※本記事は、沖縄電力株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
沖縄電力は、電気事業を主軸に、その補完・支援や経営資源の有効活用を目的とした建設業、その他の事業を展開しています。同社グループは、子会社18社及び関連会社3社で構成されています。
単体従業員数は1,511名、連結従業員数は3,154名です。セグメントは電気事業、建設業、その他の3つです。
主な国内グループ会社は、沖電工(建設業)、沖電企業(電気事業に必要な周辺関連事業)、沖電開発(不動産業)、沖電グローバルシステムズ(情報通信事業)、沖縄新エネ開発(再エネ事業)などです。
なお、2025年4月1日付で連結子会社であった沖設備は、同じく連結子会社である沖電工を存続会社とする吸収合併により消滅しています。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
沖縄電力は、沖縄県の電力供給を担う地域に根差した企業です。安定した事業基盤のもと、従業員は長期的なキャリア形成が期待できる環境で働くことができます。地域社会への貢献を重視する企業文化の中で、専門性を高めながら活躍できるでしょう。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員が長期間にわたって安定して勤務する傾向が見られます。平均勤続年数や平均年齢から、経験豊富な人材が多数在籍し、組織の安定性に寄与していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,079,519円 |
| 平均勤続年数 | 21.2年 |
| 平均年齢 | 43.9歳 |
| 単体従業員数 | 1,511人 |
| 連結従業員数 | 3,154人 |
| 単体のグループ内比率 | 47.9% |
同社は、規約型確定給付企業年金制度、退職一時金制度、確定拠出年金制度を設けています。これらの制度は国内の従業員に適用されます。退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。確定給付制度における退職給付債務は242.7億円、年金資産は249.8億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社は、人財戦略を策定し、「環境をつくる」「個をつくる」「組織をつくる」の3つの方向性に基づく施策を展開することで、多様な人財がイキイキと働くことができる職場づくりを推進しています。これにより、「社員力・組織力」の向上を図り、経営目標達成を目指しています。
従業員の給与等については、人財の成長と経営の発展の両立を図ることを基本的な考え方としています。優秀な人財の確保に加え、中長期的な人財育成および能力の向上を図る観点から、給与等はそれぞれの役割と責任に応じた業務遂行能力の伸長度および発揮度に基づいて定められています。また、社員の成長支援としてスキルマップを設定し、DX・AI分野における技術・知識を有する人財の育成にも積極的に取り組んでいます。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
連結子会社は法定開示の公表義務対象外のため、提出会社単体のデータを示します。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 7.3% |
| 男性育児休業取得率 | 79.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 79.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 82.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 46.3% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。
▼ 沖縄プラント工業㈱
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 80.4% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 82.5% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 83.1% |
▼ ㈱沖電工
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 88.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 89.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 87.7% |
▼ 沖電開発㈱
非正規社員の内、時給者については、正社員の勤務時間に換算し賃金を算出。その内、パートタイムについては正社員の月の所定労働時間で換算した人員数を算出基礎としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 70.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 88.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 66.1% |
多様性の確保についての考え方
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合(2025年度) | 7.3% |
| 採用者に占める女性労働者の割合(2025年度入社) | 33.3% |
| 採用者に占める女性労働者の割合(2026年度入社) | 24.4% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
沖縄電力は、沖縄県を主要な事業地域とし、電気事業を核に多様な事業を展開する企業グループです。地域社会のインフラを支えるとともに、関連する建設業やその他の事業を通じて収益を上げています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、電気事業を中心に、建設業、その他の事業の3つのセグメントで構成されています。沖縄県内における電力の安定供給を基盤とし、その経営資源を活かした多角的な事業展開が特徴です。収益は、各事業におけるサービス提供や工事の実施によって得られています。
電気事業
