フジプレアム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

フジプレアム 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場するフジプレアムは、独自の精密貼合技術を活用したディスプレイ用部材や、太陽電池モジュール、ファクトリーオートメーション関連装置の製造を展開しています。直近の業績は、ディスプレイ市場の回復遅れや装置需要の低調等の影響により、減収および赤字転落の傾向にあります。


※本記事は、フジプレアム株式会社の有価証券報告書(第44期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. フジプレアムってどんな会社?


フジプレアムは、精密貼合技術を核にディスプレイ関連部材や環境エネルギー関連製品を製造するメーカーです。

(1) 会社概要


1982年に包装資材の販売を目的として不二を設立し、1985年より汎用自動包装機の製造販売を開始しました。1991年に現在のフジプレアムへと商号を変更し、光学機能性フィルム加工や太陽光発電システム等の分野へ事業を拡大しました。2004年にはジャスダック証券取引所に株式を上場しています。

同社グループの従業員数は連結で217名、単体で118名となっています。筆頭株主は親会社であるフォローウインドで42.31%を保有しており、第2位は代表取締役社長の松本倫長氏、第3位は松本庄藏氏となっています。

氏名 持株比率
フォローウインド 42.31%
松本倫長 7.92%
松本庄藏 6.48%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性0名の計7名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は松本倫長氏が務めています。取締役における社外取締役の比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
松本倫長 代表取締役社長管理本部長 2004年3月フジプレアム入社。ファインテック事業部長等を経て、2011年4月代表取締役社長に就任。現在はフジプレ販売、プレマテック等の代表取締役も兼務し、2023年4月より現職。
名村信彦 代表取締役専務生産本部長 2002年11月同社入社。フジプレ販売代表取締役社長等を経て、2012年6月取締役就任。2020年4月代表取締役専務等を歴任し、2024年4月より現職。プレマテック等の代表取締役も兼務。
森田晃史 取締役事業創出本部長 2002年10月同社入社。営業本部東京営業本部長等を経て、2015年6月取締役就任。常務執行役員等を経て、2023年4月より現職。普瑞瑪精密科技等の董事長も兼務。


社外取締役は、木村裕史(木村法律事務所開設)です。

2. 事業内容


同社グループは、「精密貼合及び高機能複合材部門」および「環境住空間及びエンジニアリング部門」事業を展開しています。

精密貼合及び高機能複合材部門


独自の精密貼合技術を活用し、各種機能性フィルム等とガラスをミクロレベルの精度で貼り合わせたディスプレイ用部材や、タッチパネルセンサー基板の開発・製造・販売を行っています。また、自動車部品の製造も手掛けています。

パネルメーカー等から部材加工や製造の対価として収益を得ています。事業の運営は主に同社および子会社の東陽社製作所が行っています。

環境住空間及びエンジニアリング部門


太陽電池モジュール製造技術を活用した製品や、住宅・ビルの窓用フィルムラミネートガラスの製造・施工・販売を行っています。また、機械装置の製造技術を活かしたファクトリーオートメーション事業等も展開しています。

製品の販売やシステムの設計・施工、装置の販売を通じて顧客から対価を得ています。事業の運営は同社のほか、子会社のフジプレ販売やプレマテックが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5年間の業績推移を見ると、売上高は減少傾向が続いており、直近の期では81億円規模まで縮小しています。利益面についても同様に減少傾向にあり、直近では減損損失の計上等もあり、経常利益および当期利益ともに赤字へと転落しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 192.4億円 164.2億円 132.5億円 106.2億円 81.2億円
経常利益 7.1億円 8.7億円 7.4億円 2.5億円 -0.7億円
利益率(%) 3.7% 5.3% 5.6% 2.3% -0.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 3.7億円 2.6億円 4.1億円 0.5億円 -20.4億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で減少しており、これに伴い売上総利益も減少しています。また、販売費及び一般管理費等の負担等により、直近の期では営業損失を計上し、営業利益率もマイナスに転じています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 106.2億円 81.2億円
売上総利益 14.9億円 11.3億円
売上総利益率(%) 14.0% 13.9%
営業利益 2.2億円 -0.8億円
営業利益率(%) 2.1% -1.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料が3.1億円(構成比26%)、減価償却費が1.7億円(同14%)、役員報酬が1.3億円(同11%)を占めています。売上原価は70億円で、売上高に対する構成比は86%となっています。

