エフピコ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エフピコ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場のエフピコは、スーパーマーケット等で使用される簡易食品容器の最大手メーカーです。トレー容器の製造販売を柱に、リサイクル事業や包装資材販売も展開しています。直近の決算では、価格改定効果やエコ製品の販売好調により、売上高・経常利益ともに過去最高を更新する増収増益となりました。


※本記事は、株式会社エフピコの有価証券報告書(第63期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. エフピコってどんな会社?


食品トレー容器のリーディングカンパニーとして、製造から物流、リサイクルまでを一貫して手掛ける企業です。

(1) 会社概要


1962年にポリスチレンペーパー製簡易食品容器の成形加工販売を目的として福山パール紙工を設立し、1989年に現社名へ変更および広島証券取引所へ上場しました。1990年には使用済みトレーの回収リサイクルを開始し、環境経営の先駆けとなりました。その後も全国に工場・配送センターを展開し、2022年の市場区分見直しに伴い東証プライム市場へ移行しています。

連結従業員数は5,250人、単体では988人です。筆頭株主は創業家資産管理会社の株式会社小松安弘興産で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。また、化学メーカーの積水化成品工業株式会社とも資本関係にあります。

氏名 持株比率
小松安弘興産 35.59%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.57%
日本カストディ銀行(信託口) 6.89%

(2) 経営陣


同社の役員は男性15名、女性2名(社外取締役含む)の計17名で構成され、女性役員比率は11.8%です。代表取締役会長兼エフピコグループ代表は佐藤守正氏、代表取締役社長は安田和之氏です。社外取締役比率は35.3%です。

氏名 役職 主な経歴
佐藤 守正 取締役会長(代表取締役)兼エフピコグループ代表 三井物産を経て同社入社。経営戦略本部本部長、代表取締役副社長などを歴任し、2009年代表取締役社長に就任。2022年6月より現職。
安田 和之 取締役社長(代表取締役) 同社入社後、SCM本部本部長、情報システム部管掌などを歴任。常務、専務を経て2022年代表取締役社長兼SCM本部本部長に就任。2023年6月より現職。
高橋 正伸 専務取締役営業本部本部長 同社入社後、第一営業本部副本部長、エフピコインターパック代表取締役社長などを歴任。常務取締役を経て2019年専務取締役に就任。2025年4月より現職。
永井 信幸 専務取締役生産本部本部長 同社入社後、生産本部副本部長、同本部長を歴任。2014年常務取締役に就任。2016年6月より現職。
池上 功 専務取締役経理財務本部本部長 兼経営企画室管掌 兼秘書室東京本社管掌 同社入社後、東京本社支店長、経営企画室ジェネラルマネージャーなどを歴任。常務取締役を経て2017年6月より現職。
小川 浩嗣 専務取締役商事本部本部長 三井物産入社後、米国・欧州での要職を経て同社入社。商事本部本部長として2021年常務取締役に就任。2023年6月より現職。
岡 恒治 常務取締役営業本部副本部長 兼量販営業統括部管掌 同社入社後、東京営業第1部ジェネラルマネージャー、特販営業統括部統括マネージャーなどを歴任。2025年4月より現職。
西村 公子 常務取締役総務人事本部管掌 兼サステナビリティ推進室管掌 労働省(当時)入省後、同社入社。総務人事本部副本部長、法務・コンプライアンス統括室管掌などを歴任。2024年4月より現職。
小林 健治 常務取締役営業本部副本部長 兼近畿営業統括部管掌 兼中四国営業統括部統括マネージャー 兼九州営業統括部統括マネージャー 同社入社後、近畿統括マネージャー、西日本営業統括部統括マネージャーなどを歴任。2025年4月より現職。
柊山 巌 常務取締役生産本部副本部長東地区担当 同社入社後、生産本部本部長代理、同本部副本部長西地区担当などを歴任。2021年6月より現職。
永尾 秀俊 取締役総務人事本部本部長兼秘書室管掌 同社入社後、人事部ジェネラルマネージャーなどを経て、2015年取締役総務人事本部本部長に就任。2020年10月より現職。


社外取締役は、浅利美鈴(京都大学教授)、大瀧守彦(元ジョンソン・エンド・ジョンソン代表取締役)、松本修一(元三井物産)、岩澤俊典(元アビームコンサルティング社長)、山川隆義(元ドリームインキュベータ社長)、楠啓太郎(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「簡易食品容器関連事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 簡易食品容器関連事業


スーパーマーケットやコンビニエンスストア等で使用されるトレー容器・弁当容器等の製造販売を中心に行っています。また、これに付随する包装資材の仕入販売も手掛けています。

製品の製造販売は主にエフピコ、エフピコチューパなどが担当しています。また、エフピコ商事などが包装資材の販売やカタログ通販を行い、エフピコ物流などが製品の保管・配送業務を担っています。エフピコダックスなどは使用済み容器の回収・選別・リサイクルを行い、循環型ビジネスモデルを構築しています。

