オリエントコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オリエントコーポレーション 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場する信販会社。個品割賦、カード・融資、銀行保証、決済・保証等の事業を展開しています。当連結会計年度は、決済・保証事業や個品割賦事業等の伸長により営業収益は増加しましたが、金融費用の増加等により経常利益は減少する増収減益となりました。


※本記事は、株式会社オリエントコーポレーション の有価証券報告書(第65期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オリエントコーポレーションってどんな会社?


信販業界の大手企業であり、オートローンやクレジットカード、銀行保証など多様な金融サービスを展開しています。

(1) 会社概要


1954年に協同組合広島クーポンとして設立され、1974年に広島信販と合併、1979年には東京証券取引所市場第一部に上場しました。2004年にみずほ銀行および伊藤忠商事と業務提携を行い、その後みずほフィナンシャルグループの持分法適用関連会社となりました。近年ではタイ、フィリピン、インドネシア等へ海外展開を進めています。

連結従業員数は6,683名、単体では3,970名体制です。筆頭株主は事業会社であるみずほ銀行で、第2位も同様に事業会社である伊藤忠商事となっており、両社との強固な資本提携関係が構築されています。第3位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
みずほ銀行 48.66%
伊藤忠商事 10.54%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.00%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名の計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長(兼)社長執行役員は梅宮 真氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
梅宮 真 代表取締役社長(兼)社長執行役員 1987年みずほ銀行入行。みずほフィナンシャルグループ取締役兼執行役副社長、みずほ銀行副頭取などを歴任。2024年オリエントコーポレーション副社長執行役員を経て、2025年4月より現職。
飯盛 徹夫 代表取締役会長(兼)会長執行役員 1984年みずほ銀行入行。みずほフィナンシャルグループ常務執行役員、みずほ信託銀行取締役社長などを歴任。2020年オリエントコーポレーション代表取締役社長を経て、2025年4月より現職。
河野 雅明 取締役 1979年みずほ銀行入行。みずほフィナンシャルグループ副社長執行役員などを経て、2016年オリエントコーポレーション代表取締役社長に就任。同社代表取締役会長を経て、2025年4月より現職。
水野 哲朗 取締役 1982年みずほ銀行入行。2009年オリエントコーポレーション入社。財務グループ担当、リスク管理グループ長などを歴任し、2024年3月より現職。オリコプロダクトファイナンス取締役会長を兼務。
深澤 雄二 取締役(常勤監査等委員) 1980年みずほ銀行入行。みずほコーポレート銀行執行役員などを経て、2007年オリエントコーポレーション入社。コンプライアンスグループ担当などを歴任し、2022年6月より現職。


社外取締役は、西野 和美(一橋大学副学長)、本庄 滋明(元富士通総研社長)、櫻井 祐記(元富国生命保険相互会社副社長執行役員)、松井 巖(元福岡高等検察庁検事長)、小笠原 由佳(元国際協力機構主任調査役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「個品割賦事業」「カード・融資事業」「銀行保証事業」「決済・保証事業」「海外事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 個品割賦事業


加盟店での商品購入やサービス利用時に、顧客の代わりに代金を立替払いするサービスを提供しています。主要商品は「オートローン」「オートリース」「ショッピングクレジット」です。

収益は、分割払いを希望する顧客から受け取る分割払手数料や、加盟店からの手数料等から構成されています。運営は主にオリエントコーポレーションが行うほか、株式会社オリコプロダクトファイナンスや株式会社オリコオートリースなどの連結子会社も事業を展開しています。

(2) カード・融資事業


クレジットカードの発行およびカード会員へのキャッシング機能やローンカードによる融資を行っています。「プロパーカード」のほか、提携先と発行する「提携カード」などを取り扱っています。

収益は、カード会員からの年会費やリボルビング払い等の手数料、および加盟店からの利用手数料等からなります。また、融資に対する利息収入も収益源です。運営は主にオリエントコーポレーションが行っています。

(3) 銀行保証事業


顧客が提携金融機関から借入を行う際に、同社が信用調査を行い、その債務を保証するサービスです。

収益は、提携金融機関から受け取る保証料等からなります。運営は主にオリエントコーポレーションが行っています。

(4) 決済・保証事業


家賃決済保証、売掛金決済保証、集金代行、小口リース保証などを提供しています。家賃決済保証では入居者の家賃債務を保証し、売掛金決済保証では企業間取引の売掛金を保証します。

収益は、保証委託契約に基づく保証料や集金代行手数料等からなります。運営はオリエントコーポレーションのほか、株式会社オリコフォレントインシュアや株式会社オリコビジネスリースなどのグループ会社が行っています。

