※本記事は、株式会社CAPITA の有価証券報告書(第76期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月27日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. CAPITAってどんな会社?
石油製品の販売とサービスステーション運営を主力とし、自転車販売や不動産賃貸・販売も手がける多角化企業です。
■(1) 会社概要
1949年に杉浦商会として設立され、1952年に石油製品の卸・販売を開始しました。1954年に第1号給油所を開設し、1977年には不動産事業へ進出、1983年には自転車部門「コギー」を開設しました。2004年にジャスダック証券取引所へ上場し、2021年に現在の社名へ変更しました。
同社(単体)の従業員数は42名です。筆頭株主は投資事業組合であるHER投資事業有限責任組合で、第2位も同様に投資事業組合であるKMOキャピタル有限責任事業組合、第3位は個人となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| HER投資事業有限責任組合 | 25.50% |
| KMOキャピタル有限責任事業組合 | 23.10% |
| 森 猛 | 8.80% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は菊池正俊氏です。社外取締役比率は66.7%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 菊池 正 俊 | 代表取締役社長 | 2000年入社。SS事業部部長、営業部部長などを経て、2024年11月より現職。 |
| 新島 裕 一 | 取締役 | 2008年入社。特命事項担当課長、石油商事事業部課長、管理部部長などを経て、2023年6月より現職。 |
社外取締役は、司馬澤治(有限会社みなづき商事入社)、安部修平(株式会社flaro代表取締役)、北戸草太(株式会社FIERTE入社)、竹下国臣(MBKトレーディング合同会社代表取締役)です。
2. 事業内容
同社グループは、「石油事業」「専門店事業」「不動産事業」を展開しています。
■(1) 石油事業
サービスステーション(SS)の経営を行い、ガソリン・軽油・灯油などの石油製品や自動車関連商品を一般顧客に提供しています。また、石油製品の卸売り・直販、中古車販売および鈑金事業も手がけています。
燃料油や関連商品の販売代金を顧客から受け取るビジネスモデルです。運営は主にCAPITAが行っています。
■(2) 専門店事業
「コギー」などの店舗名でサイクルショップを展開し、自転車の販売・修理を主な業務としています。インポートブランド車の販売や、顧客の注文に応じた組み立て販売も行っています。
自転車本体やパーツ、修理サービスの代金を一般顧客から受け取る収益モデルです。運営は主にCAPITAが行っています。なお、同事業は2025年7月に譲渡される予定です。
■(3) 不動産事業
所有するオフィスビルやマンション等の不動産賃貸、および不動産販売を行っています。また、損害保険の代理店業務も手がけています。
テナントからの賃貸料や、不動産の売却代金を収益源としています。運営は主にCAPITAが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2024年3月期は減収減益となりましたが、直近の2025年3月期は売上高、利益ともに回復傾向にあります。特に当期は不動産販売が寄与し、売上高は34億円規模まで拡大、経常利益も前期比で増加し、利益率も改善しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 29億円 | 33億円 | 33億円 | 30億円 | 34億円 |
| 経常利益 | 0.8億円 | 0.8億円 | 0.8億円 | 0.4億円 | 0.7億円 |
| 利益率(%) | 2.8% | 2.5% | 2.4% | 1.3% | 2.1% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 0.2億円 | 0.6億円 | 0.6億円 | 0.2億円 | 0.3億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は前期比で増加しましたが、売上総利益はほぼ横ばいとなり、売上総利益率は低下しました。一方で、販管費の抑制効果もあり、営業利益は前期を上回る結果となり、営業利益率も改善しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 30億円 | 34億円 |
| 売上総利益 | 9億円 | 9億円 |
| 売上総利益率(%) | 30.0% | 27.0% |
| 営業利益 | 0.5億円 | 0.8億円 |
| 営業利益率(%) | 1.7% | 2.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が約3.3億円(構成比40%)、不動産賃借料が約1.3億円(同15%)を占めています。売上原価はほぼ全額が商品売上原価で構成されています。
■(3) セグメント収益
