※本記事は、株式会社平和 の有価証券報告書(第57期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 平和ってどんな会社?
パチンコ・パチスロ機の開発・製造・販売を行う「遊技機事業」と、国内最大級のゴルフ場保有・運営数を誇る「ゴルフ事業」を両輪とする総合レジャー企業です。
■(1) 会社概要
1960年に設立され、1988年に現商号へ変更しました。1991年に東証二部に上場し、1997年に東証一部へ指定替えとなりました。2011年にPGMホールディングスを完全子会社化してゴルフ事業を本格化させ、2025年1月にはアコーディア・ゴルフホールディングスを子会社化し、ゴルフ事業の基盤を飛躍的に拡大させました。
連結従業員数は9,029名、単体従業員数は516名です。大株主については、筆頭株主は事業会社で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 石原ホールディングス | 42.83% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.72% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 3.14% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名、計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表取締役社長は嶺井勝也氏です。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 嶺井 勝也 | 代表取締役社長 | 1988年オリンピア入社。同社社長を経て2012年平和代表取締役社長に就任。PGMホールディングス取締役等を兼任し、2023年4月より現職。 |
| 諸見里 敏啓 | 代表取締役副社長管理本部本部長 | 1984年オリンピア入社。2012年平和代表取締役副社長に就任。管理本部を統括し、PGMやアコーディア・ゴルフの取締役を兼任。 |
| 宮良 幹男 | 常務取締役開発本部本部長 | 1987年オリンピア入社。2018年平和常務取締役に就任。営業本部本部長、開発生産本部本部長などを歴任し、2025年4月より現職。 |
| 兼次 民喜 | 取締役 | 1984年オリンピア入社。2007年同社代表取締役社長に就任。2012年平和取締役に就任し、ゴルフ事業子会社の取締役を兼任。 |
社外取締役は、山口孝太(弁護士)、遠藤明哲(公認会計士・税理士)、前田后穂(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「遊技機事業」および「ゴルフ事業」を展開しています。
■(1) 遊技機事業
パチンコ機およびパチスロ機の開発、製造、販売を行っています。長年培った企画力と技術力を活かし、市場ニーズを先取りした魅力ある遊技機を提供しています。
収益は主にパチンコホールへの製品販売代金から得ています。運営は主に同社、株式会社オリンピア、株式会社アムテックスなどが行っています。
■(2) ゴルフ事業
ゴルフ場の保有、運営、および運営受託を行っています。全国に多数のゴルフ場を展開し、「PGM」ブランドやハイグレードな「GRAND PGM」などを運営しています。
収益は主に来場客からのプレー代、飲食代、物販代、および会員権販売収入や年会費から得ています。運営は主にパシフィックゴルフマネージメント株式会社、株式会社アコーディア・ゴルフなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は1,000億円台から1,400億円台へと拡大傾向にあります。特に直近ではゴルフ事業のM&A効果や遊技機の販売好調により増収基調です。経常利益も200億円を超える水準で推移していますが、利益率は変動が見られます。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,077億円 | 1,216億円 | 1,423億円 | 1,364億円 | 1,459億円 |
| 経常利益 | 58億円 | 105億円 | 266億円 | 227億円 | 213億円 |
| 利益率(%) | 5.4% | 8.6% | 18.7% | 16.7% | 14.6% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -9億円 | -44億円 | 98億円 | 2億円 | 35億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間の損益構成を見ると、売上高は増加し、それに伴い売上総利益も拡大しています。売上総利益率は30%台半ばで安定しており、営業利益率も前期の17.2%から19.0%へと改善しました。収益性の向上が確認できます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,364億円 | 1,459億円 |
| 売上総利益 | 468億円 | 525億円 |
| 売上総利益率(%) | 34.3% | 36.0% |
| 営業利益 | 234億円 | 277億円 |
| 営業利益率(%) | 17.2% | 19.0% |
販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が91億円(構成比37%)、給料及び手当が31億円(同13%)を占めています。
■(3) セグメント収益
