ストライダーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 ストライダーズ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の事業投資会社。不動産(賃貸管理・売買)、ホテル運営、投資事業を3本柱として展開しています。直近の業績は、不動産事業での空室率改善やホテル事業でのインバウンド需要回復により売上高は78億円(前期比1.4%増)と増収でしたが、費用増により経常利益は0.9億円(同16.4%減)の減益となりました。


※本記事は、株式会社ストライダーズ の有価証券報告書(第61期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ストライダーズってどんな会社?


不動産、ホテル、投資の3事業を展開する事業投資会社です。アジア市場との連携を強みとし、地域活性化や新興国投資にも注力しています。

(1) 会社概要


1965年にリース事務機会社として設立され、1991年に株式を店頭登録しました。その後、1998年にバーテックスリンクへ商号変更し、2010年に現在のストライダーズとなりました。事業面では、2013年に成田ゲートウェイホテルを取得、2014年に倉敷ロイヤルアートホテルを子会社化し、ホテル事業基盤を確立しています。

同社グループの従業員数は、連結で115名、単体で10名です。筆頭株主は投資事業組合であり、第2位は同社創業者の早川良一氏(現 取締役会長)です。第3位には海外の金融機関が名を連ねており、国内外の投資家や創業家が主要株主となっています。

氏名 持株比率
新興支援投資事業有限責任組合 18.87%
早川 良一 5.97%
KGI ASIA LIMITED-CLIENT ACCOUNT(常任代理人 香港上海銀行東京支店) 4.27%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性2名の計6名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は早川良太郎氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
早川 良太郎 取締役社長(代表取締役)CEO 2008年オリックス入社。2014年同社取締役経営企画部長、2016年取締役事業企画部長を経て、2018年1月より現職。グループ会社代表も兼務。
早川 良一 取締役会長 1977年日本長期信用銀行(現SBI新生銀行)入行。2007年同社取締役、2009年代表取締役社長、2018年代表取締役会長を経て、2025年6月より現職。
宮村 幸一 常務取締役 1999年ユトー入社。エスグラントコーポレーション等を経て、2012年同社取締役。2019年6月より現職。トラストアドバイザーズ等の代表を兼務。


社外取締役は、村瀬 晶久(元コンチェルト代表取締役)、李 智賢(レイズパートナーズ代表取締役)、下森 右子(元イオトイジャパン代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「不動産事業」、「ホテル事業」、「投資事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 不動産事業


レジデンス(住居)の賃貸管理、ビルマネジメント、賃貸仲介、不動産売買、家賃保証、内装工事などを手掛けています。首都圏を中心に居住用賃貸物件の管理を行い、オーナー・入居者双方に向けたサービスを提供しています。

収益は、不動産オーナーからの管理受託による手数料収入や、転貸による家賃収入、不動産売買益、家賃保証料などが主な柱です。運営は主に、トラストアドバイザーズ、東京アパートメント保証、ReLiveが行っています。

(2) ホテル事業


千葉県成田市と岡山県倉敷市において、ホテルの保有および運営管理を行っています。「地方創生・地域活性化」をテーマに、地域の魅力を活かした空間づくりと観光資源との連携を推進しています。

収益は、宿泊客からの宿泊料、レストランや宴会場の利用料などです。運営は、成田ゲートウェイホテル(成田エリア)と倉敷ロイヤルアートホテル(倉敷エリア)がそれぞれ行っています。

(3) 投資事業


アジア圏を中心とした投資事業を展開しています。南・東南アジアのスタートアップ企業への投資や、日本国内での事業承継、インバウンド投資案件の発掘などを行っています。

収益は、投資先企業の株式売却によるキャピタルゲインや、ファンド運営による管理報酬(マネジメントフィー)などを想定しています。運営は、STRIDERS GLOBAL INVESTMENT PTE. LTD.(シンガポール)およびM&Aグローバル・パートナーズが行っています。

(4) その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、企業再生再編事業や特許の先行技術調査などを行っています。

