※本記事は、株式会社平和の有価証券報告書(第58期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. 平和ってどんな会社?
パチンコ・パチスロ機の開発・製造と、全国規模のゴルフ場運営を展開する総合レジャー企業です。
■(1) 会社概要
1960年に東和工業として設立し、1968年に平和工業へ改称しました。1988年に平和へ商号変更し、1991年に東証二部、1997年に東証一部へ上場しています。2007年にオリンピアを、2011年にPGMホールディングス(現パシフィックゴルフマネージメント)を取得し、2025年にはアコーディア・ゴルフホールディングスを子会社化して事業基盤を拡大しています。
同社グループは連結で9,512名、単体で513名の従業員を擁しています。筆頭株主は資産管理等の投資業務を行う石原ホールディングスで、第2位は信託業務を担う日本マスタートラスト信託銀行、第3位は創業家等の石原昌幸氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 石原ホールディングス | 42.83% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 6.56% |
| 石原昌幸 | 3.04% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.0%です。代表取締役社長は嶺井勝也氏が務めており、社外取締役比率は23.1%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 嶺井勝也 | 代表取締役社長 | 1988年オリンピア物産(現オリンピア)入社。同社社長等を経て2007年平和代表取締役副社長に就任。2018年より現職。 |
| 三好康之 | 取締役管理本部本部長 | 1984年住友銀行入行。メリルリンチ証券等を経て2017年平和特別顧問に就任。2026年より現職。 |
| 中水信博 | 取締役 | 1994年平和入社。管理本部各グループゼネラルマネージャーや上席執行役員等を歴任し、2026年より現職。 |
| 髙木幹悦 | 取締役 | 1996年オリンピア入社。平和経営企画室長や上席執行役員等を歴任し、2026年より現職。 |
| 小祝隆 | 取締役 | 2001年オリンピア入社。平和管理本部経営企画グループゼネラルマネージャー等を経て、2026年より現職。 |
| 井手一代 | 取締役 | 2007年ヤフー入社。スマートニュース等を経て2026年アコーディア・ゴルフ入社。2026年より現職。 |
| 石原慎也 | 取締役 | 2012年石原ホールディングス取締役就任。2022年に同社取締役社長となり、2026年より現職。 |
社外取締役は、山口孝太(長島・大野・常松法律事務所出身の弁護士)、遠藤明哲(住友生命保険出身の公認会計士)、前田后穂(フロンティア・マネジメント出身の弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「ゴルフ事業」および「遊技機事業」を展開しています。
■(1) ゴルフ事業
日本全国にゴルフ場を保有・運営し、ゴルフプレーや飲食等のサービスを提供しています。年齢や性別に関係なく誰もがカジュアルに楽しめる施設からハイグレードな施設まで、多様なゴルファーのニーズに応えるサービスを展開し、快適に体験できる環境を整備しています。
収益は来場顧客からのプレー料金や飲食代、会員からの年会費や名義変更料等から得ています。事業の運営は、パシフィックゴルフマネージメントやアコーディア・ゴルフ等の子会社が行っています。
■(2) 遊技機事業
パチンコ機やパチスロ機の開発、製造および販売を行っています。プレーヤーのニーズを先取りした魅力あふれる商品を継続的に市場へ提供し、部品のリユース等による原価低減と収益性の向上にも取り組んでいます。
収益はパチンコホール等の顧客へ遊技機を販売し、代金を回収することで得ています。開発および製造は同社のほか、子会社のオリンピアやアムテックスなどが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
過去5期間の売上高は安定して推移していましたが、直近で大規模な企業買収等により事業規模が飛躍的に拡大しました。一方で経常利益は一定の利益率を維持しつつも、当期純利益は投資負担等の影響で変動が大きく、直近は一時的な要因によりマイナスとなっています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1216億円 | 1423億円 | 1364億円 | 1459億円 | 2581億円 |
| 経常利益 | 105億円 | 266億円 | 227億円 | 213億円 | 337億円 |
| 利益率(%) | 8.6% | 18.7% | 16.7% | 14.6% | 13.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -44億円 | 98億円 | 2億円 | 35億円 | -51億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の大幅な増加に伴い、売上総利益および営業利益の絶対額は順調に拡大しています。ただし、売上規模の拡大に対し原価や販管費の増加ペースがやや上回ったため、各利益率については前期と比較して若干の低下傾向が見られます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1459億円 | 2581億円 |
| 売上総利益 | 525億円 | 855億円 |
| 売上総利益率(%) | 36.0% | 33.1% |
| 営業利益 | 277億円 | 434億円 |
| 営業利益率(%) | 19.0% | 16.8% |
販売費及び一般管理費のうち、研究開発費が104億円(構成比25%)、のれん償却額が75億円(同18%)、給料及び手当が53億円(同13%)を占めています。また、売上原価は1,726億円で、売上高に対する構成比は67%となっています。
■(3) セグメント収益