(3) セグメント収益


精密貼合及び高機能複合材部門は、ディスプレイ市場の回復遅れや競争環境の厳しさから減収となっています。環境住空間及びエンジニアリング部門も、太陽電池市場の厳しい競争や顧客の投資判断の慎重姿勢により減収となりました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
精密貼合及び高機能複合材部門 72.9億円 50.8億円
環境住空間及びエンジニアリング部門 33.3億円 30.3億円
連結(合計) 106.2億円 81.2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-26.0%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も52.4%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「人が求めること」は限りなく続くことであり、企業は更なる「研究開発」を続けることで、「高付加価値製品」を生み出していくとしています。創ることから届けることまで、顧客のニーズに対してトータルに提案できる企業でありたいと考え、幅広い領域での「ものづくり」に専念し、更なる発展を続けていくことを基本方針としています。

(2) 企業文化


「人は財なり、財は人作りなり」との創業精神を掲げており、人的資本を中長期的な企業価値向上の源泉と位置づけています。また、「グループ経営理念・環境理念」に基づき、持続可能な社会の実現と社会課題の解決に向けて、サステナビリティを企業経営の根幹に据える文化を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は収益性の向上を重視しており、生産性の向上、新製品開発および営業力の強化を徹底し、経常利益率の確保を経営指標として定めています。また、財務の健全性の指標として自己資本比率を認識しており、利益の内部留保に努めて自己資本の充実を目指しています。

* 経常利益率:7%以上を確保

(4) 成長戦略と重点施策


安定した成長率の維持と企業価値の向上を目指し、「精密貼合技術を中心とした複合化技術」と「独自技術を開発し、高度化できるメカトロニクス技術」を活用して、今後の成長が見込まれる事業領域に経営資源を投下します。研究開発を成長の推進力と位置づけ、新たな技術への挑戦と新規主力事業の確立に取り組むほか、グループ会社との連携による事業展開を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人材育成や多様性の確保、働きやすい職場環境の整備に戦略的に取り組んでいます。女性や外国人、中途採用者などの多様な人材の採用を進めるとともに、専門知識や技能の向上を目的とした階層別研修や次世代リーダー育成プログラムを実施しています。また、従業員が能力を最大限に発揮できるよう、健康経営施策の推進にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 38.2歳 12.3年 4,913,494円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.4%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 65.7%
男女賃金差異(正規雇用) 68.5%
男女賃金差異(パート・有期) 93.7%


※連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、研修参加率(85.6%)、定期健康診断受診率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 商品市場の動向変化に伴うリスク


同社の主力製品である液晶ディスプレイ用部材等は、市場の動向により需要が大きく変動します。急激な需要増減が発生し、生産ラインの柔軟な対応が想定を上回る変動に追いつかない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 特定の製品依存リスク


ディスプレイ関連商品の売上比重が高いため、当該分野の売上が大幅に減少した場合、経営成績に影響が生じるリスクがあります。特に車載関連向けは、半導体供給や地政学リスク等によるサプライチェーン環境の変化を受ける可能性があります。

(3) 原材料の調達リスク


使用する原材料のクロスボーダー調達が増加しており、世界的な景気動向やエネルギー価格の変動による影響を受けやすくなっています。調達ルートの多様化を推進しているものの、想定以上の困難が生じた場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 製品の品質に関するリスク


品質維持・管理に努めていますが、万一、製造物責任に関わる製品事故が発生した場合、賠償費用の発生などにより業績へ大きな影響を与える可能性があります。品質マネジメント委員会の設置や保険への加入等により、不測の事態に備えています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。