フクダ電子 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フクダ電子 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード市場に上場する医用電子機器メーカーです。心電計やAED、在宅医療機器などの製造・販売・レンタルを主力事業としています。直近の業績は、売上高が1,390億円、経常利益が266億円で、前期比でわずかに減収減益となりましたが、依然として高い利益率と財務健全性を維持しています。


※本記事は、フクダ電子株式会社の有価証券報告書(第78期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フクダ電子ってどんな会社?


創業以来、心電計をはじめとする呼吸器・循環器系を中心とした医用電子機器の開発・製造・販売を行う企業です。

(1) 会社概要


1939年に福田特殊医療電気製作所として創業し、1948年に設立されました。1982年に店頭登録を行い、1994年には中国・北京に合弁会社を設立して海外展開を加速させました。1996年には米国および英国に現地法人を設立しています。2004年にジャスダック証券取引所に上場し、2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証スタンダード市場に上場しています。

同社グループ(連結)の従業員数は3,465人、同社(単体)では719人です。大株主の構成を見ると、筆頭株主は創業家出身で現会長の福田孝太郎氏で、第2位は日本生命保険(相)、第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
福田孝太郎 19.40%
日本生命保険(相) 5.18%
みずほ信託銀行㈱ 退職給付信託 きらぼし銀行口 再信託受託者 ㈱日本カストディ銀行 4.78%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性1名の計14名で構成され、女性役員比率は7.0%です。代表取締役社長は白井大治郎氏が務めています。社外取締役比率は40.0%です。

氏名 役職 主な経歴
福田孝太郎 代表取締役会長 1968年同社入社。1985年に代表取締役社長に就任し、長年にわたり経営を牽引。2012年6月より現職。
白井大治郎 代表取締役社長 1980年同社入社。執行役員、取締役、常務取締役を経て、2012年6月より現職。
小川治男 常務取締役技術統括 オリンパス出身。同社執行役員CTOなどを歴任後、2020年にフクダ電子に入社。開発本部長等を経て2023年6月より現職。
玄地一男 常務取締役営業本部長 1980年フクダ電子南東北販売入社。地域販売会社の代表取締役を歴任し、2020年4月より営業本部長。2023年6月より現職。
久野直樹 常務取締役社長室長 1998年同社入社。社長室経営企画部長、執行役員などを経て、2021年に取締役社長室長に就任。2023年6月より現職。
福田修一 取締役特命担当 1978年同社入社。関連会社管理部長、フクダ電子四国販売代表取締役、経理部長などを歴任。2023年4月より現職。


社外取締役は、杉山昌明(公認会計士)、佐藤幸雄(医師・医学博士)、古屋一樹(元セブン-イレブン・ジャパン社長)、伏黒久高(元三菱総研DCS常務)、阿部啓子(東京大学名誉教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「生体検査装置部門」「生体情報モニター部門」「治療装置部門」「消耗品等部門」の4つの報告セグメントで事業を展開しています。

生体検査装置部門

心電図、心音図、脈波、血圧などを測定・記録する心電計や血圧脈波検査装置、超音波画像診断装置などを提供しています。医療機関における検査・診断を支援する機器群です。

収益は、これらの機器の製造および販売から得ています。運営は主に同社が行い、製造の一部をフクダ電子ファインテック仙台や北京福田電子医療儀器有限公司が担っています。

生体情報モニター部門

手術後の重症患者や急性心疾患患者などの生体機能を長時間監視する心電図モニタや生体情報モニタなどを提供しています。救急現場や集中治療室などで使用されます。

収益は、モニタリング機器の製造および販売から得ています。運営は主に同社が担い、販売は国内外の販売子会社を通じて行われています。

治療装置部門

AED(除細動器)、ペースメーカ、カテーテルなどの治療機器に加え、在宅医療向けの酸素濃縮器(HOT)、人工呼吸器(HMV)、CPAP(睡眠時無呼吸症候群治療器)などを提供しています。