沖縄県全域を供給地域として、発電事業、一般送配電事業、小売電気事業を営んでいます。お客さまへの電気の供給義務を負い、特定小売供給約款などに基づき電気を供給しています。収益は、お客さまへの電気の使用量に応じた料金請求から得ています。当連結会計年度の売上高は前期に比べて減少しましたが、営業費用も燃料価格の下落などにより減少した結果、営業利益は増加しました。
建設業
土木、建築、電気、管、電気通信工事の施工、電力設備工事の施工および保守点検を行っています。収益は、グループ内向け工事および外部向け工事の実施から得ています。当連結会計年度の売上高は前期に比べて減少しましたが、営業費用も減少したことで、営業利益は大きく増加しました。
その他の事業セグメント
電気機械設備の受託運転や不動産業などの事業を含んでいます。また、エネルギーサービスプロバイダ事業(ESP事業)や外部向け工事も手掛けています。収益は、これらの多様なサービス提供や工事の増加から得ています。当連結会計年度の売上高は前期に比べて増加し、営業費用が減少したことで、営業利益は大幅に増加しました。
同社グループの売上高は、本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えており、国内事業に集中していることがうかがえます。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 電気事業 | 2,178億円 | 2,013億円 |
| その他の事業セグメント | 131億円 | 138億円 |
| 建設業 | 56.4億円 | 50.4億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの直近5期間の業績を見ると、売上高は変動が見られますが、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、直近の2期間で増加傾向にあります。特に、前期から当期にかけては、売上高が減少したものの、利益は大きく改善しました。過去には一時的に大幅な損失を計上した期もありましたが、その後は回復基調を示しています。営業活動によるキャッシュ・フローは、過去5期間のうち1期間を除いて安定的にプラスを維持しており、本業によるキャッシュ創出能力は継続している状況です。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,762億円 | 2,235億円 | 2,364億円 | 2,365億円 | 2,202億円 |
| 経常利益 | 27.2億円 | △488億円 | 25.7億円 | 56.6億円 | 81.7億円 |
| 経常利益率 | 1.5% | △21.8% | 1.1% | 2.4% | 3.7% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 19.6億円 | △455億円 | 23.9億円 | 43.2億円 | 62.3億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 36.05 | △836.98 | 44.02 | 79.59 | 114.78 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高は、前期から当期にかけて減少しています。一方で、従業員1人あたりの営業利益は前期から当期にかけて増加しており、組織全体の効率性が向上している傾向が見られます。これは、売上高の減少を上回る営業費用の削減や、事業構造の改善が進んだことを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 75.6百万円 | 69.8百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 2.3百万円 | 2.9百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
沖縄電力グループは、本業で得た資金を成長投資に充てている状況です。財務基盤の健全性を保ちながら、将来に向けた事業展開を進めていることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
沖縄電力グループの自己資本比率はプライム市場の非製造業平均と比較して同程度の水準を示しています。ROE(自己資本利益率)は前期から改善傾向にあり、収益性の向上が見られます。手元資金である現金及び預金は増加しており、不測の事態への耐性も確保されている状況です。これらの財務状況は、沖縄電力グループが安定した経営基盤を維持していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 1,236億円 | 1,329億円 |
| 自己資本比率 | 24.3% | 25.0% |
| ROE(自己資本利益率) | 3.6% | 5.0% |
| 現金及び預金 | 187億円 | 198億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
沖縄電力グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、消費税の還付額と納付額の影響などにより、前期に比べて減少しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資額の増加などにより支出が増加しており、事業拡大に向けた積極的な投資が行われている状況です。この結果、フリー・キャッシュ・フローはマイナスとなっています。財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の増加などにより収入となっており、資金調達を通じて投資活動を支えていることがうかがえます。全体として、沖縄電力グループは事業の成長に向けた投資フェーズにあることが示されています。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 340.8億円 | 273.0億円 |
| 投資CF | △340.4億円 | △350.6億円 |
