※本記事は、株式会社ラウンドワンの有価証券報告書(第46期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はIFRSです。
1. ラウンドワンってどんな会社?
ボウリングなどの複合レジャー施設を国内外で多店舗展開するエンターテインメント企業です。
■(1) 会社概要
同社は1980年に設立され、1994年に現在のラウンドワンに商号を変更しました。1999年に東京証券取引所および大阪証券取引所の市場第一部銘柄に指定されました。2010年には米国カリフォルニア州へ海外第1号店をオープンし、2024年4月に持株会社体制へ移行しています。
同社グループは連結で2,364名、単体で35名の従業員を擁しています。筆頭株主は創業者の杉野公彦氏で、第2位および第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 杉野公彦 | 22.71% |
| 管理信託(A027)受託者 SMBC信託銀行 | 13.33% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 10.69% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性3名の計10名で構成され、女性役員比率は30.0%です。代表取締役社長は杉野公彦氏が務めており、社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 杉野公彦 | 代表取締役社長 | 1980年12月同社取締役就任。1994年9月に代表取締役社長に就任し、2024年4月より現職。 |
| 佐々江愼二 | 取締役副社長 | 1975年4月住友銀行(現三井住友銀行)入行。2009年11月同社入社。2024年6月より現職。 |
| 川口英嗣 | 取締役グループ事業本部長 | 1994年3月同社入社。泉大津店支配人などを経て、2024年6月より現職。ラウンドワンジャパン代表取締役社長。 |
| 岡本純 | 取締役管理本部長 | 2005年9月同社入社。管理本部財務部や経理部長などを経て、2024年6月より現職。ラウンドワンジャパン取締役管理本部長。 |
社外取締役は、高口綾子(社会保険労務士法人リンク開設)、川端さとみ(新陽法律特許事務所パートナー弁護士)、片倉千裕(片倉公認会計士事務所開設代表)です。
2. 事業内容
同社グループは「日本」「米国」および「その他」事業を展開しています。
■日本
日本国内において、ボウリング、アミューズメント、カラオケ、スポッチャなどの屋内型複合レジャー施設を運営し、若年層やファミリー層など幅広い顧客にエンターテインメントを提供しています。
各施設の利用料を中心に収益を獲得しています。事業の運営は子会社であるラウンドワンジャパンが行っています。
■米国
米国国内の大型ショッピングモールなどへ出店し、日本と同様の屋内型複合レジャー施設を展開し、クレーンゲームや音楽ゲームなどのサービスを提供しています。
施設の利用料や飲食による収入が主な収益源です。運営はラウンドワン エンターテインメントなどが中心となって行っています。
■その他
中国における屋内型複合レジャー施設の運営や、米国での飲食事業の展開に向けた準備、および日本国内での景品等の販売を行っています。
施設の利用料や景品の販売などで収益を獲得します。運営は朗玩(中国)文化娯楽やラウンドワン デリシャス ホールディングス、エスケイジャパンなどが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近3期間の業績は、コラボキャンペーンの実施やアミューズメント機器の増台などにより、売上収益および利益ともに順調に拡大を続けており、成長基調を維持しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 1592億円 | 1771億円 | 1895億円 |
| 税引前利益 | 217億円 | 230億円 | 254億円 |
| 利益率(%) | 13.6% | 13.0% | 13.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 147億円 | 154億円 | 166億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の成長に伴い営業利益も増加傾向にあり、引き続き本業における高い収益性を維持しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1771億円 | 1895億円 |
| 売上総利益 | 92億円 | 98億円 |
| 売上総利益率(%) | 5.2% | 5.2% |
| 営業利益 | 262億円 | 288億円 |
| 営業利益率(%) | 14.8% | 15.2% |
販売費及び一般管理費のうち、租税公課が2.9億円(構成比31.9%)、支払手数料が2.9億円(同31.0%)を占めています。
■(3) セグメント収益
日本および米国の両セグメントにおいて、新規出店や既存店での積極的な企画展開、戦略的な価格改定などにより売上高が増加しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 日本 | 1025億円 | 1087億円 |
| 米国 | 731億円 | 797億円 |
| その他 | 15億円 | 12億円 |
| 連結(合計) | 1771億円 | 1895億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CF・財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」を示しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 640億円 | 605億円 |
| 投資CF | -240億円 | -312億円 |
| 財務CF | -251億円 | -261億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は22.2%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も48.4%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「皆様に笑顔と健康とコミュニケーションの場を提供する」という目標を掲げ、多様な価値観を受け入れながらサステナビリティの実現に貢献することを目指しています。エンターテインメントを通じて、地域社会に新たな価値を創造し続けることを使命としています。
■(2) 企業文化
同社は、柔軟で自律的な働き方を可能とする社内文化の構築を重視しています。多様な価値観を受け入れ、信頼関係を築ける誠実な人柄や、変化に対する判断力と実行力を持つ人材を重んじ、グループ間の建設的な協働を推奨する風土が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
同社は海外への新規出店と事業の収益構造の改善を重要な課題と位置づけ、「海外への新規出店数」「売上収益前年対比」「売上収益営業利益率」を客観的な指標として重視しています。継続的な収益獲得により、自己資本による積極的な投資を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
中長期的な成長確保のため、引き続き国内での新サービスの開発と海外への新規出店に積極的に取り組みます。また、米国で培ったノウハウを活かし、「ジャパニーズフードホール」など日本食を掛け合わせた新たな事業領域の拡大にも挑戦していく方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「多様な価値観を受け入れ信頼関係が築ける誠実な人柄」「幅広い見識」「変化・成長への判断力・実行力」を持つ人材の確保・育成を柱としています。全社員の企画提案を奨励し、環境変化に迅速・柔軟に対応して自律的な成長を実現する社内環境の整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 36.0歳 | 10.8年 | 7,636,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 12.5% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 72.8% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 90.2% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 69.6% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国人比率(0.2%)、中途採用者比率(43.5%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済情勢の変動リスク
社会経済情勢の変化に伴い、物価の上昇や消費の低迷が生じた場合など、各国の事業展開や経済動向が同社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 少子高齢化によるターゲット層縮小リスク
日本国内では少子高齢化が進んでおり、同社の主要ターゲットである若年層が減少傾向にあります。ファミリー層やシニア層、インバウンド需要の取り込みが計画通りに進まない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 既存店の経営成績と海外出店リスク
同社の業績は既存店舗の成績と新規出店の動向に大きく左右されます。既存店の売上減少を海外への新規出店による増収でカバーできない場合や、海外特有の法律や慣習、人材確保の遅れにより計画通りに出店が進まない場合、経営成績に影響が生じるリスクがあります。



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