JKホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

JKホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

JKホールディングスは東証スタンダード上場企業で、合板製造や建材卸売・小売を行う住宅資材の流通大手です。2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比微増の3,933億円、経常利益は同10.1%減の78億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同15.2%減の43億円となり、増収減益でした。


※本記事は、JKホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第79期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. JKホールディングスってどんな会社?


住宅資材の流通を主軸とし、合板製造や建材卸売・小売を展開。「快適で豊かな住環境の創造」を目指す企業グループです。

(1) 会社概要


1949年に丸吉商店として設立され、合板の仕入販売を開始。1996年に東京証券取引所市場第二部に上場し、1998年にジャパン建材へ商号変更しました。2006年に持株会社体制へ移行し、現商号となりました。2024年に太平洋建材、2025年に大和ビケサービスを子会社化するなど、事業拡大を続けています。

同グループは連結従業員数3,442名、単体158名の体制です。筆頭株主は同社の主要な仕入先でもある吉野石膏で、第2位は同社相談役の吉田繁氏、第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
吉野石膏 14.87%
吉田 繁 7.85%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.68%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性0名の計12名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は青木慶一郎氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
青木 慶一郎 代表取締役社長 1992年丸吉入社。営業企画室長等を経て、2014年より代表取締役社長。ジャパン建材取締役を兼務。2022年7月より現職。
吉田 輝 代表取締役専務経営企画本部長兼グループ経営企画室長兼サステナビリティ推進室長 2011年三井不動産入社。2017年同社入社。常務取締役経営企画本部長等を経て、2025年4月より現職。
小川 明範 取締役 1993年伊藤忠商事入社。2006年同社入社。ジャパン建材代表取締役社長を経て、2019年4月より同社代表取締役社長執行役員(現任)。2009年4月より現職。
小柳 龍雄 取締役 1987年丸吉入社。ジャパン建材専務取締役等を経て、2019年4月より同社取締役副社長執行役員営業本部長(現任)。2016年6月より現職。
舘崎 和行 取締役経営管理本部長兼財務経理部財務担当部長 1984年商工組合中央金庫入庫。2015年同社出向。ジャパン建材取締役常務執行役員等を経て、2023年4月より現職。
吉田 隆 取締役特別顧問 1972年丸吉入社。同社代表取締役社長、代表取締役会長、取締役会長を経て、2024年4月より現職。
田端 裕和 取締役(常勤監査等委員) 1981年商工組合中央金庫入庫。キーテック常務取締役等を経て、2021年同社常勤監査役。2023年6月より現職。
太田 孝三 取締役(常勤監査等委員) 1977年興国ハウジング入社。JKスマイル代表取締役社長等を経て、2018年同社常勤監査役。2023年6月より現職。


社外取締役は、小林慎一(公認会計士)、田中秀明(元商工組合中央金庫取締役常務執行役員)、谷内豊(元みずほコーポレート銀行国際審査部部長)、松田昭博(元クレディセゾン取締役兼執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「総合建材卸売事業」「合板製造・木材加工事業」「総合建材小売事業」および「その他」事業を展開しています。

**総合建材卸売事業**
合板、合板二次製品、建材および住宅機器等の卸売販売を行っています。主な顧客は建材販売店や工務店などです。
商品の販売対価として収益を得ています。運営は主にジャパン建材、通商、物林などが担当しています。

**合板製造・木材加工事業**
普通合板、構造用合板、長尺合板、構造用LVLキーラム(単板積層材)等の製造販売に加え、集成材の製造販売や木材加工を行っています。
製品の販売対価として収益を得ています。運営は主にキーテック、ティンバラムなどが担当しています。

**総合建材小売事業**
合板、合板二次製品、建材および住宅機器等の小売販売を行っています。地域に密着した建材店などが顧客となります。
商品の販売対価として収益を得ています。運営は主にブルケン・マルタマ、ハウス・デポ・プラス、ブルケン関東などが担当しています。

**その他**
建設工事業、倉庫・運送業、フランチャイズ事業、不動産賃貸業などを営んでいます。建材小売店の経営指導なども含まれます。
サービスの提供対価やフランチャイズ加盟料、賃貸料などを収益源としています。運営はハウス・デポ・ジャパンやJKホールディングスなどが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2023年3月期に4,000億円を超えた後、微減しましたが、2025年3月期には再び増加傾向にあります。一方、利益面では2022年3月期をピークに経常利益、当期利益ともに減少傾向が続いており、利益率は低下しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 3,433億円 3,761億円 4,070億円 3,889億円 3,933億円
経常利益 52億円 131億円 103億円 87億円 78億円
利益率(%) 1.5% 3.5% 2.5% 2.2% 2.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 29億円 89億円 67億円 50億円 43億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で微増となりましたが、売上原価も増加しており、売上総利益率はほぼ横ばいで推移しています。販売費及び一般管理費が増加した影響により、営業利益は減益となり、営業利益率はわずかに低下しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 3,889億円 3,933億円
売上総利益 465億円 475億円
売上総利益率(%) 12.0% 12.1%
営業利益 79億円 74億円
営業利益率(%) 2.0% 1.9%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料及び賞与が166億円(構成比41%)、その他が104億円(同26%)、運賃が55億円(同14%)を占めています。売上原価では、商品仕入高が主な構成要素となっています。

