※本記事は、株式会社ヨンキュウ の有価証券報告書(第51期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ヨンキュウってどんな会社?
鮮魚および養殖用飼料の販売を主力とし、養殖漁業のトータルサポートを展開する愛媛県宇和島市の企業です。
■(1) 会社概要
1963年に養殖魚用餌料の販売を目的として四国急速冷凍を設立し、1991年にヨンキュウへ商号変更しました。1993年に株式を店頭登録し、2013年には東証JASDAQ(スタンダード)へ上場しています。その後、2022年の市場区分見直しに伴い、現在は東証スタンダード市場に上場しています。
同社グループの従業員数は連結で135名、単体で107名です。大株主構成については、筆頭株主は有限会社オフィスFRMで、第2位、第3位は個人株主となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 有限会社オフィスFRM | 11.03% |
| 笠岡 暁美 | 7.53% |
| 笠岡 伸一 | 6.84% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性13名、女性0名の計13名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は笠岡恒三氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 笠岡 恒三 | 代表取締役社長 | 1980年四国急速冷凍(現ヨンキュウ)入社。海昇社長を経て2011年より現職。 |
| 清水 敏雄 | 専務取締役 | 1976年伊予銀行入行。2007年同社入社、経理部長等を経て2016年より現職。 |
| 梅田 晃三 | 常務取締役 | 1993年同社入社。海昇社長を経て2016年より現職。 |
| 笠岡 繁樹 | 取締役相談役 | 1967年四国急速冷凍(現ヨンキュウ)入社。社長、会長を経て2011年より現職。 |
| 宇都宮 紀 | 取締役総務部長 | 1982年伊予銀行入行。2012年同社入社、総務部長を経て2019年より現職。 |
| 山口 博規 | 取締役内部監査室長 | 1984年伊予銀行入行。2018年同社入社、内部監査室長を経て2022年より現職。 |
社外取締役は、高川英穂(元宇和島信用金庫理事長)、廣瀨了(宇和島自動車会長)、井本悟史(マルハニチロ執行役員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「鮮魚の販売事業」「餌料・飼料の販売事業」および「その他の事業」を展開しています。
■(1) 鮮魚の販売事業
四国や九州の生産者から仕入れた養殖魚(ハマチ、カンパチ、タイ等)や天然魚、加工品を全国の中央卸売市場の荷受会社等へ販売しています。また、人工ふ化による稚魚の生産・販売や、マグロ・ウナギの養殖事業も行っています。
主な収益源は、水産物および加工品の販売代金です。運営は主にヨンキュウと子会社の海昇が行っており、マグロ養殖は日振島アクアマリン有限責任事業組合、ウナギ養殖は西日本養鰻、鮮魚小売は持分法適用関連会社の最上鮮魚が担当しています。
■(2) 餌料・飼料の販売事業
養殖業者に対して、養殖魚用の生餌(イワシ、サバ等)や配合飼料、モイストペレット(生餌と配合飼料を混合したもの)などを販売しています。生産者の経営安定化や水産資源の持続的利用を目指し、飼料メーカーと連携した取り組みも行っています。
収益は、養殖業者への飼料販売による代金です。運営は主にヨンキュウおよび子会社の海昇が行っています。
■(3) その他の事業
一般貨物運送事業を行っており、主に同社グループの生餌の購入や鮮魚の販売に関わる運送業務を担っています。
収益は、運送サービスの提供による運賃収入です。運営は子会社の四急運輸が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は350億円台から450億円前後まで拡大しましたが、当期は前期比で横ばいから微減となりました。経常利益は20億円から30億円の間で推移しており、直近2期は減少傾向にあります。一方で、当期純利益は前期の10億円弱から当期は15億円へと回復し、利益率は4%台後半で推移しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 364億円 | 352億円 | 402億円 | 451億円 | 449億円 |
| 経常利益 | 23億円 | 29億円 | 31億円 | 24億円 | 21億円 |
| 利益率(%) | 6.3% | 8.2% | 7.7% | 5.3% | 4.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 7億円 | 10億円 | 12億円 | 10億円 | 15億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期とほぼ同水準を維持しましたが、売上原価の増加等により売上総利益が減少し、営業利益率も低下しました。一方で、当期は投資有価証券売却益などの特別利益や法人税等の負担減もあり、最終的な当期純利益は増加しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 451億円 | 449億円 |
| 売上総利益 | 59億円 | 53億円 |
| 売上総利益率(%) | 13.1% | 11.9% |
| 営業利益 | 19億円 | 15億円 |
