※本記事は、リズム株式会社 の有価証券報告書(第6期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. リズムってどんな会社?
精密部品とクロック等の生活用品を製造・販売するメーカーです。
■(1) 会社概要
1950年にリズム時計工業として設立され、1963年に東京証券取引所に株式を上場しました。その後、クロック事業を中心に展開しながら、1965年には協伸工業(現リズム)を設立して精密部品分野にも進出しました。2020年にグループ3社が合併し、現在の社名へと変更して事業体制を強化しています。
現在の従業員数は連結で2,432名、単体で468名です。筆頭株主は事業提携先であるシチズン時計で、第2位は日本生命保険相互会社、第3位は個人の植島幹九郎氏となっています。同社はシチズン時計と商標使用に関する契約を結んでおり、同ブランドのクロック等の製造・販売を行っています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| シチズン時計 | 7.40% |
| 日本生命保険相互会社 | 5.80% |
| 植島 幹九郎 | 5.40% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長の湯本武夫氏が経営を牽引しています。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 湯本武夫 | 代表取締役社長 | 1973年同社入社。香港や東莞の現地法人社長、東北リズム社長などを経て、2022年副社長。2023年より現職。 |
| 平田博美 | 取締役会長 | 1978年協伸工業入社。同社社長を経て、2019年に同社代表取締役社長。2023年より現職。 |
| 北嶋芳一 | 取締役執行役員生産本部長 | 1984年協伸工業入社。技術部長やベトナム現地法人取締役を経て、2024年に執行役員。2025年より現職。 |
| 相澤竜也 | 取締役執行役員管理本部長 | 1990年協和銀行入行。りそな銀行関連会社のCEO等を経て、2019年に同社入社。2024年より現職。 |
| 山本典久 | 取締役執行役員営業本部長 | 1989年協伸工業入社。営業部長や同社取締役を経て、2023年に執行役員営業本部長。2026年より現職。 |
| 酒井清貴 | 取締役(常勤監査等委員) | 1983年同社入社。時計企画部長や香港等の現地法人社長、内部監査室長等を経て、2020年より現職。 |
社外取締役は、鈴木欽哉(公認会計士鈴木欽哉事務所代表)、内田ひとみ(ハグリス代表取締役)、吉田秀康(弁護士・早稲田大学法科大学院教授)、宮嶋孝(元りそなキャピタル代表取締役社長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「精密部品事業」「生活用品事業」および「その他」事業を展開しています。
■精密部品事業
自動車や産業機器、光学機器、通信機などに使用される精密部品や高難度精密金型のほか、電子機器等のEMS製造販売を行っています。特に車載関連やAIデータサーバー向け、光ケーブル関連部品に注力しており、顧客企業の多様なニーズに応える製品を提供しています。
収益源は、顧客企業であるメーカー等への部品およびユニット製品の販売対価です。運営は同社のほか、リズムプリテックやリズム翔栄などの国内子会社、およびベトナムや中国、インドネシアなどに展開する複数の海外現地法人が担っています。
■生活用品事業
ハンディファンや加湿器といった快適品のほか、掛時計や置時計などのクロック、防災行政ラジオ等の製造販売を行っています。クロック市場が縮小する中、空調分野などの新たなヒット商品創出に向けた研究開発を推進し、製品ポートフォリオの転換を図っています。
収益源は、家電量販店や大手ECサイトなどを通じた消費者向け製品の販売代金です。製造は主に中国の現地法人であるRHYTHM INDUSTRIAL(DONG GUAN)LTD.が担当し、販売は同社や香港の現地法人が担っています。
■その他事業
同社グループの物流業務や自社製品の物販事業などを展開しています。
収益源は、物流業務の受託手数料や物販による販売代金です。運営は主に関東エリアで物流倉庫を稼働させているリズムサービス等の子会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は300億円から348億円へと着実に成長を続けています。経常利益も13億円前後で安定して推移していましたが、直近の2026年3月期には20億円へと大きく伸びており、収益性が高まっていることが伺えます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 300億円 | 312億円 | 326億円 | 327億円 | 348億円 |
| 経常利益 | 13億円 | 12億円 | 13億円 | 12億円 | 20億円 |
| 利益率(%) | 4.3% | 4.0% | 3.9% | 3.6% | 5.7% |
| 当期純利益 | 5億円 | 0.3億円 | 6億円 | 11億円 | 16億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間を比較すると、売上高が21億円増加したことに伴い、売上総利益も14億円増加しています。売上総利益率が20.2%から23.0%へ改善したことで、営業利益は前期の約2倍となる16億円を計上しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 327億円 | 348億円 |
| 売上総利益 | 66億円 | 80億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.2% | 23.0% |
