ニレコ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ニレコ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場。主要事業は制御・計測・検査機器の開発・製造・販売で、鉄鋼や印刷、食品など幅広い産業に展開しています。直近の業績は、半導体業界向けのオプティクス事業等が好調に推移し、売上高は前期比9.1%増、経常利益は38.0%増と増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ニレコ の有価証券報告書(第99期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ニレコってどんな会社?

同社は、生産プロセスの制御・計測・検査機器を開発する専門メーカーです。鉄鋼、化学、食品、印刷、半導体など多岐にわたる産業分野へ製品を提供しています。

(1) 会社概要

1950年に日本レギュレーターとして設立され、1984年に現社名へ変更しました。1989年に店頭登録し、2004年にジャスダックへ上場しました。近年はM&Aを積極的に進め、2019年に光学技研、2021年に西武電機、2024年に京浜光膜を子会社化し、オプティクス事業等の強化を図っています。

2025年3月期末時点の連結従業員数は466名、単体では301名です。筆頭株主は同社の取引先で構成されるニレコ取引先持株会、第2位は重要な取引先として協力関係にある商社の極東貿易です。

氏名 持株比率
ニレコ取引先持株会 6.95%
極東貿易 6.34%
CLEARSTREAM BANKING S.A. 4.60%

(2) 経営陣

同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長執行役員(CEO)は中杉真一氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
中杉 真一 代表取締役社長執行役員(CEO) 三菱商事入社後、コイケ代表取締役社長を経て、2021年ニレコ入社。経営戦略室長等を経て2023年6月より現職。
久保田 寿治 取締役執行役員開発部門長 2010年ニレコ入社。プロセス事業部長、代表取締役社長等を歴任し、2023年6月より現職。京浜光膜代表取締役社長を兼務。
佐々田 卓也 取締役執行役員管理部門長 1986年ニレコ入社。経理部長、総務部長、プロセス事業部長等を経て2023年6月より現職。
篠原 富士郎 取締役(監査等委員) 1982年ニレコ入社。生産管理部長、品質管理部長、ミヨタ精密代表取締役社長等を経て2023年6月より現職。


社外取締役は、高木敏行(東北大学名誉教授)、大木奈央子(弁護士)です。

2. 事業内容

同社グループは、「制御機器事業」「検査機事業」「オプティクス事業」および「その他」事業を展開しています。

**(1) 制御機器事業**
鉄鋼・非鉄金属の生産ライン向けプロセス制御装置や、フィルム・印刷・紙分野向けのウェブ制御装置(耳端位置制御装置など)を提供しています。二次電池や高機能フィルムの製造ラインでも利用されています。

製品の販売や保守サービス等により収益を得ています。運営は主にニレコが行い、海外では尼利可自動控制机器(上海)有限公司等の現地子会社が製造・販売・サービスを担当しています。

**(2) 検査機事業**
画像処理技術をベースに、フィルムや電子部品材料などの汚れや疵を検出する無地検査装置や、食品の外観・内部品質を検知する食品検査装置などを提供しています。ペロブスカイト太陽電池など新分野への展開も進めています。

製品の販売等により収益を得ています。運営は主にニレコが行い、海外では仁力克股份有限公司等の現地子会社も担当しています。

**(3) オプティクス事業**
半導体検査装置で使用される光学部品、レーザ機器、光学薄膜部品などを取り扱っています。高度な技術を要する特殊な光学部品や、半導体検査等に用いられるレーザ装置などが主力製品です。

製品の販売等により収益を得ています。運営はニレコのほか、株式会社光学技研、京浜光膜株式会社が開発・製造を行っています。

**(4) その他**
報告セグメントに含まれない事業として、電子機器設計開発事業などを行っています。

顧客からの受託開発等により収益を得ています。運営は主に西武電機株式会社が行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、売上高は増加傾向にあり、特に直近の2025年3月期は前期比で増収となっています。利益面でも、経常利益、当期純利益ともに大幅な増益を達成しており、利益率も向上しています。自己資本比率も高い水準を維持しており、財務基盤は安定しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 79億円 81億円 92億円 99億円 108億円
経常利益 6億円 7億円 13億円 15億円 20億円
利益率(%) 8.0% 8.0% 13.7% 14.9% 18.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 2億円 1億円 3億円 5億円 10億円

