※本記事は、株式会社ユニバンス の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
ユニバンスは、自動車部品および産業機械用変速機などの製造販売を主軸とする企業です。同社グループは、これらに関連する物流やその他のサービス事業も展開しています。
単体従業員数は817名、連結従業員数は1,512名です。セグメントはユニット事業、部品事業、その他事業の3つです。
主な国内グループ会社は、遠州クロム(部品事業)、Kサービス(工場附帯及び物流サービス)などです。
2025年4月1日付で、ウエストレイクと富士協同運輸が合併し、株式会社Kサービスへ商号変更しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
ユニバンスは、事業構造の変革を目指し、顧客課題を起点としたソリューション提案企業への転換を進めています。この変革を支えるため、人材の質的転換を重視した人的資本戦略を推進しており、従業員のスキル向上と自律的なマインドの醸成に力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、安定した環境でキャリアを築いている従業員が多い傾向が見られます。経験豊富な人材が多数在籍し、長期的な視点で業務に取り組むことができる環境であると考えられます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,921,000円 |
| 平均勤続年数 | 21.4年 |
| 平均年齢 | 45.4歳 |
| 単体従業員数 | 817人 |
| 連結従業員数 | 1,512人 |
| 単体のグループ内比率 | 54.0% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)および確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を採用しています。同社は確定拠出型の制度および退職一時金制度を採用しており、国内連結子会社3社および在外連結子会社2社は確定給付型の制度として退職一時金制度を採用しています。また、国内連結子会社2社および在外連結子会社1社は確定拠出型の制度を採用しています。
退職一時金制度があります。ただし支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。退職給付債務は28.0億円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社はVision2030のもと、事業構造の変革に向けた「顧客課題起点で価値を提案するソリューション企業」への転換を進めており、その実現に向けて人材の質の転換を重視しています。具体的には、既存技術の深化と新規事業創出スキルの獲得というスキル面と、受け身から自律的行動へのマインド面の両軸で改革を進めています。
従業員への還元を重要な経営課題と位置付け、能力開発やスキル向上を通じて付加価値の最大化を図り、その成果に基づき賃金水準の維持・向上に努めています。業績動向および個人の役割・成果を総合的に勘案した適切な賃金水準の維持・向上を目指し、ベースアップや初任給の改善、教育訓練への投資、働きがい向上施策を推進しています。
人材の質の転換を実現するため、組織運営を従来の機能別組織から小規模なプロフィットセンターの集合体へ段階的に移行し、現場主導で価値創造を行う体制を構築しています。人事機能を「採用」「評価・処遇」「活用・育成」「組織」の4領域に整理し、一体的に施策を推進しています。採用では多様性・挑戦マインド・最先端スキルを備えた人材の獲得を、評価・処遇では役割・成果に加え変革への取り組みや中長期的な企業価値向上への貢献を反映した処遇制度の確立を目指しています。
活用・育成では個人のスキル・志向と事業ニーズの最適なマッチングによる自律的な成長を促進し、性別・ライフステージに関わらず仕事と育児・介護等を両立できる就労環境の整備を進めています。組織運営においては、変化に応じて柔軟かつフラットに連携する組織運営を目指し、小規模なプロフィットセンター制への移行により挑戦機会の創出と個人の自律性向上を実現しています。タレントマネジメントシステムの導入により、個々のスキル・志向を可視化し、組織内で人材がつながる基盤を整備するとともに、キャリアチェンジを含む人材流動性の確保を進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 2.1% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 64.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 71.9% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うち正規雇用労働者) | 75.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(うちパート・有期労働者) | 88.1% |
採用
指標の目標化、管理は提出会社のみで行われています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新卒採用における女性比率 | 27.3% |
| 新卒採用における外国人比率 | 18.2% |
| 専門人材・キャリア人材の採用比率 | 21.4% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
ユニバンスは、自動車部品や産業機械用変速機の製造販売を主軸とし、これらに関連する物流サービスなども展開する企業グループです。国内外に拠点を持ち、グローバルな事業活動を行っています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、自動車部品や産業機械用変速機などの製造販売を主な事業としています。輸送用機器の製造販売を通じて収益を上げており、特定の自動車メーカーを主要な顧客としています。海外での事業展開も行っており、為替変動が業績に影響を与えることがあります。
ユニット事業
四輪駆動装置、ギヤボックス、および産業機械などを生産しています。収益は、これらの製品の製造販売から得ています。運営は、ユニバンス、ユニバンスINC.、PT.ユニバンスインドネシア、ユニバンスタイランドCO.,LTD.などが行っています。
部品事業
輸送用機器部品を生産しています。収益は、部品の製造販売から得ています。運営は、ユニバンス、株式会社遠州クロム、株式会社富士部品製作所、ユニバンスINC.、PT.ユニバンスインドネシアなどが行っています。
