※本記事は、テンアライド株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
テンアライドは、外食産業を主軸に、多様な飲食店ブランドを展開しています。旬鮮酒場天狗や和食れすとらん天狗など7業態の店舗を経営し、食を通して「驚き」と「感動」を提供しています。
単体従業員数は261名、連結従業員数も261名です。同社グループの事業セグメントは単一です。
主な国内グループ会社は、テンワールドトレーディング(酒類等の輸入販売)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
テンアライドは、外食産業において「食を通して『驚き』と『感動』を」という企業理念のもと、持続可能な社会の発展と企業価値向上を目指しています。同社グループは「人」を原動力と捉え、多様な顧客層に対応できる「多能工型人財」の育成や「自律型リーダー」の輩出に注力しています。従業員満足を重視し、企業文化の改革や多様性の推進にも積極的に取り組んでいることが特徴です。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、従業員の定着とキャリア形成を重視する傾向が見られます。平均勤続年数は比較的長く、幅広い年代の従業員が活躍していることがうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 6,158,000円 |
| 平均勤続年数 | 13.5年 |
| 平均年齢 | 42.0歳 |
| 単体従業員数 | 261人 |
| 連結従業員数 | 261人 |
| 単体のグループ内比率 | 100.0% |
同社及び連結子会社は、確定給付型の退職一時金制度を設けています。この制度は給与や勤続年数に応じて給付額が決まるものです。国内グループ会社を対象としています。
なお、退職一時金制度はありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
退職給付債務は8.6億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
テンアライドは、「総合フードサービス業への進化」と「収益基盤の強化」を実現する上で「人」を最も重要な原動力と位置づけています。従来の居酒屋モデルから食堂・レストラン業態への転換を加速させるため、多様な顧客層に対応できる「多能工型人財」の育成を最優先課題としています。また、「顧客満足は従業員満足から」という信念に基づき、店舗を最小の経営単位と捉え、自律的な意思決定ができる「自律型リーダー」の輩出に向けた教育投資を強化しています。
従業員の報酬については、「役割と成果に応じた公正な評価」と「生産性向上の成果の適切な還元」を基本方針としています。評価は店舗営業利益の達成度やQSC(品質・サービス・清潔さ)の向上といった指標を重視し、職務に応じた透明性の高い評価制度を運用しています。給与体系は、職務に応じた基本給に加えて、業績への貢献度を反映した賞与や手当を組み合わせた成果連動型報酬制度を構築しています。特に店長などの責任者層には、収益改善の成果を報酬に直接反映させることで、経営意識の醸成と主体的な店舗運営を促進しています。さらに、DX推進による業務効率化で創出された付加価値は、ベースアップや各種手当として従業員に還元し、労働生産性の向上とエンゲージメント向上を両立させる好循環を目指しています。
同社は2014年より企業文化の改革に取り組んでおり、「企業理念」「人財育成」「働きやすさ」「多様性の推進」を軸に新たな施策を進めています。創業50年を機に、従業員のエンパワーメントと自律・成長を目的として会社組織を「フラット型組織」に移行しました。
具体的な取り組みとしては、外国籍人財の育成強化として外部講師による日本語教育プログラムを導入し、特定技能2号資格の取得支援も行っています。また、パート・アルバイトから正社員への積極的な登用を推進し、即戦力となる人財の確保とエンゲージメント向上を図っています。新入社員から管理職層までの各階層に応じた体系的な研修プログラムを実施しており、特に店長などの責任者層に対しては経営意識の醸成を目的とした研修を強化しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合 | 9.4% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(全労働者) | 61.5% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(正規雇用労働者) | 63.3% |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(パート・有期労働者) | 97.0% |
多様性・登用
人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いています。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2026年3月期目標 | 2030年3月期目標 |
|---|---|---|---|
| 管理的地位にあるに占める女性労働者の割合(%) | 9.4 | 15.0 | 20.0 |
| 労働者に占める障害者雇用の割合(%) | 2.2 | 2.7 | 3.0 |
| 労働者に占める外国人労働者の割合(%) | 32.3 | 30.0 | 40.0 |
| 労働者の男女の賃金の額の差異(%) | 61.5 | 60.0 | 70.0 |
育児・介護支援
人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いています。
| 項目 | 2026年3月期実績 | 2026年3月期目標 | 2030年3月期目標 |
|---|---|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率(%) | 100.0 | 50.0 | 100.0 |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