| 営業利益率(%) | 4.3% | 3.4% |
販売費及び一般管理費のうち、売上運賃が13億円(構成比33%)、給料手当が4億円(同10%)、販売手数料が4億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
「鮮魚の販売事業」は加工品が順調に推移し増収となりましたが、利益面では大幅な減益となりました。「餌料・飼料の販売事業」は高海水温による給餌制限等で販売数量が減少し減収となりましたが、セグメント利益は増加しました。「その他の事業」は規模が小さく、影響は限定的です。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 鮮魚の販売事業 | 272億円 | 288億円 | 5.2億円 | 0.7億円 | 0.3% |
| 餌料・飼料の販売事業 | 179億円 | 160億円 | 14億円 | 15億円 | 9.3% |
| その他 | 0.7億円 | 0.0億円 | 0.1億円 | -0.2億円 | - |
| 連結(合計) | 451億円 | 449億円 | 19億円 | 15億円 | 3.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社は、営業活動により資金を生み出し、投資活動で事業拡大のための支出を行い、財務活動で資金調達や返済を行っています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少などにより増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が主な要因で減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済などにより減少しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0.6億円 | 22億円 |
| 投資CF | 10億円 | -13億円 |
| 財務CF | 3億円 | -2億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「当社の基本は人であり、社員の情熱と能力を引き出し、人作りを進めていく」ことを経営理念の一つとして掲げています。この考えのもと、人材育成を通じた営業力の強化や、顧客との関係強化を図ることで、グループ全体での成長を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は、取引先や消費者からの幅広いニーズに応えるため、「安定的な収益確保と持続的な成長」を目指す姿勢を重視しています。また、リスク管理委員会を通じて気候変動や環境・社会問題を経営上の重要事項として捉え、組織的なリスク管理を実践する風土があります。
■(3) 経営計画・目標
同社グループを取り巻く水産業界の動向や市場価格の変動が経営成績に大きく影響するため、中長期的な数値目標は設定していません。当連結会計年度においては、以下の単年度目標を設定し、実績との対比を行いました。
* 連結売上高:460億円
* 連結経常利益:25億円
■(4) 成長戦略と重点施策
収益性の高い経営基盤の確立を目指し、付加価値の高い人工ふ化事業や加工事業の生産性・収益性向上に取り組んでいます。特に加工事業では、EU向け輸出認定の取得や新工場の建設を計画し、海外展開を推進します。また、養殖業へのトータルサポートや環境に配慮した飼料の販売拡大を通じて、持続可能な水産業への貢献を目指しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、年齢・国籍・性別等に関わらず、意欲と能力のある従業員が平等に管理職登用への機会を得られる人事評価とキャリアプランの整備を進めています。従業員が最大限の能力を発揮できる職場環境づくりと企業風土の醸成に努め、次世代法や女性活躍推進法に基づく目標達成にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 43.3歳 | 12.3年 | 4,607,508円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、男女別の再雇用数(男性7名、女性8名)、中途採用実績(男性40名、女性11名)、男女の平均継続勤務年数の差異(1.6年)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経営成績の変動要因並びに季節性
グループ売上の約6割を占める「鮮魚の販売事業」の業界動向や価格動向が業績に影響します。また、年末年始や稚魚の販売時期、養殖魚の出荷時期などに売上が偏る季節変動性があり、特に上半期に利益が増加する傾向があります。
■(2) 自然災害等のリスク
台風や津波などの自然災害、環境汚染や赤潮の発生は、養殖魚の大量死など業界全体に大規模な被害をもたらす可能性があります。これらの事象が発生した場合、同社グループの経営成績および財政状態に重大な影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) 売上債権等の貸倒リスク
魚価の著しい低下や養殖魚のへい死などにより生産者の経営が悪化した場合、売上債権の回収が困難になる可能性があります。与信管理や引当金の計上を行っていますが、被害状況によっては貸倒れが発生し、業績に影響を与える可能性があります。



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