シモジマ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シモジマ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

シモジマは東京証券取引所プライム市場に上場する、包装資材の専門商社です。紙袋や包装紙、ポリ袋、店舗用品などを主力とし、「パッケージプラザ」のフランチャイズ展開も行っています。直近の業績は、各種チャネルでの販売が伸長し増収となりましたが、コスト増により経常利益は減益となりました。


※本記事は、株式会社シモジマ の有価証券報告書(第64期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. シモジマってどんな会社?


シモジマは、紙袋や包装紙などの包装資材を中心に、店舗用品まで幅広く取り扱う専門商社です。

(1) 会社概要


同社は1920年に包装材料卸問屋として創業し、1962年に前身となる会社を設立しました。1995年に株式を店頭登録し、2004年には東京証券取引所市場第一部に指定替えを行いました。2022年の市場区分見直しによりプライム市場へ移行しています。直近では2025年1月に北海道で衛生用品販売を行う大倉産業を完全子会社化するなど、事業基盤の強化を進めています。

同グループの従業員数は連結842名、単体634名です。筆頭株主は創業家の資産管理会社である有限会社謙友で、第2位も同様に資産管理会社の有限会社ケイエヌジェイとなっており、創業家が安定的な持株比率を維持しています。また、信託銀行や従業員持株会、取引先持株会などが主要株主に名を連ねています。

氏名 持株比率
有限会社謙友 19.71%
有限会社ケイエヌジェイ 11.07%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.25%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名(監査役含む)の計12名で構成され、女性役員比率は8.3%です。代表取締役社長は笠井義彦氏が務めています。なお、社外取締役は3名選任されており、取締役会の透明性を確保しています。

氏名 役職 主な経歴
笠井 義彦 代表取締役社長 1981年シモジマ入社。西日本営業部長、営業本部長などを歴任し、2021年4月より現職。
下島 雅幸 代表取締役副社長 1978年三和銀行入行。2005年シモジマ入社後、管理本部長、人事部長などを経て2024年8月より現職。
小野寺 仁 専務取締役上席執行役員経営企画本部長兼管理本部長 1983年シモジマ商事入社。経営企画室長、商品統括本部長などを経て2024年8月より現職。シモジマ加工紙代表取締役会長を兼任。
川原 利治 常務取締役上席執行役員営業統括本部長 1983年シモジマ商事入社。東日本営業部長、販売本部長などを経て2022年6月より現職。
大貫 学 取締役上席執行役員商品本部長 1988年シモジマ商事入社。業態開発部長、商品本部副本部長などを経て2024年4月より現職。
渡辺 昭一 取締役上席執行役員営業統括副本部長 1993年シモジマ入社。福岡営業所長、営業本部副本部長などを経て2024年6月より現職。大倉産業代表取締役会長を兼任。


社外取締役は、梅野勉(元フォルクスワーゲングループジャパン社長)、岩﨑剛幸(ムガマエ社長)、金井千尋(公認会計士事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「紙製品事業」「化成品・包装資材事業」「店舗用品事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 紙製品事業


この事業では、同社創業以来の主力商品である紙袋、包装紙、紙器などを中心に取り扱っています。主に小売店や飲食店などの事業者向けに、同社のオリジナルブランド商品や特注品を販売しています。

収益は、これらの商品の販売代金として顧客から受け取ります。既製品の販売に加え、顧客の要望に応じた特注品の受注も行っています。運営は主にシモジマが行っています。

(2) 化成品・包装資材事業


この事業では、ゴミ袋やポリ袋などの化成品、粘着テープ、食品包材、紐・リボンなどを販売しています。スーパーマーケットやコンビニエンスストア、食品加工業者などが主な顧客です。

収益は、商品の販売代金です。近年では環境配慮型商品の開発と拡販にも注力しています。運営は主にシモジマが行い、一部商品の製造は子会社の朝日樹脂工業などが担当しています。

(3) 店舗用品事業


この事業では、「店舗及びオフィスで使用するあらゆるものが揃う」をコンセプトに、事務用品、店舗備品、日用雑貨、食材、アパレル関連資材などを販売しています。

収益は、商品の販売代金です。直営店舗やフランチャイズ店「パッケージプラザ」を通じた販売のほか、インバウンド需要に対応した文具等の販売も行っています。運営はシモジマのほか、一部店舗運営を子会社の我満商店などが行っています。

(4) その他


報告セグメントに含まれない事業として、グループ内の物流業務などを行っています。

収益は、グループ会社からの物流業務受託料などが中心です。運営は主に子会社のシモジマ加工紙が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は緩やかな増加傾向にあり、直近では600億円台に乗せています。一方、利益面では経常利益率が5〜6%台で推移しており、安定した収益性を維持していますが、直近では原材料価格の高騰や円安の影響などにより、利益率がやや低下しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 471億円 481億円 550億円 578億円 607億円
経常利益 6億円 4億円 24億円 36億円 33億円
利益率(%) 1.2% 0.8% 4.3% 6.3% 5.4%
当期利益(親会社所有者帰属) -1億円 0.3億円 14億円 23億円 19億円

