高速 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

高速 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム市場に上場する食品軽包装資材の専門商社です。食品容器やフィルム等の包装資材を主力とし、全国的な営業ネットワークを展開しています。直近の業績は、販売数量の増加や価格転嫁の進展により、売上高は10期連続、各利益段階でも過去最高を更新するなど、増収増益の好調なトレンドを維持しています。


※本記事は、株式会社高速 の有価証券報告書(第62期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 高速ってどんな会社?


食品軽包装資材の専門商社として、食品容器やフィルム等をスーパーや食品加工業者向けに提供しています。

(1) 会社概要


同社は1966年に記録紙の製造販売を目的として設立され、1975年に現商号へ変更しました。2002年に東京証券取引所市場第一部へ指定替えを行い、2022年の市場区分見直しに伴いプライム市場へ移行しました。全国への営業所開設やM&Aを積極的に推進し、事業基盤を拡大しています。

現在、連結従業員数は1,120名(単体701名)の体制です。筆頭株主は資産管理信託を行っている信託銀行(信託口)で、第2位も同様の信託口となっており、安定的な株主構成となっています。

氏名 持株比率
管理信託(高速興産B号株式会社 0700207号)受託者みずほ信託銀行株式会社 11.26%
管理信託(高速興産C号株式会社 0700208号)受託者みずほ信託銀行株式会社 11.26%
ビービーエイチ フオー フイデリテイー ロープライス ストツク フアンド 8.10%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性3名の計12名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長執行役員は赫 裕規氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
赫 裕規 代表取締役社長執行役員 2000年同社入社。業務部長、連結事業本部長、専務取締役等を経て、2014年より現職。
赫 高規 代表取締役会長 弁護士。2003年同社監査役、2006年取締役副社長を経て、2015年より現職。
我妻 英樹 取締役専務執行役員 1992年同社入社。関東支社長、営業部門管掌等を歴任し、2022年より現職。
小原 純一 取締役専務執行役員 1993年同社入社。北東北支社長、東海・近畿支社長等を歴任し、2024年より現職。
小林 弘美 取締役常務執行役員 1993年同社入社。宮城支社長、関係会社社長等を歴任し、2021年より現職。
岩澤 みゆき 取締役常務執行役員 1993年同社入社。人事総務部長、上席執行役員等を経て、2022年より現職。
三田村 崇 取締役常務執行役員 2014年同社入社。経理部長、社長室長等を経て、2022年より現職。
佐藤 義助 取締役(監査等委員) 1973年同社入社。執行役員、関係会社代表取締役専務等を経て、2022年より現職。


社外取締役は、内田 貴和(公認会計士・税理士)、伊東 満彦(弁護士)、沼倉 雅枝(公認会計士・税理士)、大澤 美穂子(弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「包装資材等製造販売事業」の単一セグメントで事業を展開しています。

**包装資材等製造販売事業**
同社グループは、食品軽包装資材を中心に、工業包装資材や物流資材などの製造および販売を行っています。取扱商品は、食品トレー、弁当容器、ラミネートフィルム、シール・ラベル、段ボール、包装機械など多岐にわたります。主な顧客は、スーパーマーケット、食品加工業者、コンビニエンスストアなどの流通・小売業界です。

収益は、顧客への商品販売代金として受け取ります。商社機能に加え、一部の子会社では製造機能も有しています。運営は、同社を中心に、印刷紙器やラベルを製造する高速シーパック、茶関連包装資材を扱う清和、物流資材を販売する日本コンテック、合成樹脂製品を製造するプラス包装システム、段ボール製造の常磐パッケージなどが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの5期間において、売上高は着実な右肩上がりを続けています。経常利益と当期純利益も増加傾向にあり、特に直近の2025年3月期は売上高・利益ともに過去最高水準に達しています。利益率も4%台で安定的に推移しており、堅実な成長軌道を描いています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 865億円 918億円 989億円 1,062億円 1,159億円
経常利益 35億円 39億円 42億円 45億円 48億円
利益率(%) 4.1% 4.2% 4.3% 4.3% 4.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 24億円 27億円 30億円 31億円 35億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を見ると、売上高の拡大に伴い、売上総利益および営業利益が増加しています。原価率や販管費率は大きな変動なく推移しており、売上規模の拡大がそのまま利益増につながる効率的な収益構造を維持していることが読み取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,062億円 1,159億円
売上総利益 209億円 230億円
売上総利益率(%) 19.7% 19.9%
営業利益 42億円 45億円
営業利益率(%) 4.0% 3.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が54億円(構成比29%)、運賃及び荷造費が30億円(同16%)を占めています。また、売上原価は929億円で、売上高に対する構成比は80%となっています。

