タカチホ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タカチホ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

タカチホは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、観光みやげ品の卸売・小売・製造を中心としながら、温浴施設の運営やアウトドア用品の販売などを展開するレジャー産業の総合商社です。直近の業績は、主要なみやげ関連事業が好調に推移したことで、売上高および経常利益ともに前年を上回る増収増益を達成しています。


※本記事は、タカチホの有価証券報告書(第80期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月26日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. タカチホってどんな会社?


タカチホは、観光みやげ品の卸売・小売・製造を中核とし、多角的なレジャー事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1949年に長野市で高千穂ストアーとして設立し、1963年に現在のタカチホに商号を変更して観光みやげ品の総合卸商社となりました。1975年に商業施設を開設して不動産賃貸事業を始めたほか、1990年にはアウトドア用品事業、2000年には温浴施設事業を開始しています。2004年に株式を上場しました。

同社グループの従業員数は連結で218名、単体で195名です。筆頭株主は投資事業有限責任組合JAICスペシャルティファンドで、第2位は創業家出身で代表取締役社長を務める久保田一臣氏、第3位はガバナンス・パートナーズ投資事業有限責任組合となっています。

氏名 持株比率
投資事業有限責任組合JAICスペシャルティファンド 8.57%
久保田 一臣 6.75%
ガバナンス・パートナーズ投資事業有限責任組合 5.87%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は久保田一臣氏が務めており、取締役5名のうち2名が社外取締役となっています。

氏名 役職 主な経歴
久保田 一臣 代表取締役社長経営企画本部長 2008年同社入社。マーケティング部長などを経て、2017年1月より現職。
宮尾 聡 専務取締役営業本部長製造部長 1996年同社入社。マーケティング部長、営業本部長などを歴任し、2025年6月より現職。
寺島 千博 取締役管理本部長総務部長 1991年八十二銀行入行。同社執行役員経営企画部長などを経て、2023年6月より現職。


社外取締役は、湯原儀芳(元八十二銀行支店長)、山田暁子(つばき税理士法人代表社員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「みやげ卸売事業」「みやげ小売事業」「みやげ製造事業」「温浴施設事業」「不動産賃貸事業」「アウトドア用品事業」および「その他」の事業を展開しています。

みやげ卸売事業


観光みやげ品をホテルなどの宿泊施設や、JRの駅、高速道路サービスエリアのみやげ販売店などに向けて卸売を行っています。地域企業と連携した商品開発など新たな価値の提供にも取り組んでいます。
収益源は取引先へのみやげ品の販売代金です。運営は同社のほか、越後銘販をはじめとする連結子会社11社が行っています。

みやげ小売事業


複合商業施設や各地の観光地において、同社グループの直営店を出店し、みやげ品の販売を行っています。既存店舗での安定的な販売に加え、観光需要に応じた魅力ある店舗づくりを進めています。
収益源は一般消費者からの商品購入代金です。運営は同社、および連結子会社であるタカチホ・サービスが行っています。

みやげ製造事業


みやげ用の食品として、主にクッキー類などの製造を社内の工場にて行っています。物価変動に対応した適正な価格設定や、大型イベントへの製品供給などにより、効率的な生産活動を推進しています。
収益源は製造したみやげ品のグループ内外への販売代金です。運営は同社が行っています。

温浴施設事業


長野市において、天然温泉を利用したスーパー銭湯「まめじま湯ったり苑」を運営しています。熱波イベントやヨガ教室などを積極的に開催し、地域に密着したサービスで来客数の増加を図っています。
収益源は施設利用者からの入浴料や飲食代金などです。施設の運営は同社が行っています。

不動産賃貸事業


長野市において、商業施設「ショッピングタウンあおぞら」の運営を行っています。地域の消費者に向けた店舗スペースを提供し、安定したテナント管理を継続しています。
収益源はテナント企業から受け取る不動産の賃貸収入です。運営は同社が行っています。

アウトドア用品事業


長野県下の直営店において、釣具やアウトドア用品などの販売を行っています。消費者ニーズに合わせた商品構成の見直しや、値引き販売の抑制により、収益性の改善に努めています。
収益源は一般消費者からのアウトドア用品などの購入代金です。運営は同社が行っています。

