共同紙販ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

共同紙販ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

共同紙販ホールディングスは、東京証券取引所スタンダード市場に上場する企業です。洋紙卸売事業を主力とし、不動産賃貸や物流事業も展開しています。直近の決算では、売上高は微増しましたが、仕入価格上昇等の影響により営業損益が赤字転落するなど、増収減益のトレンドとなっています。


※本記事は、株式会社共同紙販ホールディングス の有価証券報告書(第74期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 共同紙販ホールディングスってどんな会社?


紙の専門商社として、洋紙・板紙の卸売を中心に、不動産賃貸や物流事業も手がける企業グループです。

(1) 会社概要


1947年に林紙業社として創業し、1952年に株式会社河内屋へ改組しました。2004年に日本証券業協会への店頭登録を取り消し、JASDAQ証券取引所へ上場しています。2008年には現在の共同紙販ホールディングスへ商号変更するとともに持株会社体制へ移行しました。2022年の市場区分見直しに伴い、東京証券取引所スタンダード市場へ移行しています。

同グループの従業員数は連結で141名、単体で128名です。筆頭株主は製紙業界大手の日本製紙(事業会社)で、第2位は日本紙通商(事業会社)、第3位は日本紙パルプ商事(事業会社)となっており、業界大手との資本関係が強いことが特徴です。

氏名 持株比率
日本製紙 18.71%
日本紙通商 11.59%
日本紙パルプ商事 10.58%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役会長には郡司勝美氏、代表取締役社長執行役員には市川裕三氏が就任しています。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
郡司 勝美 代表取締役会長 1981年日本紙パルプ商事入社。1983年に同社入社後、取締役商品部長、常務取締役管理本部長などを経て2006年代表取締役社長に就任。2024年より現職。
市川 裕三 代表取締役社長執行役員 1988年同社入社。洋紙本部洋紙二部長、福岡支店長、取締役執行役員本店洋紙本部長、代表取締役専務執行役員などを歴任し、2024年より現職。
木村 純也 代表取締役副社長執行役員管理本部長 1987年同社入社。取締役管理企画本部長、取締役常務執行役員管理本部長などを経て、2024年より現職。
金谷 吉之助 取締役専務執行役員全店営業統括 1977年同社入社。洋紙営業本部長、取締役執行役員洋紙本部長、取締役常務執行役員西日本営業統括などを経て、2020年より現職。
坂本 浩紀 取締役専務執行役員経営企画本部長兼監査室長 1998年同社入社。関東流通代表取締役社長、執行役員内部統制室長、常勤監査役などを経て、2023年より現職。


社外取締役は、川島英明(弁護士)、大春敦(元日本製紙常務執行役員)、斉藤賢司(日本製紙営業企画本部長代理)、女屋健(日本紙通商取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「洋紙卸売事業」「不動産賃貸事業」「物流事業」を展開しています。

(1) 洋紙卸売事業


洋紙および板紙を印刷会社、出版社、新聞社などの顧客へ販売しています。また、特殊紙等の仕入れも行っています。紙媒体の需要減少が進む中、環境配慮型商品や高付加価値商品の提案に注力しています。

収益は、顧客への商品販売代金です。運営は主に共同紙販ホールディングスが行っており、子会社のファイビストオフィスも特殊紙等の仕入れを通じて事業に関与しています。

(2) 不動産賃貸事業


同社グループが保有する不動産の有効活用を目的として、賃貸マンションや倉庫などの不動産賃貸を行っています。安定的な収益源としての役割を担っています。

収益は、賃借人からの賃貸料収入です。運営は主に共同紙販ホールディングスが行っています。

(3) 物流事業


顧客商品の保管、加工、配送業務を行っています。自社グループの商品だけでなく、顧客の物流ニーズに対応したサービスを提供しています。

収益は、保管料、加工料、配送運賃などの物流サービス対価です。運営は子会社の関東流通が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は132億円から169億円へと拡大傾向にあります。一方で利益面では、2023年3月期に高い利益率を記録したものの、直近2期は減益傾向にあり、特に2025年3月期は利益率が大きく低下しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 132億円 141億円 170億円 167億円 169億円
経常利益 0.2億円 0.1億円 1.8億円 1.2億円 0.3億円
利益率(%) 0.1% 0.1% 1.1% 0.7% 0.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.4億円 1.7億円 1.0億円 0.6億円 0.3億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で微増となりましたが、売上総利益が減少し、営業損益は赤字に転落しました。売上原価率の上昇や販売管理費の負担が利益を圧迫している状況が見て取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 167億円 169億円
売上総利益 22億円 20億円
売上総利益率(%) 13.0% 11.9%
営業利益 0.9億円 -0.1億円
営業利益率(%) 0.6% -0.1%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が8億円(構成比40%)、運賃が4億円(同20%)を占めています。物流コストや人件費が主要なコスト要因となっています。