テンアライドは、外食産業を主軸に事業を展開する同社グループです。多様な業態の飲食店経営を通じて、顧客に「食」の体験を提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、テンアライドと連結子会社であるテンワールドトレーディングの計2社で構成されています。事業は飲食店の経営を営む外食産業とその補完的事業であり、単一のセグメントとしています。
同社は、「旬鮮酒場天狗」、「和食れすとらん天狗」、「テング酒場」、「神田屋」、「てんぐ大ホール」、「ミートキッチンlog50」、「湊や磯吉食堂」の7業態の店舗を展開し、外食産業を営んでいます。連結子会社のテンワールドトレーディングは、酒類や食料品等の輸入販売を行っています。収益は主に直営店舗での飲食提供から得ており、フランチャイズ店舗向け売上や店舗外売上も存在します。国内での事業展開が中心であり、海外の外部顧客への売上高や有形固定資産はありません。また、特定の主要な顧客に売上が集中している状況もありません。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの売上高は、直近5年間で緩やかな増加傾向を示しています。しかし、利益面では変動が見られ、前期は黒字を確保していたものの、当期は営業損失、経常損失、親会社株主に帰属する当期純損失を計上する結果となりました。
これは、原材料費や人件費の高騰が利益を圧迫したことに加え、特別損失として減損損失やリース解約損失が増加したことが、純損失に大きく影響しています。一方で、営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを維持しており、本業での資金創出力は継続している状況です。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 48.2億円 | 94.9億円 | 111億円 | 119億円 | 121億円 |
| 経常利益 | △2.9億円 | △8.6億円 | 1.7億円 | 2.3億円 | △1.2億円 |
| 経常利益率 | △6.0% | △9.1% | 1.5% | 1.9% | △1.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | △3.4億円 | △11.5億円 | 28百万円 | 1.5億円 | △4.6億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | △12.34 | △39.14 | 0.83 | 3.91 | △11.61 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたり売上高は、前期からわずかに増加する傾向にあります。これは、売上高の増加と従業員数の変化が影響していると考えられます。
一方で、従業員1人あたり営業利益は、前期のプラスから当期はマイナスに転じています。これは、原材料費や人件費の高騰、減損損失などの影響により、利益率が低下したことが要因となっており、組織全体の効率性や収益体質を評価する上で重要な情報となります。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 46.1百万円 | 46.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 0.9百万円 | △0.5百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
テンアライドグループの財務状況は、現在の経営環境を反映した結果となっています。資金の流れを見ると、事業活動による資金創出はあったものの、投資活動による支出が上回る状況を示しています。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
テンアライドグループの自己資本比率は、非製造業のプライム市場平均と比較して高い水準にあります。しかし、ROE(自己資本利益率)は当期にマイナスとなっており、前期から大きく変化しています。手元資金である現金及び預金は減少傾向を示しており、財務基盤の状況は雇用や給与の安定性を検討する上で重要な要素となります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 28.9億円 | 27.4億円 |
| 自己資本比率 | 38.3% | 40.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 5.2% | -16.4% |
| 現金及び預金 | 33.0億円 | 25.7億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
テンアライドグループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期に49百万円の増加となりました。これは税金等調整前当期純損失による支出があったものの、減価償却費や減損損失による収入が多額であったことによるものです。投資活動によるキャッシュフローは、有形固定資産の取得による支出が主な要因で、3億4百万円のマイナスとなっています。その結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは、当期にマイナスに転じています。財務活動によるキャッシュフローは、株式の発行による収入があった一方で、短期借入金の減少や配当金の支払額により、4億79百万円のマイナスとなりました。これらの資金の流れは、同社グループが事業の維持・拡大のために資金を投じている状況を示しており、今後の雇用や給与の安定性を判断する上で注目すべき点となります。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 2.9億円 | 49百万円 |
| 投資CF | △2.0億円 | △3.0億円 |
| 財務CF | △7.2億円 | △4.8億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 97百万円 | △2.6億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの売上は、景気の後退や競合店の出店、自然災害などにより計画を下回る可能性があります。また、食材の調達においては、鳥インフルエンザ等の発生や天候不順、経済情勢の変化に伴う仕入価格の上昇、調達困難となるリスクが挙げられています。
③ 人材・組織に関するリスク