(3) セグメント収益


同社は「包装資材等製造販売事業」の単一セグメントであるため、セグメントごとの比較情報は割愛します。全体として、食品容器やフィルム・ラミネート等の主力製品群が好調に推移し、増収を牽引しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
包装資材等製造販売事業 1,062億円 1,159億円
連結(合計) 1,062億円 1,159億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、包装資材等製造販売事業において、売上高・利益ともに過去最高を更新する好調な業績を達成しました。営業活動による資金は増加しましたが、設備投資等への積極的な投資により、投資活動による資金は減少しました。財務活動による資金も減少しましたが、全体としては安定した資金繰りを維持しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 46億円 10億円
投資CF -16億円 -25億円
財務CF -11億円 -9億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、長期経営ビジョンとして「包装を通して、すべてのステークホルダーに『高速ファン』を増やし、社会にとって有用な『グッドカンパニー』を目指す」ことを掲げています。マーケット、得意先、取引先、株主、地域社会、従業員とその家族に対し、それぞれの価値を提供し続けることを経営の基本方針としています。

(2) 経営計画・目標


2026年2月の創業60周年に向けた中長期経営計画の第2フェーズ(2021~2025年度)を推進中です。既存ビジネスの成長により、以下の数値目標達成を目指すとともに、プラスアルファの取り組みでさらなる積み上げを図るとしています。

* 売上高:1,000億円(達成済み)
* 経常利益:40億円(達成済み)

(3) 成長戦略と重点施策


中長期的な売上・利益拡大に向け、本部・営業支援部門の強化、DXによる業務改善、人材育成、新ビジネス・新商品開発への挑戦、新規顧客開拓の徹底、グループシナジーの発揮を重要課題としています。食品軽包装資材という生活必需品を扱う強みを活かしつつ、中食市場の拡大需要を取り込み、全国展開やM&Aも活用しながら持続的な成長を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材育成を最も重要な経営課題の一つと位置づけ、社員一人ひとりが個性を活かし継続して成長できる環境づくりを目指しています。若手や管理職向けの階層別研修や資格取得支援を行い、働きがいのある企業づくりを通じて従業員満足度とエンゲージメントの向上に努めています。また、多様性を尊重し、自分らしく活躍できる職場環境の整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.2歳 10.4年 5,746,785円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 2.0%
男性育児休業取得率 9.1%
男女賃金差異(全労働者) 59.2%
男女賃金差異(正規) 68.3%
男女賃金差異(非正規) 70.8%

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 原材料価格変動のリスク


原油価格等の変動に伴う包装資材メーカーの出荷価格変動は、卸売業である同社グループの売上総利益に直接的な影響を与えます。顧客への十分な説明や代替品の提案を行うことで利益低下の防止に努めていますが、価格転嫁が遅れた場合などは業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 自然災害等による事業継続リスク


大規模な地震等の自然災害が発生した場合、経営成績に影響を受ける可能性があります。特に基幹情報システムは高度に集中化されていますが、データセンターのバックアップ体制構築や、仕入先と協同したBCP策定などにより、資材供給の継続と早期復旧が可能な体制を整備しています。

(3) M&Aに伴うリスク


業容拡大のために積極的なM&Aを実施していますが、対象企業の事業統合が計画通りに進まない場合や、想定したシナジー効果が得られない可能性があります。M&Aにあたっては包装資材関連事業に限定するなどの原則を設けていますが、これらが円滑に進捗しない場合、グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。