(5) 海外事業


タイ、フィリピン、インドネシアにおいて、オートローンおよびそれに関連する事業を展開しています。

収益は、現地でのオートローン利用顧客からの手数料収入等からなります。運営は現地の連結子会社が行っています。

(6) その他


上記報告セグメントに含まれない事業として、サービサー事業(債権管理回収)などを行っています。

収益は、債権回収業務に伴う手数料収入等からなります。運営は日本債権回収株式会社などが担当しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上収益は2,200億円台で安定的に推移しており、当期は2,400億円を超え増加傾向にあります。一方、利益面では経常利益が減少傾向にあり、当期は前期比で減益となりました。当期利益については、特別利益の計上などにより前期から増加しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益(または売上高) 2,298億円 2,298億円 2,277億円 2,291億円 2,453億円
経常利益 226億円 290億円 231億円 161億円 123億円
利益率(%) 9.8% 12.6% 10.1% 7.0% 5.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 197億円 195億円 190億円 126億円 139億円

(2) 損益計算書


売上収益は増加しましたが、営業利益は減少しました。営業利益率は低下しており、収益性の改善が課題となっています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,291億円 2,453億円
営業利益 161億円 123億円
営業利益率(%) 7.0% 5.0%


販売費及び一般管理費のうち、その他経費が701億円(構成比34%)、貸倒引当金繰入額が503億円(同24%)、計算事務費が429億円(同21%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントの売上を見ると、個品割賦事業や決済・保証事業が伸長しています。カード・融資事業は微減となりましたが、依然として大きな割合を占めています。全体として連結子会社化の影響などもあり、売上規模は拡大しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
決済・保証 220億円 250億円
海外 144億円 149億円
カード・融資 713億円 700億円
個品割賦 686億円 782億円
銀行保証 335億円 350億円
その他 78億円 84億円
調整額 -44億円 -72億円
連結(合計) 2,291億円 2,453億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で現金を稼ぎつつ、投資活動や借入金の返済を行っている「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -435億円 26億円
投資CF -445億円 -133億円
財務CF 2,216億円 -2,520億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は5.8%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も8.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、存在意義や使命としての「パーパス」を「その夢の、一歩先へ Open the Future with You」と定めています。これは、顧客をはじめとするステークホルダーのパートナーとして、一人ひとりのいまと未来に寄り添い、共に豊かな人生を実現できる持続可能な社会を目指すという想いが込められています。

(2) 企業文化


同社は大切にする価値観「バリュー」として、「正しさを求める」「信頼を育む」「未来を想う」「挑戦を楽しむ」を掲げています。社会的な正しさや信頼を重視しつつ、未来に向けてイノベーションを起こし、自ら挑戦を楽しむ姿勢を組織の行動様式として重視しています。

(3) 経営計画・目標


2030年3月期を最終年度とする中期経営計画において、以下の経営目標を掲げています。

* 経常利益:500億円超
* ROE:12%以上
* 営業収益一般経費率:50%台前半

(4) 成長戦略と重点施策


今中期経営計画では、「オリコならではの金融モデルの確立」を到達点とし、「与信×テクノロジー」による新たな金融シーンの創出を目指します。具体的には、事業構造改革の完遂、新たな体験価値提供によるエンゲージメント強化、中小企業等への信用供与・生産性向上支援、サーキュラーエコノミー市場の深耕を事業戦略として推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「会社と社員が互いに成長できるWin-Winな関係構築を通じた社員エンゲージメントの最大化」を目指しています。自律的なキャリア形成支援、ミッションを軸とした人事制度、働きやすい環境整備を進め、多様な人材が活躍できる組織づくりに取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.7歳 17.0年 6,270,211円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 29.7%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 46.9%
男女賃金差異(正規雇用) 51.4%
男女賃金差異(非正規雇用) 53.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、社内公募任用者(211人)、DX推進人材(3,348人)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 信用リスク


顧客の支払遅延や債権回収の悪化により損失を被る可能性があります。景気動向や個人破産の増加等が貸倒引当金の積み増し要因となり得ます。これに対し、AIを活用した審査システムの高度化や、過去の実績に基づく適切な引当金の計上等の対策を講じています。

(2) 金利変動リスク


市場金利の上昇や格付変更により調達金利が上昇した場合、金融費用が増加し業績に影響を与える可能性があります。同社はALM(資産・負債の総合管理)を実施し、長短の調達バランス調整やデリバティブ取引の活用により、金利変動リスクへの対応を図っています。

(3) 流動性リスク


金融情勢の変化等により円滑な資金確保が困難になる可能性があります。これに備え、資金調達手段の多様化や複数の金融機関とのコミットメントラインの設定、手元流動性の調整等を行い、流動性リスクの軽減に努めています。

(4) サイバーセキュリティリスク


サイバー攻撃によるシステム停止や情報漏えいが発生した場合、サービスの支障や社会的信用の毀損が生じる可能性があります。専門部署を中心とした管理態勢の整備、24時間監視、CSIRT体制の構築等により、システムの安全性維持とインシデント対応力の強化に取り組んでいます。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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