ゼビオホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ゼビオホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場。スポーツ用品・用具及び衣料を中心とした一般小売事業を主たる事業として展開しています。当連結会計年度の業績は、売上高が2,506億円で増収、経常利益は76億円で増益となりましたが、特別損失の計上等により親会社株主に帰属する当期純利益は減益となりました。


※本記事は、ゼビオホールディングス株式会社 の有価証券報告書(第53期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ゼビオホールディングスってどんな会社?

スポーツ大型専門店「スーパースポーツゼビオ」やゴルフ専門店等を全国展開する、一般小売事業を主力とする企業グループです。

(1) 会社概要

1973年に株式会社サンスーツとして設立され、1987年にゼビオへ商号変更しました。1995年に東京証券取引所市場第一部へ指定替えを行い、2005年にヴィクトリア、2008年にゴルフパートナーを子会社化して事業を拡大しました。2015年には純粋持株会社体制へ移行し、現商号に変更しています。

同グループの連結従業員数は2,485名、単体では7名です。筆頭株主は創業家資産管理会社の有限会社サンビックで、第2位は公益財団法人諸橋近代美術館、第3位は有限会社ティー・ティー・シーと、創業家および関連団体が上位を占めています。

氏名 持株比率
有限会社サンビック 19.84%
公益財団法人諸橋近代美術館 10.82%
有限会社ティー・ティー・シー 9.91%

(2) 経営陣

同社の役員は男性8名、女性1名の計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役は諸橋友良氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
諸橋 友良 代表取締役 1994年入社。スポーツ事業本部商品三部長、執行役員営業本部スポーツ事業部副部長等を経て、2002年常務取締役営業本部長。2003年2月より現職。
北澤 猛 取締役 トーメン(現豊田通商)入社。同社繊維原料部長、豊田通商生活産業・資材企画部を経て、2007年同社出向執行役員。2008年6月より現職。
藤澤 剛 取締役 三井物産入社。同社コンシューマーサービス本部西日本CS事業部長等を経て、2018年同社執行役員兼ヴィクトリア代表取締役社長。2024年6月より現職。


社外取締役は、岩本保(元味の素代表取締役副社長)、住田智子(フューチャー執行役員)、篠原倫太郎(弁護士)です。

2. 事業内容

同社グループは、「一般小売事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 一般小売事業(スポーツ・ファッション等)

スポーツ大型専門店「スーパースポーツゼビオ」、ゴルフ専門店「ヴィクトリアゴルフ」「ゴルフパートナー」、アウトドア専門店「エルブレス」等を展開しています。一般消費者向けにスポーツ用品、用具、衣料を提供しています。

商品の販売代金が主な収益源です。運営は、ゼビオ、ヴィクトリア、ゴルフパートナーなどの連結子会社が行っています。また、独自ファッションを展開する「X'tyle」やスポーツメガネ専門店なども含まれます。

(2) その他事業

スポーツマーケティング、Webサイト運営、海外事業などを展開しています。スポーツの活性化やマーケティング支援、商品開発、EC事業などを行っています。

マーケティングエージェント事業はクロススポーツマーケティング、EC事業はゼビオコミュニケーションネットワークス、海外業務やR&D業務はクロステックスポーツなどの子会社が運営しています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間の業績を見ると、売上高は緩やかな増加傾向にあり、2,500億円規模に達しています。利益面では、2023年3月期に高い水準を記録しましたが、その後は変動が見られ、当期は経常利益が増加したものの、減損損失等の計上により当期利益は減少しました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,024億円 2,233億円 2,393億円 2,424億円 2,506億円
経常利益 43億円 79億円 92億円 54億円 76億円
利益率(%) 2.1% 3.5% 3.9% 2.2% 3.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 25億円 35億円 38億円 32億円 0.4億円

(2) 損益計算書

売上高は前期比で増加し、売上総利益率も改善しました。販売費及び一般管理費も増加しましたが、増収効果により営業利益は大幅に増加しました。一方、特別損失の増加により税引前利益は減少し、最終的な当期純利益は減少しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,424億円 2,506億円
売上総利益 929億円 977億円
売上総利益率(%) 38.3% 39.0%
営業利益 42億円 70億円
営業利益率(%) 1.7% 2.8%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当等が263億円(構成比29.0%)、賃借料が192億円(同21.2%)を占めています。

