※本記事は、株式会社ラウンドワン の有価証券報告書(第45期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。
1. ラウンドワンってどんな会社?
ボウリング、アミューズメント、カラオケ、スポッチャ等を中心とした地域密着の屋内型複合レジャー施設を運営する企業です。
■(1) 会社概要
1980年に杉野興産として設立し、泉大津店をオープンしました。1993年に現法人を設立し、2004年にはスポッチャ併設1号店を開設しました。2010年に米国へ進出し、海外展開を本格化させています。2024年4月には持株会社体制へ移行し、更なる成長とガバナンス強化を目指しています。
連結従業員数は2,209名、単体では35名の体制です。筆頭株主は創業者の杉野公彦氏で、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 杉野 公彦 | 22.77% |
| 管理信託(A027)受託者 SMBC信託銀行 | 13.37% |
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 10.86% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性7名、女性3名、計10名で構成され、女性役員比率は30.0%です。代表取締役社長は杉野公彦氏です。社外取締役比率は30.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 杉野 公彦 | 代表取締役社長 | 1980年同社取締役就任。1994年より代表取締役社長。2024年4月より現職。 |
| 佐々江 愼二 | 取締役副社長 | 元三井住友銀行支店長。2009年同社入社。管理本部長、専務取締役を経て2024年4月より現職。 |
| 川口 英嗣 | 取締役 | 1994年同社入社。運営統括本部運営企画室長、運営企画本部長、ラウンドワンジャパン代表取締役社長を経て2024年6月より現職。 |
| 岡本 純 | 取締役 | 2005年同社入社。管理本部経理部長、ラウンドワンジャパン取締役管理本部長を経て2024年6月より現職。 |
社外取締役は、綴木公子(公認会計士・税理士)、高口綾子(社会保険労務士)、川端さとみ(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「日本」「米国」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 日本
日本国内において、ボウリング、アミューズメント、カラオケ、スポッチャ等の複合レジャー施設を運営しています。クレーンゲーム機の増台や、アーティスト・アニメコンテンツ等とのコラボキャンペーンを実施し、集客を図っています。
主な収益源は、施設利用料やアミューズメント機器のプレイ料金等です。運営は主に株式会社ラウンドワンジャパンが行っています。
■(2) 米国
米国国内において、大型ショッピングモールへの出店を中心に複合レジャー施設を運営しています。日本食を中心としたフードメニューの拡充や、クレーンゲーム機を多数配置する施策等を展開しています。
主な収益源は、施設利用料、飲食代、アミューズメントプレイ料金等です。運営はRound One Entertainment Inc.等が行っています。
■(3) その他
中国における屋内型複合レジャー施設の運営や、米国における飲食事業の展開、景品等の販売を行っています。
主な収益源は、施設利用料や飲食代、商品販売代金等です。運営は朗玩(中国)文化娯楽有限公司やRound One Delicious Holdings,Inc.等が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近の業績を見ると、売上収益は増加傾向にあり、事業規模が拡大しています。利益面でも、税引前利益および当期利益ともに増加しており、堅調な収益性を維持しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1,592億円 | 1,771億円 |
| 税引前利益 | 217億円 | 230億円 |
| 利益率(%) | 13.6% | 13.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 147億円 | 154億円 |
■(2) 損益計算書
売上収益の増加に伴い、売上総利益も増加しています。営業利益率も一定水準を維持しており、効率的な事業運営が行われていることがうかがえます。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 1,592億円 | 1,771億円 |
| 売上総利益 | 308億円 | 351億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.4% | 19.8% |
| 営業利益 | 247億円 | 262億円 |
| 営業利益率(%) | 15.5% | 14.8% |
販売費及び一般管理費のうち、従業員給付費用が38億円(構成比55%)、支払手数料が13億円(同18%)を占めています。
■(3) セグメント収益
日本セグメントは増収となり、利益も横ばいを維持しています。米国セグメントは大幅な増収増益を達成しており、新規出店や施策の効果が表れています。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本 | 980億円 | 1,025億円 | 169億円 | 170億円 | 16.6% |
| 米国 | 596億円 | 731億円 | 97億円 | 115億円 | 15.8% |
| その他 | 16億円 | 15億円 | -19億円 | -23億円 | - |
| 調整額 | - | - | 1億円 | 0億円 | - |
| 連結(合計) | 1,592億円 | 1,771億円 | 247億円 | 262億円 | 14.8% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業で得た資金を元に、将来のための投資を行いつつ、借入金の返済も進めている「健全型」です。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 629億円 | 640億円 |
| 投資CF | -154億円 | -240億円 |
| 財務CF | -410億円 | -251億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は23.3%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は33.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「笑顔と健康とコミュニケーションの場」を提供することを目標としています。多店舗展開や多様なエンターテインメントサービス、魅力的な景品などの強みを活かし、世界中の顧客に競争力のある来場型サービスを継続して提供することを目指しています。
■(2) 企業文化
「新たな価値を創造し続ける」ことを重視しています。多様化するエンターテインメントの中で、顧客にファンとなってもらうために、独自の企画開発やサービス向上に努めています。また、人材活躍推進チーム「MAKE A CHANCEプロジェクト」を通じ、従業員が成長できる社内環境の構築を進めています。
■(3) 経営計画・目標
同社グループは、収益基盤の拡大に向けて海外への出店数を重要な指標としています。また、自己資本での投資を行うために継続的な収益獲得が必要であることから、以下の指標を重視しています。
* 海外への新規出店数
* 売上収益前年対比
* 売上収益営業利益率
■(4) 成長戦略と重点施策
営業基盤の拡大として、国内の高収益体質の維持と新サービス開発に加え、米国や中国など海外への新規出店に積極的に取り組みます。また、収益構造の確立に向け、ファン層の拡大、魅力的な景品の開発、新サービスの創出、経営効率の改善等を推進します。
* 当連結会計年度の海外新規出店数は8店舗
* 売上収益前年対比は11.2%増
* 売上収益営業利益率は14.8%
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
グローバル展開と持続的な成長のため、性別や国籍等に関わらず多様な人材が自律的に活躍できる環境を整備する方針です。社員の企画提案を奨励し、若手から店舗マネジメントを担える研修を実施するなど、変化に対応できる人材の育成に注力しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 35.2歳 | 11.6年 | 6,775,000円 |
※平均年間給与は基準外賃金及び賞与を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 10.0% |
| 男性育児休業取得率 | 66.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 72.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 80.4% |
| 男女賃金差異(非正規) | 85.6% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、外国人比率(0.2%)、中途採用者比率(43.7%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 経済情勢に関するリスク
社会経済情勢の変化に伴い、物価の上昇や消費の低迷が生じた場合など、各国の事業の展開や経済動向が同社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
■(2) 少子高齢化によるリスク
日本国内の少子高齢化によりコアターゲットである若年層が減少しています。ファミリー層やシニア層、インバウンド需要の取り込みに注力していますが、ターゲット層の拡大が進まなかった場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 既存店舗の経営成績と新規出店動向
経営成績は既存店舗の成績と新規出店の動向に左右されます。既存店舗の閉鎖や減収が発生し、それを海外等の新規出店による増収でカバーしきれない場合、経営成績に影響が生じる可能性があります。
■(4) 海外出店に関するリスク
米国や中国への出店を進めていますが、法律や慣習の相違により国内ノウハウが通用しないリスクや訴訟等の不測の事態が発生するリスクがあります。また、法令検討の時間や人材確保の問題等により出店計画に遅れが生じた場合、将来の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。



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