ベルーナ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ベルーナ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ベルーナは東証プライム市場に上場し、カタログ・ネット等の通信販売やホテル展開を軸としたプロパティ事業を主力とする企業です。アパレル・雑貨、呉服、ナース関連など多様な事業を展開しています。業績トレンドとして、当期は訪日外客数の増加によるホテル事業の好調などに支えられ、増収増益を達成しました。


※本記事は、株式会社ベルーナの有価証券報告書(第50期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ベルーナってどんな会社?


同社は、総合通販や専門領域に特化した通信販売をはじめ、ホテル運営などのプロパティ事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


1968年に印鑑の訪問販売として創業し、1983年に衣料品の通信販売を開始しました。1998年に東証二部へ上場し、2000年に東証一部に指定されています。その後、和装事業のさが美グループホールディングスや衣裳レンタル事業を子会社化するなど事業の多角化を進め、現在に至ります。

同社グループの従業員数は連結で3,844名、単体で674名です。筆頭株主は事業会社のフレンドステージで、第2位は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)です。

氏名 持株比率
フレンドステージ 42.99%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.06%
安野清 3.03%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性2名の計8名で構成され、女性役員比率は25.0%です。代表取締役社長は安野清氏です。社外取締役比率は37.5%です。

氏名 役職 主な経歴
安野清 代表取締役社長 1968年友華堂創業、1977年同社設立代表取締役社長。フレンドステージ代表取締役社長、グランベルホテル代表取締役などを歴任し、1977年より現職。
安野雄一朗 取締役専務執行役員総務本部長兼管理本部長 国際証券を経て2004年同社入社。経営企画室長、マーケティング本部長などを歴任し、2021年より現職。
宍戸順子 取締役執行役員社長室長 1986年同社入社。第1企画室顧問、取締役企画担当、エルドラド代表取締役などを歴任し、2011年より現職。
松田智博 取締役執行役員経営企画室長兼受託事業本部長 NISグループを経て2008年同社入社。管理本部長やサンステージ代表取締役などを歴任し、2023年より現職。
宮下正義 取締役執行役員EC事業本部長 2005年同社入社。ナースリー経営企画室勤務、同社経営企画室長などを経て、2025年より現職。


社外取締役は、山縣秀樹(丸の内南法律事務所入所)、渡部行光(渡部税務会計事務所所長)、浜本淳子(アメージング・ジャパン代表取締役)です。

2. 事業内容


同社グループは、「プロパティ事業」「化粧品健康食品事業」「グルメ事業」「ナース関連事業」「呉服関連事業」「アパレル・雑貨事業」「その他の事業」および「データベース活用事業」を展開しています。

(1) プロパティ事業


国内外のホテルやゴルフ場の運営、不動産賃貸・開発、発電事業などを展開しています。国内旅行需要やインバウンド需要を捉えた都市型ホテル・リゾート型ホテルを提供しています。

収益源は、宿泊客からの宿泊料金や付随サービス利用料、不動産賃借人からの賃料などです。運営は同社およびグランベルホテル、エルドラドなどの子会社が行っています。

(2) 化粧品健康食品事業


独自開発の化粧品や健康食品を、主に通信販売を通じて一般消費者向けに提供しています。専門的な領域に特化し、定期コースへの引き上げによる安定した顧客基盤を構築しています。