ゴルフ事業が売上高の過半を占める主力事業となっており、当期は買収効果もあり増収となりました。遊技機事業もパチンコ機の販売増により増収増益となり、利益率も26.1%と高い水準を示しています。全社的に収益力が強化されています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 遊技機事業 | 402億円 | 455億円 | 69億円 | 119億円 | 26.1% |
| ゴルフ事業 | 962億円 | 1,004億円 | 193億円 | 185億円 | 18.4% |
| 連結(合計) | 1,364億円 | 1,459億円 | 234億円 | 277億円 | 19.0% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業の営業活動でキャッシュを獲得しつつ、大規模なM&A(アコーディア・ゴルフグループの取得)のために巨額の借入を実施したため、投資CFが大幅なマイナス、財務CFが大幅なプラスとなる「積極型」のキャッシュ・フローを示しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 139億円 | 249億円 |
| 投資CF | 27億円 | -5,000億円 |
| 財務CF | -112億円 | 5,099億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.4%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は23.2%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、収益基盤として遊技機事業とゴルフ事業を両輪に持ち、「総合レジャー企業」を目指しています。ゴルフ事業ではマーケットのリーディングカンパニーとして、多様なニーズに合わせたサービス提供を行い、遊技機事業では魅力あふれる商品を継続的に提供することを使命としています。
■(2) 企業文化
「もっと楽しめる未来」「豊かな未来」を創造するために、「人を楽しませたい」「人の喜びが自分の喜びである」という思いを礎としています。また、全てのステークホルダーとの信頼関係を高めるため、法令遵守はもとより高い倫理観をもって行動することを規範とし、経営の透明性及び健全性の確保を推進しています。
■(3) 経営計画・目標
2028年3月期を最終年度とする「中期経営計画2027」を策定し、以下の数値目標を掲げています。企業価値の増大と株主還元の充実を最重要課題と位置づけています。
* 売上高:3,270億円
* 営業利益:730億円
* EBITDA:1,060億円
* ROE:11.3%
* 純有利子負債/EBITDA倍率:4.7倍
■(4) 成長戦略と重点施策
ゴルフ事業では、アコーディア・ゴルフグループの取得により世界最大のゴルフ場保有会社となり、ブランドポートフォリオの充実を図ります。遊技機事業では、市場ニーズを満たす商品力のある遊技機の提供、開発効率の向上とコスト削減、サステナビリティの推進を重点施策としています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「人を楽しませたい」という思いを原動力に、自ら考えて行動できる人材を求めています。OJTや階層別研修に加え、事業ごとのテーマ別研修(企画・技術力向上、おもてなし、グリーンキーパー養成等)を実施。また、多様性を尊重し、個々の能力が発揮できる社内環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 44.8歳 | 18.3年 | 6,399,555円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | 50.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 85.0% |
| 男女賃金差異(正規) | 85.0% |
| 男女賃金差異(非正規) | 60.0% |
※女性管理職比率は、公表項目として選択していないため、記載を省略しております。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒採用者の女性比率(51.5%)、有給休暇取得率(79.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 法令等による規制リスク
遊技機事業は風営法や検定規則等の規制を受けており、重大な法改正があった場合は業績に影響する可能性があります。また、ゴルフ事業も土地利用や環境関連、公衆衛生等の多岐にわたる法令規制下にあるため、規制強化等の影響を受ける可能性があります。
■(2) レジャー市場環境の変化
遊技機事業では、遊技参加人口やホール数の減少により競争が激化しています。ゴルフ事業でもプレー人口の減少や顧客嗜好の変化、天候不順等の影響を受けやすく、これらの市場環境が悪化した場合には、集客減により業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 自然災害および感染症
地震、台風、豪雨等の自然災害により、ゴルフ場施設やコース、遊技機の生産拠点等が被害を受けた場合、復旧費用や休業による損失が発生します。また、新たな感染症の流行によりレジャー活動の自粛等が生じた場合も、業績に悪影響を与える可能性があります。
■(4) 財務および金利変動リスク
ゴルフ事業のM&Aや設備投資等により多額の借入を行っており、財務制限条項が付されている契約もあります。金融情勢の変化による金利上昇は資金調達コストを増加させ、財務制限条項への抵触が生じた場合は期限の利益喪失等のリスクがあります。



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