(2) 損益計算書

売上高の増加に加え、売上総利益率および営業利益率がともに改善しており、収益性が向上しています。販売費及び一般管理費は増加していますが、売上高の伸びがそれを上回っています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 99億円 108億円
売上総利益 39億円 45億円
売上総利益率(%) 39.8% 41.8%
営業利益 14億円 19億円
営業利益率(%) 14.1% 17.7%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が7億円(構成比28%)、研究開発費が3億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益

制御機器事業は鉄鋼メーカーの設備投資や利益率改善により増収増益となりました。検査機事業は需要低迷により減収損失となりました。オプティクス事業は半導体関連の強い需要を背景に大幅な増収増益を達成し、全社業績を牽引しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
制御機器事業 56億円 58億円
検査機事業 17億円 16億円
オプティクス事業 20億円 29億円
その他 6億円 5億円
連結(合計) 99億円 108億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスとなっており、本業で稼いだ資金を投資と借入返済や配当に充当する「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 9億円 13億円
投資CF -4億円 -3億円
財務CF -4億円 -5億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は85.7%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社は「技術と信頼」を経営理念としています。制御、計測、検査技術を活かした製品ときめ細かいサービスの提供により顧客の信頼を獲得し、パートナーとして共に成長することを目指しています。さらに、生み出された価値を社会に応用し、豊かで持続可能な社会の実現に貢献することを基本方針としています。

(2) 企業文化

いかなる環境下でも成長できる体制の実現を目指し、「市場の拡大」「技術の進化」「経営体質の強化」を重点テーマに掲げています。また、サステナビリティへの取り組みとして、地球環境問題への配慮や人権の尊重、多様な人材の確保・活用を推進しています。

(3) 経営計画・目標

持続的な成長と企業価値向上に向け、財務の健全性と収益性の拡大を目指しています。財務の健全性指標として自己資本比率を重視し一定水準を維持するとともに、収益性指標として営業利益、経常利益を重視し、業績予想等で具体的な目標値を公表する方針としています。

(4) 成長戦略と重点施策

海外販売の拡大や新規市場の開拓に加え、画像解析技術や光応用技術などの強化による競争優位性の向上を目指しています。また、海外子会社の機能拡充、グループ技術の融合による新製品開発、多様な人材確保と交流強化を推進します。

- 制御機器事業:高品位鋼向け設備投資への販売強化、環境負荷低減に寄与する装置の訴求。
- 検査機事業:ペロブスカイト太陽電池や燃料電池など新分野への用途開発、食品検査でのAI活用。
- オプティクス事業:半導体関連の需要増に対応する生産能力増強、保守部品販売の拡大。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

多様性の確保を方針とし、年齢・性別・国籍にこだわらない採用と実績重視の管理職登用を行っています。全従業員への公平な教育機会の提供や、IT活用による教育インフラ整備、階層別研修を進め、能力向上意欲を醸成しています。また、在宅勤務やフレックスタイム制度など多様な働き方を可能にする環境整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 48.0歳 19.5年 6,645,000円


※平均年間給与は税込支払給与額で基準外賃金及び賞与が含まれています。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.0%
男性育児休業取得率 80.0%
男女賃金差異(全労働者) 61.3%
男女賃金差異(正規) 74.9%
男女賃金差異(非正規) 45.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員育児休業制度利用率(100%)、男性社員育児休業制度利用率(80%)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済状況による業績への影響

同社グループの事業は国内外の産業界を対象としており、顧客企業の設備投資動向が業績に影響を及ぼす可能性があります。また、原材料価格の変動、地政学的リスク、各国の政策変更なども影響要因となり得ます。

(2) 競合に関するリスク

一部の製品は激しい競争環境にあり、特に海外市場においては欧米企業や現地企業との価格・機能面での競争が激化しています。競合に対する優位性を確保できない場合、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 取引先との関係等に関するリスク

顧客の信用リスクに加え、原材料・部品の調達において供給の遅延や中断が発生した場合、生産への影響やコスト増加が生じる可能性があります。特定の仕入先に依存する部材もあるため、サプライチェーンの寸断リスクがあります。

(4) 製品開発に関するリスク

新製品の開発には時間とコストがかかりますが、すべてが計画通りに進捗し販売に至るとは限りません。開発の遅延や中止が発生した場合、将来の成長や業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。