収益は、機器の製造・販売に加え、在宅医療機器のレンタル料から得ています。運営は同社およびフクダライフテックなどの子会社が行っています。

消耗品等部門

上記各部門の機器で使用する記録紙や電極などの消耗品、修理・保守サービス、空気清浄除菌脱臭装置などを提供しています。

収益は、消耗品の販売や保守サービス料から得ています。運営は同社、アトミック産業、フクダ電子技術サービスなどが連携して行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は1,300億円から1,400億円台で安定して推移しています。利益面では、経常利益が200億円台後半の高水準を維持しており、利益率も19%前後と非常に高い収益性を誇っています。当期は前期比でわずかに減収減益となりましたが、長期的に見れば堅調な業績トレンドを維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,468億円 1,321億円 1,346億円 1,403億円 1,390億円
経常利益 203億円 234億円 251億円 270億円 266億円
利益率(%) 13.8% 17.7% 18.6% 19.2% 19.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 120億円 144億円 148億円 171億円 187億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上総利益率は約53%と高い水準を維持しています。営業利益率も約18.6%あり、製造業としては高い収益構造を持っています。前期と比較すると売上高、利益ともにわずかに減少していますが、大幅な変動はなく安定しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,403億円 1,390億円
売上総利益 744億円 738億円
売上総利益率(%) 53.1% 53.1%
営業利益 265億円 259億円
営業利益率(%) 18.9% 18.6%


販売費及び一般管理費のうち、役員従業員給料手当等が180億円(構成比38%)、賞与及び賞与引当金繰入額が50億円(同10%)を占めており、人件費が主なコスト要因となっています。

(3) セグメント収益


当期は、主力の治療装置部門が在宅レンタル事業やAEDの伸長により増収となりました。一方、生体検査装置部門は超音波画像診断装置等の減少により減収、消耗品等部門も減収となりました。生体情報モニター部門は横ばいで推移しています。全体としては治療装置部門の利益率が高く、全社の収益を牽引しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
生体検査装置 307億円 285億円 51億円 48億円 16.8%
生体情報モニター 97億円 98億円 17億円 17億円 17.2%
治療装置 597億円 620億円 128億円 131億円 21.1%
消耗品等 402億円 387億円 69億円 63億円 16.4%
連結(合計) 1,403億円 1,390億円 265億円 259億円 18.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は82.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は創業以来、「社会的使命に徹し、ME機器の開発を通じて、医学の進歩に寄与する」を経営理念として掲げています。心電計をはじめとする呼吸器・循環器系を中心に、総合的な医療機器の製造・販売を通じて人々の健康に貢献することを使命としています。

(2) 企業文化


同社グループは「安全・安心・快適」をコーポレートスローガンに掲げています。提供する商品の品質向上や他社との差別化を図った製品開発、変化する医療ニーズに即した商品戦略を通じて、「お客様に信頼される企業」を目指す文化があります。また、グループ全体を「運命共同体」と捉え、共通の目標を追求する姿勢を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、経営環境の変化に左右されない持続的成長を目指し、2028年3月期に向けた数値目標を設定しています。

* 連結売上高:1,470億円
* 連結営業利益:280億円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、少子高齢化に伴う医療環境の変化に対応するため、成長が見込まれる分野への戦略的投資や研究開発を推進しています。特に、医療機関への総合提案の実現や、在宅医療分野における地域密着体制の強化を図っています。また、「予防、検査、治療、経過観察、リハビリ、在宅、介護」というワンストップサービスによる一貫した医療環境の提供を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、「お客様第一主義」の行動指針に基づき、課題解決に貢献できる人材の育成と確保を目指しています。多様な価値観を尊重し、国籍・性別・経歴・障がいの有無に関わらず人材の多様性確保に努めるとともに、仕事と生活の両立支援やキャリア形成支援に取り組んでいます。また、社員の主体的な学びを重視し、自社eラーニングサイトを活用した学習環境を提供しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.8歳 14.0年 9,199,487円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 6.1%
男性育児休業取得率 75.0%
男女賃金差異(全労働者) 67.4%
男女賃金差異(正規雇用) 70.6%
男女賃金差異(非正規雇用) 49.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、「働きがい」を感じる社員の比率(77.0%)、e-ラーニングを含めた研修の受講率(95.5%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 医療行政による影響

国内では医療費抑制政策が進められており、2年に1度の診療報酬や薬価、特定保険医療材料の公定償還価格の改定が行われています。行政の方針変更により、企業間競争の激化や販売価格の低下が生じた場合、同社グループの経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 海外事業に伴うリスク

同社グループは海外に販売・開発・生産拠点を有し、海外代理店向けに製品を供給しています。各国の予期せぬ法規制の制定・変更、テロ、自然災害などが発生した場合、事業活動に支障が生じ、経営成績や財務状況に影響を与える可能性があります。

(3) 新興感染症にかかる事業継続等の影響

新興感染症等の拡大により、製品の安定的供給が困難になることや、経済への影響が長期化し取引先等の事業活動に影響が生じる可能性があります。これらは同社グループの経営成績等に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

【面接対策】フクダ電子の中途採用面接では何を聞かれるのか

心電計でトップシェアを持つ医療機器製造メーカーのフクダ電子への転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので、事前にしっかり対策をすすめましょう。