ベルーナ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ベルーナ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場する総合通販企業。アパレル・雑貨、化粧品健康食品、グルメ等の通信販売に加え、呉服店舗やホテル運営などのプロパティ事業も展開します。当連結会計年度は、プロパティ事業やデータベース活用事業などが伸長し、売上高・営業利益ともに前期を上回る増収増益となりました。


※本記事は、株式会社ベルーナ の有価証券報告書(第49期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ベルーナってどんな会社?


カタログ通販から始まり、アパレル・グルメ・化粧品等の多角化を進め、現在はホテル等のプロパティ事業も展開する企業です。

(1) 会社概要


1968年に印鑑の訪問販売「友華堂」として創業し、1977年に法人化しました。1983年に衣料品の通信販売を開始して事業を拡大し、1998年に東証二部へ上場、2000年に東証一部へ指定替えとなりました。2018年には呉服販売のさが美グループホールディングスを子会社化、2024年には飲食事業を展開するエイジング・ビーフを子会社化するなど、M&Aによる事業多角化を進めています。

連結従業員数は3,884名、単体では680名体制です。筆頭株主は創業家資産管理会社のフレンドステージアセットマネジメントで43.00%を保有しており、第2位、第3位には信託銀行が名を連ねています。創業者である安野清社長およびその親族も大株主として名を連ねており、オーナーシップの強い資本構成となっています。

氏名 持株比率
フレンドステージアセットマネジメント 43.00%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.45%
日本カストディ銀行(信託口) 3.33%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名、計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は安野清氏です。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
安  野      清 代表取締役社長 1968年9月友華堂創業。1977年6月同社設立とともに代表取締役社長に就任。1990年9月フレンドステージ代表取締役社長、2017年9月グランベルホテル代表取締役就任より現職。
安  野  雄一朗 取締役専務執行役員総務本部長兼管理本部長 2001年4月国際証券入社。2004年4月同社入社。取締役常務執行役員マーケティング本部長等を経て、2021年4月より現職。
宍  戸  順  子 取締役執行役員社長室長 1986年8月同社入社。1997年6月取締役企画担当。2011年3月エルドラド代表取締役就任。2011年4月より現職。
松 田 智 博 取締役執行役員経営企画室長兼受託事業本部長 1996年4月NISグループ入社。2008年5月同社入社。取締役執行役員管理本部長等を経て、2023年4月より現職。フレンドリー代表取締役も兼任。
宮 下 正 義 取締役執行役員EC事業本部長 2005年4月同社入社。ナースリー経営企画室勤務、同社経営企画室長等を経て、2023年4月より現職。


社外取締役は、山縣秀樹(弁護士)、渡部行光(公認会計士・税理士)、浜本淳子(元ゴールドマン・サックス証券MD)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プロパティ事業」「化粧品健康食品事業」「グルメ事業」「ナース関連事業」「呉服関連事業」「アパレル・雑貨事業」「データベース活用事業」および「その他」事業を展開しています。

(1) プロパティ事業


オフィスビル等の不動産賃貸、不動産再生・開発、およびホテル事業を展開しています。また、太陽光発電や地熱発電などのエネルギー事業、ゴルフ場運営や飲食店の運営も行っています。国内では「グランベルホテル」等のブランドで都市型・リゾート型ホテルを展開し、海外でもホテル事業を手掛けています。

収益は、不動産の賃料収入、物件の売却益、ホテルの宿泊料、ゴルフ場や飲食店の利用料等から得ています。運営は同社および子会社のテキサス、グランベルホテル、エルドラド、オージオ等が行っています。

(2) 化粧品健康食品事業


化粧品および健康食品の通信販売を行っています。化粧品では「オージオ」「なちゅライフ」ブランドなどを展開し、健康食品ではサプリメントなどを取り扱っています。

収益は、一般消費者からの商品代金です。運営は主に子会社のオージオが化粧品等を、リフレが健康食品等を販売しています。

(3) グルメ事業


食品、日本酒、ワイン、お菓子などの通信販売を行っています。カタログやインターネットを通じて、全国の特産品や専門的な食材などを消費者に届けています。

収益は、一般消費者からの商品代金です。運営は同社が行っています。

(4) ナース関連事業


看護師向けの衣料品(白衣・スクラブ等)やナースグッズの通信販売を行っています。また、看護師を対象とした人材紹介サービスも展開しています。

収益は、一般消費者(看護師)からの商品代金および医療機関等からの紹介手数料です。運営は主に子会社のナースステージが行っています。

(5) 呉服関連事業


和装関連商品の店舗販売および衣裳レンタル事業を展開しています。「BANKANわものや」「さが美」「東京ますいわ屋」等の店舗ブランドで着物や和装小物を販売するほか、卒業式の袴レンタルなどのサービスを提供しています。

収益は、一般消費者からの商品代金およびレンタル料です。運営は子会社のBANKANわものや、さが美、東京ますいわ屋、マイム等が行っています。

(6) アパレル・雑貨事業


ミセス層を中心とした衣料品、ファッション雑貨、インテリア、生活用品等の通信販売を行っています。カタログ通販「ベルーナ」やインターネット通販サイトを運営するほか、実店舗での販売も行っています。

収益は、一般消費者からの商品代金です。運営は同社および子会社のミン、アイシーネット、丸長、セレクト等が行っています。

(7) データベース活用事業


封入・同送サービスや通販代行サービス(BBS)、物流代行等のBtoBソリューションを提供しています。また、通販会員向けのファイナンス事業(キャッシング等)も行っています。