セグメント別の売上動向を見ると、ゴルフ事業が企業買収などの影響もあり前期比で大幅な増収を達成し、全体の成長を力強く牽引しています。一方で遊技機事業は、販売台数の減少などが響き減収となりました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ゴルフ事業 | 1004億円 | 2306億円 |
| 遊技機事業 | 455億円 | 275億円 |
| 連結(合計) | 1459億円 | 2581億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFと財務CFがマイナスとなっており、本業の営業利益で借入返済を行いながら、投資も手元資金で賄う健全型のキャッシュ・フロー状態を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 249億円 | 412億円 |
| 投資CF | -5000億円 | -206億円 |
| 財務CF | 5099億円 | -460億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.7%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は23.1%となっており、いずれも市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、収益基盤としてゴルフ事業と遊技機事業を両輪に持ち、「総合レジャー企業」を目指しています。多様なニーズに合わせたサービス提供を行い、もっと楽しめる未来・豊かな未来を創造することで、すべてのお客様の期待に応えることを使命として事業活動を展開しています。
■(2) 企業文化
「人を楽しませたい」「人の喜びが自分の喜びである」という思いを礎とし、各事業に情熱を注げる人材を重視しています。高い倫理観をもって行動することを規範とし、従業員一人ひとりが互いの価値観を認め合い、多様性を尊重する環境づくりを推進しています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、2028年3月期を最終年度とする「中期経営計画2027」を策定し、企業価値の増大と株主への安定的な利益還元を最重要課題と位置付けています。成長性、資本収益性、財務健全性の観点から、以下の重要な経営指標を目標として掲げています。
* 売上高:3,270億円
* 営業利益:730億円
* EBITDA:1,060億円
* ROE:11.3%
* 純有利子負債/EBITDA倍率:4.7倍
■(4) 成長戦略と重点施策
ゴルフ事業では、レベニューマネジメントの強化やインバウンド需要の取り込み、新ブランド展開を進め、サービスの差別化と収益力の強化を図ります。遊技機事業では、データに基づいた客観的な開発プロセスの構築やAIを活用したDX化を推進し、市場ニーズを捉えた魅力ある商品を継続的に提供して販売シェアの拡大を目指します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
求める人材像を軸に「人材育成方針」「社内環境整備方針」を定めています。ゴルフ事業では全国の施設におけるおもてなし品質の向上と専門技能の習得を支援し、遊技機事業ではプログラミング等の職種別専門教育やOJTを通じて人材の早期戦力化を図るなど、自律した人材と組織への変革を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 45.1歳 | 18.5年 | 6,597,192円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | 71.4% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 83.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 84.0% |
| 男女賃金差異(パート・有期) | 58.9% |
※管理職に占める女性労働者の割合については、女性活躍推進法の規定による公表項目として選択していないため、有報には記載がありません。
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒採用者の女性比率(45.6%)、有給休暇取得率(81.1%)、1人当たり教育投資額(10,601円)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 法令等による各種規制リスク
ゴルフ事業は土地利用や環境に関連する各種法令、遊技機事業は風俗営業法等の法令規制を受けています。今後これらの法令に重大な改廃があった場合や、新たな規制が制定・施行された場合には、同社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
■(2) 市場環境の変化と顧客ニーズへの対応
ゴルフ事業は景気動向や少子高齢化によるプレー人口減少の影響を受けます。遊技機事業においてもパチンコホール数や遊技参加人口の減少傾向が続いており、経営環境は厳しさを増しています。顧客嗜好の急速な変化等に対応できず、魅力ある商品を提供できない場合、業績に影響が及ぶ可能性があります。
■(3) 大規模な借入等に伴う財務リスク
同社はゴルフ場の買収等に伴い、金融機関からの借入で多額の資金調達を行っており、純有利子負債残高が高水準にあります。金利が上昇した場合には資金調達コストが増加するほか、設定された財務制限条項に抵触した場合は借入金の期日前返済義務等が発生し、業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 遊技機事業における部品等の調達リスク
遊技機の製造に使用する部品等は外部の複数の供給業者から調達しており、一部の部品については特定の供給業者に依存しています。倒産や政策変更など同社グループで制御できない要因により、必要な部品等の調達に重大な支障が生じた場合には、事業活動および経営成績に影響を与える可能性があります。



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