※本記事は、高速の有価証券報告書(第63期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月23日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 高速ってどんな会社?
包装資材等製造販売事業を主力とし、生活必需品である食品関連の包装資材を広く提供する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1966年に高速記録紙として設立され、1972年に食品包装資材ならびに包装機械の販売を開始しました。1975年に現在の社名に変更後、1999年の東証二部上場、2002年の東証一部上場を経て、全国に営業所を拡大してきました。近年は、同業他社や周辺領域でのM&Aを積極的に推進し、事業規模と販路の拡大を続けています。
現在の従業員数は連結で1,147名、単体で713名体制となっています。筆頭株主および第2位株主は、資産管理会社が委託した信託財産を管理する信託銀行です。第3位株主には外国法人のファンドが名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 管理信託(高速興産B号 0700207号)受託者みずほ信託銀行 | 11.21% |
| 管理信託(高速興産C号 0700208号)受託者みずほ信託銀行 | 11.21% |
| ビービーエイチ フオー フイデリテイー ロープライス ストツク フアンド | 7.31% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性3名の計12名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長執行役員は赫裕規氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 赫 裕規 | 代表取締役社長執行役員 | 2000年同社入社。2008年取締役連結事業本部長。富士パッケージ(現高速シーパック)社長等を経て、2014年より代表取締役社長。2021年より現職。 |
| 赫 高規 | 代表取締役会長 | 2000年弁護士登録。2003年同社監査役。2006年取締役副社長、2013年代表取締役副会長を経て、2015年より現職。 |
| 我妻 英樹 | 取締役専務執行役員営業部門管掌兼業務部管掌兼広域営業本部長 | 1992年同社入社。2009年取締役関東支社長。2016年専務取締役営業部門管掌等を経て、2022年より現職。 |
| 小原 純一 | 取締役専務執行役員関東支社長兼信越支社長 | 1993年同社入社。2016年取締役関東支社長兼東海・近畿支社長等を経て、2026年より現職。 |
| 小林 弘美 | 取締役常務執行役員東海・中部支社長 | 1993年同社入社。2009年取締役北東北支社長。高速マルトモ包装社長等を経て、2021年より現職。 |
| 岩澤 みゆき | 取締役常務執行役員人事部長兼総務部管掌 | 1993年同社入社。2016年取締役人事総務部長。2019年取締役人事部長等を経て、2022年より現職。 |
| 三田村 崇 | 取締役常務執行役員社長室長兼経理部長 | 2014年同社入社。2019年経理部長。2021年上席執行役員社長室長兼経理部長等を経て、2022年より現職。 |
| 佐藤 義助 | 取締役(監査等委員) | 1973年同社入社。2012年同社取締役。昌和物産代表取締役専務等を経て、2022年より現職。 |
社外取締役は、内田貴和(元内田公認会計士事務所開設)、伊東満彦(元裁判官・仙台弁護士会登録)、沼倉雅枝(元名取市代表監査委員)、大澤美穂子(クラース東京法律事務所所属)です。
2. 事業内容
同社グループは、「包装資材等製造販売事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
■(1) 包装資材等製造販売事業
食品軽包装資材や工業包装資材の製造・販売を主力としています。主な取扱商品は、トレーや弁当容器などの「食品容器」、ラップやレジ袋などの「フィルム・ラミネート」、紙器やラベルなどの「紙製品・ラベル」をはじめ、包装機械や物流資材、段ボール製品など多岐にわたります。中食市場に向けたスーパーマーケットなどの小売業を主要な顧客としています。
収益源は、顧客に対して必要な包装資材や関連機器を安定供給することによる販売代金です。特定のメーカーに偏らない幅広い調達ルートを確保し、事業の運営は同社のほか、高速シーパック、清和、日本コンテックなどの子会社群が連携して行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、右肩上がりの増収増益トレンドが継続しています。売上高は918億円から1,242億円へと順調に拡大しており、経常利益も39億円から52億円へと着実に成長しています。利益率も4.2%台で安定的に推移しており、生活必需品を扱う強みを活かして堅調な収益基盤を構築していることが伺えます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 918億円 | 989億円 | 1,062億円 | 1,159億円 | 1,242億円 |
| 経常利益 | 39億円 | 42億円 | 45億円 | 48億円 | 52億円 |
| 利益率(%) | 4.2% | 4.3% | 4.3% | 4.2% | 4.2% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 41億円 | 27億円 | 28億円 | 32億円 | 34億円 |
■(2) 損益計算書
売上高の成長に伴い、売上総利益および営業利益も順調に増加しています。売上総利益率は約20%、営業利益率は約3.9%と前期間から同水準を維持しており、原材料価格の高騰などの外部環境の変化に対しても、適切に対応し安定した利益率を確保していることが読み取れます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,159億円 | 1,242億円 |
| 売上総利益 | 230億円 | 247億円 |
| 売上総利益率(%) | 19.9% | 19.9% |
