オートバックスセブン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

オートバックスセブン 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場し、カー用品等の卸売・小売、車検・整備、車販売等を手掛ける企業です。直近の業績は、売上高が2801億円、経常利益が146億円と増収増益の好調なトレンドにあります。店舗網の拡充と新規事業により、モビリティライフのインフラ構築をグローバルに目指しています。


※本記事は、株式会社オートバックスセブンの有価証券報告書(第79期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. オートバックスセブンってどんな会社?


モビリティ領域でカー用品販売や車検・整備、車販売等を行う専門チェーンを展開しています。

(1) 会社概要


1947年に末廣商會として創業し、1974年にオートバックス第1号店を大阪府に出店しました。1989年に大阪証券取引所第二部(当時)に上場し、1991年には台湾に海外1号店を出店して海外進出を開始しました。近年はEV関連やディーラー事業を手掛ける企業のM&Aを推進し、モビリティ領域での事業を拡大しています。

従業員数は連結で5617名、単体で820名です。大株主については、筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位は関連する持株会社です。第3位には公益財団法人が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 11.12%
スミノホールディングス 5.40%
在宅医療助成勇美記念財団 5.08%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長オートバックスチェン本部長は堀井勇吾氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
堀井勇吾 代表取締役社長オートバックスチェン本部長 1995年同社入社。法務部長、執行役員内部統制担当、常務執行役員海外事業担当などを経て、2023年より現職。
藤原伸一 専務取締役マーケティング管掌 1984年同社入社。チェン戦略担当、マーケティング担当、営業統括などを経て、2026年より現職。
西川征宏 常務取締役車流通管掌 1984年同社入社。西日本販売代表取締役社長、南日本事業部長、営業統括などを歴任し、2026年より現職。


社外取締役は、松田洋祐(元スクウェア・エニックス・ホールディングス社長)、鴨居達哉(元アビームコンサルティング社長)、小泉正己(元ユナイテッドアローズ専務)、金丸絢子(大江橋法律事務所パートナー)です。

2. 事業内容


同社グループは、「オートバックス事業」「コンシューマ事業」「ホールセール事業」「拡張事業」およびその他の事業を展開しています。

(1) オートバックス事業


国内フランチャイズ加盟法人に対してタイヤ・ホイールおよびカーエレクトロニクス等、カー用品等の卸売を行っています。また、国内外の一般消費者に対して、カー用品等の販売および取付サービス、車検・整備、板金・塗装ならびに車販売を提供しています。

収益源は加盟法人からの卸売代金や一般消費者からの商品・サービス代金です。運営は親会社である同社のほか、オートバックス西日本販売やオートバックス関東販売などの連結子会社が行っています。

(2) コンシューマ事業


オートバックス事業以外の小売りとして、一般消費者に対してタイヤを中心としたカー用品等の販売や車販売を行っています。また、自社サイトおよび公式アプリを通じて、実店舗と連携しカー用品等の提供を行っています。さらに法人顧客に対する車検や整備も担います。

収益源は一般消費者や法人顧客からの商品・サービス代金です。運営はオトロンカーズ、東葛ホールディングス、ビーラインなどの連結子会社が担い、それぞれの専門領域で事業を展開しています。

(3) ホールセール事業


主に国内外のホームセンター等の小売業者に対して、カー用品等の卸売や輸出販売を行っています。また、ライフスタイルブランドをはじめとするプライベートブランド等の卸売も手掛け、販売チャネルの多様化を図っています。

収益源は小売業者や海外の販売代理店からの卸売代金です。運営は親会社である同社のほか、ホットスタッフコーポレーションやゴードンミラー、ならびに海外の各現地法人などの連結子会社が行っています。

(4) 拡張事業


クレジット関連事業、保険代理店、国内フランチャイズ加盟店における個別信用購入あっせんおよび提携カードの発行を行うほか、同加盟法人等に対する備品等のリースを行っています。また不動産関連のデベロップメント事業や次世代マイクロモビリティも取り扱います。

収益源はリース料や金融サービスに係る手数料、不動産賃貸収入などです。運営はオートバックスフィナンシャルサービスやオートバックス・マネジメントサービスなどの連結子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去3期間の連結業績を見ると、売上高は2299億円から2801億円へと着実に増加しています。利益面でも、経常利益が81億円から146億円へと伸長しており、利益率も改善傾向にあります。M&Aなどの成長投資が奏功し、増収増益基調が続いています。