(3) セグメント収益

各部門の売上高を見ると、一般競技スポーツ・シューズ部門やウィンタースポーツ部門が増収となり全体を牽引しました。一方で、ゴルフ部門やアウトドア・その他部門は前年を下回りました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
ウィンタースポーツ 81億円 85億円
ゴルフ 823億円 808億円
一般競技スポーツ・シューズ 787億円 855億円
スポーツアパレル 283億円 294億円
アウトドア・その他 315億円 313億円
その他 134億円 151億円
連結(合計) 2,424億円 2,506億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ゼビオホールディングスは、営業活動で得た資金を積極的に活用し、事業基盤強化に努めています。当連結会計年度では、営業活動によるキャッシュ・フローは大幅に増加し、事業の好調さを示しました。一方で、将来の成長に向けた設備投資や事業拡大のための投資活動による支出は増加しました。また、株主還元や財務基盤の安定化に向けた財務活動による支出も見られました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 43億円 121億円
投資CF -80億円 -96億円
財務CF -41億円 -75億円

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

「お客様第一主義」に基づき、良質な人材、資金、組織を作ることで、お客様、株主、取引先、従業員とともに成長し、社会に貢献することを経営理念としています。「スポーツの新しい価値」の提案と創造に努め、中長期的に企業価値を高めることを目指しています。

(2) 企業文化

グループ各社の企業カルチャーを尊重しつつ、専門スキルとビジネス感覚を備えた人材を育成することで、各事業が競争優位性を確保することを目指しています。最高の商品価値とショッピングの楽しさを提供し、「オンリーワン」企業になることを基本方針としています。

(3) 経営計画・目標

中核事業の収益性と生産性の観点から、EBITDA、平均運転資本、坪当たり売上高、およびROE(自己資本利益率)を重要な経営指標として注目しています。株主資本コストに見合うROEの維持向上を目指し、資本効率を意識した経営を推進しています。

(4) 成長戦略と重点施策

既存のスポーツ小売事業のモデル刷新を最重要課題とし、マーケティング発想起点の店舗・商品構成への修正やOMO戦略によるリアルとオンラインの融合を進めています。また、グループ内の機能集約によるコスト競争力強化や、海外事業として東南アジアにおけるゴルフ事業の拡大にも取り組んでいます。

* EBITDA:125億円
* 坪当たり売上高:1,225千円
* ROE:0.8%

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

人材を価値創造の源泉と位置づけ、専門知識や販売スキルを備えた外部人材の確保と、経験・ノウハウの伝承による育成を強化しています。多様な人材の活躍に向け、年齢や属性に関わらず実力ある人材を登用する社内公募制度「出る杭制度」などを導入しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 56.4歳 6.3年 8,516,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 7.7%
男性育児休業取得率 47.4%
男女賃金差異(全労働者) 74.1%
男女賃金差異(正規雇用) 71.6%
男女賃金差異(非正規) 89.1%


※上記数値は主要子会社であるゼビオ株式会社のものです。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性店長比率(8%)、キャリア採用比率(56%)、一人当たり年間教育研修時間(13時間)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 国内の経済環境・社会情勢

国内景気や個人消費の動向により業績が影響を受ける可能性があります。スポーツ・レジャーは生活必需品ではないため、景気後退時には販売不振やクレジットカード事業の貸倒れリスクが増加する恐れがあります。また、少子化による人口減少は市場縮小につながる懸念があります。

(2) 天候不順や異常気象

異常な気温上昇、降雪不足、ゲリラ豪雨などの天候要因は、ウィンタースポーツやアウトドア用品の使用機会減少、衣料品の消費動向に直接影響を与え、業績の変動要因となります。

(3) 人材の確保

店舗での販売や加工作業を担う専門知識を持った人材(スポーツナビゲーター)の安定的確保が成長には不可欠です。人材確保が想定通り進まない場合、サービス品質の低下や事業運営に支障をきたす可能性があります。

(4) サプライチェーン

取扱商品の多くは海外工場で生産されているため、生産国の政治情勢、テロ、大規模災害などにより物流や生産が寸断された場合、商品調達が困難となり業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。