(3) セグメント収益


総合建材卸売事業と総合建材小売事業は増収を確保しましたが、合板製造・木材加工事業は減収となり、損失を計上しました。卸売と小売の流通部門が堅調な一方、製造部門が苦戦し、全体としての利益率は低下しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
総合建材卸売事業 3,216億円 3,245億円 68億円 69億円 2.1%
合板製造・木材加工事業 131億円 119億円 -1億円 -9億円 -7.4%
総合建材小売事業 501億円 528億円 11億円 11億円 2.1%
その他 41億円 41億円 -1億円 1億円 1.4%
調整額 - - 2億円 2億円 -
連結(合計) 3,889億円 3,933億円 79億円 74億円 1.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業活動によるキャッシュ・フローはプラス、投資活動と財務活動によるキャッシュ・フローはマイナスで、健全型(営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業)に該当します。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 221億円 51億円
投資CF -38億円 -24億円
財務CF -44億円 -85億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.9%でスタンダード市場平均(7.2%)をやや下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は28.5%でスタンダード市場平均(48.5%)を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは「快適で豊かな住環境の創造」という企業理念を掲げています。住宅資材の流通業を主要事業とし、より良い住宅資材を適正価格でタイムリーに届けることを目標としています。また、単にモノを販売するだけでなく、取引先である販売店や工務店に様々なサービスや経営ノウハウを提供し、共存共栄を図る仕組みづくりにも取り組んでいます。

(2) 企業文化


創業当時より「企業は人 人は心」の精神を大切に受け継いでおり、「人の心」を大切にする企業風土を守り続けています。また、サステナビリティ推進基本方針に基づき、事業機会の拡大と社会課題の解決を目指し、コンプライアンス意識の醸成やステークホルダーとの関係強化を重視しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、長期ビジョン達成の第二フェーズとして、2025年度からの3ヵ年を対象とする新中期経営計画『Value Proposition 27』を策定しました。「価値提案によるパートナーとの結びつき強化」を実現するフェーズとしています。
* 2027年度 売上高:4,200億円
* 2027年度 営業利益:100億円
* 2027年度 経常利益:100億円
* 2027年度 ROE:9%以上

(4) 成長戦略と重点施策


中核事業である建築資材流通事業のシェア拡大と事業領域の拡張を通じた成長拡大路線を堅持し、「基盤事業の強化」「事業領域の拡張と深耕」「持続可能な経営基盤構築」「人的資本経営の実践」の4つの柱からなる基本方針を展開します。具体的には、木質建材流通事業のシェア拡大、M&Aを通じた拠点整備、海外建材卸売事業の拡張、脱炭素への取組などを推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「働きがいのある組織の追求」を柱とし、「働きやすさ」と「やりがい」を両軸として組織づくりを進めています。健康経営や柔軟な働き方の推進に加え、公募型研修やeラーニング等の学習機会の提供により自律的な人材育成を図っています。また、「自立・協働・共創型人材」の育成やD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の推進により、多様な人材が活躍できる環境構築を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 41.8歳 14.9年 6,730,389円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.2%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 65.3%
男女賃金差異(正規) 65.1%
男女賃金差異(非正規) 59.3%


※男性育児休業取得率は、提出会社において対象者がいなかったため記載がありません(連結子会社のジャパン建材は15.4%)。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、管理職に占める女性労働者の割合(1.3%)、男性労働者の育児休業取得率(13.8%)、労働者の男女賃金差異(全労働者)(56.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 新設住宅着工戸数が業績に与える影響


住宅関連業界は新設住宅着工戸数の増減に大きく左右されます。特に木造戸建住宅関連の商品が中心であるため、住宅資材の高騰や金利上昇、減税制度の縮小等により着工戸数が大幅に減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、リフォーム市場や非住宅市場での販路拡大に注力しています。

(2) 気候変動に関するリスク


気候変動対応は重要な経営課題です。炭素税導入等の環境規制強化によるコスト増や、森林保護政策による木材調達コストの増加等の移行リスクがあります。また、災害激甚化による事業拠点の被災等の物理的リスクも想定されます。これらに対し、省エネ設備の導入やBCP策定、環境配慮型商品の提案拡大などで対応しています。

(3) 人材に関するリスク


グループの持続的発展は人材に依存しており、有能な人材の確保・育成が困難な場合、競争力低下を招く恐れがあります。このため、「働きがいのある組織の追求」を人事方針とし、働きやすさとやりがいを両立させる環境整備や、多様な人材の採用・活躍推進に取り組んでいます。

(4) 法的規制に関するリスク


建設業法や建設基準法等の法的規制を受けており、これらの改正や適用基準の変更が事業活動に影響を与える可能性があります。法令違反が生じた場合は事業規制や信用失墜のリスクがあります。関連法令の改正情報の早期入手や対策、役職員のコンプライアンス意識の強化により対応しています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。