※本記事は、トーソー株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
同社グループは、カーテンレール、ブラインド、ロールスクリーンなどの室内装飾関連製品の開発・製造・販売を主軸としています。また、ステッキ等の福祉用品の開発・販売も手掛けています。
単体従業員数は652名、連結従業員数は990名です。セグメントは室内装飾関連事業、その他の2つです。
主な国内グループ会社は、サイレントグリス(室内装飾・関連事業)、フジホーム(その他)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
トーソーは、従業員の長期的なキャリア形成と働きがいを重視し、多様な人材が活躍できる環境づくりに注力しています。給与水準や福利厚生、人材育成への取り組みを通じて、安定して働き続けられる基盤を整備していることがうかがえます。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の定着を促す環境が整っており、平均勤続年数と平均年齢から、経験豊富な人材が長く活躍している傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 5,921,000円 |
| 平均勤続年数 | 12.2年 |
| 平均年齢 | 43.6歳 |
| 単体従業員数 | 652人 |
| 連結従業員数 | 990人 |
| 単体のグループ内比率 | 65.9% |
同社は確定給付型と確定拠出型の退職給付制度を設けており、国内連結子会社では退職金規程に基づく社内積立の退職一時金制度、在外連結子会社では所在地国の法令に基づく退職給付制度があります。同社は2015年10月1日に確定給付企業年金制度の一部を確定拠出年金制度へ移行しました。
退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付制度における退職給付債務は17.4億円、年金資産は24.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、中期経営計画「Vision2025」第3フェーズにおいて、「持続的な企業成長を実現するための強固な経営基盤の再整備」を基本戦略の一つに掲げています。全ての従業員が長期にわたり健康で安心して働ける環境づくりを推進し、企業の根幹を支える人材の強化・育成と能力発揮のための環境整備、働きがいを感じられる制度実現を目指しています。
給与決定においては、性別や勤続年数に偏ることなく、従業員一人ひとりの能力、職務・役割の重要度、専門性に応じて等級・区分を決定し、市場水準を勘案した基本給を設定しています。賞与は固定賞与に加え、目標管理制度による業績評価結果に応じた成果配分賞与を支給しており、同社グループ業績、組織および個人の目標達成状況、業務プロセス評価で判定されます。目標に自己設定項目を加えることで、主体的な挑戦と成長を促す評価・報酬体系を構築しています。
人材育成と能力向上に向けては、新入社員研修から中堅社員研修、新任マネージャー研修といった段階に応じた研修や職種別研修を充実させています。また、公的資格の取得促進や通信教育受講サポートなどの自己啓発制度、会社に貢献した従業員や部署への表彰制度も導入しています。
働きやすい職場環境づくりとして、老朽化した設備の改修を進め、風通しの良い職場づくりに努めています。健康経営を推進し、全ての社員が長期にわたり健康で安心して働き続けられる会社を目指しています。多様な人材と人権の尊重にも力を入れ、性別・年齢・国籍・人種・経験の有無などに左右されない機会均等を尊重し、活躍を推進しています。在宅勤務制度や時短勤務制度、育児・介護支援制度など、多様で柔軟な働き方を支援する制度も充実させています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。男女賃金差異については、同社では賃金規程上の制度差はなく、等級ごとの人数分布や男女構成比、就業時間・職務の違いにより差異が生じています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.2% |
| 男性育児休業取得率 | 88.9% |
| 男性賃金に対する女性賃金の割合(全従業員) | 53.3% |
| 男性賃金に対する女性賃金の割合(正規従業員) | 61.3% |
| 男性賃金に対する女性賃金の割合(非正規従業員) | 62.9% |
人的資本に関する目標
同社は、人的資本に関する目標として、以下の数値を掲げています(2026年度)。
| 指標 | 目標 |
|---|---|
| 女性管理職比率(単体) | 10%以上 |
| 男性育児休業取得率(単体) | 50%以上 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
トーソーは、室内装飾関連製品の開発・製造・販売を主軸に事業を展開しています。同社グループは、人々の暮らしを彩るインテリア製品を通じて、快適な住空間の提供を目指しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、室内装飾関連製品の開発・製造・販売を主な事業内容としています。主に住宅市場を中心に代理店等を通じて製品を販売し、収益を得ています。国内住宅市場での販売が好調に推移する一方で、非住宅分野や海外販売、新規分野への営業活動も推進しています。
室内装飾関連事業
この事業では、カーテンレール、インテリアブラインド、ロールスクリーン、ローマンシェード、アコーデオン式間仕切といった室内装飾関連品の開発・製造・販売を行っています。収益は、これらの製品の製造・仕入販売から得ています。運営は、トーソー、P.T.トーソー・インダストリー・インドネシア、東装窓飾(上海)有限公司が製造を、トーソー、サイレントグリス、トーソーサービス、東装窓飾(上海)有限公司が販売を担っています。
その他の事業セグメント
その他の事業では、ステッキ等の福祉用品の開発・販売を行っています。収益は、国内外からのステッキ等の仕入販売から得ています。運営は、フジホームが行っています。
同社グループの売上高は、室内装飾関連事業が大部分を占めており、国内の外部顧客への売上高が連結売上高の90%を超えています。特定の主要顧客への売上集中は見られません。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 室内装飾関連事業 | 223億円 | 228億円 |
