※本記事は、日本ギア工業株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
日本ギア工業は、バルブ・アクチュエータ、ジャッキ、各種増減速機、自動車用歯車、建設機械用歯車など多岐にわたる歯車の製造・販売を手掛けています。これらに付帯するメンテナンス事業も展開しています。
単体従業員数は245名です。セグメントは歯車及び歯車装置事業、工事事業の2つです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
日本ギア工業は、従業員の成長と働きがいを重視し、安定した環境の中で専門性を高められるような制度設計を進めている会社です。給与水準や人材育成、多様な働き方への取り組みを通じて、従業員が長期的に活躍できる基盤を築いています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員が長く働き続けられる環境が整っており、平均勤続年数も比較的長い傾向が見られます。年齢構成もバランスが取れており、経験豊富なベテラン社員と若手社員が共に働く職場環境であると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 7,467,999円 |
| 平均勤続年数 | 17.3年 |
| 平均年齢 | 42.9歳 |
| 単体従業員数 | 245人 |
| 連結従業員数 | - |
| 単体のグループ内比率 | - |
同社は、規約型確定給付企業年金制度を設けておりましたが、一部について2021年4月1日に確定拠出年金制度へ移行しています。退職給付制度は国内の従業員を対象としています。
なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
退職給付債務は3.0億円、年金資産は13.8億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
日本ギア工業は、持続的な成長と企業価値向上のため、「自ら考え行動する」「最高品質を提供する」「社会的利益を生み出す」という行動指針を核とした人材戦略を推進しています。優れた人材の獲得と育成を通じて、組織全体のパフォーマンス向上と社会への貢献を目指しています。
人材登用においては、適材適所を原則とし、企業の成長を牽引する多様な人材を登用する方針です。能力、経験、そして新しい挑戦への強い意欲を総合的に評価し、公正な人事評価と登用を行っています。報酬制度は、優秀な人材を惹きつけ、定着させるため、公正かつ魅力的な制度を構築しており、個人の貢献を正当に評価し、行動指針の実践を促しています。
具体的には、外部労働市場での競争力を高めるため報酬制度を見直し、給与水準の向上を図っています。また、会社全体の業績向上への貢献を評価するため、当期純利益に応じた決算一時賞与を支給し、社員の意欲を高める仕組みを導入しています。年齢や性別を問わず、本人の資質や能力、取り組み意欲に応じて役割が決定され、職務内容が同じ役割等級では性別の違いによる賃金の差はありません。
人材育成では、変化に対応できる人材を育成するため、次世代リーダー育成のためのマネジメント力向上研修や、担当領域の専門性を深めつつ関連分野や新知識・技術の習得を奨励する施策を推進しています。資格取得支援や社外研修補助などを通じ、社員の自律的な学びと成長を支援するとともに、複数の業務に対応できるマルチスキル化を推進し、組織の柔軟性と生産性を高める多能工化も進めています。企業文化の活性化と多様な視点の導入のため、即戦力となる多様なバックグラウンドを持つプロフェッショナルを積極的に中途採用しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。管理職に占める女性労働者の割合および労働者の男女の賃金の差異は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律の規定に基づき算出されています。男性労働者の育児休業取得率は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の規定に基づき算出されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 7.7% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 60.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 51.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 91.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 50.6% |
指標及び目標
同社では、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標と目標を定めています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合(2035年までの目標) | 20% |
| 男性労働者の育児休業取得率(2035年までの目標) | 100% |
| 労働者の男女の賃金の差異(2035年までの目標) | 70% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
日本ギア工業は、バルブ・アクチュエータやジャッキ、各種歯車といった製品の製造・販売を主軸とし、これらに付帯するメンテナンスサービスも提供しています。多岐にわたる産業機械や設備に貢献する事業を展開しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社は、主に「歯車及び歯車装置事業」と「工事事業」の二つのセグメントで収益を上げています。これらの事業を通じて、幅広い顧客層に対して製品供給と技術サービスを提供しています。収益は製品の販売とメンテナンスサービスの提供から得られています。
