
製品の販売により顧客から収益を得ています。事業の運営は同社および国内外の子会社(PK U.S.A.,INC.やTHAI SUMMIT PKK CO.,LTD.など)が行っています。

建設機械関連事業

建設機械用部分品(油圧ショベル等のキャビンなど)の製造・販売を行っており、国内外の建機メーカー等に向けて製品を供給しています。
部品の販売を通じて収益を得ており、同社および尾道プレス工業や中国の現地子会社などが運営を行っています。

その他

報告セグメントに含まれない事業として、立体駐車装置事業などを展開しています。
製品の販売およびサービス提供により収益を得ており、同社および一部の子会社が事業運営を担っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績は、一時的な増減はありつつも、売上高は概ね拡大傾向にあります。特に当期は売上高が2,000億円を突破し、各利益項目も過去5年間で最高水準を記録するなど、好調な推移を示しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,601億円 1,848億円 1,978億円 1,899億円 2,022億円
経常利益 127億円 137億円 135億円 103億円 140億円
利益率(%) 7.9% 7.4% 6.8% 5.4% 6.9%
当期利益 38億円 53億円 62億円 54億円 62億円

(2) 損益計算書

売上高の増加に伴い、売上総利益や営業利益も前年度から大きく伸長しています。利益率も改善しており、収益力の向上が見て取れます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,899億円 2,022億円
売上総利益 258億円 303億円
売上総利益率(%) 13.6% 15.0%
営業利益 96億円 135億円
営業利益率(%) 5.1% 6.7%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び手当が39億円(構成比23.2%)、製品発送費が19億円(同11.1%)を占めています。

(3) セグメント収益

自動車関連事業は国内の普通・小型トラック向け部品の生産増加などにより増収となりました。建設機械関連事業も油圧ショベルの需要増加を受け、増収を達成しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
自動車関連事業 1,582億円 1,666億円
建設機械関連事業 287億円 327億円
その他 30億円 29億円
連結(合計) 1,899億円 2,022億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業活動により得られた資金を元手に借入金の返済や設備投資を行っており、健全な財務運営がなされています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 186億円 223億円
投資CF -177億円 -172億円
財務CF -43億円 -94億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は58.0%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

「私たちだからできる」と誇れる仕事を通して世の中になくてはならない存在として成長し続けるというビジョンを掲げています。社会と共生し、ものづくりを通して人、車、機械を支える力であり続けることをミッションとしています。

(2) 企業文化

「安心・安全・コンプライアンス」「誠実・努力」「やりぬく力」「創造力」「多様性」を行動規範として定めています。「まずやってみる」好奇心で未来を創造し、「なんとかものにする」覚悟を持って行動を起こしやり遂げる文化を重視しています。

(3) 経営計画・目標

2024年度からスタートした5か年中期経営計画において、事業環境の変化をチャンスと捉え、最終年度(2029年3月期)に向けた数値目標を設定しています。
- 売上高:2,400億円
- 営業利益率:8.0%以上
- ROE:9.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策

「質を追求し、プレゼンスを高める」を基本方針として、コア事業における拡販や生産性向上、電動化に向けたコア商品の進化に注力しています。また、サステナビリティ経営を推進し、企業価値の向上と社会課題解決への貢献を目指しています。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

「人材の多様性と活性化」を将来成長を支える重要な取り組みと位置づけています。やりぬく意志を持って自ら考え、新しい価値を生み出す人材の育成方針を掲げ、能力が最大限発揮できるような働きやすい職場環境の整備に注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 43.0歳 19.3年 7,620,952円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.7%
男性育児休業取得率 55.9%
男女賃金差異(全労働者) 74.0%
男女賃金差異(正規雇用) 73.3%
男女賃金差異(パート・有期) 56.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、総合職・事務職採用数に占める女性割合(35.1%)、障がい者雇用率(2.9%)、従業員エンゲージメントスコア(68.6)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 大規模災害等による影響

地震、台風等の大規模災害により建物や設備の倒壊、サプライチェーンの寸断等が発生した場合、生産能力の低下や操業停止を招き、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 大規模感染症等の流行による影響

国内外で大規模な感染症が拡大した場合、ロックダウン等の措置による制限が生じ、事業活動に多大な影響を及ぼし、経営成績等に悪影響を与える可能性があります。

(3) 経済状況の変動

主要市場である日本・北米・欧州・アジアにおける景気後退や予測を超えた需要の減少が生じた場合、製品販売に影響し、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 人材の確保・育成

高度な専門技能を有する人材やマネジメント能力に優れた人材の確保・育成が計画通りに進まない場合、将来的な事業展開や競争力の維持・向上に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

プレス工業の転職研究 2026年3月期3Q決算に見るキャリア機会

プレス工業の2026年3月期3Q決算は、売上高2,000億円への上方修正と営業利益23.4%増を達成。中国子会社の解散など構造改革を進めつつ、スウェーデンでのEV部品拡販が成長を牽引しています。「なぜ今プレス工業なのか?」、転職希望者がグローバル変革の中で担える役割を整理します。