※本記事は、株式会社ベリテの有価証券報告書(第82期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ベリテってどんな会社?
宝飾品の小売・卸売販売を主力とし、多様なブランドや業態で全国に専門店を展開している企業です。
■(1) 会社概要
1948年に大久保時計店として設立され、時計・眼鏡・宝飾品の小売販売を開始しました。1991年に東京証券取引所市場第二部に上場し、2005年に現在のベリテへ商号変更しています。その後、ピアス専門店「MiMiKaZaRi」などの新業態出店を進め、2025年9月にはセンコーグループホールディングスが親会社となりました。
同社は単体で505名の従業員を抱える事業体制をとっています。筆頭株主は親会社であり物流事業を展開するセンコーグループホールディングスで、第2位は証券業務を行うJPモルガン証券です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| センコーグループホールディングス | 50.18% |
| JPモルガン証券 | 1.53% |
| オーエイ | 1.26% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長CEOはジャベリ・アルパン・キルティクマール氏が務めており、社外取締役の比率は40.0%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| ジャベリ・アルパン・キルティクマール | 代表取締役社長CEO代表取締役 | 1997年ディミンコ・ジャパン入社。2008年ベリテ取締役営業統括本部長、2012年同社パンドラ事業部長等を経て、2014年10月より現職。 |
| 鈴木 勇 | 取締役副社長 | 2000年ドウシシャ入社。2009年ベリテ入社。同社マーケティング本部や販売促進部の部長を歴任し、2025年6月より現職。 |
| 雛元 克彦 | 取締役 | 1982年旭化成工業(現旭化成)入社。センコー国際物流本部部長やセンコーグループホールディングス商事・貿易事業担当付部長等を経て、2025年12月より現職。 |
社外取締役は、井川秀典(ギルソングループコンサルタント)、ヴィスメイ・ロヒット・バンカリア(オーナメンテーション工場長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「宝飾事業」の単一セグメントで事業を展開しています。
宝飾品や貴金属等の小売販売および卸売販売を行っています。全国で専門店チェーンを展開し、お客様のライフイベントに寄り添い、店舗での接客を通じて価値ある体験を提供する宝飾小売業として、ダイヤモンド、指輪、ネックレス、装身具などのジュエリーを広く消費者に提供しています。
収益源は、一般消費者への宝飾品や貴金属の販売代金です。店舗での対面販売を中心に、商品開発から接客、販売までを一貫して行うことで収益を確保しています。事業の運営は、報告会社であるベリテが単独で行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績を見ると、売上高は73億円から94億円へと順調な拡大傾向が続いています。一方で経常利益は8億円から9億円台で推移したのち、当期は7億円に減少しており、利益率は11%台から7.0%へと低下しています。売上成長を確保しつつも、コスト増や環境変化による利益水準への影響が見られる状況です。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 73億円 | 76億円 | 76億円 | 79億円 | 94億円 |
| 経常利益 | 8億円 | 9億円 | 8億円 | 9億円 | 7億円 |
| 利益率(%) | 11.1% | 12.1% | 10.9% | 11.6% | 7.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 5億円 | 5億円 | 5億円 | 6億円 | 3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高が79億円から94億円へと増加する一方、売上総利益率は69.2%から66.3%へ低下しています。これに伴い、営業利益も9億円から7億円に減少し、営業利益率も11.0%から7.4%へと低下しており、収益性の改善が課題となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 79億円 | 94億円 |
| 売上総利益 | 55億円 | 63億円 |
| 売上総利益率(%) | 69.2% | 66.3% |
| 営業利益 | 9億円 | 7億円 |
| 営業利益率(%) | 11.0% | 7.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給与・手当が22億円(構成比39%)、地代家賃が11億円(同20%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は宝飾事業の単一セグメントであるため、全社の売上高がそのままセグメント売上高となります。当期は個人消費の緩やかな増加傾向や、顧客ニーズを捉えた魅力的な商品の開発などが奏功し、売上高は前期から大きく伸長しました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 宝飾事業 | 79億円 | 94億円 |
| 連結(合計) | 79億円 | 94億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、営業で稼いだ資金と借入等の調達資金を組み合わせて、成長に向けた積極的な投資を行っている「積極型」の状況です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 4億円 | 12億円 |
| 投資CF | -0.4億円 | -2億円 |
| 財務CF | -5億円 | 1億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.4%で市場平均を上回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も49.7%で市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
経営ヴィジョン「Diversity with Brilliance」を掲げ、ジュエリーチェーンのパイオニアとしての誇るべきDNAをベースに多様化を推進しています。変化し続ける社会情勢、競合環境、顧客ニーズなど、あらゆるリスクにフレキシブルに対応可能な多面的な魅力を備えた事業体を目指すことを経営の基本方針としています。
■(2) 企業文化
同社は、人材、ブランド、チャネル、業態、エリアの多様化を推進する文化を重視しています。一人ひとりの人格や個性を尊重し、性別や国籍などにとらわれない多様な人材の活躍を支える環境づくりに注力することで、お客様の多様な価値観や購買行動に柔軟に対応できる組織風土を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
経営指標として、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、店舗数、お客様数、お客様単価を重要な指標と位置づけ、目標の達成に努めています。これらの数値を継続的にモニタリングし、市場の変化に即応した付加価値の創出により、収益力の強化と持続的な企業価値の向上を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
コーポレート・ビジョンを忠実に推進し、持続的な成長を遂げるために、商品開発力の強化、接客技術の向上、コーポレート・ガバナンス強化の3つを重点課題としています。時代とともに変化する購買傾向に即した商品の開発と、お客様にご満足いただける質の高い接客技術の強化を推進し、さらなる企業価値の最大化を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
多様な人材の活躍を支える人材基盤の強化、接客・商品提案力を支える人材育成、意欲と能力を発揮できる社内環境の整備、競争力ある処遇制度の運用の4つを基本方針としています。宝飾品に関する深い知識と接客技術を高水準で維持するため、研修プログラムの充実やパート社員の正社員登用などにも積極的に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 38.3歳 | 6.9年 | 3,432,608円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 70.9% |
| 男性育児休業取得率 | 0.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 60.9% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 66.1% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 28.9% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 為替変動による仕入コスト上昇
ダイヤモンドおよび貴金属類の原材料については、その大部分を海外からの輸入に依存しています。そのため、外国為替相場の変動が同社の仕入コストを押し上げる可能性があり、コスト上昇分を適切に吸収できない場合には業績に影響を及ぼすリスクがあります。
■(2) 店舗賃貸借契約および保証金回収
新規出店の際、法人または個人と賃貸借契約を締結し、営業保証金や敷金を支払っています。賃貸人が破綻等の危機に陥り、契約の継続が困難になった場合や、営業保証金等の回収が困難になった場合には、同社の業績および財務状況に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 販売員の確保と育成
宝飾小売業において、質の高い接客力を備えた販売員の確保・育成は重要課題です。同社は採用活動を適時行うとともに専門部署による従業員教育を実施していますが、優秀な販売員の育成には時間を要するため、店舗要員の確保が計画通りに進まない場合、業績に影響を及ぼすリスクがあります。



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