| 営業利益 | 45億円 | 49億円 |
| 営業利益率(%) | 3.9% | 3.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が57億円(構成比29%)と最も大きく、次いで運賃及び荷造費が23億円(同12%)、賞与引当金繰入額が13億円(同7%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は包装資材等製造販売事業の単一セグメントですが、商品グループ別に見ると、主力である食品容器やフィルム・ラミネート製品を中心に全般的に堅調な売上成長を示しています。観光需要の回復などによる中食市場の拡大が追い風となり、機械・設備資材や段ボール製品などでも前年を上回る実績を計上しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 食品容器 | 488億円 | 530億円 |
| フィルム・ラミネート | 243億円 | 260億円 |
| 紙製品・ラベル | 139億円 | 144億円 |
| 機械・設備資材・消耗材 | 211億円 | 228億円 |
| 段ボール製品 | 57億円 | 61億円 |
| その他 | 21億円 | 18億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業で得たキャッシュを投資と財務(借入返済や株主還元など)に振り向ける、健全型のキャッシュ・フロー構造となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 10億円 | 25億円 |
| 投資CF | -25億円 | -43億円 |
| 財務CF | -9億円 | -18億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は67.3%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「人間性、個性を尊重し、信頼し合い、助け合う集団であり社会にとって有用な企業であり続けたい」という理念を掲げています。包装を通してすべてのステークホルダーに「高速ファン」を増やし、社会にとって有用な「グッドカンパニー(Good company)」を目指すことを中長期的なビジョンとして位置づけています。
■(2) 企業文化
企業倫理と法令遵守を経営の最重要課題の一つと位置づけ、コンプライアンスを重視する企業風土の醸成に努めています。また、社員一人ひとりが働きがいと成長を実感できる職場環境づくりを重視しており、人材を企業成長の根幹と位置づける「人への投資」を大切にする文化が根付いています。
■(3) 経営計画・目標
2035年度までの中長期経営計画「2026-2035」において、以下の定量目標を掲げて経営を行っています。
・売上高:2,000億円+α
・営業利益:80億円+α
・連続増配:32期
・10年間の1株当たり配当総額:1,380円+α
■(4) 成長戦略と重点施策
顧客満足度の向上や新商品拡販といった「コツコツ型成長のための継続・基本施策」に加えて、重点領域の拡大やM&Aの推進、シナジー最大化などの「チャレンジ施策」に取り組んでいます。
・本部・営業支援部門の強化
・DX等による業務改善・事務改善活動の推進
・人材育成・働き方改革の推進
・新ビジネス・新商品開発への挑戦
・新規顧客の開拓・深耕活動の徹底
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人材を企業成長の根幹と位置付け、「人への投資」を強化しています。社員一人ひとりが個性を活かし継続して成長することが、組織としての持続的成長につながるという考えから、若手や管理職などを対象とした階層別研修や資格取得の支援を実施し、多様な人材が活躍できる社内環境の整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 39.0歳 | 10.6年 | 6,032,887円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 2.0% |
| 男性育児休業取得率 | 62.5% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 60.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 67.7% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 72.7% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原材料価格変動のリスク
原油価格等の変動に伴うトレーなど包装資材メーカーの出荷価格の変動は、同社の売上総利益に直接的な影響を与えます。これに対し同社は、特定のメーカーに偏らない幅広い品揃えの中から代替品を提案し、顧客に丁寧に状況を説明することで利益低下の防止に努めています。
■(2) 自然災害等によるリスク
大規模な地震や豪雨などの自然災害が発生した場合、原材料調達や物流に遅延・混乱が生じるリスクがあります。同社は仕入先と協同して事業継続計画(BCP)を策定するとともに、基幹情報システムのクラウド化やデータの二重化バックアップを行い、有事の際にも事業を継続できる体制を整備しています。
■(3) M&Aに対するリスク
業容拡大を目指して積極的なM&Aを実施していますが、統合プロセス等により期待したシナジー効果が十分に発揮されないリスクがあります。同社は買収対象を包装資材等関連事業に限定し、M&A後も十分な独立性を持たせた運営を行うことで、このリスクを低減しています。
■(4) 異業種・メーカーの参入リスク
顧客からの多様なニーズを背景に、メーカーの直販や異業種からの卸売業への参入による競争激化のリスクがあります。同社は、特定のメーカーに偏らない幅広い調達ルートの確保や、包装資材に関する専門知識および特有の物流ノウハウを有することで、顧客にとって不可欠な存在としての地位向上を図っています。



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