エフピコ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エフピコ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場するエフピコは、トレー容器や弁当容器などの合成樹脂製簡易食品容器の製造販売を中心とした簡易食品容器関連事業を展開しています。直近の業績では、エコ製品などの高付加価値製品の販売拡大や製品価格改定の効果などにより、過去最高となる増収増益を達成し、順調な成長を続けています。


※本記事は、株式会社エフピコの有価証券報告書(第64期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エフピコってどんな会社?


簡易食品容器の製造販売と包装資材の販売を手掛け、リサイクル事業も推進する容器メーカーです。

(1) 会社概要


1962年にポリスチレンペーパー製簡易食品容器の成形加工販売を目的に福山パール紙工を設立し、1989年にエフピコへ商号変更しました。同年には広島証券取引所、その後1991年に大阪証券取引所、2000年に東京証券取引所へ上場しています。1990年より使用済みトレーの回収リサイクル事業を開始しました。

従業員数は連結で5,306名、単体で1,024名です。筆頭株主は小松安弘興産で、第2位は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)、第3位は日本カストディ銀行(信託口)となっています。

氏名 持株比率
小松安弘興産 35.58%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.48%
日本カストディ銀行(信託口) 6.67%

(2) 経営陣


同社の役員は男性14名、女性2名の計16名で構成され、女性役員比率は12.5%です。取締役会長兼エフピコグループ代表の佐藤守正氏が経営を牽引しています。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤守正 取締役会長(代表取締役)兼エフピコグループ代表 三井物産を経て1999年に同社取締役へ就任。経営戦略本部本部長などを歴任し、2009年に代表取締役社長へ就任。2022年より現職。
安田和之 取締役社長(代表取締役) 1979年に同社入社。SCM本部本部長などを経て2022年に代表取締役社長へ就任。2023年より現職。
高橋正伸 専務取締役営業本部本部長 1982年に同社入社。第一営業本部副本部長、エフピコインターパック代表取締役社長などを歴任。2019年に専務取締役へ就任し、2025年より現職。
永井信幸 専務取締役生産本部本部長 1977年に同社入社。生産本部副本部長などを経て2009年に取締役生産本部本部長へ就任。2016年より現職。
池上功 専務取締役経理財務本部本部長 兼経営企画室管掌 兼秘書室東京本社管掌 1982年に同社入社。東京本社支店長、経営企画室ジェネラルマネージャーなどを経て2012年に常務取締役へ就任。2017年より現職。
小川浩嗣 専務取締役商事本部本部長 三井物産を経て2019年に同社入社。商事本部顧問、取締役商事本部本部長などを歴任し、2023年より現職。
岡恒治 常務取締役営業本部副本部長 兼量販営業統括部管掌 1986年に同社入社。東京営業第1部ジェネラルマネージャー、特販営業統括部統括マネージャーなどを歴任し、2025年より現職。
小林健治 常務取締役営業本部副本部長 兼近畿営業統括部管掌 兼中四国営業統括部統括マネージャー 兼九州営業統括部統括マネージャー 1987年に同社入社。近畿統括マネージャーなどを経て、2022年に常務取締役西日本営業統括部統括マネージャーへ就任。2025年より現職。
永尾秀俊 取締役総務人事本部本部長兼秘書室管掌 1987年に同社入社。人事部ジェネラルマネージャーなどを経て2015年に取締役総務人事本部本部長へ就任。2020年より現職。
西村公子 取締役(監査等委員) 労働省を経て2014年に同社入社。執行役員、常務取締役として総務人事本部やサステナビリティ推進室を管掌し、2025年より現職。


社外取締役は、浅利美鈴(総合地球環境学研究所教授)、大瀧守彦(Henry Schein Japan取締役)、松本修一(元三井物産関西支社副支社長)、岩澤俊典(SI&C代表取締役社長)、山川隆義(ビジネスプロデューサー合同会社代表社員)、楠啓太郎(トーカドエナジー社外取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、単一セグメントとして展開する中で「簡易食品容器関連事業」および「その他の事業」を展開しています。

(1) 簡易食品容器関連事業


トレー容器や弁当容器などの合成樹脂製簡易食品容器の製造販売を中心に行っています。また、食品容器の販売に付随する包装資材や包装機械の販売、回収容器や回収ペットボトルから再生処理原材料へのリサイクル事業も展開しています。スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどを主要顧客としています。

顧客への製品・商品の販売により収益を得ています。運営は主に同社およびエフピコチューパなどが担い、食品容器・包装資材のインターネット通信販売等はエフピコ商事が展開しています。また、マレーシアでの製造販売はLee Soon Seng Plastic Industries Sdn. Bhd.が行っています。

(2) その他の事業


簡易食品容器関連事業に加えて、ダンボールの製造事業や回収ペットボトルの再生処理製品の製造販売などの事業を展開しています。各種包装用途向けのダンボールのほか、環境に配慮したリサイクル製品を幅広い顧客に向けて安定的に提供しています。