石油事業は原油価格高騰の影響等で販売数量が伸び悩み減収となりましたが、営業利益は確保しました。専門店事業は需要減少等により減収となり赤字に転落しました。一方、不動産事業は販売用不動産の売却があったため、売上高・利益ともに大幅に増加し、全社の増収増益を牽引しました。
| 区分 | 売上(2024年3月期) | 売上(2025年3月期) | 利益(2024年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 石油事業 | 22億円 | 21億円 | 0.8億円 | 0.9億円 | 4.5% |
| 専門店事業 | 7億円 | 6億円 | 0.1億円 | -0.2億円 | -3.9% |
| 不動産事業 | 2億円 | 7億円 | 1.0億円 | 1.4億円 | 20.1% |
| 連結(合計) | 30億円 | 34億円 | 0.5億円 | 0.8億円 | 2.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
CAPITAは、不動産事業部における販売用不動産の売却が営業活動によるキャッシュ・フローを大きく押し上げました。投資活動によるキャッシュ・フローは、差入保証金の回収によりプラスに転じました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少と長期借入金の増加により、資金の支出となりました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -0.2億円 | 5.8億円 |
| 投資CF | -5.9億円 | 0.1億円 |
| 財務CF | 3.7億円 | -1.1億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「至誠の精神」を経営理念として掲げています。この理念のもと、地域の生活者に豊かなライフスタイルを提供する企業として、安全・安心と安定供給を最優先に事業運営を行っています。
■(2) 企業文化
同社は、以下の4つの基本方針を定めています。
1. 経営資源の有効活用
2. 変化・改革・挑戦をし続ける会社
3. CS(顧客満足)及びES(従業員満足)の継続と強化
4. 営業利益目標の必達
これらの指針に基づき、健全性の高い経営の維持と効率性の高い経営を目指しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、収益力向上および財務体質改善のための指標として、売上高営業利益率およびフリーキャッシュ・フローを重視した効率性の高い経営を目指しています。また、基本方針の一つとして「営業利益目標の必達」を掲げています。
■(4) 成長戦略と重点施策
石油事業においては、燃料油販売だけに頼らない運営形態を進め、油外製品販売や新規商材販売に注力し、利益構造改革を進めています。SS事業部では油外粗利の最大化とCS向上、石油商事事業部では直需部門の新規顧客獲得や配送効率化に取り組んでいます。不動産部門では、ビル管理による満室維持に加え、不動産販売業の拡充を図る方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は、CS(顧客満足)及びES(従業員満足)の継続と強化を基本方針の一つとして掲げています。具体的には、人材育成計画を実行してスタッフスキルの向上を図るとともに、従業員の産前産後休業、介護休業、労災、傷病手当の実施、有給休暇の取得、健康診断の実施など、社内環境の整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 42.5歳 | 11.1年 | 4,673,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」等の規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、健康診断受診の割合(81.2%)、有給休暇の所得率(53.0%)、残業時間(月平均27.3時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原油価格の変動によるリスク
石油製品の仕入価格は原油価格や為替相場の変動による影響を直接的に受けます。販売価格の決定にあたっては調達コストを考慮していますが、他社との競合状況などにより価格転嫁が十分に進まない場合、業績に影響を与える可能性があります。
■(2) 気象条件の変動によるリスク
石油事業における灯油・A重油などの暖房油種の需要は、冬場の気温に大きく左右されます。予想以上の暖冬などの気候変動があった場合、需要が減少し、業績に影響を与える可能性があります。また、専門店事業の売上も天候の影響を受けることがあります。
■(3) 土壌汚染など環境汚染によるリスク
サービスステーションでは危険物である石油製品を取り扱っているため、漏洩チェックなどの管理体制を徹底していますが、万が一流出事故が発生した場合、土壌汚染や水質汚染による多額の対策費用や損害賠償が発生し、業績に影響を与える可能性があります。



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