その他の事業セグメント
物流事業および工場附帯サービス事業などを含んでいます。収益は、これらのサービス提供から得ています。運営は、株式会社Kサービス、ユニバンスアメリカINC.などが行っています。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ユニット事業 | 355億円 | 374億円 |
| 部品事業 | 184億円 | 191億円 |
| その他の事業セグメント | 32百万円 | 33百万円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、過去5年間で増加傾向にあります。経常利益も変動はあったものの、直近の期では大きく増加しました。
一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の期で減少しています。これは、事業の収益性低下に伴う生産設備等の減損損失や、土壌汚染対応に関連する減損損失および環境対策引当金繰入額、投資有価証券の評価損といった特別損失が計上されたことによるものです。本業の営業活動によるキャッシュ・フローは安定的に資金を生み出しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 491億円 | 486億円 | 528億円 | 539億円 | 565億円 |
| 経常利益 | 32.9億円 | 11.0億円 | 45.4億円 | 43.9億円 | 52.6億円 |
| 経常利益率 | 6.7% | 2.3% | 8.6% | 8.1% | 9.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 28.4億円 | 7.9億円 | 17.7億円 | 29.5億円 | 9.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 136.11 | 37.83 | 85.16 | 141.53 | 44.26 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は、前期から増加しています。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期に比べて増加しました。
これは、連結従業員数が減少傾向にある中で、売上高と営業利益が増加したことによるものです。収益改善活動や為替影響が寄与し、本業における従業員一人あたりの稼ぐ力は向上している傾向が見られます。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 35.5百万円 | 37.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.7百万円 | 3.3百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
ユニバンスグループの財務状況は、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた投資も行っている状況です。手元資金も厚く、堅実な経営基盤を維持していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
ユニバンスグループの自己資本比率は59.9%と、プライム市場の製造業平均を上回る水準を維持しています。これにより、財務基盤の安定性が示されています。一方、ROE(自己資本利益率)は3.3%となっており、プライム市場平均を下回っています。手元資金である現金及び預金は113億円と潤沢であり、事業運営における資金的な余裕がある状況です。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 266億円 | 293億円 |
| 自己資本比率 | 59.3% | 59.9% |
| ROE(自己資本利益率) | 11.5% | 3.3% |
| 現金及び預金 | 79.8億円 | 113億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
ユニバンスグループの当期のキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが64.4億円のプラスとなっています。これは主に減価償却費や税金等調整前当期純利益、減損損失の計上によるものです。一方で、法人税等の支払額や売上債権の増加が資金の減少要因となりました。
投資活動によるキャッシュフローは△26.9億円となっており、有形固定資産の取得や投資有価証券の取得に資金を投じている状況です。これにより、事業の成長に向けた投資を継続していることが示されています。
財務活動によるキャッシュフローは△6.3億円で、配当金の支払いや長期借入金の返済に資金を使用しています。営業活動によるキャッシュフローから投資活動によるキャッシュフローを差し引いたフリーキャッシュフローは37.4億円のプラスとなっており、本業で得た資金で投資を賄い、なお余剰資金を生み出している状況です。この資金の流れは、事業の安定性と将来への投資余力を示しており、雇用や給与の安定性にもつながる基盤があると言えます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 71.8億円 | 64.4億円 |
| 投資CF | △22.9億円 | △26.9億円 |
| 財務CF | △21.0億円 | △6.3億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 48.9億円 | 37.4億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、自動車部品の製造・販売を主な事業としています。自動車業界の電動化や技術多様化、市場ニーズの多様化に対応できない場合、競争力低下を招く可能性があります。また、原材料や部品の調達環境は、地政学的リスクや国際物流の不安定化、原材料価格・エネルギー価格・人件費の上昇により、生産活動や収益性に影響を及ぼすリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、法令遵守に加え、社会の常識や倫理を踏まえた誠実な行動を通じて、すべてのステークホルダーから信頼される企業活動を行うことを重視しています。ハラスメントや人権に関する問題を含めたコンプライアンス上のリスクが顕在化した場合、社会的信用の低下等を通じて経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