(3) セグメント収益


洋紙卸売事業は売上が増加したものの、仕入価格上昇の影響で減益となりました。不動産賃貸事業は安定的に推移しています。物流事業は加工設備の整備完了などにより、増収かつ大幅な増益を達成しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
洋紙卸売事業 166億円 168億円 4億円 3億円 1.7%
不動産賃貸事業 0.3億円 0.3億円 0.4億円 0.5億円 150.1%
物流事業 0.5億円 0.6億円 0.2億円 0.3億円 54.1%
連結(合計) 167億円 169億円 0.9億円 -0.1億円 -0.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

共同紙販ホールディングスは、営業活動では売上債権の増加や仕入債務の減少により資金を使用しました。投資活動では、投資有価証券の取得と売却により資金を得ています。財務活動では、配当金の支払いにより資金を使用しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 3.3億円 -2.6億円
投資CF -1.0億円 0.4億円
財務CF -0.4億円 -0.4億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


国民の豊かな社会生活に不可欠な教育と文化に「紙」媒体を通じて貢献することを基本理念としています。全国の拠点からタイムリーに原紙を供給し、生活必需品としての紙を安定供給するとともに、環境変化に対応できる体制を構築し、永続的な発展を目指しています。

(2) 企業文化


「環境に配慮した商品・企業活動を通じて、地球環境や地域環境の保全に貢献すること」を重視しています。また、仕事と生活の調和を支援する制度を整え、それを支える風土づくりを行うことをサステナビリティ方針として掲げ、働きやすい職場環境の整備に取り組んでいます。

(3) 経営計画・目標


2028年3月期までに、収益力の拡大と資本効率の向上を通じて企業価値の最大化を目指しています。具体的には、以下の数値目標を安定的に達成することを掲げています。

* 当期純利益:2億円以上
* ROE:5%
* ROA:3%
* ROIC:5%

(4) 成長戦略と重点施策


デジタル化による紙需要の減少に対応するため、取扱商品の多角化に取り組んでいます。また、物流コスト削減のため、在庫圧縮や固定費の変動費化を推進し、倉庫契約の見直しや業務委託化を進めています。まずは収益力拡大を優先し、安定利益を確保した上で資産圧縮や資本政策を推進する方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「従業員個々の能力が最大限に発揮できる環境整備」を経営課題とし、職位に応じた研修や勉強会を実施しています。ワークライフバランス実現のため、休業・休暇制度の整備や男性育児休業の取得促進、再雇用制度の見直しなど、働きやすい職場環境づくりに取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 50.4歳 23.1年 5,155,287円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.4%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 75.7%
男女賃金差異(正規) 74.1%
男女賃金差異(非正規) 99.6%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得率(52.3%)、平均時間外労働時間(23.8h)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 取引先の信用リスク


取引先に対して掛売りを行っているため、取引先の信用状況が急速に悪化した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、信用限度額の管理やファクタリング会社を通じた情報収集、債権保全策を講じています。

(2) 所有する投資有価証券の時価変動リスク


業務上の関係から保有している仕入先や販売先等の株式について、株式市況の変動により業績や財政状態に影響を与える可能性があります。時価の変動状況を日々把握し、保有の継続性を定期的に検証しています。

(3) 不動産市況等の影響


収益基盤の安定化を目的に不動産賃貸事業を行っていますが、不動産市況の変動や賃貸条件の悪化などが業績に影響を及ぼす可能性があります。路線価や公示地価の把握、不動産会社を通じた情報収集によりリスクに備えています。

(4) 自然災害及び感染症等のリスク


全国8拠点での事業活動において、地震や感染症などが発生した場合、物流寸断や販売機会の喪失、資産への被害などが業績に影響する可能性があります。災害対策マニュアルを整備し、従業員の安全確保と事業の早期復旧を図る体制を整えています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。