歯車及び歯車装置事業
この事業では、バルブ・アクチュエータ、ジャッキ、その他増減速機、自動車用歯車、建設機械用歯車、その他各種歯車の製造と販売を行っています。火力発電所や石油・ガス、紙・パルプ、産業機械、鉄道船舶用など、多様な分野の顧客に製品を提供しています。直近では、バルブ・アクチュエータ、ジャッキ、歯車において受注・売上ともに増加傾向にあります。
工事事業
工事事業では、歯車及び歯車装置に付帯するメンテナンスサービスを提供しています。火力発電所や原子力発電所、航空・宇宙といった分野の顧客向けにサービスを展開しています。直近では、受注・売上ともに増加傾向を示しています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 歯車及び歯車装置 | 72.1億円 | 75.1億円 |
| 工事 | 23.5億円 | 23.7億円 |
同社の売上高は、本邦の外部顧客への売上高が大部分を占めており、国内市場が主要な収益源となっています。また、特定の取引先への販売実績も一定の割合を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社の直近の業績は、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のいずれも増加傾向を示しています。売上原価は減少した一方で、販売費及び一般管理費は増加しました。
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
企業の収益性や生産性は、従業員一人ひとりの貢献度を示す重要な指標です。これらの指標は、事業活動の効率性や組織全体の稼ぐ力を測る上で役立ちます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社は、本業で得た資金を元手に事業活動を行い、財務基盤を安定させている状況です。将来に向けた投資も行いながら、資金の健全な循環を維持しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社の財務基盤は強固な状態を示しています。当期の自己資本比率は84.1%であり、プライム市場の製造業平均(46.8%)と比較して高い水準です。また、ROE(自己資本利益率)は当期で12.9%となっており、プライム市場平均(9.4%)を上回っています。
現金及び現金同等物は当期で61億25百万円となり、前期から増加しています。これらの状況は、同社が安定した経営を継続しており、入社後の雇用や給与の安定性につながる財務的な裏付けがあることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産合計 | 125億62百万円 | 144億81百万円 |
| 自己資本比率 | 82.5% | 84.1% |
| ROE(自己資本利益率) | - | 12.9% |
| 現金及び現金同等物 | 44億96百万円 | 61億25百万円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュ・フローは、当期に24億23百万円の収入となり、前期から増加しています。これは主に税引前当期純利益や固定資産圧縮損、減価償却費、棚卸資産の減少、その他の負債の増加によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、当期に6億41百万円の支出となりましたが、前期からは減少しています。これは主に有形固定資産の取得による支出によるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは、当期に1億51百万円の支出となり、前期から減少しています。これは主に長期借入金の返済や配当金の支払いによるものです。
これらの結果、同社は本業で安定的に資金を生み出し、投資活動を賄った上で余剰資金を確保している優良な状態を示しています。この資金状況は、同社の雇用や給与の安定性につながるものと考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 13億13百万円 | 24億23百万円 |
| 投資CF | △9億8百万円 | △6億41百万円 |
| 財務CF | △3億82百万円 | △1億51百万円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 4億5百万円 | 17億82百万円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社は国内市場への依存度が高く、電力関係の設備投資抑制や公共投資の予算削減が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、歯車事業では自動車関連や産業機械関連の特定取引先の比率が高く、当該取引先の経営方針や市場動向によって業績に影響を受ける可能性があります。
同社は各事業分野で価格競争に直面しており、新製品の開発や顧客満足の向上を通じて収益性向上に努めています。しかし、製品の需要動向によっては価格競争の更なる激化も予想されます。
③ 人材・組織に関するリスク
同社は法令遵守の徹底を目的に社内倫理綱領を制定し、役員・従業員に周知徹底を図っています。しかし、法令違反等が発生した場合には、社会的信用を失墜し経済的制裁を受ける可能性がないとは言えません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