| その他の事業セグメント | 4.8億円 | 4.8億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの過去5期間の業績を見ると、売上高は緩やかな増加傾向にあります。直近の期では、売上高が前期から増加し、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益もそれぞれ大きく伸びています。これは、積極的な新製品投入や価格改定が国内住宅市場での販売好調に寄与した結果であり、収益性が改善している状況がうかがえます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 209億円 | 213億円 | 216億円 | 228億円 | 233億円 |
| 経常利益 | 8.3億円 | 7.5億円 | 5.3億円 | 7.7億円 | 9.8億円 |
| 経常利益率 | 4.0% | 3.5% | 2.5% | 3.4% | 4.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 5.3億円 | 3.7億円 | 2.9億円 | 5.0億円 | 6.7億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 59.44 | 40.92 | 32.79 | 56.05 | 75.78 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。また、従業員1人あたり営業利益も前期から増加しており、組織全体の収益を創出する力が強化されていることが示されています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 23.2百万円 | 23.5百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.8百万円 | 1.0百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
トーソーグループの財務基盤は、本業で安定した資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている状況です。これにより、事業の成長と安定性の両立を目指していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
トーソーグループの財務基盤は、高い自己資本比率と手元資金の厚みによって特徴づけられます。自己資本比率はプライム市場の製造業平均を大きく上回っており、強固な財務体質を示しています。ROEはプライム市場平均を下回る水準ですが、前期から改善傾向にあります。豊富な現金及び預金は、不測の事態に対する耐性となり、安定した事業運営を支える基盤となっています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 148億円 | 159億円 |
| 自己資本比率 | 66.2% | 68.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.4% | 4.4% |
| 現金及び預金 | 39.5億円 | 44.2億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
トーソーグループのキャッシュフローは、本業で安定的に資金を生み出しつつ、将来に向けた投資を積極的に行っている状況を示しています。当連結会計年度の営業活動によるキャッシュフローは6.8億円の収入となり、前期から増加しました。これは主に、税金等調整前当期純利益と減価償却費が寄与した一方で、仕入債務の減少による支出があったためです。
投資活動によるキャッシュフローは△9.0億円の支出となり、前期から支出が増加しています。これは主に有形固定資産の取得による支出が増えたことによるものです。この結果、フリーキャッシュフローはマイナスとなりましたが、本業で得た資金を成長投資に回している状況がうかがえます。
財務活動によるキャッシュフローは7.1億円の収入となり、前期から収入が増加しました。これは主に短期借入金の増加によるものです。全体として、同社グループは事業で得た資金を投資に充て、必要に応じて借入も活用しながら成長戦略を推進していることが読み取れます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 4.6億円 | 6.8億円 |
| 投資CF | △5.4億円 | △9.0億円 |
| 財務CF | 3.8億円 | 7.1億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | △82百万円 | △2.2億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの主たる事業である室内装飾関連事業は、建設業界の景気動向、特に民間住宅投資額や公共事業投資額の変動に影響を受ける可能性があります。また、一部の製品や材料には、市場相場や資源環境保護政策の強化により購入価格が変動する鋼板、アルミ材、天然木などが含まれており、材料調達価格の変動が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクの記載はありません。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
トーソーは、住生活を快適にするための製品提供を通じて、社会に新しい価値を提案し、地球環境保全にも貢献することを目指しています。人々の暮らしを豊かにし、持続可能な社会の実現に貢献する企業として、事業活動を展開しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
同社グループは、経営理念として「TOSOは住生活を快適にする会社です」「TOSOは新しい価値提案をする会社です」「TOSOは環境を大切にする会社です」を掲げています。高い技術力に裏付けられた高品質な商品提供を通じて、世界の人々の住生活環境向上に寄与することを目指しています。
市場の変化を先取りした製品とサービスの提供、提案活動を通じて、顧客との共存共栄を図りながら社会の発展に貢献する方針です。地球環境保全の視点に立った事業活動を行うことを重視しています。