| 営業利益 | 8億円 | 16億円 |
| 営業利益率(%) | 2.5% | 4.6% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が16億円(構成比25%)を占め、次いで梱包費・運送費が7億円(同10%)、支払手数料が6億円(同9%)となっています。
■(3) セグメント収益
精密部品事業は、車載関連や工作機械関連部品の需要増に加えて生産性の向上が寄与し、増収増益となりました。生活用品事業は、クロックの減収をハンディファン等の快適品が補って増収となり、中国工場での生産効率化により赤字幅が大幅に縮小しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 精密部品事業 | 248億円 | 267億円 | 21億円 | 25億円 | 9.5% |
| 生活用品事業 | 74億円 | 76億円 | -8億円 | -0.8億円 | -1.0% |
| その他 | 4億円 | 5億円 | 0.6億円 | 0.8億円 | 16.0% |
| 連結(合計) | 327億円 | 348億円 | 8億円 | 16億円 | 4.6% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 24億円 | 34億円 |
| 投資CF | -15億円 | -19億円 |
| 財務CF | 13億円 | -11億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.1%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は69.3%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「たゆみない創造と革新を続け、豊かで楽しい安全な社会づくりに貢献する」をリズムグループ経営理念として掲げています。具体的に求め向かう企業像として、人々に喜ばれる製品やサービスの創造、取引を通じた関係者の繁栄、活力ある企業風土の構築を定めています。
■(2) 企業文化
行動規範として「社訓(リズムスピリット)」を定めており、「質実剛健の精神」「科学性(合理性)に徹する精神」「明朗協調(和)の精神」を掲げています。これらをベースに、多様な価値観を認め合い、社会規範を尊重しながら良識ある企業活動を行うことを企業倫理としています。
■(3) 経営計画・目標
2026年3月期から2028年3月期までの中期経営計画2027において、最終年度に以下の経営目標を掲げています。
* 売上高:400億円
* 営業利益:25億円
* 経常利益:28億円
* ROE:6.0%
■(4) 成長戦略と重点施策
同社は「事業モデル確立による新たな成長の実現」をフェーズと位置づけ、高収益体質への転換を図っています。精密部品事業では電装品やADAS部品に注力し、生活用品事業ではクロック依存から脱却して空調分野を中心とする快適品の販路拡大を進めます。また、成長領域への積極投資やM&Aを通じた資本効率の向上を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材戦略の基本方針として「経営戦略を推進する原動力となる人材の確保・育成・適正配置」を掲げ、多様な人材が高い生産性と創造性を発揮できる組織作りを目指しています。特に、未来を担う経営幹部やマネジメント能力の高い管理職、デジタルネイティブ人材の育成に注力し、自律的で変革にチャレンジできる風土を構築しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 43.2歳 | 15.5年 | 5,107,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.3% |
| 男性育児休業取得率 | 80.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 76.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 78.6% |
| 男女賃金差異(パート・有期) | 81.7% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員比率(34.8%)、障がい者雇用率(2.6%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 為替変動のリスク
海外拠点における事業活動の拡大に伴い、外貨建取引や外貨建債権債務残高が増加しています。為替予約などでリスクヘッジを行っていますが、為替レートの急激な変動が業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 生活用品の海外生産集中リスク
生活用品事業の製品は海外生産が中心であるため、海外における政治経済の動向や法規制の変化など、予期せぬ事象が発生した場合には生産活動や商品供給に支障をきたす恐れがあります。
■(3) 原材料や部品の調達リスク
製品の製造に必要な原材料や部品を外部業者から調達しています。市況の変化による価格高騰や品不足、外部業者の事故等により供給不足が生じた場合、製造原価の上昇や生産停止につながる可能性があります。
■(4) 製品の品質に関するリスク
厳しい基準で設計・製造・品質管理を行っていますが、万一、品質上の欠陥によるリコール等が発生した場合、多額の費用の発生や社会的評価の低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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