日本ギア工業は、「人と暮らしをつなぐ歯車となり、豊かな未来を創造する」という企業理念を掲げ、社会貢献を目指す企業です。もの造りの技術を核に、持続可能な社会の実現にも積極的に取り組んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社は「人と暮らしをつなぐ歯車となり、豊かな未来を創造する」という企業理念を掲げています。歯車装置メーカーとして培ってきた固有技術をさらに高度化させ、未来への技術革新に挑戦するリーディングカンパニーとして社会に貢献することを基本方針としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社は、中長期的な経営戦略として「他社との競争に打ち勝ち、着実な成長をする企業を目指す」ことを基本方針としています。メーカーの基本である「品質、コスト、納期、アフターサービス」の競争力強化を重視する企業風土です。
また、社会的責任を重視した内部統制の構築と運用、コンプライアンスの徹底を図り、企業ガバナンスの強化にも取り組んでいます。競争力の源泉は「人材」であるとの認識のもと、従業員の多様性と人権を尊重し、多様な働き方を提供できる環境整備を進めています。
人材育成・自己啓発制度の整備や健康的な職場環境の整備を通じて、イノベーションの創出と企業価値向上を目指す価値観を大切にしています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社は、中長期的な経営戦略において、これまで蓄積してきた営業、技術、製造の経営資源を継承する中で、事業上の課題解決を急務と捉えています。社会的責任を重視した内部統制の構築と運用、コンプライアンスの徹底を図り、企業ガバナンスを強化していく方針です。
サステナビリティに関する重要課題への対応として、安全衛生的な職場環境の維持向上、改革意識の向上、DX化の促進、自社開発力の強化に取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
日本ギア工業は、監査等委員会設置会社として、取締役会の構成とガバナンス体制を整備しています。経営の透明性を確保し、意思決定の迅速化、適切な情報開示、コンプライアンスの徹底を通じて企業価値向上を目指しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
日本ギア工業の株主構成を見ると、特定の事業会社が上位を占めていることが特徴です。筆頭株主は成和であり、続いて三田商店が上位株主として名を連ねています。これらの事業会社が同社の資本構成において重要な位置を占めていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 成和 | 39.57% |
| 三田商店 | 7.22% |
| MSIP CLIENT SECURITIES | 3.54% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性9名・女性1名)で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は寺田治夫氏が務めています。社外取締役比率は0.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 寺田 治夫 | 代表取締役 社長 | 1980年東京芝浦電気入社、1984年成和工業入社、1996年成和代表取締役社長、2015年同社代表取締役COO、2015年同社代表取締役社長より現職。 |
| 林 秀樹 | 取締役 管理部長 | 1996年東京税理士会登録、1996年林秀樹税理士事務所開業、2011年キュビズム代表取締役、2015年同社取締役CFO兼管理部長、2015年同社取締役管理部長より現職。 |
| 植垣 淳哉 | 取締役 技術部長 | 1993年安川電機入社、2002年理学電機工業入社、2017年日本電産サンキョー入社、2021年同社入社、2021年同社執行役員兼技術部長、2022年同社取締役技術部長より現職。 |
| 鶴見 肇 | 取締役 経営企画推進室長 | 1980年東京芝浦電気入社、2013年東芝テクニカルサービスインターナショナル社長、2019年同社入社、2023年同社取締役経営企画推進室長より現職。 |
社外取締役は、香川明久氏(香川法律事務所代表弁護士)、沖田芳樹氏(元警視総監)、三田義之氏(三田商店代表取締役社長)、西村至氏(元三井物産執行役員・取締役監査等委員(常勤))、森脇仁子氏(税理士法人アイ・タックス代表社員・取締役監査等委員)、秋山満則氏(守谷商会専務取締役・取締役監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、独立性を保った社外取締役が取締役会に出席し、議案や審議について質問や助言を行うことで監督機能を果たしています。また、監査等委員も監査等委員会を通じて経営陣に対する監視監督機能を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
日本ギア工業の役員報酬は、月例の固定報酬を基本としています。役位、職責、在任年数に加え、他社水準、同社の業績、従業員給与の水準を総合的に考慮して決定されています。固定報酬には、株主総会で決議された役員賞与も含まれています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 4名 | 90百万円 | 22.4百万円 |
| 社外役員 | 5名 | 36百万円 | 7.3百万円 |
同社の役員報酬の総額は1.26億円であり、対象となる役員の総数は9名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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