外食産業は人手不足による人件費の高騰に直面しており、同社グループにおいても必要とする人材が十分に確保できない場合、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
テンアライドは「食を通して『驚き』と『感動』を」という企業理念のもと、お客様への「四つの誓い」を行動指針としています。お客様に最高の体験を提供することを目指し、常に挑戦し続ける企業文化を育んでいます。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
テンアライドの企業理念は「食を通して『驚き』と『感動』を」です。ご来店いただいたお客様が感じる「驚き」と「感動」が、同社グループの企業価値を決定する重要な要素であると考えています。
この理念に基づき、「良いものを安く、早く、清潔に、最高の雰囲気で」という「お客様への四つの誓い」を行動指針および基本理念としています。社会の変化に対応し、「自ら挑み続けた本物」のみが生き残れるという考えのもと、常に挑戦を続けています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは「顧客満足は従業員満足から」という理念を掲げ、継続的な企業価値向上を目指し、企業文化の改革に取り組んでいます。この改革は「企業理念」「人財育成」「働きやすさ」「多様性の推進」を軸に進められています。
人的資本経営においては「人財の成長」が経営理念の源泉であると捉え、社員一人ひとりのエンパワーメントと自律・成長を目的として「フラット型組織」へ移行しました。また、2014年からは「男女」「年代」「国籍」「障害者雇用」「個人」の5つの多様性を掲げ、制度や受け入れ体制、環境整備を推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
外食産業における厳しい経営環境が続く中、同社グループは複数の課題に対処しています。具体的には、小型店舗の新規出店促進や、既存の大型店舗における複数ブランド展開による小型店舗化に取り組んでいます。
また、既存店舗の業態転換を進めることで収益構造の改善を図り、テーブルオーダーシステム等のIT機器整備による業務改善にも注力しています。生産者・取引業者との連携強化による安定した食材調達や、プライベートブランド商品の拡大、セントラルキッチンでの開発強化を通じた小売りルート開拓も進めています。
さらに、従業員の雇用維持を前提とした経営の安定化、人材確保と教育システムの確立、店舗の作業システム改善といった諸施策にも取り組んでいます。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
テンアライドでは、取締役会と監査役会が連携し、経営の透明性と公正性を確保する体制を構築しています。社外取締役や社外監査役を積極的に登用することで、多角的な視点からの監督・監査を強化しています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の筆頭株主は飯田永太氏であり、複数の飯田姓の個人株主が上位に名を連ねています。また、株式会社岡永や株式会社永幸といった関連会社も主要株主として名を連ねており、創業家およびその関連グループが同社の資本構成において一定の影響力を持つことがうかがえます。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 飯田 永太 | 9.41% |
| 岡永 | 3.61% |
| 山内 薫 | 3.49% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は10名(男性8名・女性2名)で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は飯田健太氏が務めています。社外取締役比率は28.6%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 飯田 健太 | 代表取締役社長 | サッポロビール入社後、2012年に同社に入社。執行役員、取締役、常務取締役を経て、2025年6月より代表取締役社長に就任。 |
| 飯田 永太 | 代表取締役会長 | 東京海上火災保険を経て1978年に同社入社。取締役、代表取締役社長を歴任し、2025年6月より代表取締役会長に就任。 |
| 芳澤 聡 | 専務取締役管理本部長 兼経営企画室長 兼海外戦略室長 | 1996年に同社入社。執行役員、取締役、常務取締役を経て、2025年6月より専務取締役管理本部長兼経営企画室長兼海外戦略室長に就任。 |
| 藤岡 慶 | 常務取締役 マーケティング本部長 兼店舗開発本部長 | 1999年に同社入社。執行役員、取締役を経て、2025年6月より常務取締役マーケティング本部長兼店舗開発本部長に就任。 |
| 吉田 守 | 取締役 関東セントラルキッチン所長 | 1993年に同社入社。執行役員、取締役を歴任し、2025年6月より取締役関東セントラルキッチン所長に就任。 |
社外取締役は、宗宮英恵氏(のぞみ総合法律事務所弁護士)、細見真智子氏(マクロミルCFOオフィス室長)です。
同社は監査役会設置会社であり、監査役3名のうち2名が社外監査役です。社外取締役の選任により、取締役の業務執行に対する監督機能の強化と経営の透明性向上を図っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、固定報酬としての基本報酬と業績連動報酬で構成されています。社外取締役に対しては、その職務に鑑み基本報酬のみを支払う方針です。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 6名 | 85百万円 | 14.2百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 7百万円 | 7.0百万円 |
| 社外役員 | 4名 | 13百万円 | 3.2百万円 |
上記の取締役の支給額の他に使用人兼務取締役の使用人分給与が13,012千円あります。
連結報酬等の総額が1億円以上の役員は存在しないため、個人別の開示は行われていません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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