収益源は、消費者からの商品購入代金です。主に子会社のオージオが化粧品を、リフレが健康食品の販売および事業運営を行っています。

(3) グルメ事業


食料品、日本酒、ワインなどを通信販売を通じて提供しています。食品頒布ジャンルなどが好調で、消費者の嗜好に合わせた商品展開を行っています。

収益源は、一般消費者や卸売先からの商品購入代金です。本事業の運営は主に同社が主体となって行っています。

(4) ナース関連事業


看護師向けの通販事業および看護師人材紹介事業を展開しています。看護師が必要とする専門用品の販売からキャリア支援まで、幅広いニーズに対応しています。

収益源は、看護師からの商品購入代金や人材紹介における手数料です。運営は子会社のナースステージやJOBSTUDIO PTE.LTD.が行っています。

(5) 呉服関連事業


和装関連商品の店舗販売や、大学生の卒業式袴などの衣裳レンタル事業を展開しています。全国のショッピングセンターなどを中心に店舗網を活用しています。

収益源は、顧客からの商品購入代金およびレンタル料金です。運営はBANKANわものや、さが美、東京ますいわ屋、マイムなどの子会社が行っています。

(6) アパレル・雑貨事業


ミセス層を中心とした衣料品や生活雑貨・家具などを、カタログやインターネットを通じて提供しています。同社グループの中核を担う大規模な通信販売事業です。

収益源は、消費者からの商品購入代金です。運営は同社のほか、アイシーネット、セレクト、丸長などの子会社が行っています。

(7) その他の事業


アパレル卸売事業や旅行代理店事業などを展開しています。クライアント各社への衣料品卸売や、成長性を優先した旅行サービスの提供などを行っています。

収益源は、取引先企業からの卸売代金や旅行者からのサービス利用料です。運営はフレンドリーなどの子会社が行っています。

(8) データベース活用事業


外部事業者向けにカタログ同送・商品同梱サービスや通販代行サービス、個人向けファイナンス事業、物流3PL事業などを提供しています。

収益源は、外部事業者からの業務委託手数料や個人顧客からの金利収入などです。運営は同社およびサンステージ、ベルーナ・ジーエフ・ロジスティクスなどの子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は2,000億円台で安定して推移しており、経常利益も100億円台を維持しています。当期はホテル事業の好調などにより、経常利益および利益率が大きく改善しました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2,201億円 2,124億円 2,083億円 2,109億円 2,181億円
経常利益 145億円 125億円 118億円 133億円 163億円
利益率(%) 6.6% 5.9% 5.7% 6.3% 7.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 57億円 41億円 45億円 25億円 29億円

(2) 損益計算書


当期の売上高は増加傾向にあり、それに伴い売上総利益および営業利益も拡大しています。特に営業利益率は前期と比較して改善しており、収益性の向上が見られます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 2,109億円 2,181億円
売上総利益 1,293億円 1,372億円
売上総利益率(%) 61.3% 62.9%
営業利益 119億円 165億円
営業利益率(%) 5.6% 7.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当が239億円(構成比20%)、広告宣伝費が228億円(同19%)、支払手数料が207億円(同17%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のプロパティ事業が大きく売上を伸ばし、全体の成長を牽引しています。一方、アパレル・雑貨事業や化粧品健康食品事業は、収益性を重視した事業運営への転換により減収となっています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
プロパティ事業 354億円 491億円
化粧品健康食品事業 138億円 114億円
グルメ事業 317億円 333億円
ナース関連事業 126億円 123億円
呉服関連事業 228億円 225億円
アパレル・雑貨事業 747億円 688億円
その他の事業 28億円 28億円
データベース活用事業 171億円 179億円
連結(合計) 2,109億円 2,181億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスとなっており、営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う「積極型」の状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 97億円 185億円
投資CF -178億円 -323億円
財務CF 6億円 139億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.9%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は44.5%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「お客様の衣食住遊を豊かにする商品及びサービスをより高い利便性、経済性、ファッション性をもって提供し社会に貢献する」ことを経営理念としています。安定性、成長性、継続性、収益性のバランスがとれた「真のエクセレントカンパニー」を目指し、ステークホルダーの期待に応えることを経営の基本方針として掲げています。

(2) 企業文化


同社グループは、「地域に生活するより多くのお客様の生活と幸せの向上に貢献する」というサステナビリティ宣言を掲げています。時代の変遷とともに変化する消費者のニーズに応え、社会的課題への適応を根幹的な価値として重視しています。事業活動における実践を重んじ、「1勝9敗」の精神で果敢にチャレンジする文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


同社は、2028年3月期を最終年度とする3ヵ年計画を策定し、ポートフォリオ経営の成熟を進めています。2027年3月期の修正目標として以下の経営指標を掲げています。

* 売上高:2,210億円
* 営業利益:175億円
* ROE:8.0~10.0%

(4) 成長戦略と重点施策


インバウンドの更なる拡大が期待できるホテル展開を軸としたプロパティ事業を重要な成長ドライバーと位置づけ、注力しています。また、消費マインドの影響を受けにくい化粧品健康食品、グルメ、ナース関連事業を利益成長を担う領域として安定的に拡大し、アパレル・雑貨事業等では効率的な顧客獲得による収益性の改善を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社グループは、「人の成長の先に、企業の成長がある」という考えのもと、ポジティブに挑戦し続ける人材の育成に取り組んでいます。実践を通じたOJTを主体とし、若手社員にも積極的に権限を委譲しています。また、多様な人材の活躍を推進し、個々のワークスタイルに合った働き方ができる職場環境づくりに注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 36.5歳 12.3年 5,490,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 13.2%
男性育児休業取得率 62.5%
男女賃金差異(全労働者) 59.5%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 69.6%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 95.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性管理職比率(グループ全体)(22.1%)、CO2排出量削減率(2022年度対比)(-3.2%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 法的規制や訴訟等によるリスク

同社グループは国内外で事業を展開しており、法規制の新規追加や変更等に伴う新たな義務・費用負担の発生、または訴訟等において不利な判断がなされた場合、業績や企業イメージに影響を及ぼす可能性があります。

(2) 商品の安全性に関するリスク

独自の品質管理基準を設けていますが、将来にわたり販売した商品に安全性の問題や重大な事故が発生した場合、企業イメージの悪化や商品改修費用の発生等により、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 気候及び季節要因によるリスク

季節的な商品動向に基づいて販売計画を立てていますが、冷夏や暖冬、長雨等の天候不順が発生した場合、商品売上の減少や過剰在庫等を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。同社は発注回数を分けるなどの対策を講じています。

(4) 顧客の嗜好の変化に伴うリスク

多くの顧客の嗜好に応えるため、市場トレンドを分析し商品を企画・販売していますが、顧客の嗜好の変化に適切に対応できなかった場合、売上減少や過剰在庫を招き、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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