その他


報告セグメントに含まれない事業として、飲食店の運営などを行っています。市場環境の変化に合わせた価格改定などを実施し、適切な事業運営に取り組んでいます。
収益源は飲食店を利用する顧客からの飲食代金などです。運営は同社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は52億円から97億円へと順調に拡大しています。利益面では、2022年3月期に赤字を計上したものの翌期には黒字へ転換し、その後も安定した利益水準を維持して成長軌道に乗っています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 52億円 73億円 80億円 85億円 97億円
経常利益 -2億円 3億円 4億円 4億円 5億円
利益率(%) -4.2% 4.5% 5.5% 5.1% 5.1%
当期利益(親会社所有者帰属) -2億円 5億円 4億円 3億円 3億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益および営業利益も順調に拡大しています。利益率も安定して推移しており、着実な収益基盤が構築されていることが読み取れます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 85億円 97億円
売上総利益 24億円 28億円
売上総利益率(%) 28.0% 28.5%
営業利益 4億円 5億円
営業利益率(%) 5.1% 5.0%


販売費及び一般管理費(当期22.7億円)のうち、給与賞与が3.9億円(構成比17%)、販売手数料が3.1億円(同14%)を占めています。売上原価(当期69.2億円)の内訳では、商品売上原価が61.4億円で構成比の89%を占め、次いで製品売上原価が4.6億円(同7%)となっています。

(3) セグメント収益


主力の観光みやげ品事業において、地域との連携や大型イベントへの商品供給が奏功し、みやげ卸売事業とみやげ製造事業が大幅な増収を牽引しました。一方で、みやげ小売事業やアウトドア用品事業は、一部店舗の契約満了による閉店の影響で減収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
みやげ卸売事業 66億円 80億円
みやげ小売事業 8億円 7億円
みやげ製造事業 2億円 3億円
温浴施設事業 3億円 3億円
不動産賃貸事業 1億円 1億円
アウトドア用品事業 4億円 2億円
その他 0.5億円 0.5億円
連結(合計) 85億円 97億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業の状態です。企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は13.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も57.9%で市場平均を上回っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 4億円 6億円
投資CF -0.6億円 -1.1億円
財務CF -2億円 -2.9億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


経営の基本方針として、「限りなき発展を目指し、社員と株主、取引先との共存共栄をはかり豊かな生活を創造し、そして社会に貢献する」という経営理念を掲げています。レジャー産業を基軸にした総合商社として常に環境の変化に対応し、新たな需要の創造と生活文化の向上に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


地域に根差した企業として、地域の魅力を発信し地域社会へ貢献する価値観を重視しています。また、「変革基盤の確立と次の成長ステージへの始動」をスローガンに掲げ、日々新たなる挑戦によって企業文化の創造と育成を図るとともに、事業構造改革や意識改革を積極的に推進する文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


資本効率や生産性の向上を目指し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益、自己資本比率を重要な指標として位置付けています。また、2027年3月期の連結業績見通しとして以下の目標を掲げています。

* 売上高:93億円
* 営業利益:5億円
* 経常利益:4.9億円
* 親会社株主に帰属する当期純利益:3.4億円

(4) 成長戦略と重点施策


「新たな商品開発スキーム×ブランディング発信×成長投資による持続的成長基盤の構築」を中期ビジョンとして掲げています。地域特化商品やIPを活用した商品開発の強化、新たな販路への営業強化を通じて収益力の向上を図ります。また、人材育成への投資やDXによる業務効率化を進め、持続的な成長基盤を確立します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「一人ひとりに活躍と成長の機会があり、活き活きと働くことができる会社」を重要な人材戦略に掲げています。年齢や性別に関わらず多様な人材が活躍できる環境を整備し、マネジメントスキルの向上によるチームビルディングや、権限委譲によるボトムアップを推進することで、主体的なキャリア開発を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 45.8歳 14.9年 5,026,612円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 3.2%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 59.0%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 78.1%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 70.9%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 景気や個人消費の動向による影響


同社グループの主要事業であるみやげ卸売・小売事業やアウトドア用品事業、温浴施設事業は一般消費者を対象としています。そのため、雇用や所得環境の変化、物価上昇に伴う消費マインドの冷え込みなど、全体的な景気や個人消費の動向によって売上が変動し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 取引先の倒産等に伴う信用リスク


観光みやげ品の卸売事業においては、与信管理規程に基づき各取引先の状況を定期的にモニタリングし、信用リスクの軽減を図っています。しかし、予期せぬ事態により取引先が倒産し、売掛金などの債権回収に支障が生じた場合には、貸倒引当金の計上等を通じて同社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(3) 固定資産における減損会計の影響


同社グループが所有する店舗や施設などの事業用資産については、固定資産の減損に係る会計基準を適用しています。事業環境の変化や市況の悪化によって店舗業績が低下し、将来のキャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合には、減損損失が発生し、業績や財政状態にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。