収益は、コンサルティングフィーや調査受託料などが該当します。運営は、関連会社であるみらい知的財産技術研究所などが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は第58期に減少した後、緩やかに回復傾向にあり、第61期は78億円となっています。一方、経常利益は第59期をピークに減少傾向にあり、第61期は0.9億円となりました。利益率は1%台で推移しており、収益性の向上が課題といえます。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 105億円 75億円 74億円 77億円 78億円
経常利益 2.3億円 2.1億円 2.3億円 1.0億円 0.9億円
利益率(%) 2.2% 2.7% 3.2% 1.3% 1.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.1億円 1.7億円 1.2億円 0.8億円 0.4億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高は微増しましたが、売上原価率は約74%と横ばいで推移しています。販管費が増加した影響により、営業利益は前期比で減少しました。営業利益率は0.6%と低水準に留まっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 77億円 78億円
売上総利益 19億円 20億円
売上総利益率(%) 24.8% 25.9%
営業利益 0.5億円 0.5億円
営業利益率(%) 0.6% 0.6%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が5.6億円(構成比28.4%)、業務委託費が2.2億円(同11.3%)を占めています。

(3) セグメント収益


不動産事業は空室率の改善により増収増益となりました。ホテル事業はインバウンド需要の回復で増収となりましたが、コスト増や借入関連費用の影響で損失を計上しています。投資事業は売上が大幅に減少し、営業損失となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
不動産事業 62億円 64億円 2.4億円 2.5億円 3.9%
ホテル事業 10億円 11億円 -0.1億円 -0.3億円 -2.7%
投資事業 0.5億円 0.0億円 0.3億円 -0.2億円 -1063.4%
その他 4.0億円 2.3億円 0.1億円 0.3億円 11.6%
調整額 -0.2億円 -0.0億円 -2.2億円 -1.8億円 -
連結(合計) 77億円 78億円 0.5億円 0.5億円 0.6%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローの状況は「再建・転換型」です。本業の営業活動で得た資金に加え、財務活動でも資金を調達し、それらを投資活動に振り向けています。将来の成長や事業基盤強化に向けた投資局面にあると言えます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 1.6億円 2.6億円
投資CF -5.7億円 -8.6億円
財務CF -0.8億円 7.8億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は1.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.8%で市場平均をやや下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「挑戦する個人・企業を応援し、すべてのステークホルダーと感動体験を共有し、より良い世界を創造する」ことを企業理念に掲げています。日本とアジアをつなぐゲートウェイとしての役割を担いながら、持続的な成長と企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


「Stride with Challengers(挑戦者達と共に闊歩する)」をコーポレートスローガンとしています。不確実性が高く変化の激しい時代において、柔軟かつ能動的に変化へ対応できる人材の育成や、外部の専門人材やパートナーとの連携を重視する文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


有価証券報告書において具体的な数値目標を伴う中期経営計画等は記載されていませんが、事業規模拡大と収益力向上のための指標として「売上高」と「営業利益」を重視しています。また、資本効率の観点からROE(自己資本利益率)10%を中期的な目標値として掲げています。

(4) 成長戦略と重点施策


不動産、ホテル、投資の3事業を中核とし、各事業の収益基盤強化とグループ連携を推進します。不動産事業ではDX推進と賃貸管理サービスの強化、家賃保証事業の拡大に取り組みます。ホテル事業ではインバウンド需要や法人需要の取り込みを図り、運営効率を改善します。投資事業では南・東南アジアのスタートアップを対象とした新ファンド設立や、インバウンド投資の仲介を強化します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


変化の激しい経営環境に対応するため、柔軟かつ能動的に行動できる人材の育成に注力しています。また、女性、外国人、中途採用者など多様な人材を積極的に採用・登用し、それぞれの特性や能力を最大限活かせる職場環境の整備を進めています。外部の専門人材との連携も不可欠としています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.1歳 5.5年 6,258,000円


※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性従業員(連結49名、比率42.6%)、女性従業員(単体2名、比率20%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 不動産事業に関するリスク


主力事業である不動産事業は、法的規制や経済情勢の影響を受けやすい特性があります。宅地建物取引業法などの改正や、景気後退による入居率低下・賃料収入の減少が発生した場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、競合他社との競争激化もリスク要因として挙げられています。

(2) ホテル事業に関するリスク


ホテル事業は、自然災害やパンデミック、人件費高騰などの影響を直接的に受けます。大規模地震等の災害による施設損壊や営業停止、感染症の流行による移動制限、さらには昨今の資材・サービス価格や人件費の上昇が、事業の採算性を悪化させる可能性があります。

(3) 投資事業に関するリスク


投資事業では、投資先の国や地域における政治・経済情勢の変化(カントリーリスク)や、法規制の変更、為替相場の変動などがリスクとなります。予期せぬ社会的混乱や不利な政治的要因が発生した場合、投資回収が困難となり、財務状況に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。