※本記事は、フジプレアム株式会社 の有価証券報告書(第43期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. フジプレアムってどんな会社?
精密貼合技術とメカトロニクス技術を核に、ディスプレイ部材から環境エネルギー分野まで展開する製造業です。
■(1) 会社概要
同社は1982年に包装資材の販売を目的として設立されました。その後、1991年に現在の主力事業につながるオプティクス事業部を開設し、光学機能性フィルム加工へ参入しました。2004年には日本証券業協会への店頭登録(後のJASDAQ上場)を果たし、事業を拡大。2024年には自動車部品製造を行う東陽社製作所を子会社化し、新たな事業領域への展開を進めています。
同グループの従業員数は連結で229名、単体で127名です。大株主構成を見ると、筆頭株主は同社の親会社であるフォローウインドで、第2位は代表取締役社長の松本倫長氏、第3位は松本庄藏氏となっており、創業家および関連会社が株式の過半数を保有する安定的な株主構成となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| フォローウインド | 42.31% |
| 松本倫長 | 8.54% |
| 松本庄藏 | 6.48% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は松本倫長氏が務めています。なお、取締役4名のうち1名が社外取締役であり、社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 松本 倫長 | 代表取締役社長管理本部長 | 2004年同社入社。ファインテック事業部長、常務取締役生産本部副本部長等を経て、2011年代表取締役社長に就任。2023年より現職。 |
| 名村 信彦 | 代表取締役専務生産本部長 | 2002年同社入社。フジプレ販売代表取締役社長、同社取締役営業本部統括営業本部長等を経て、2023年より現職。 |
| 森田 晃史 | 取締役事業創出本部長 | 2002年同社入社。執行役員生産本部本部長、執行役員常務営業本部長等を経て、2023年より現職。 |
社外取締役は、木村裕史(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「精密貼合及び高機能複合材部門」および「環境住空間及びエンジニアリング部門」事業を展開しています。
■(1) 精密貼合及び高機能複合材部門
独自の「精密貼合技術」を活用し、液晶ディスプレイ用部材やタッチパネルセンサー基板の製造・販売を行っています。素材メーカーから購入したガラスや機能性フィルムを加工し、パネルメーカーへ納入するほか、自動車部品の製造も手掛けています。
収益は、主にパネルメーカー等の顧客に対する製品の販売代金から得ています。運営は主にフジプレアムが行っているほか、2024年にグループ入りした東陽社製作所も自動車部品製造の一翼を担っています。
■(2) 環境住空間及びエンジニアリング部門
「太陽電池モジュール製造技術」を活かした太陽電池モジュールの製造・販売や、断熱・飛散防止用フィルムラミネートガラスの取り扱いを行っています。また、FA(ファクトリーオートメーション)システムや半導体液晶関連向け装置の製造・販売も展開しています。
収益は、太陽電池モジュールや産業用機械システムの製品販売および施工・エンジニアリングサービスの提供対価として得ています。運営はフジプレアムに加え、フジプレ販売、プレマテックがそれぞれの専門領域を担当しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は2022年3月期の192億円をピークに減少傾向にあり、直近では106億円となっています。経常利益も同様に減少トレンドにあり、利益率は2%台まで低下しています。市場環境の変化や競争激化の影響を受けていることが読み取れます。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 126億円 | 192億円 | 164億円 | 132億円 | 106億円 |
| 経常利益 | 3.5億円 | 7.1億円 | 8.7億円 | 7.4億円 | 2.5億円 |
| 利益率(%) | 2.8% | 3.7% | 5.3% | 5.6% | 2.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 2.9億円 | 3.7億円 | 2.6億円 | 4.1億円 | 0.5億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益を見ると、売上高の減少に伴い売上総利益、営業利益ともに縮小しています。特に営業利益率は5.2%から2.1%へと低下しており、収益性の改善が課題となっています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 132億円 | 106億円 |
| 売上総利益 | 18億円 | 15億円 |
| 売上総利益率(%) | 13.7% | 14.0% |
| 営業利益 | 6.9億円 | 2.2億円 |
| 営業利益率(%) | 5.2% | 2.1% |
販売費及び一般管理費のうち、給料が約2.8億円(構成比22%)、役員報酬が約1.4億円(同11%)を占めています。
■(3) セグメント収益
両セグメントともに減収となっています。精密貼合及び高機能複合材部門は、製品の汎用化や競争激化の影響を受けました。環境住空間及びエンジニアリング部門は、中国市場の需要鈍化などが響き、売上が大きく減少しています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) |
|---|---|---|
| 精密貼合及び高機能複合材部門 | 83億円 | 73億円 |
| 環境住空間及びエンジニアリング部門 | 50億円 | 33億円 |
| 連結(合計) | 132億円 | 106億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業活動で得た現金を借入金の返済等に充てつつ、必要な投資も行っている健全型です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 16.0億円 | 4.4億円 |
| 投資CF | -3.7億円 | -2.2億円 |
| 財務CF | 2.3億円 | -12.3億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は2.6%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は62.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「人が求めること」は限りなく続くものであり、企業は「研究開発」を通じて「高付加価値製品」を生み出し続けるべきと考えています。創ることから届けることまで顧客ニーズにトータルで提案できる企業を目指し、ディスプレイ、環境ビジネス、FA事業など幅広い領域での「ものづくり」に専念することを基本方針としています。
■(2) 企業文化
同社グループは「人は財なり、財は人作りなり」という創業の精神を掲げています。この考えに基づき、従業員一人ひとりの能力向上を重視し、生産面や品質面の向上を図るための多能工教育などを通じて、人材を資本として捉える文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、収益性の向上を重視し、生産性向上や新製品開発、営業力強化を徹底することで、以下の数値目標を経営指標として掲げています。また、財務の健全性指標として自己資本比率を重視し、利益の内部留保による自己資本の充実に努めています。
* 経常利益率:7%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
安定成長と企業価値向上を目指し、「精密貼合技術を中心とした複合化技術」と「メカトロニクス技術」を成長ドライバーと位置づけています。新技術への挑戦や研究開発への投資を継続し、新たな主力事業の確立に取り組みます。また、グループ化した東陽社製作所を活用して自動車部品業界への関与を深め、事業の多様化と新たなビジネス展開を図る方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人は財なり」の精神のもと、従業員一人ひとりの付加価値を高めることを重視しています。具体的には、生産面・品質面の向上と労務費低減を目的に、各事業部のあらゆる工程を担当できるよう「多能工教育」を推進しています。また、機械検査では困難な微細な欠点を見極める「官能検査技術」の向上にも努め、顧客ニーズへの対応力を高めています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 37.2歳 | 11.1年 | 4,730,352円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.0% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 61.9% |
| 男女賃金差異(正規) | 69.0% |
| 男女賃金差異(非正規) | 87.4% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 商品市場の動向変化に伴うリスク
主力製品である液晶ディスプレイ用部材やタッチパネルセンサー基板は、ディスプレイ市場の動向に大きく左右されます。急激な需要変動が発生した場合、生産ラインの調整が追いつかず、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 特定の製品依存リスク
売上高においてディスプレイ関連商品の比重が高く、当該分野の売上が減少すると業績への影響が大きくなります。特に車載関連向け商品の比率が上昇しており、世界的な半導体不足等による自動車生産台数の減少が波及する恐れがあります。
■(3) 原材料の調達リスク
原材料の調達において海外取引が増加しており、世界的な景気動向や原油価格などの影響を受ける可能性があります。調達ルートの多様化を進めていますが、想定を超える事態により原材料の確保が困難になった場合、生産活動に支障が出るリスクがあります。



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