テンアライド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

テンアライド 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の外食チェーン企業です。居酒屋「天狗」「テング酒場」、大衆食堂「てんぐ大ホール」などを首都圏中心に展開しています。直近の業績は、新規出店や業態転換、経済活動の回復により増収となり、営業損益および最終損益ともに黒字化を達成しています。


※本記事は、テンアライド株式会社 の有価証券報告書(第56期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

記事タイトル:テンアライド転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

1. テンアライドってどんな会社?


居酒屋「天狗」グループを展開する外食企業です。首都圏を中心に、居酒屋や食堂など多業態の店舗を運営しています。

(1) 会社概要


1969年に設立し、東京・池袋に居酒屋「天狗」1号店を開店しました。1995年には東証一部へ上場を果たし、全国的なチェーン展開を推進しました。近年は、2021年に大衆食堂「てんぐ大ホール」を開始するなど業態の多角化を進めています。2022年の市場区分見直しにより、現在は東証スタンダード市場に上場しています。

同社の従業員数は連結で258名、単体で257名です。大株主については、筆頭株主は会長の飯田永太氏で、第2位は酒類卸売業を営む事業会社、第3位は個人株主となっています。創業家および関連する個人・法人が上位を占めています。

氏名 持株比率
飯田 永太 9.71%
岡永 3.70%
山内 薫 3.62%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性2名、計10名で構成され、女性役員比率は20.0%です。代表取締役社長は飯田健太氏が務めています。社外取締役比率は20.0%です。

氏名 役職 主な経歴
飯田 健太 代表取締役社長 2007年サッポロビール入社。2012年同社入社後、商品本部長などを経て2025年より現職。
飯田 永太 代表取締役会長 1976年東京海上火災保険入社。1978年同社入社。1988年社長就任を経て2025年より現職。
芳澤 聡 専務取締役管理本部長兼経営企画室長兼海外戦略室長 1996年同社入社。人事部長、管理本部長などを歴任し、2025年より現職。
藤岡 慶 常務取締役マーケティング本部長兼店舗開発本部長 1999年同社入社。和食営業企画部長などを経て、2025年より現職。
吉田 守 取締役関東セントラルキッチン所長 1993年同社入社。仕入部長などを歴任し、2025年より現職。


社外取締役は、宗宮英恵(のぞみ総合法律事務所弁護士)、細見真智子(株式会社マイクロミルCFOオフィス室長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「飲食店経営関連」セグメントおよび「その他」事業を展開しています。

(1) 飲食店経営関連


「旬鮮酒場天狗」「テング酒場」「神田屋」「てんぐ大ホール」などのブランドで、居酒屋や食堂等の直営店舗運営を行っています。一般消費者を主な顧客とし、首都圏を中心に店舗網を構築しています。また、連結子会社を通じて酒類・食料品等の輸入販売も行っています。

主な収益は、店舗に来店する顧客からの飲食代金です。また、一部フランチャイズ店舗からのロイヤリティ収入や、店舗外での外販収入も含まれます。運営は主に同社が行い、酒類等の輸入業務の一部を子会社のテンワールドトレーディングが担っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高はコロナ禍の影響を受けた時期から回復傾向にあり、最新期では119億円まで伸長しています。利益面では、過去の赤字計上から回復し、直近2期は経常黒字および最終黒字を確保しています。利益率も改善傾向にあります。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 60億円 48億円 95億円 111億円 119億円
経常利益 -46.0億円 -2.9億円 -8.6億円 1.7億円 2.3億円
利益率(%) -77.2% -6.0% -9.1% 1.5% 1.9%
当期利益(親会社所有者帰属) -51.6億円 -3.4億円 -11.4億円 0.3億円 1.5億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も拡大しています。直近の期間では営業利益率が前年比で改善しており、本業の収益性が向上していることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 111億円 119億円
売上総利益 80億円 85億円
売上総利益率(%) 71.4% 71.6%
営業利益 1.7億円 2.3億円
営業利益率(%) 1.5% 2.0%


販売費及び一般管理費のうち、雑給が25億円(構成比30%)、地代家賃が16億円(同19%)を占めています。

(3) セグメント収益


同社は単一セグメントですが、売上高は前期比で増加しています。新規出店や業態転換による来客数の増加に加え、経済活動の正常化に伴う既存店売上の回復が寄与しました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
飲食店経営関連 111億円 119億円
連結(合計) 111億円 119億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

同社は、営業活動により資金を創出し、投資活動で事業基盤を強化し、財務活動で資金調達と返済のバランスを取ることで、健全な財務体質を維持しています。

営業活動では、本業で得た利益が資金増加に貢献しました。投資活動では、将来の成長に向けた設備投資を行いました。財務活動では、借入金の返済や配当金の支払いなどを行いました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 3.0億円 2.9億円
投資CF -1.9億円 -2.0億円
財務CF 4.2億円 -7.2億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、来店客に「驚き」と「感動」を提供することを企業価値の源泉と考えています。その実現のため、「良いものを安く、早く、清潔に、最高の雰囲気で」という「お客様への四つの誓い」を行動指針および基本理念として掲げています。

(2) 企業文化


社会環境の変化により顧客の選択が厳しさを増す中、「自ら挑み続けた本物」のみが生き残るという価値観を重視しています。基本理念である「お客様への四つの誓い」に常に立ち返り、謙虚に顧客の声に応え続ける姿勢を大切にする文化があります。

(3) 経営目標


株主への利益還元を重要課題と位置づけ、1株当たり当期純利益と株主資本利益率(ROE)の増加、およびキャッシュ・フローの増加を経営指標の目標として掲げています。具体的な数値目標の記載はありません。

(4) 成長戦略と重点施策


厳しい経営環境に対応するため、小型店舗の新規出店促進や既存店の小型化・複数ブランド展開に取り組んでいます。また、テーブルオーダーシステムの導入等による業務効率化、セントラルキッチンの活用による外販強化、PB商品の拡大などを推進し、収益性の高い事業構造の構築を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「顧客満足は従業員満足から」という理念のもと、従業員の自律と成長を促すフラット型組織への移行を進めています。対話型のコミュニケーションや研修制度を通じ、個々のスキルと個性を活かした適材適所の配置を行うことで、人材の質的向上と企業文化の革新を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 42.0歳 14.4年 5,762,000円


※平均年間給与は基準外賃金を含めています。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 9.4%
男性労働者の育児休業取得率 66.7%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 58.9%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 60.1%
労働者の男女の賃金の差異(パート・有期) 94.1%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、労働者に占める障害者雇用の割合(2.0%)、労働者に占める外国人労働者の割合(27.7%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 売上の変動


景気後退や自然災害、感染症、競合との競争激化、出店計画の遅れなどが生じた場合、計画を下回る売上となり、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 食材調達


鳥インフルエンザの発生や天候不順、異常気象による農産物の不作、海洋汚染などが生じた場合、食材価格の高騰や調達困難な状況が発生し、業績に影響を与える可能性があります。

(3) 衛生管理


食中毒等の事故が発生した場合、営業停止や許可取消等の処分を受ける可能性があり、業績や社会的信用に影響を及ぼすリスクがあります。衛生管理体制を強化していますが、完全な回避は困難です。

(4) 人材確保


外食産業における人手不足や人件費高騰が続く中、必要な人材を十分に確保できない場合、店舗運営や事業展開に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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