※本記事は、愛知時計電機株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
愛知時計電機は、計測器関連事業(ガス関連機器、水道関連機器、民需センサー・システム、計装)およびその他(特機)の製造・販売を手掛けています。同社グループは、社会インフラを支える多様な計測機器とシステムを提供しています。
単体従業員数は1,182名、連結従業員数は1,719名です。同社グループの事業セグメントは計測器関連事業とその他の2つです。
主な国内グループ会社は、アイセイテック(計測器関連事業)、アイチ梱包運輸(同)、アイチ木曽岬精工(同)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
愛知時計電機は、計測器関連事業を主軸とする企業として、安定した事業基盤を築いています。同社グループでは、長期的な視点での人材育成や多様な働き方を推進しており、従業員が安心してキャリアを形成できる環境づくりに注力していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数が長く、平均年齢も比較的高めであることから、従業員が長期にわたって安定して働き続ける傾向があると考えられます。これは、培われた経験や知識が組織内に蓄積されやすい環境を示しています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,089,000円 |
| 平均勤続年数 | 17.5年 |
| 平均年齢 | 45.2歳 |
| 単体従業員数 | 1,182人 |
| 連結従業員数 | 1,719人 |
| 単体のグループ内比率 | 68.8% |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、積立型、非積立型の確定給付制度(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)を採用しており、国内および海外の従業員が対象です。退職一時金制度がありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、退職給付債務は77.3億円、年金資産は98.0億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
愛知時計電機は、「信頼・創造・奉仕」の企業理念と「はかる技術とつなぐ技術でサステナブルな社会づくりに貢献する」というビジョンを掲げています。これらの達成に向けた人材戦略として、人材採用、育成、そして従業員エンゲージメントの向上を中核に据えています。
同社の人事制度は、ジョブ型と比較してメンバーシップ型を重視しており、従業員が多様な業務を経験し成長できる環境を整えています。給与の決定においては、経営資源の成長分野への重点投入や従業員の能力開発を通じて付加価値を最大化し、生み出した収益・成果に基づき「賃金決定の大原則」に則って行われます。物価動向や社会情勢、経営状況、従業員の貢献等を踏まえ、労働組合との話し合いを通じて賃上げに取り組む方針です。
中期経営計画2026では「人的資本経営の推進」を柱とし、従業員エンゲージメントの向上、人材育成の強化、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)推進を重点テーマとしています。エンゲージメント診断の実施や管理職向け研修を通じて組織の生産性向上と人材定着を図っています。人材育成では、「失敗を恐れず課題に取り組む」「多様な人々の力を引き出す」「高い倫理観・責任感を持つ」人材像を設定し、階層別教育、職種別専門教育、中途入社社員向け研修、選択型ビジネス研修、DX推進研修など多岐にわたるプログラムを提供しています。
DE&I推進においては、女性活躍推進教育や障がいのある社員の雇用促進、職場環境整備に力を入れています。また、ライフステージに合わせた働き方を支援するため、育児休業取得率の向上目標を掲げ、妊産婦の時間外労働免除、育児目的の勤務時間短縮、子の看護等休暇など、子育て支援制度を充実させています。福利厚生としては、社宅制度、食堂利用補助、健康診断費用会社負担に加え、多様なメニューを会員価格で利用できるサービスを導入しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、記載を省略しています。男女の賃金の差異は、主に男女間の管理職比率および雇用形態の差異によるものです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 1.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 92.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 58.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 59.1% |
| 労働者の男女の賃金の差異(非正規雇用労働者) | 53.7% |
従業員エンゲージメントの向上
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| エンゲージメント診断結果 | 3.39/5 |
人材育成の強化
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 総合職研修時間 | 15.1時間/人 |
DE&I
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 新卒採用(総合職)に占める女性割合 | 28.8% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
愛知時計電機は、計測器関連事業を主軸に、社会インフラを支える製品とサービスを提供している企業です。長年にわたり培ってきた技術力で、人々の生活に欠かせない計測技術を供給しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、計測器関連事業とその他(特機)の製造および販売を主な事業としています。計測器関連事業は、ガス関連機器、水道関連機器、民需センサー・システム、計装の4つの分野で構成されており、同社グループの収益の大部分を占めています。収益モデルは、これらの製品の製造・販売が中心となっています。
国内市場が収益の大半を占めていますが、海外市場への展開も進めています。特定の顧客への収益集中は見られず、幅広い顧客基盤を有していることが特徴です。