| 財務CF | △34.4億円 | 83.4億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 41百万円 | △77.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業構造・収益性に関するリスクとして、国のエネルギー政策や制度変更、環境規制の強化が業績に影響を与える可能性があるとされています。また、石炭や重油、LNGといった主要な火力燃料の価格変動や外国為替相場の変動も、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループでは、企業倫理に反する行為の発生がリスクとして挙げられています。企業倫理委員会を設置し、規程の制定や活動計画の策定、相談窓口の設置などにより、リスク低減に努めている状況です。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
沖縄電力は、沖縄の成長を支えるエネルギーの安定供給を存在意義とし、地域社会やステークホルダーとの共創を通じて未来を創造することを目指しています。従業員一人ひとりの活躍を後押しし、社会的な責任を果たすことを重視する企業です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
沖縄電力は、2026年4月に「おきでんグループ経営ビジョン」を公表し、2050年に向けたありたい姿として「EMPOWER & COLLABORATE:沖縄に活力を与え、ステークホルダーと未来を共創する」を掲げています。同社グループの存在意義である「安定供給で沖縄の成長を支える」ことを再確認し、従業員の活躍後押しや海外事業の拡大、社会的責任を果たすことで企業価値向上を目指しています。また、地域社会や多様なパートナーとの共創を通じて未来を築くことを重視しています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
沖縄電力は、「地域とともに、地域のために」をコーポレートスローガンに掲げ、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。サステナビリティに関する取り組みを重視し、取締役会や各種委員会で審議・決定を行っています。また、リスクマネジメントを徹底し、ステークホルダーとの対話を通じて期待に応える改善を日々行っています。
社員の能力発揮と活躍を後押しするため、「社員力・組織力」の向上とDX・AI分野の人財育成に注力しています。性別に関わらず活躍できる環境整備を進め、「安全」を最優先事項とし、代表取締役社長を最高責任者とする「健康経営」を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
沖縄電力は、エネルギーの安定供給を基本的使命とし、供給設備の維持管理や迅速な復旧、脱炭素化投資や高経年化対策への投資を計画的に進めています。
沖縄エリアの特性を踏まえ、「再エネ主力化」と「火力電源のCO2排出削減」を推進し、「沖縄エリアのジャスト・トランジション」を目指しています。
海外事業ではパラオ共和国での経験を活かし、発電・運用・維持管理への事業展開を進めています。「おきでんPXプロジェクト」による調達コスト低減やAI活用によるDX推進、業務オペレーションの見直しを通じて、新しい価値創造を目指しています。沖縄県の成長ポテンシャルに貢献するため、エネルギー以外の分野でも地域社会と未来を共創することを目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
取締役会は会社の重要な業務執行事項を決定し、取締役の職務を監督しています。同社グループは、関係法令等を遵守し、高い倫理観と士気を持って業務遂行に努めることを基本的な考え方としています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、信託銀行や社員持株会、地方自治体が上位に名を連ねています。地域に根差した事業特性が資本構成にも反映されていることがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 11.03% |
| 沖縄電力社員持株会 | 5.98% |
| 沖縄県知事 | 5.20% |
| 沖縄銀行 | 4.64% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 2.70% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は15名(男性12名・女性3名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長社長執行役員経営戦略本部長は横田哲氏が務めています。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 横田 哲 | 代表取締役社長社長執行役員経営戦略本部長 | - |
| 成底 勇人 | 代表取締役副社長副社長執行役員販売本部長 | - |
| 本永 浩之 | 代表取締役会長 | 1988年に同社入社後、企画本部企画部部長、取締役総務部長、代表取締役副社長などを歴任。2021年6月より代表取締役社長社長執行役員を務め、2026年4月より代表取締役会長に就任し現職。 |
| 上間 淳 | 取締役 常務執行役員カーボンニュートラル 推進本部長 | - |
| 仲村 直将 | 取締役常務執行役員 | - |
| 仲程 拓 | 取締役常務執行役員発電本部長 | - |
| 糸数 昌英 | 取締役常務執行役員グループ事業推進本部長 | - |
社外取締役は、与儀達樹氏(大同火災海上保険取締役会長)、野崎聖子氏(うむやす法律会計事務所代表)、長峯豊之氏(ANA総合研究所顧問)、玉城絵美氏(H2L代表取締役)です。
同社は監査役会設置会社であり、独立性を有する社外取締役4名を選任することで、取締役会の監督機能を強化しています。社外監査役も3名を含む4名体制で、経営の健全性確保に貢献しています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社では、取締役(社外取締役を除く)の報酬を固定報酬と業績連動型株式報酬で構成しています。社外取締役の報酬は固定報酬のみとなっています。業績連動型株式報酬は、連結経常利益と配当の状況を業績評価指標としています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | - | 2.6億円 | - |
| 監査役(社外除く) | - | 29百万円 | - |
| 社外取締役 | - | 20百万円 | - |
| 社外監査役 | - | 15百万円 | - |
なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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