(2) 損益計算書


売上高は増加しましたが、売上原価の増加率が売上高の増加率を上回ったため、売上総利益率は低下しました。販売費及び一般管理費も増加しており、結果として営業利益は減益となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 578億円 607億円
売上総利益 192億円 194億円
売上総利益率(%) 33.2% 32.0%
営業利益 33億円 30億円
営業利益率(%) 5.6% 4.9%


販売費及び一般管理費のうち、給与・賞与が46億円(構成比28%)、運賃が29億円(同18%)を占めています。物流費や人件費の増加が利益を圧迫する要因となっています。

(3) セグメント収益


全てのセグメントで売上高は概ね堅調です。特に化成品・包装資材事業は環境配慮型商品の拡販などで増収となりました。店舗用品事業もインバウンド需要などで伸びています。紙製品事業は特注品が好調でしたが、全体としては微減となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
紙製品事業 102億円 100億円
化成品・包装資材事業 342億円 365億円
店舗用品事業 135億円 142億円
連結(合計) 578億円 607億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、成長投資やM&A投資を積極的に行う方針です。営業活動によるキャッシュ・フローは増加しましたが、仕入債務の減少や棚卸資産・売上債権の増加が資金減少に影響しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が主な減少要因です。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが主な減少要因となりました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 47億円 9億円
投資CF -15億円 -9億円
財務CF -7億円 -17億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「包装用品とこれに関連する事業を通じて快適な社会づくりに貢献すること」を基本理念としています。長期ビジョンとして「“パッケージ×サービス”でお客様に元気を届けるトータルパートナーを目指す」ことを掲げており、単なるモノの提供にとどまらず、サービスを掛け合わせた価値提供を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「三意精神(誠意・熱意・創意)」を行動指針としています。また、経営理念の中で「常に顧客のニーズに応え創意工夫による市場拡大に努める」「たえず経営の合理化と積極販売に努力し企業の発展を図る」「社員の楽しく健康的な生活を確保する」といった項目を掲げ、顧客、企業、従業員の調和を重視する文化を持っています。

(3) 経営計画・目標


同社は2026年3月期を最終年度とする中期経営計画を推進しています。当初の目標から修正を行い、以下の数値を目標として掲げています。

* 営業利益率:5.5%
* ROA(総資産経常利益率):8.5%
* 売上高:650億円(据え置き)

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画の達成に向け、「事業の拡大」「経営基盤の強化」「経営体制の強化」の3つの方針を掲げています。特に販売力の強化としてECサイトの商品数・会員数の拡大を進めるほか、商品力の強化として環境配慮型商品の開発・普及に注力しています。

* シモジマオンラインショップ:商品数100万SKU、会員数100万人を目指す「100万×100万プロジェクト」を推進。
* 環境配慮型商品:2030年3月期にオリジナル商品における売上比率20%を目指す。
* 投資戦略:DX投資、物流投資、人的資本投資に加え、M&Aも視野に入れる。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「従業員こそが当社の礎であり、最も重要な資源」とし、人材教育の充実に取り組んでいます。また、多様な人材が活躍できるダイバーシティの推進や、従業員エンゲージメントの向上を重要課題(マテリアリティ)として掲げており、働きがいのある職場環境の整備や中途採用の拡大を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.1歳 15.3年 5,934,000円


※平均年間給与は、税込支払給与額であり、基準外賃金及び賞与を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 4.8%
男性育児休業取得率 50.0%
男女賃金差異(全労働者) 56.7%
男女賃金差異(正規) 71.6%
男女賃金差異(非正規) 56.1%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 売上高の変動


包装資材業界は競合が多く、価格競争が激化しています。また、レジ袋有料化などの法規制により、主力商品である紙袋やレジ袋の需要環境が変化しています。同社はEC事業の拡大や環境配慮型商品の開発などにより対応していますが、これらが業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 売上原価の変動


商品の仕入価格は原紙や合成樹脂などの市況の影響を受けます。また、海外からの輸入品も多く、為替変動やカントリーリスクの影響を受ける可能性があります。同社は調達先の分散や為替予約などでリスク軽減を図っていますが、急激な変動は業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 販売費及び一般管理費の変動


物流費の上昇や、貸倒リスクの顕在化、店舗などの固定資産の減損リスクがあります。特に物流費については、物量の増加や運賃高騰によりコストが上昇する可能性があります。同社は物流効率化や適切な引当処理などで対応していますが、これらが収益を圧迫するリスクがあります。

(4) 大規模災害による影響


事業所や協力工場が地震や水害などの自然災害により被災した場合、生産、販売、配送に遅延や停止が生じる可能性があります。同社は拠点の分散やマニュアル整備などで対策を進めていますが、事業活動に支障をきたす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。