ゼビオホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ゼビオホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム市場に上場するゼビオホールディングスは、スポーツ用品の小売を主力とし、スーパースポーツゼビオやヴィクトリア、ゴルフパートナーなどの専門店を展開しています。直近の業績は、売上高が前年比で微増となったものの、営業利益等は減益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は赤字に転じています。


※本記事は、ゼビオホールディングス株式会社の有価証券報告書(第54期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ゼビオホールディングスってどんな会社?


スポーツ用品・用具および衣料の小売事業を中心に、全国で大型専門店やゴルフ専門店を展開する企業です。

(1) 会社概要


1973年にサンスーツとして設立され、1979年にサンキョウに商号変更後、初の大型店を開店しました。1987年にゼビオへ商号変更し、1990年に東京証券取引所市場第二部へ上場、1995年に市場第一部へ指定替えされました。その後、ヴィクトリアやゴルフパートナーを子会社化して事業を拡大し、2015年に純粋持株会社体制へ移行しています。

同社グループは、連結従業員数2,446名、単体従業員数6名体制で事業を運営しています。大株主については、筆頭株主がサンビックで、第2位は諸橋近代美術館、第3位はティー・ティー・シーとなっており、上位には法人が名を連ねています。

氏名 持株比率
サンビック 19.94%
諸橋近代美術館 10.87%
ティー・ティー・シー 9.96%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役は諸橋友良氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
諸橋友良 代表取締役 1994年同社入社。スポーツ事業本部商品三部長や営業本部長などを経て、2003年より現職。
北澤猛 取締役 トーメン、豊田通商を経て2007年に同社へ出向し執行役員に就任。2008年より現職。
藤澤剛 取締役 三井物産を経て、2018年同社執行役員兼ヴィクトリア代表取締役社長に就任。2024年より現職。


社外取締役は、岩本保(元味の素代表取締役副社長執行役員)、住田智子(フューチャー執行役員)、篠原倫太郎(森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「一般小売事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 一般小売事業


スポーツ大型専門店やゴルフ専門店、カジュアル衣料の店舗展開を行っており、主に一般消費者を顧客としています。具体的には、「スーパースポーツゼビオ」「ヴィクトリア」「ゴルフパートナー」などのブランドで全国に店舗網を構築し、多様なスポーツ用品やアパレル商品を提供しています。

収益源は、店頭およびオンラインにおけるスポーツ用品等の販売代金です。事業の運営は、ゼビオ、ヴィクトリア、ゴルフパートナーなどの主要な連結子会社が担っており、各社がそれぞれの業態の特色を活かしたオムニチャネル戦略や商品展開を進めています。

(2) その他事業


一般小売事業を補完し、スポーツの活性化に寄与する周辺事業として、スポーツマーケティング事業やクレジットカード事業、WEBサイト運営事業などを展開しています。スポーツやレジャーを通じた新しい価値の提案を行っています。

収益源は、マーケティング支援に伴う受託料やクレジットカード利用に伴う各種手数料、EC事業の販売代金などです。これらの事業運営は、クロススポーツマーケティングやゼビオカード、ゼビオコミュニケーションネットワークスなどの子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は安定して増加傾向にありますが、経常利益は変動が大きく、直近では減益となっています。市場環境の変化やコスト増の影響を受けており、収益性の改善に向けた取り組みが課題となっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2233億円 2393億円 2424億円 2506億円 2523億円
経常利益 79億円 92億円 54億円 76億円 47億円
利益率(%) 3.5% 3.9% 2.2% 3.0% 1.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 35億円 38億円 32億円 0.4億円 8.3億円

(2) 損益計算書


直近2期間の比較では、売上高は微増したものの、売上総利益および営業利益は減少しています。売価訴求の実施や商品評価損の増加などが影響し、利益率が低下する結果となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2506億円 2523億円
売上総利益 977億円 951億円
売上総利益率(%) 39.0% 37.7%
営業利益 70億円 24億円
営業利益率(%) 2.8% 0.9%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当等が272億円(構成比29%)、賃借料が200億円(同22%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力である一般競技スポーツ・シューズは堅調に推移しましたが、暖冬の影響でウインタースポーツやスポーツアパレルが減少しました。ゴルフやアウトドアも前年並みにとどまっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
ウインタースポーツ 85億円 72億円
ゴルフ 808億円 802億円
一般競技スポーツ・シューズ 855億円 894億円
スポーツアパレル 294億円 282億円
アウトドア・その他 313億円 313億円
その他 151億円 159億円
連結(合計) 2506億円 2523億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業のパターンです。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 121億円 97億円
投資CF -96億円 -113億円
財務CF -75億円 -33億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-1.8%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は57.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「お客様第一主義」に基づき、公正な競争原理のもとで良質な人材、資金、組織を作ることで、お客様や株主、取引先、従業員とともに成長し、社会に貢献することを経営理念としています。また、スポーツやファッション商品を通じて最高の商品価値とショッピングの楽しさを提供し、「オンリーワン」企業になることを基本方針として掲げています。

(2) 企業文化


グループ各社の企業カルチャーを尊重しつつ、専門スキルとビジネス感覚を備えた人材の育成を重視しています。「こころを動かすスポーツ。」「スポーツの国をつくろう。」というステートメントの実現に向け、従業員一人ひとりが主体的に価値創造に関わる組織を目指すなど、現場主導の自律的な行動を重んじる文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


スポーツ用品小売市場の持続的成長を前提に、市場変化に対応するための成長投資と事業基盤の整備、および株主還元の強化を進めています。株主資本コストに見合うROEの維持向上を目標として掲げ、資本コストや株価を意識した経営の実現を目指して各種の施策を推進しています。

(4) 成長戦略と重点施策


中長期的な社会構造の変化に対応するため、既存事業の改革と成長戦略の実行を並行して進めています。国内小売事業では各業態の強みを活かした店舗の再配置やオムニチャネル戦略を進化させ、海外事業では東南アジアでのゴルフ事業拡大を図ります。また、業務標準化や共同仕入れによる調達機能の集約を通じた収益性向上にも取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人的資本を重要な経営資本と位置づけ、店舗従業員を「スポーツナビゲーター」と定義して専門知識や提案力を重視しています。販売力や接客力の強化と現場自律型組織の構築をテーマに掲げ、多様な人材が能力を最大限に発揮できるよう、社内公募制度「出る杭制度」の導入やキャリア採用の拡大など、環境整備を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 57.2歳 7.3年 8,682,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.4%
男性育児休業取得率 47.4%
男女賃金差異(全労働者) 75.2%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 69.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 88.5%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性店長比率(10.8%)、キャリア採用比率(59.3%)、一人当たり年間教育研修時間(13時間)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 経済環境や人口減少による市場縮小


国内景気や個人消費の動向が悪化した場合、小売事業やクレジットカード事業の業績に影響が及ぶ可能性があります。また、少子化に伴う人口減少により、将来にわたってスポーツ市場そのものが縮小し、中長期的な業績に影響を与える懸念があります。

(2) 天候不順や異常気象による需要変動


近年の異常な気温上昇や降雪の減少、ゲリラ豪雨などの想定外の天候要因は、ゴルフやキャンプ、ウィンタースポーツなどのレジャー用品の使用機会を減少させます。これに伴い、関連商品や衣料品の消費動向が変化し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 販売現場における専門人材の確保


事業の成長には、販売現場で接客や用品加工に携わる「スポーツナビゲーター」の安定的な確保が重要です。スポーツに携わることに喜びを感じる専門人材の採用や育成が想定通りに進まない場合、店舗運営や接客品質が低下し、業績に影響を与えるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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