ダンボール製品やペットボトル再生処理製品の販売を通じて収益を得ています。ダンボール製造事業の運営は主にエフピコアルライトが担い、回収ペットボトルの再生処理製品の製造販売事業は西日本ペットボトルリサイクルが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績推移を見ると、売上高は持続的な成長を続けており、毎期増収を記録しています。経常利益は一時的な伸び悩みが見られたものの、直近では高付加価値製品の拡販や適切な価格改定が寄与し、大幅な増益に転じています。利益率も改善傾向にあり、強固な収益基盤を確立していることがわかります。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 1,957億円 2,113億円 2,221億円 2,356億円 2,405億円
経常利益 167億円 173億円 168億円 185億円 218億円
利益率(%) 8.5% 8.2% 7.6% 7.8% 9.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 132億円 95億円 82億円 98億円 226億円

(2) 損益計算書


売上高は着実に拡大しており、増収を達成しています。売上総利益も増加傾向にあり、高付加価値製品への注力とコスト管理の徹底により売上総利益率が改善しました。営業利益および営業利益率もともに向上しており、価格改定の浸透や生産性の向上が収益力強化に貢献していることが伺えます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2,356億円 2,405億円
売上総利益 731億円 784億円
売上総利益率(%) 31.0% 32.6%
営業利益 185億円 216億円
営業利益率(%) 7.8% 9.0%


販売費及び一般管理費のうち、運搬及び保管費が209億円(構成比37%)、従業員給与が109億円(同19%)、減価償却費が43億円(同8%)を占めています。また、売上原価の合計は1,621億円(売上高構成比67%)となっています。

(3) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型の優良企業の状態を示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 279億円 300億円
投資CF -149億円 -166億円
財務CF -181億円 -69億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.4%で市場平均と同水準である一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は54.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「現場主義」「顧客第一主義」を経営理念に掲げ、常に「環境、安全、安心、健康」を追求しています。顧客の立場に立った製品づくりと、期待に応える提案・サービスの提供を実践し、「食品トレー容器を通じて、お客様の快適な食生活を創造する企業グループ」を目指しています。また、循環型社会の構築に向けて、独自の「エフピコ方式のリサイクル」の普及にも積極的に努め、社会的な使命を果たしています。

(2) 企業文化


同社は、メーカーとして「もっとも高品質で環境に配慮した製品を」「どこよりも競争力のある価格で」「必要なときに確実にお届けする」ことを追求する企業文化を持っています。マーケティングから製品開発、生産技術、物流ネットワーク、リサイクル、ITシステムに至るまで、互いに補完し合う独自のバリューチェーンを強化し、すべてのステークホルダーと協働しながら顧客価値を創造し続ける行動様式を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を目指し、具体的な中長期の連結経営目標を掲げて事業を推進しています。資本効率の向上を図りながら、以下の数値目標の達成を目指しています。

* 売上高:3,000億円
* 経常利益:300億円
* 売上高経常利益率:10%以上
* 1株当たり当期純利益:250円

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、原料の安定確保に注力しつつ、製品の軽量化や新素材開発によるプラスチック使用量の削減を推進しています。また、「トレーtoトレー」などのリサイクル網を拡充し、環境負荷の低い容器開発とCO2排出削減に貢献しています。さらに、生産・物流施設への自動化設備の導入による省人化や、持続的成長を支えるための人材確保・処遇改善、ディーセントワークの推進を重点施策として事業基盤の強化を図っています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、「人づくり」の仕組み強化を人材戦略の基盤とし、一人ひとりが個性と能力を発揮できる環境整備を推進しています。「現場主義」と「顧客第一主義」を次世代へ継承するため、採用・育成・評価制度へ継続的な投資を行っています。活躍の機会を広げる共通の資格体系や選択式定年制を導入し、対話と能力開発を重視した評価制度を通じて、社員の自律的な成長を後押しし、組織の活性化と生産性の最大化を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.3歳 15.6年 7,611,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 16.6%
男性育児休業取得率 75.0%
男女賃金差異(全労働者) 60.9%
男女賃金差異(正規雇用) 61.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 14.8%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者雇用率(12.5%)、定期健康診断受診率(99.9%)、ストレスチェック受検率(96.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原料価格と調達の変動リスク


主力原料であるポリスチレンやポリエチレンテレフタレートなどの調達環境において、国際情勢や原油価格、為替変動等により調達困難や価格高騰が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社はプラスチック使用量の削減や独自のリサイクル推進により、外部環境に左右されにくい安定供給体制を強化しています。

(2) 人手不足に伴う人材確保リスク


国内の人手不足の深刻化により従業員の採用が困難となり、操業に重大な影響が発生した場合、同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。このリスクに対して、生産部門での産業用ロボット導入や物流部門でのIT活用による省人化・省力化を進めるとともに、給与水準の引き上げなど従業員の働く環境整備に努めています。

(3) 環境規制と気候変動リスク


将来において炭素税の導入やバージンプラスチックを使用した容器包装に対する課税が導入された場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は、環境配慮設計による負荷の低い容器開発や、廃棄物の発生抑制・再資源化の取り組みを推進し、大きな環境の変化に対応できる体制の運用に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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