(2) その他事業


プラスチックフィルムやダンボールの製造販売、ペットボトル再生処理製品の製造販売などを行っています。

運営は、エフピコアルライトがダンボールやフィルムの製造販売を、西日本ペットボトルリサイクルが回収ペットボトルの再生処理などを担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は着実な増加傾向にあり、直近5期間で成長を続けています。経常利益も安定的に推移しており、原材料価格の高騰などの影響を受けつつも、価格改定や高付加価値製品の販売により利益水準を維持・向上させています。当期純利益も増益基調にあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,875億円 1,957億円 2,113億円 2,221億円 2,356億円
経常利益 194億円 167億円 173億円 168億円 185億円
利益率(%) 10.3% 8.5% 8.2% 7.6% 7.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 95億円 132億円 95億円 82億円 98億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も増加しています。売上総利益率はほぼ横ばいで推移しており、コストコントロールが機能していることが窺えます。営業利益も増益となっており、本業の収益性は堅調です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,221億円 2,356億円
売上総利益 671億円 731億円
売上総利益率(%) 30.2% 31.0%
営業利益 164億円 185億円
営業利益率(%) 7.4% 7.8%


販売費及び一般管理費のうち、運搬及び保管費が205億円(構成比37.5%)、従業員給与が103億円(同18.9%)を占めています。

(3) セグメント収益


全セグメントで売上が増加しました。特に主力のトレー容器と弁当・惣菜容器の売上が伸長し、全体を牽引しています。商品部門でも包装資材の売上が増加しており、M&A効果なども寄与しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
トレー容器 419億円 445億円
弁当・惣菜容器 1,259億円 1,328億円
その他製品 38億円 35億円
包装資材 480億円 528億円
その他商品 24億円 21億円
連結(合計) 2,221億円 2,356億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社グループは、財務健全性と資本効率のバランスを考慮した経営資源の配分を財務戦略の基本方針としております。

営業活動では、税金等調整前利益や売上債権の減少などが資金獲得に寄与しましたが、棚卸資産の増加や法人税等の支払いにより、前年比で獲得資金は減少しました。投資活動では、生産設備等の有形固定資産の取得が主な支出要因となり、前年比で支出が増加しました。財務活動では、長期借入金の返済や配当金の支払いが主な支出要因となり、前年比で支出が増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 292億円 279億円
投資CF -107億円 -149億円
財務CF -170億円 -181億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同グループは「現場主義」「顧客第一主義」を掲げ、「環境、安全、安心、健康」を追求しています。顧客の視点に立った製品づくりと提案・サービスの実践を通じて、快適な食生活を創造する企業グループを目指しています。また、循環型社会の構築に向け、独自のリサイクルシステムの普及にも注力しています。

(2) 企業文化


メーカーとして「もっとも高品質で環境に配慮した製品を」「どこよりも競争力のある価格で」「必要なときに確実にお届けする」ことを追求する文化があります。マーケティング、製品開発、生産、物流、ITなどの機能が連携するバリューチェーンを強化し、顧客価値を創造し続けることで持続的成長を目指しています。

(3) 経営計画・目標


同グループは連結経営目標として以下の数値を掲げています。また、株主還元については連結配当性向40%を目途とし、原則減配せず累進配当を実施する方針です。

* 売上高:3,000億円
* 経常利益:300億円
* 売上高経常利益率:10%以上
* 1株当たり当期純利益:250円

(4) 成長戦略と重点施策


環境経営の推進を掲げ、2050年のカーボンニュートラル達成を目指しています。また、人手不足への対応として生産・物流の自動化や省人化を進めるとともに、製品の軽量化や新素材開発による技術革新を推進しています。

* 環境経営:再生可能エネルギーの導入、エコ製品の拡販、リサイクルの強化
* 人材:優秀な人材の確保と定着のための処遇改善
* 製品開発:軽量化、機能性向上、新素材活用による高付加価値製品の開発
* 供給体制:生産・物流ネットワークの最適化と自動化による生産性向上

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


事業継続において優秀な人材の確保・定着を最重要課題と捉えています。退職金制度の見直しや各種手当の改定に加え、グループ全体での給与水準引き上げ(平均5%程度)を実施し、処遇改善を進めています。また、選択式定年制度や多様な休暇制度の導入により、社員が能力を発揮し、いきいきと働ける環境づくりを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均(763万円)とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.1歳 16.5年 7,469,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.5%
男性育児休業取得率 33.3%
男女賃金差異(全労働者) 59.8%
男女賃金差異(正規雇用) 60.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 17.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、障がい者雇用率(12.6%)、ストレスチェック受検率(95.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原材料価格の変動リスク


製品の主要原料であるポリスチレン樹脂等の価格が、原油価格や為替の影響で急激に上昇した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。これに対し、製品価格への転嫁や軽量化、再生原料の活用などで影響を抑制しています。

(2) 自然災害・事故・感染症リスク


地震や台風などの自然災害、事故、感染症の拡大により工場の操業停止などが発生した場合、製品供給に支障が出る可能性があります。同社は全国拠点を活用したバックアップ体制や、物流施設への非常用発電設備の設置などで安定供給の維持に努めています。

(3) 人材確保に関するリスク


国内の人手不足により従業員の確保が困難になった場合、操業に影響が出る可能性があります。これに対し、産業用ロボットの導入やIT活用による省人化、給与水準の引き上げや社宅整備などの処遇改善により、人材の確保と定着を図っています。

(4) 気候変動・環境規制リスク


炭素税の導入やプラスチック製品への課税など、環境規制が強化された場合、業績に影響が出る可能性があります。同社はリサイクル事業の推進や環境負荷の低い製品開発、TCFD提言に基づく情報開示など、環境課題への対応を強化しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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