クレディセゾン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

クレディセゾン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所(プライム市場)に上場。主要事業はペイメント、リース、ファイナンス、不動産関連、グローバル、エンタテインメント等。当期はペイメント事業やグローバル事業が伸長し、売上収益は4,228億円と増収でしたが、貸倒関連費用の増加等により親会社所有者帰属当期利益は664億円の減益となりました。


※本記事は、株式会社クレディセゾン の有価証券報告書(第75期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. クレディセゾンってどんな会社?


クレジットカード事業を中核に、金融、不動産、グローバル事業などを多角的に展開する総合生活サービスグループです。

(1) 会社概要


1951年に緑屋として設立され、1982年に西武カード(現セゾンカード)の発行を開始しました。2006年にはセゾン投信を設立し、資産形成分野へ参入。その後、2019年にシンガポールへSaison Capital Pte. Ltd.を設立してグローバル事業を本格化させ、2023年にはスルガ銀行へ資本参加するなど、事業領域を拡大しています。

連結従業員数は6,450名、単体では3,624名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位も同様に信託銀行です。第3位のスルガ銀行は、同社と資本業務提携契約を締結しており、不動産ファイナンスやクレジットカード事業などで協業関係にあります。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 25.37%
日本カストディ銀行(信託口) 10.13%
スルガ銀行 5.46%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性2名の計15名で構成され、女性役員比率は13.3%です。代表者は代表取締役(兼)社長執行役員COOの水野克己氏です。社外取締役比率は26.7%です。

氏名 役職 主な経歴
林野 宏 代表取締役会長CEO 1965年西武百貨店入社。1982年同社入社。2000年代表取締役社長を経て、2019年3月より現職。
水野 克己 代表取締役(兼)社長執行役員COO 1992年同社入社。営業企画部長、海外事業部長、ペイメント事業部長などを歴任し、2021年3月より現職。
髙橋 直樹 代表取締役(兼)副社長執行役員CHO 1974年富士銀行入行。みずほコーポレート銀行常務執行役員を経て2005年同社入社。2020年3月より現職。
小野 和俊 取締役(兼)専務執行役員CDO(兼)CTO 1999年サン・マイクロシステムズ入社。アプレッソ代表取締役社長などを経て2019年同社入社。2023年3月より現職。
森 航介 取締役(兼)専務執行役員 2000年日本興業銀行入行。フィルモア・アドバイザリー社長を経て2013年同社入社。グローバル事業部長などを経て2022年6月より現職。
中山 直喜 取締役(兼)常務執行役員 1989年清水建設入社。モルガン・スタンレー証券などを経て2014年同社入社。ファイナンス事業部長などを経て2023年6月より現職。
足利 駿二 取締役(兼)常務執行役員 1994年ユーシーカード入社。2006年同社入社。セゾンAMEX事業部長などを経て、2024年6月より現職。
加藤 広亮 取締役 1989年日本生命保険入社。ボストン・コンサルティング・グループなどを経て、2023年6月よりスルガ銀行代表取締役社長。同年7月より現職。


社外取締役は、富樫直記(TG Partners代表)、横倉仁(弁護士・公認会計士)、坂口英治(シービーアールイー会長兼CEO)、干場弓子(干場弓子事務所代表)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ペイメント事業」「リース事業」「ファイナンス事業」「不動産関連事業」「グローバル事業」「エンタテインメント事業」を展開しています。

(1) ペイメント事業


クレジットカード事業およびサービサー(債権回収)事業等を行っています。個人や法人向けにクレジットカードを発行し、決済サービスを提供するほか、多様な提携先との連携を通じて会員基盤を拡大しています。

収益は、カード会員からの年会費やリボ払い手数料、加盟店からの決済手数料等から構成されます。運営は主にクレディセゾンが行っているほか、セゾンファンデックス、セゾン債権回収、セゾン投信などが関連業務を担っています。

(2) リース事業


事業者向けにOA通信機器や厨房機器などを中心としたリース事業を行っています。顧客の設備投資計画に合わせてファイナンスリースやメンテナンス付きリースなどを提供しています。

収益は、顧客から受け取るリース料収入等です。運営は主にクレディセゾンが行っています。

(3) ファイナンス事業


信用保証事業およびファイナンス関連事業を行っています。地域金融機関等と提携した個人向けローンの保証業務や、「フラット35」などの住宅ローン事業、資産形成ローンなどを展開しています。

収益は、提携金融機関からの保証料や、顧客からのローン利息等です。運営は主にクレディセゾンおよびセゾンファンデックスが行っています。

(4) 不動産関連事業


不動産事業、不動産賃貸事業およびサービサー(債権回収)事業等を行っています。実需向け不動産の販売や、保有不動産の賃貸などを行っています。

収益は、不動産の販売代金や賃貸料収入等です。運営は主にセゾンリアルティやセゾンファンデックスなどが行っています。

(5) グローバル事業


インド・東南アジア・ラテンアメリカ地域において、レンディング(貸付)事業およびインベストメント(投資)事業を行っています。アンダーサーブド層(金融サービスが十分に行き届いていない層)を対象とした金融サービスを提供しています。

収益は、貸付金利息や投資収益等です。運営は、Saison International Pte. Ltd.(シンガポール)、Kisetsu Saison Finance (India) Pvt. Ltd.(インド)などの現地法人が行っています。

