※本記事は、株式会社トーソー の有価証券報告書(第85期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. トーソーってどんな会社?
カーテンレールで国内トップシェアを誇るインテリア製品メーカー。窓周り製品を中心に快適な住環境を提案しています。
■(1) 会社概要
1949年に東京装備工業として設立され、1953年に金属製カーテンレールを発売しました。1972年に現社名へ変更し、1977年にロールスクリーン、1978年にベネシャンブラインドを発売するなど製品ラインナップを拡充。1996年に株式を上場しました。その後も中国やインドネシアに拠点を設立し、グローバル展開を進めています。
連結従業員数は984名、単体では624名です。大株主の構成は、筆頭株主がみずほ銀行(6.85%)、第2位が十和運送(5.07%)、第3位が取引先持株会(4.20%)となっており、金融機関や取引先が上位を占めています。特定の創業者一族による支配色は薄く、安定した株主構成と言えます。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| みずほ銀行 | 6.85% |
| 十和運送 | 5.07% |
| トーソー取引先持株会 | 4.20% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性5名、女性1名の計6名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役社長は八重島真人氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 八重島 真人 | 代表取締役社長 | 1989年同社入社。特販営業部長、営業副本部長、管理本部長などを歴任。2019年取締役管理本部長を経て、2024年6月より現職。 |
| 滝澤 靖久 | 取締役営業本部長 | 1993年同社入社。営業開発部長、西日本統括部長、執行役員営業本部長などを歴任し、2024年6月より現職。 |
| 森木 圭子 | 取締役管理本部長 | 1992年同社入社。経理部長、執行役員管理副本部長などを歴任し、2024年6月より現職。 |
| 齋藤 博一 | 取締役(監査等委員) | 1992年同社入社。九州ブロック長、監査室長を経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、江角英樹(公認会計士・コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティング執行役員)、尾﨑毅(弁護士・山田・尾﨑法律事務所パートナー)です。
2. 事業内容
同社グループは、「室内装飾関連事業」および「その他」事業を展開しています。
■室内装飾関連事業
カーテンレール、インテリアブラインド、ロールスクリーン、ローマンシェード、アコーデオン式間仕切等の室内装飾関連品の開発・製造・販売を行っています。主な顧客は住宅市場の代理店等です。
収益は、製品の販売代金として代理店等から受け取ります。運営は主にトーソーが行い、製造はインドネシアのP.T.トーソー・インダストリー・インドネシアや中国の東装窓飾(上海)有限公司が担当しています。また、サイレントグリスが提携製品の販売を行い、トーソーサービスが施工を担っています。
■その他
ステッキ等の福祉用品の開発・販売を行っています。ホームセンターや介護用品専門店等を通じて一般消費者に製品を提供しています。
収益は、製品の販売代金として代理店等から受け取ります。運営は、連結子会社のフジホームが行っており、国内外からステッキ等を仕入れて販売しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は200億円台前半で安定的に推移しており、直近の2025年3月期には過去最高水準の228億円に達しました。利益面では、原材料価格高騰の影響等により一時的な利益率の低下が見られましたが、2025年3月期は増益に転じ、回復傾向にあります。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 214億円 | 209億円 | 213億円 | 216億円 | 228億円 |
| 経常利益 | 11億円 | 8億円 | 8億円 | 5億円 | 8億円 |
| 利益率(%) | 5.3% | 4.0% | 3.5% | 2.5% | 3.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 6億円 | 8億円 | 4億円 | 3億円 | 5億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加し、売上総利益率も改善しています。原価低減活動や価格改定が寄与しました。営業利益率は前期の2.2%から3.3%へと上昇しており、収益性が向上しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 216億円 | 228億円 |
| 売上総利益 | 86億円 | 92億円 |
| 売上総利益率(%) | 39.7% | 40.6% |
| 営業利益 | 5億円 | 7億円 |
| 営業利益率(%) | 2.2% | 3.3% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給与手当が22億円(構成比28.8%)、荷造運搬費が17億円(同22.3%)を占めています。
■(3) セグメント収益
