ストライダーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 ストライダーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ストライダーズはスタンダード市場に上場し、不動産事業、ホテル事業、投資事業を展開しています。直近の業績は、主力の不動産事業の堅調な推移やインバウンド需要回復によるホテル事業の成長により、増収、大幅な営業増益を達成しました。既存事業の強化と新規投資を通じ、持続的な企業価値の向上を目指しています。


※本記事は、株式会社ストライダーズの有価証券報告書(第62期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ストライダーズってどんな会社?


不動産、ホテル、投資の3事業を主軸に展開する持株会社です。

(1) 会社概要


1965年にリース事務機会社として設立され、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しました。その後、M&Aや子会社化を積極的に進め、2009年に不動産事業、2013年にホテル事業へと参入しました。2010年に現在のストライダーズへ商号を変更し、日本とアジアをつなぐ事業会社として展開しています。

従業員数は連結で115名、単体で6名です。筆頭株主はHAYAKAWAで、第2位はマイルストーンキャピタルマネジメント、第3位は創業者であり現取締役会長の早川良一氏です。グループ全体での戦略的な連携を推進し、各事業の収益基盤強化を図っています。

氏名 持株比率
HAYAKAWA 16.82%
マイルストーンキャピタルマネジメント 7.51%
早川 良一 5.43%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性2名の計6名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長CEOは早川良太郎氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
早川 良太郎 取締役社長(代表取締役)CEO 2008年にオリックスへ入社。2014年に同社へ入社し、取締役経営企画部長などを歴任。グループ各社の取締役や代表取締役を務め、2018年より現職。
早川 良一 取締役会長 1977年に日本長期信用銀行へ入行。日本コンピュータシステム等を経て2007年に同社取締役へ就任。2009年に代表取締役社長を務め、2019年より現職。
宮村 幸一 常務取締役 1999年にユトーへ入社。エスグラントコーポレーション等を経て、2008年にトラストアドバイザーズ(現)の取締役へ就任。2019年より現職。


社外取締役は、村瀬晶久(元コンチェルト代表取締役)、李智賢(レイズパートナーズ代表取締役)、下森右子(MODELY代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「不動産事業」「ホテル事業」「投資事業」および「その他」事業を展開しています。

不動産事業


同セグメントでは、マンションオーナー向けのリーシングおよび賃貸管理や建物の受託管理を行うレジデンス事業、不動産売買事業、家賃保証事業を展開しています。豊かな居住空間の実現を重要テーマに掲げています。

収益は、オーナーから借り上げた賃貸不動産を入居者へ転貸して得られる賃料収入や、不動産売買、家賃保証サービスの手数料などから得ています。事業の運営はトラストアドバイザーズ、東京アパートメント保証などが担っています。

ホテル事業


同セグメントでは、成田空港周辺および倉敷美観地区等において、地域創生・地域活性化をテーマにホテルの保有や運営管理を行っています。地域の魅力を引き出す空間づくりと観光資源との連携を推進しています。

収益は、国内外からの観光客やビジネス客に対する宿泊サービス、レストランや宴会場の提供から得ています。事業の運営は成田ゲートウェイホテルや倉敷ロイヤルアートホテルなどが担っています。

投資事業


同セグメントでは、南・東南アジア地域を中心とした海外投資と、国内における不動産やホテル分野へのインバウンド投資事業を展開しています。ファンド運営を通じたスタートアップ投資なども行っています。

収益は、投資先企業の成長に伴う売却益やファンド運営から得ています。事業の運営はシンガポールを拠点とするSTRIDERS GLOBAL INVESTMENT PTE. LTD.やM&Aグローバル・パートナーズが担っています。

その他


同セグメントでは、特許の先行技術調査や企業再生再編事業を展開しています。

事業の運営は、みらい知的財産技術研究所が担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績をみると、売上高は70億円台から80億円台へと堅調に拡大しています。経常利益は一時的に落ち込んだものの、直近では大きく回復しており、利益率も改善傾向にあります。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 75億円 74億円 77億円 78億円 82億円
経常利益 2.1億円 2.3億円 1.0億円 0.9億円 2.5億円
利益率(%) 2.7% 3.2% 1.3% 1.1% 3.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 0.2億円 1.1億円 0.6億円 6.5億円 0.4億円