項目 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2299億円 2495億円 2801億円
経常利益 81億円 125億円 146億円
利益率(%) 3.5% 5.0% 5.2%
当期利益(親会社所有者帰属) 12億円 65億円 73億円

(2) 損益計算書


売上高の増加に伴い、売上総利益も884億円から1001億円へと増加しています。売上総利益率は約35%台を安定して維持しており、営業利益率も4.9%と同水準を確保しています。成長に伴うコスト増加を吸収し、本業の収益力を保っています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2495億円 2801億円
売上総利益 884億円 1001億円
売上総利益率(%) 35.4% 35.8%
営業利益 121億円 138億円
営業利益率(%) 4.9% 4.9%


販売費及び一般管理費のうち、従業員給料手当が328億円(構成比38.0%)、地代家賃が60億円(同7.0%)、減価償却費が59億円(同6.8%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のオートバックス事業は堅調に推移し、コンシューマ事業はM&Aの効果により売上と利益が大幅に伸長しました。ホールセール事業は売上が微減したものの利益は改善し、拡張事業も増収増益を果たしています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
オートバックス事業 1921億円 1988億円 221億円 224億円 11.3%
コンシューマ事業 290億円 526億円 -8億円 5億円 1.0%
ホールセール事業 245億円 239億円 5億円 9億円 3.8%
拡張事業 39億円 47億円 5億円 8億円 17.0%
連結(合計) 2495億円 2801億円 121億円 138億円 4.9%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 39億円 146億円
投資CF -180億円 -232億円
財務CF 140億円 -27億円


企業の収益力を測るROEは6.2%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は56.8%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「社会の交通の安全とお客様の豊かな人生の実現」をパーパスに掲げています。クルマをはじめとしたモビリティに関わるさまざまな社会課題を解決し、モビリティ社会を支えるインフラとして、人とモビリティが調和する持続可能な社会の実現を目指しています。

(2) 企業文化


提供する商品・サービスを通じて、人とクルマが共存できる持続可能な社会の構築に取り組む文化があります。従業員が一丸となって社会課題の解決に取り組むことで、持続可能な開発目標の達成に貢献し、多様な人材が活躍できる企業風土づくりを重視しています。

(3) 経営計画・目標


2024中期経営計画「Accelerating Towards Excellence」および長期ビジョン「Beyond AUTOBACS Vision 2032」を推進し、以下の目標を掲げています。

* 2027年3月期目標:売上高3000億円
* 2027年3月期目標:営業利益150億円
* 2032年度目標:連結売上高5000億円

(4) 成長戦略と重点施策


お客様にとっての「モビリティライフのインフラ」をグローバルで目指すという方向性のもと、従来のカー用品のワンストップサービスから、モビリティの課題全般を解決できるワンストップソリューションの実現に向けて取り組んでいます。既存事業の深化と新たな成長領域への展開により提供価値の向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人的資本の最大化」「イノベーションを創出する組織の変革」「戦略的な人員配置」を人事中期方針として掲げています。多様な人材の採用・登用を通じて組織に異なる視点をもたらし、事業環境の変化に対応して高付加価値を創出できる専門領域やデータ・AI領域の人材育成を推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 45.8歳 16.3年 7,237,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.1%
男性育児休業取得率 63.2%
男女賃金差異(全労働者) 58.3%
男女賃金差異(正規雇用) 77.1%
男女賃金差異(非正規雇用) 50.4%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、社員いきいき度(2.7)、データ・AI人材教育受講者数(212名)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 国内市場環境の変動リスク


国内外の情勢変化に伴う商品調達への影響や為替変動、日本経済の悪化、個人消費の低迷などが営業成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、M&Aによる拠点拡大や高付加価値サービスの強化、商品開発の強化などに努めています。

(2) 自動車関連の技術革新リスク


運転支援機能や自動運転、電気自動車の普及などに伴い、販売する交換部品の需要や市場規模が変化する可能性があります。この技術進化に伴う顧客ニーズの多様化に対応するため、メーカーとの協業や電気自動車市場への参入、特定整備認証の取得などを推進しています。

(3) M&A及び事業ポートフォリオ変革に伴うリスク


事業ポートフォリオの変革に向けた企業買収や資本提携において、統合や協業が計画通りに進まない場合、期待したシナジー効果が得られない可能性があります。これに対しては、徹底したデューデリジェンスの実施や統合活動の推進によりリスク低減を図っています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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