計測器関連事業では、ガス関連機器として家庭用LPガスメーターの更新需要やデータ配信サービス関連製品が堅調に推移しています。都市ガス関連では、中国向け輸出が増加しています。水道関連機器は、国内の官需市場・民間市場が堅調で、スマートメーター関連製品や北米向け水道メーターの輸出も増加しています。
民需センサー・システム分野では、電磁流量計や超音波流量計といったコア技術を活かした各種センサーとシステムを、工場における省エネ・省資源管理や環境対策に向けて拡販しています。欧米向けの流量センサーが増加傾向にあります。計装分野では、大口物件の確保や営業体制の強化により、工事の受注拡大と進行が見られます。
その他事業の特機分野は、売上高が前期から減少しています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間における業績は、売上高、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも一貫して増加傾向にあります。特に直近の連結会計年度では、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のすべてで過去最高を記録しました。これは、中期経営計画の目標を上回る結果となっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 465億円 | 502億円 | 512億円 | 543億円 | 591億円 |
| 経常利益 | 38.1億円 | 46.5億円 | 42.6億円 | 47.6億円 | 52.1億円 |
| 経常利益率 | 8.2% | 9.3% | 8.3% | 8.8% | 8.8% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 27.9億円 | 34.6億円 | 31.7億円 | 35.3億円 | 48.0億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 181.43 | 225.41 | 206.94 | 229.87 | 312.16 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高(連結)は前期から増加しており、組織全体の生産性が向上していることがうかがえます。また、従業員1人あたり営業利益(連結)も前期から増加しており、従業員一人ひとりが生み出す収益力が強化されていることを示しています。これらの指標の改善は、事業活動の効率化が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 31.9百万円 | 34.4百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.3百万円 | 2.7百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
愛知時計電機は、堅実な財務基盤と安定した資金の流れを維持しています。本業で得た資金を成長投資に充てつつ、余剰資金も確保している状況です。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループは高い自己資本比率を維持しており、財務基盤が安定していることを示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回る水準で推移しており、効率的な経営が行われていることがうかがえます。手元資金も十分に確保されており、事業環境の変化にも対応しやすい状況にあると言えます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 468億円 | 526億円 |
| 自己資本比率 | 74.6% | 74.8% |
| ROE(自己資本利益率) | 7.8% | 9.7% |
| 現金及び預金 | 103億円 | 91.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
愛知時計電機は、本業である営業活動で安定的に資金を生み出しています。投資活動では、有価証券の取得や有形固定資産の取得による支出があったことが示されています。財務活動では、配当金の支払いや自己株式の取得により資金が減少しています。
全体として、本業で稼いだ資金を成長投資に充てつつ、余剰資金も確保している状況であり、安定した経営基盤を維持していることがうかがえます。これは、雇用や給与の安定性にもつながる傾向を示しています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 18.6億円 | 28.2億円 |
| 投資CF | 7.4億円 | △23.7億円 |
| 財務CF | △13.5億円 | △15.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 25.9億円 | 4.5億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、国内外の様々な市場に事業を展開しており、ニーズの変化や競争環境、法規制の改定、通信インフラの動向などに迅速に対応していく必要があります。また、銅・アルミニウム・石油化学製品などの原材料価格の高騰も業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、アジア諸国に生産拠点を展開しているため、予期しない法規制の変更、政治変動、戦争・テロといった海外事業リスクも内在しています。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループは、持続的成長のために人材の獲得、確保及び育成を重要な要素と考えています。これらの取り組みが進まない場合には、業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
愛知時計電機は、「信頼・創造・奉仕」の企業理念のもと、社会と産業の発展に貢献することを目指しています。はかる技術とつなぐ技術を通じて、持続可能な社会づくりに貢献する企業文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
愛知時計電機は、「信頼・創造・奉仕」を企業理念としています。同社グループは、センサーを核としたシステムやサービスを提供することで、社会生活と産業の発展に貢献し、顧客や社会からの信頼を得て永続的に発展することを目指しています。