(2) 損益計算書


直近2期間を比較すると、売上高の増加に伴い売上総利益も拡大し、売上総利益率は25.9%から28.1%へ上昇しました。営業利益は前年から大幅に増加しており、本業の収益力が強化されています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 78億円 82億円
売上総利益 20億円 23億円
売上総利益率(%) 25.9% 28.1%
営業利益 0.5億円 2.0億円
営業利益率(%) 0.6% 2.4%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が5.5億円(構成比26.1%)、業務委託費が3.0億円(同14.4%)、支払手数料が1.8億円(同8.7%)を占めています。

(3) セグメント収益


各事業とも前年から増収となりました。特にホテル事業はインバウンド需要の拡大と柔軟な価格戦略により大きく成長し、投資事業も新規ファンドの立ち上げにより大幅な増収増益を達成しました。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
不動産事業 64億円 68億円 2.5億円 3.1億円 4.6%
ホテル事業 11億円 13億円 -0.3億円 1.0億円 7.5%
投資事業 0.0億円 0.6億円 -0.2億円 0.3億円 44.5%
その他 2.3億円 0.0億円 0.3億円 0.0億円 100.0%
調整額 -億円 -億円 -1.8億円 -2.4億円 -%
連結(合計) 78億円 82億円 0.5億円 2.0億円 2.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業で生み出した資金を将来の成長に向けた投資に充て、同時に借入金の返済も進める健全なキャッシュ・フロー状況です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 2.6億円 2.9億円
投資CF -8.6億円 -2.6億円
財務CF 7.8億円 -1.7億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.8%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は50.9%とともに市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「挑戦する個人・企業を応援し、すべてのステークホルダーと感動体験を共有し、より良い世界を創造する」ことを企業理念として掲げています。日本とアジアをつなぐ役割を担いながら、経済だけでなく社会の活性化にも寄与し、持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社グループは、「Stride with Challengers(挑戦者達と共に闊歩する)」というコーポレートスローガンを合言葉としています。多様な価値観を尊重し、変化の激しい時代においても柔軟かつ能動的に対応できる人材の育成を重視し、挑戦と成長を続ける組織文化を築いています。

(3) 経営計画・目標


同社は、事業の規模拡大と収益力の向上のために「売上高」と「営業利益」を重要な客観的指標として設定しています。また、市場における投資家の期待リターンを踏まえ、自己資本利益率(ROE)10%を中期的な目標値として掲げ、収益性の向上と資本効率の改善に取り組んでいます。

* ROE:10%

(4) 成長戦略と重点施策


不動産、ホテル、投資の3事業を中核とする体制のもと、グループ全体としての戦略的連携を推進しています。不動産ではDX化とサービス拡充、ホテルでは地域創生をテーマにした自社運営による収益性向上、投資では国内外の投資需要の取り込みを図り、既存事業の価値向上と新規機会の創出を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、人的資本経営への取り組みを重要な経営課題と認識しています。柔軟かつ能動的に変化へ対応できる人材の育成に加え、外部の専門人材やパートナーとの連携を進めています。また、年齢や勤続年数にとらわれず、役割や成果を適切に評価して処遇へ反映する人事制度の整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 34.9歳 4.2年 5,418,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、連結の女性従業員比率(40.9%)、単体の女性従業員比率(33.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 不動産事業における法的規制・市場変動


不動産事業においては、宅地建物取引業法などの法的規制を受けており、法改正や違反があった場合には事業活動に制約が生じる可能性があります。また、競合の多さやAI等の技術革新による競争激化、景気変動に伴う入居率低下による賃料収入の減少が業績に影響を及ぼすリスクがあります。

(2) ホテル事業における人件費・コストの高騰


ホテル事業では、物価上昇と歩調を合わせた賃上げや過重労働解消に向けた取り組みにより、人件費や各種資材・サービス価格が高騰しています。適正な価格転嫁を実現できない場合や、業界全般の人材不足により十分な人員を確保できず収益機会を逃した場合、事業の採算が悪化するリスクがあります。

(3) 国内外の事業投資に関するリスク


同社グループの投資事業では、対象となる国内外の企業や市場において予測しえない法規制の変更、社会的混乱、為替変動等のカントリーリスクが存在します。また、投資先企業へ派遣した役職員に対する損害賠償請求等が発生した場合、同社グループが負担を負い、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。