収益は、企業からの業務受託料や手数料、および消費者からの利息収入等です。運営は同社および子会社のサンステージ、レーベル等が行っています。

(8) その他の事業


衣料品を主体とした卸売事業や宿泊予約事業などを行っています。

収益は、取引先企業からの商品代金や手数料等です。運営は主に子会社のフレンドリー等が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2,000億円台前半で安定的に推移しています。第46期に2,201億円まで伸長した後、微減しましたが、当期は再び増加傾向にあります。経常利益は110億円〜160億円台で推移しており、安定した黒字を維持しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,065億円 2,201億円 2,124億円 2,083億円 2,109億円
経常利益 169億円 145億円 125億円 118億円 133億円
利益率(%) 8.2% 6.6% 5.9% 5.7% 6.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 74億円 57億円 41億円 45億円 25億円

(2) 損益計算書


売上高は微増し、売上総利益率も改善しています。営業利益は前期比で20億円以上増加し、営業利益率も向上しました。コストコントロールや収益性の高い事業の伸長が寄与していることが読み取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 2,083億円 2,109億円
売上総利益 1,263億円 1,293億円
売上総利益率(%) 60.7% 61.3%
営業利益 98億円 119億円
営業利益率(%) 4.7% 5.6%


販売費及び一般管理費のうち、広告宣伝費が255億円(構成比21.7%)、給料手当が224億円(同19.1%)、支払手数料が191億円(同16.3%)を占めています。

(3) セグメント収益


当期はプロパティ事業が大幅な増収となり、業績を牽引しました。アパレル・雑貨事業やデータベース活用事業も微増収でしたが、化粧品健康食品事業やグルメ事業、ナース関連事業、呉服関連事業は前期を下回りました。全体としては、プロパティ事業の好調が他の減少分をカバーし、増収となっています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
プロパティ事業 319億円 354億円
化粧品健康食品事業 147億円 138億円
グルメ事業 321億円 317億円
ナース関連事業 130億円 126億円
呉服関連事業 232億円 228億円
アパレル・雑貨事業 741億円 747億円
その他の事業 26億円 28億円
データベース活用事業 167億円 171億円
連結(合計) 2,083億円 2,109億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

ベルーナは、通信販売を主軸に多角的な事業を展開しており、そのキャッシュ・フローの状況は以下の通りです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、主に事業活動から生み出される利益によって増加しました。投資活動によるキャッシュ・フローは、事業拡大に向けた設備投資や有価証券の取得により減少しました。財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の調達と返済、配当金の支払いなどにより増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 128億円 97億円
投資CF -144億円 -178億円
財務CF 60億円 67億円

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「お客様の衣食住遊を豊かにする商品及びサービスをより高い利便性、経済性、ファッション性をもって提供し社会に貢献する」ことを経営理念として掲げています。安定性、成長性、継続性、収益性のバランスのとれた真のエクセレントカンパニーを目指すことを基本方針としています。

(2) 企業文化


同社は、「何事に対しても明るく、ポジティブに取り組み、お客様の満足とより良い仕事にこだわり、困難から逃げることなく、自分の能力とキャパシティを広げ、信頼を高めるために常に挑戦する」という社員像を掲げています。「経験が人を育てる」という考えの下、「1勝9敗」の精神で果敢にチャレンジすることを推奨しています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2026年3月期から2028年3月期までの第6次経営計画を策定しています。最終年度となる2028年3月期の目標指標は以下の通りです。

* 売上高:2,531億円
* 営業利益:165億円
* ROE:8.0~10.0%

(4) 成長戦略と重点施策


ポートフォリオ経営の成熟を進め、事業を「グロース領域」と「サステナブル領域」に区分して展開します。グロース領域であるプロパティ事業、化粧品健康食品事業、グルメ事業、ナース関連事業は利益成長を担い、特にホテル展開を軸としたプロパティ事業を重要な成長ドライバーと位置づけています。サステナブル領域のアパレル・雑貨事業等は収益性・効率性の最大化を目指します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「人の成長の先に、企業の成長がある」という考えの下、OJTを主体とした実践的な人材育成を行っています。若手社員への権限委譲や社内ローテーションを推進し、「1勝9敗」の精神でのチャレンジを推奨しています。また、女性やパート社員の正社員・管理職登用など、多様な人材が活躍できる環境整備にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 34.3歳 11.3年 5,360,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 14.3%
男性育児休業取得率 71.4%
男女賃金差異(全労働者) 41.4%
男女賃金差異(正規雇用) 68.0%
男女賃金差異(非正規雇用) 72.8%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(グループ全体)(20.8%)、CO2排出量削減率 (2022年度対比)(-5.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制や訴訟等によるリスク


同グループは国内外で事業を展開しており、多様な法的規制の対象となります。法令遵守体制を構築していますが、法規制の変更や予期せぬ法的義務の発生、また不利な訴訟結果が生じた場合、企業の社会的信用や業績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 商品の安全性に関するリスク


独自の品質管理基準を設けていますが、販売商品に安全性の問題や重大な事故が発生した場合、ブランドイメージの低下や改修費用の発生により、業績や財政状態に影響を与える可能性があります。

(3) 気候及び季節要因によるリスク


季節ごとの商品需要予測に基づいて計画を立てていますが、冷夏や暖冬などの天候不順が発生した場合、売上減少や在庫過多となり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 海外での事業展開のリスク


海外でプロパティ事業等を行っていますが、進出国の政治・経済情勢の変化、法規制の変更、テロ、戦争、労働力不足などの事象が発生した場合、事業運営に支障をきたし、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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