また、2024年度から2026年度を対象期間とする「中期経営計画2026」を策定しており、ミッション(使命)として「人と地球にやさしい明日をつくる」を掲げています。ビジョン(目指すべき姿)は、「はかる技術とつなぐ技術でサステナブルな社会づくりに貢献する」ことです。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
愛知時計電機は、「信頼・創造・奉仕」の企業理念のもと、社会生活・産業の発展に貢献し、顧客や社会の信頼を得て永続的に発展することを目指しています。事業環境の変化に対応するため、自社のコア技術を進化させ、全部門で顧客の課題を共有し、全社一丸となって解決に取り組むことを大切にしています。
同社グループは、新しい価値を顧客へ提供することで社会に貢献する企業風土を重視しています。中期経営計画2026では、「市場、事業領域の拡大」「基盤事業の競争力強化」「企業価値の向上」を基本戦略としています。
また、サステナビリティ推進を経営の主軸と位置づけ、気候変動問題への取り組みや人的資本経営の推進、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)推進に取り組むことを掲げています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
愛知時計電機グループは、収益力向上のため、生産性の向上につながるDXをさらに推進し、お客さまにご満足いただける品質、コストを目指しています。また、都市ガス市場や水道市場でのスマート化本格化に伴い、IoT技術の活用を一層進めることを課題としています。
環境面では、2022年4月に「カーボンニュートラルチャレンジ2050」を策定し、温室効果ガス排出の抑制、製品のライフサイクルにおける環境負荷の低減、サプライチェーン全体の連携を推進しています。都市ガスメーターのリユースや水道メーターの小型軽量化などの取り組みも進めています。
これらの課題解決のため、主導的な役割を果たせる人材の育成が重要であると認識しており、社内外の教育を通じた人材育成とキャリア人材の採用拡充に取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
愛知時計電機は、監査役会設置会社として、取締役会による意思決定と業務執行の監督、および監査役会による監査を通じて、コーポレート・ガバナンス体制を構築しています。社外取締役が取締役会の過半数を占める指名・報酬等諮問委員会を設置し、経営の透明性と公正性の向上に努めています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
愛知時計電機の株主構成を見ると、筆頭株主はTHE HONGKONG AND SHANGHAI BANKING CORPORATION LTD‐SINGAPORE BRANCH PRIVATE BANKING DIVISION CLIENTS A/C 8221‐623793です。その他、日本生命保険相互会社や日本マスタートラスト信託銀行といった機関投資家、東邦瓦斯などの事業会社、さらには愛知時計電機共栄会や愛知時計電機社員持株会といった関連団体も上位株主として名を連ねています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| THE HONGKONG AND SHANGHAI BANKING CORPORATION LTD‐SINGAPORE BRANCH PRIVATE BANKING DIVISION CLIENTS A/C 8221‐623793 | 9.20% |
| 日本生命保険相互会社 | 7.50% |
| 日本マスタートラスト信託銀行 | 7.00% |
| 東邦瓦斯 | 4.50% |
| 明治安田生命保険相互会社 | 3.90% |
なお、2025年5月2日付で公衆の縦覧に供されている大量保有報告書(変更報告書)において、GLOBAL MANAGEMENT PARTNERS LIMITEDが2025年4月24日現在で1,367,300株を保有されている旨が記載されています。
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性8名・女性2名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は國島賢治氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 星加 俊之 | 取締役会長(代表取締役) | 1978年4月同社入社、2017年6月代表取締役社長・社長執行役員、2022年4月代表取締役会長より現職。 |
| 國島 賢治 | 取締役社長(代表取締役) 社長執行役員 | 1986年4月同社入社、2022年4月代表取締役社長・社長執行役員より現職。 |
| 吉田 豊 | 取締役常務執行役員 技術担当 | 1987年1月同社入社、2023年4月取締役常務執行役員より現職。 |
| 森 和久 | 取締役常務執行役員 営業本部長 | 1986年4月同社入社、2026年4月取締役常務執行役員より現職。 |
社外取締役は、岡田千絵氏(鹿倉法律事務所パートナー)、笠野雅嗣氏(岡谷鋼機顧問)、板倉麻子氏(オフィス板倉麻子開業)です。
同社は監査役会設置会社であり、社外取締役3名が独立役員として指定されています。各社外取締役はそれぞれの職歴、経験、知識を活かし、社外の視点から取締役会において重要な意思決定の確認を行い、経営判断の合理性確保に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
愛知時計電機の役員報酬は、基本報酬、業績連動報酬、譲渡制限付株式報酬で構成されています。業績連動報酬には連結経常利益が指標として採用されており、企業の成長性・収益性を高めるインセンティブとして機能しています。監査役の報酬は基本報酬のみで、株主総会で決議された報酬総額の限度内で監査役の協議により決定されます。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 5名 | 2.0億円 | 40.4百万円 |
| 監査役(社外除く) | 2名 | 18百万円 | 9.0百万円 |
| 社外役員 | 6名 | 50百万円 | 8.3百万円 |
取締役の報酬等の総額には、使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれていません。非金銭報酬等は、譲渡制限付株式報酬制度に基づく当事業年度における費用計上額が記載されています。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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