(6) エンタテインメント事業


アミューズメント事業等を行っています。遊技場の運営などを通じて、地域に支持される店舗作りを行っています。

収益は、遊技場における顧客からの利用料等です。運営は主にコンチェルトやイープラスが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上収益は毎期順調に増加しており、成長基調にあります。利益面では、2024年3月期まで増加傾向にありましたが、2025年3月期は税引前利益および当期利益が減少しました。全体としては増収傾向を維持しつつ、利益水準も高いレベルを保っています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 2,826億円 2,990億円 3,226億円 3,616億円 4,228億円
税引前利益 509億円 499億円 610億円 980億円 928億円
利益率(%) 18.0% 16.7% 18.9% 27.1% 21.9%
当期利益(親会社所有者帰属) 361億円 354億円 436億円 730億円 664億円

(2) 損益計算書


売上収益は前期比で増加しています。IFRS適用のため売上総利益や営業利益の表示はありませんが、収益の拡大に伴いコストも増加しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上収益 3,616億円 4,228億円


販売費及び一般管理費・金融資産の減損のうち、支払手数料が826億円(構成比27%)、従業員給付費用が589億円(同19%)、金融資産の減損(貸倒関連費用含む)が433億円(同14%)、広告宣伝費が354億円(同12%)を占めています。

(3) セグメント収益


各セグメントともに増収となりました。特にグローバル事業は大幅な増収増益を達成し、成長を牽引しています。ペイメント事業やファイナンス事業も堅調に推移し増益となりましたが、不動産関連事業は前期の反動減等により微減益となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
ペイメント事業 2,352億円 2,560億円 193億円 303億円 11.8%
リース事業 125億円 133億円 44億円 41億円 30.8%
ファイナンス事業 585億円 694億円 283億円 387億円 55.8%
不動産関連事業 239億円 283億円 164億円 163億円 57.5%
グローバル事業 272億円 515億円 25億円 34億円 6.6%
エンタテインメント事業 63億円 67億円 11億円 14億円 21.3%
その他 - - - - -%
調整額 -22億円 -24億円 1億円 -6億円 -%
連結(合計) 3,616億円 4,228億円 719億円 936億円 22.1%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


本業は赤字だが、将来成長のため借入で投資を継続する「勝負型(事業拡大に伴う資産増加)」です。
なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に営業債権及びその他の債権の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -2,134億円 -2,492億円
投資CF -858億円 -153億円
財務CF 2,467億円 2,973億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.4%で市場平均とほぼ同じである一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は12.3%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「サービス先端企業」を経営理念に掲げています。これは、独自のノウハウや経営資源を活かし、顧客の期待に応える付加価値の高いサービスを提供し続けることで、競争に打ち勝ち、社会的責任を果たしていくという決意を表しています。

(2) 企業文化


「サービス先端企業」としての理念を実現するために、「顧客満足主義の実践」「取引先との相互利益の尊重」「創造的革新の社風創り」の3点を共通の価値観として掲げています。これらを全社員に浸透させ、既成概念にとらわれない革新的なサービスの創造を目指す風土があります。

(3) 経営計画・目標


中期経営ビジョンとして「GLOBAL NEO FINANCE COMPANY」を掲げ、2027年3月期に向けて以下の数値目標を設定しています。

* 連結事業利益:1,000億円
* 親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE):10%超

(4) 成長戦略と重点施策


「Innovative」「Digital」「Global」を基本コンセプトに、総合生活サービスグループへの転換を目指しています。具体的には、ペイメント事業におけるDX推進による効率化と顧客体験の向上、ファイナンス事業の多角化と新規市場開拓、グローバル事業の「第三の柱」としての拡大を推進します。特にインドなどの成長市場での事業拡大に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人」を価値創造の源泉と捉え、プロフェッショナル人材の創出とパフォーマンスを最大化する組織風土の醸成を掲げています。全社員が挑戦できる「オープンチャレンジ」等の社内公募制度や、専門性を高める「セゾンの学び」等の育成プログラムを充実させ、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 44.1歳 14.9年 6,029,414円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 25.1%
男性育児休業取得率 66.7%
男女賃金差異(全労働者) 68.8%
男女賃金差異(正規雇用) 69.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 76.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、デジタル人材(491名)、一人当たりの人材育成投資額(17.8万円)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境などの変化による影響


日本国内だけでなく、インド、東南アジア、ラテンアメリカ地域で事業を展開しているため、各国の経済変動、為替相場、政治情勢、法令規制の変更などが業績に影響を与える可能性があります。特に新興国市場における規制の不透明性や変更は、事業継続のリスク要因となり得ます。

(2) 他社との競争による影響


ペイメント事業は、異業種からの参入やコード決済等の普及により競争が激化しています。また、ファイナンス事業やグローバル事業においても、多数の金融機関やFintech企業との競争環境にあります。競争力の低下は収益性に影響を及ぼす可能性があります。

(3) システムリスク


事業運営においてコンピュータシステムや通信ネットワークに大きく依存しており、システム障害や通信回線の不具合、サイバー攻撃等による機能不全が発生した場合、業務の停止や遅延、顧客対応の混乱を招き、社会的信用の毀損や損害賠償の発生につながる可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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1951年に創業したカード会社、クレディセゾンへの転職。2600万人以上の会員を擁し、現在はリース事業などにも進出しています。中途採用では、これまでに培った仕事のスキルや成果のほか、即戦力になるか、一緒に働く仲間としてどうかなどを多角的に評価されます。事前にしっかり対策しておきましょう。