経営の中長期的な重要課題として、室内装飾関連事業を中心に安定した収益基盤を構築し、顧客に利益をもたらす製品およびサービスの開発・提案、管理機能の標準化・効率化による生産性向上を掲げています。同社グループは経営ビジョン「Vision2025」を2026年度まで推進しており、長期的な成長に向けた新中期経営計画「Vision2025」第3フェーズを策定しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、経営理念に「地球環境保全」を掲げ、環境を重視した事業活動を続けています。企業の社会的責任を果たすことが、持続可能な社会の実現、ひいては同社グループが将来にわたって持続可能であるために不可欠であると認識しています。
2022年3月にはサステナビリティ方針を決議し、組織統治(ガバナンス)を土台とした環境・社会への取り組みを事業に取り込むことで、サステナビリティに関する活動を推進しています。最も重要な経営資源は「人」であると認識し、全ての従業員が長期にわたり健康で安心して働ける環境づくりを推進しています。
人材の強化・育成と最大限の能力を発揮できる環境整備、従業員一人ひとりが働きがいを感じ、安心して働き続けられる制度実現のための各種施策を実施し、人的資本の最適化を目指しています。性別・年齢・国籍・人種・経験の有無などに左右されない多様な人材の機会均等を尊重し、活躍の推進支援を行っています。また、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、「トーソーグループ人権方針」を策定し、人権を尊重する姿勢を明確に示しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、新製品開発力や市場への対応力の強化に引き続き取り組んでいます。中長期の展望では、住宅分野の深耕とあわせて、宿泊施設をはじめとした非住宅分野の取り込みを進めています。
アジアを中心とした海外販売の強化や、同社グループの保有技術を活用した用途開発、ステッキ等福祉用品等の新規分野でのビジネス領域拡大に取り組んでいます。持続的な企業成長を図るため、原価低減、総費用低減の徹底を図り、高収益体質への転換と競争力強化に取り組んでいます。
新中期経営計画「Vision2025」第3フェーズでは、持続的な企業成長を実現するための強固な経営基盤の再整備として、利益体質強化に向けた生産体制・コスト構造の再構築、エンゲージメント向上のための職場環境づくりを掲げています。サステナビリティへの取り組みとして、定量目標項目の設定および開示、GHG排出量・廃プラスチック廃棄量削減、ダイバーシティの推進、人材育成を重点テーマとしています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
トーソーは監査等委員会設置会社として、透明性と効率性を重視した経営体制を構築しています。取締役会は業務執行の意思決定と監督を担い、監査等委員会が独立した立場で監査を実施しています。また、指名・報酬委員会が設置され、コーポレート・ガバナンスの充実を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
トーソーの株主構成は、金融機関が筆頭株主として名を連ねる一方で、事業会社や取引先持株会、社員持株会など、幅広いステークホルダーによって支えられている点が特徴です。特定の創業家や事業会社が過半数を占める形ではなく、多様な主体が同社を支える資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| みずほ銀行 | 6.88% |
| 十和運送 | 5.09% |
| トーソー取引先持株会 | 4.68% |
| 三菱UFJ銀行 | 3.82% |
| INTERACTIVE BROKERS LLC | 3.26% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は6名(男性5名・女性1名)で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は八重島真人氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 八重島 真人 | 代表取締役社長 | 1989年同社入社。特販営業部長、営業副本部長、執行役員管理本部長、取締役管理本部長を経て、2024年6月より現職。 |
| 滝澤 靖久 | 取締役営業本部長 | 1993年同社入社。営業開発部長、営業本部長補佐、執行役員営業副本部長、執行役員営業本部長を経て、2024年6月より現職。 |
| 森木 圭子 | 取締役管理本部長 | 1992年同社入社。経理部長、執行役員経理部長、執行役員管理副本部長兼経理部長、執行役員管理本部長を経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、江角英樹氏(株式会社コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティング執行役員・監査等委員)、尾﨑毅氏(山田・尾﨑法律事務所パートナー弁護士・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社であり、社外取締役がそれぞれの専門的見地から経営を監視し、コーポレート・ガバナンスの強化に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
トーソーの役員報酬は、役員区分によって異なる体系を採用しています。監査等委員である取締役を除く取締役に対しては、固定報酬である基本報酬に加え、業績に連動する賞与(短期業績連動報酬)と、株主との価値共有を目的とした譲渡制限付株式報酬(中長期業績連動報酬)が支給されます。監査等委員である取締役の報酬は固定報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 3名 | 66百万円 | 22.0百万円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 12百万円 | 12.0百万円 |
| 社外取締役 | 2名 | 9百万円 | 4.5百万円 |
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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