ユニバンスは、創業以来「お客様第一」を掲げ、社会課題の解決を通じて産業界の発展と国際社会に貢献することを目指す企業です。人間尊重とたゆまぬ革新を基盤に、持続的な成長と企業価値の向上を追求する文化が根付いています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
ユニバンスは、1937年の創業以来、「お客様第一」を考え、最適な製品を提供し、競争力ある提案型企業を目指した経営活動を推進しています。
「常に今よりも高きものに」という創業の精神のもと、駆動系製品の専門メーカーとして「魅力ある商品」を創造し、お客様の期待を超えるパートナーとなることを目指しています。
また、「わたくしたちは、人間尊重をもとに、たえまない革新を通じ、人々の幸せづくりに貢献します」を企業理念とし、事業活動を通じて社会課題を解決することで、産業界の発展と国際社会に貢献することを経営の基本としています。
中長期的な経営戦略では、Vision2030として「ものつくりを通じたことつくりで社会に貢献する」の具現化をさらに進めています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
ユニバンスグループは、「挑戦と失敗からの学びを通じた成長」を重視する企業風土を掲げています。
組織の自律性を高め、スピード感ある意思決定と効率的な企業運営を一層推進しています。
現場レベルにおいて自律的に行動を決定できる小さな活動体が「挑戦」「失敗」「学び」を繰り返すことを通じて、人材および組織が市場や顧客に対する価値創出を実現する構造への変革を目指しています。
同社グループは、顧客と市場の課題を起点に価値を提案し実現するソリューション提案企業への転換を進めており、これを担う人材の質的転換を人的資本戦略の中核と位置づけています。
具体的には、既存事業を支える差別化技術の深化や新規・隣接領域における事業開発・価値創造スキルの獲得、そして従来の受動的な業務遂行から自律的に課題設定・実行を行うマインドへの転換を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
ユニバンスグループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向け、組織・業務の柔軟性、人材の成長、迅速な経営判断を可能とする企業基盤の強化を重要な経営課題と認識しています。
対処すべき課題として、「既存事業領域での競争力向上と事業の拡大」では、各生産拠点における自律的な経営とものつくり競争力の向上に取り組んでいます。
「新規事業の創造」では、社会や顧客の課題を起点に、既存技術の深化と新たな発想を組み合わせた新たな提供価値の事業化を目指し、事業ポートフォリオの多様化を推進しています。
「企業基盤の強化」では、カーボンニュートラルへの対応、業務プロセスの変革、人的資本の充実を含む基盤整備を通じて、環境・社会・ガバナンスに配慮した事業運営を進めています。
また、経営判断と執行のスピードを高め、組織が自律的に行動できる体制の構築を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社であり、経営の透明性と効率性向上を目指したガバナンス体制を構築しています。指名委員会や報酬委員会といった任意の諮問機関も設置し、客観的な意思決定に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、筆頭株主は同社の代表取締役会長である鈴木一和雄氏が務めています。また、スズキや大同特殊鋼といった事業会社も上位株主として名を連ねており、特定の株主グループが同社を支えている資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 鈴木 一和雄 | 10.60% |
| スズキ | 9.28% |
| 大同特殊鋼 | 9.10% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は8名(男性7名・女性1名)で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は髙尾紀彦氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 鈴木 一和雄 | 取締役会長 (代表取締役) | 1969年3月 同社入社、1985年6月 同社取締役、1999年6月 同社代表取締役社長、2011年6月 同社代表取締役会長、2024年6月 同社代表取締役会長 会長執行役員より現職。 |
| 谷 典幸 | 取締役副会長 | 1998年1月 アイエス精機株式会社入社、2011年3月 同社執行役員、2012年6月 同社取締役常務執行役員、2015年6月 同社代表取締役副社長、2022年6月 同社取締役副会長より現職。 |
社外取締役は、石川伸一郎氏(石川ガスケット代表取締役社長)、森嶋正氏(元アーサーアンダーセン・パートナー・監査等委員)、山本あつ美氏(山本あつ美公認会計士事務所所長・監査等委員)、松本直樹氏(松本法律事務所所長・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、経営の意思決定および監督機能と執行機能を分離しています。監査等委員である取締役4名のうち3名が社外取締役であり、客観的な視点から経営監視の役割を担っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、役位に応じた固定報酬と企業業績を反映した賞与の二本立てで構成されています。賞与の一部は譲渡制限付株式報酬として支給され、株主との利害共有と中長期的な企業価値向上へのインセンティブ設計が図られています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 64百万円 | 21.3百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 21百万円 | 21.4百万円 |
| 社外取締役 | 5名 | 23百万円 | 4.7百万円 |
同社の役員報酬の総額は1.1億円で、対象となる役員は9名です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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