室内装飾関連事業は、住宅分野の販売増や非住宅分野・海外販売の好調により増収となり、価格改定効果で大幅な増益を達成しました。その他事業(福祉用品等)は、新規取引の増加で増収となったものの、為替変動による原価上昇の影響で減益となりました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 室内装飾関連事業 | 211億円 | 223億円 | 4億円 | 7億円 | 3.2% |
| その他 | 5億円 | 5億円 | 0.4億円 | 0.3億円 | 6.6% |
| 調整額 | - | - | - | - | - |
| 連結(合計) | 216億円 | 228億円 | 5億円 | 7億円 | 3.3% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
**積極型**
営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 7億円 | 5億円 |
| 投資CF | -6億円 | -5億円 |
| 財務CF | -2億円 | 4億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は3.4%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は66.2%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同グループは、「TOSOは住生活を快適にする会社です」「TOSOは新しい価値提案をする会社です」「TOSOは環境を大切にする会社です」という3つの経営理念を掲げています。高い技術力による高品質商品の提供、市場変化を先取りした提案、地球環境保全の視点に立った事業活動を通じて、世界の人々の住生活環境向上と社会の発展に貢献することを目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「高い技術力に裏付けられた高品質の商品の提供」「市場の変化を先取りした製品とサービスの提供」「提案活動」を重視しています。また、顧客との共存共栄を図りながら社会発展に貢献する姿勢や、地球環境保全の視点に立った事業活動を行うことを行動の指針としています。
■(3) 経営計画・目標
2016年に発表した経営ビジョン「Vision2025」の第3フェーズ(2023〜2025年度)を推進していましたが、環境変化を踏まえ2024年4月に見直しを行い、新たな中期経営計画を策定しました。2026年度の定量目標として以下を掲げています。
* 売上高:240億円
* ROE:6%
■(4) 成長戦略と重点施策
「Vision2025」第3フェーズでは、コアビジネスにおける新しい企業価値創造、成長戦略への重点投資による事業領域拡大、強固な経営基盤の再整備を基本戦略としています。具体的には、カーテンレールNo.1メーカーとしての優位性極限化、宿泊・医療施設等の獲得推進、海外ビジネス拡大、利益体質強化に向けた構造改革などに取り組んでいます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は「人」を最も重要な経営資源と認識し、従業員が長期にわたり健康で安心して働ける環境づくりを推進しています。人材育成においては、階層別・職種別研修や自己啓発支援制度を充実させ、働きやすい職場環境の整備や健康経営にも注力しています。また、多様な人材の活躍推進や、人権を尊重する姿勢を明確にした「トーソーグループ人権方針」に基づき、持続的発展を目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 43.5歳 | 12.5年 | 5,391,000円 |
※平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 4.2% |
| 男性育児休業取得率 | 87.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 53.7% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 61.0% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 57.5% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 事業内容について
同社の主力である室内装飾関連製品の販売は、建設業界の景気動向や民間住宅投資額、公共事業投資額の変動に左右される傾向があります。高付加価値製品の提供等により影響軽減を図っていますが、市場動向によっては経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 材料調達価格の変動
鋼板やアルミ材、天然木などの主要材料は、市場相場や資源環境保護政策等の影響を受けやすく、購入価格が変動するリスクがあります。これらの材料調達価格の変動は、同社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
■(3) 為替相場の変動
製品や材料の一部には海外からの輸入品が含まれているため、為替変動のリスクに晒されています。為替予約によるヘッジを行っていますが、全ての影響を排除することは困難であり、為替相場の変動が経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 海外展開に関するリスク
インドネシアおよび中国で事業を展開しており、これらの国々の政治・経済情勢や法制度等の著しい変化が生じた場合、事業運営や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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