※本記事は、株式会社CAPITAの有価証券報告書(第77期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月29日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. CAPITAってどんな会社?
石油製品の販売を祖業とし、不動産やファンド投資へと事業領域を広げています。
■(1) 会社概要
1949年に設立され、燃料関連商品の販売を開始しました。1952年に特約店となり石油製品の販売に進出し、1954年には第1号給油所を開設しました。1977年に第1号ビルを竣工して不動産事業に進出しています。2004年にジャスダック証券取引所へ上場し、2021年に現在のCAPITAへ社名を変更しました。2025年にはバイオ・サイト・キャピタルを子会社化し、ファンド事業へ参入しています。
従業員数は連結で23名、単体で14名です。大株主については、筆頭株主は事業会社である桃の木で、第2位は投資運用を行うKMOキャピタル有限責任事業組合、第3位は個人の森下竜一氏となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 桃の木 | 22.30% |
| KMOキャピタル有限責任事業組合 | 20.20% |
| 森下竜一 | 4.30% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性0名の計6名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役CEOの宮田浩二氏が経営を牽引しています。社外取締役比率は50.0%(3名/6名)です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 宮田浩二 | 代表取締役CEO | 1986年に池田銀行(現池田泉州銀行)へ入行。その後、同銀行で専務執行役員や本部長などを歴任し、2025年7月に同社顧問へ就任。2026年1月より現職。 |
| 菊池正俊 | 取締役会長 | 2000年に同社へ入社。佃大橋SS所長やSS事業部部長、営業部部長などを経て2024年11月に代表取締役社長へ就任。2026年1月より現職。 |
| 竹下国臣 | 取締役 | 2000年にヒーローメーカー取締役、2020年にMBKトレーディング代表取締役へ就任。2025年6月に同社取締役(監査等委員)に就任し、2026年6月より現職。 |
社外取締役は、北戸草太(FIERTE入社)、佐藤泰行(LHS代表取締役)、水島健太朗(FIERTE入社)です。
2. 事業内容
同社グループは、石油事業、不動産事業、ファンド事業などを展開しています。
■(1) 石油事業
サービスステーション等の経営をはじめ、石油製品の卸・直販、中古車販売および鈑金事業を展開しています。自動車の給油や整備を必要とする一般消費者や、燃料を必要とする法人顧客が主な対象です。
収益は、顧客に対する燃料油の販売代金や、車検・コーティング・中古車売買などの油外販売代金から構成されています。運営はCAPITAが主体で行っており、直需部門の新規顧客獲得や各種商材の販売強化により収益基盤の確立を目指しています。
■(2) 不動産事業
東京都などの地域において、賃貸用のオフィスビルやトランクルームを運営する不動産賃貸事業を展開しています。また、販売用不動産の取得や売却を行う不動産販売事業にも取り組んでいます。
入居テナントからの賃貸収入や、不動産物件の売買に伴う販売代金が主な収益源です。運営はCAPITAが主体で行っており、入居者のニーズに応じたビル管理や計画的な修繕を実施し、資産価値の維持と収益性の確保を図っています。
■(3) ファンド事業
有望なスタートアップ企業に対する投資事業と、投資先への支援事業を展開しています。関西や関東、沖縄において研究施設等の賃貸事業を行う企業をグループに迎え、不動産事業とのシナジーを追求しています。
ファンドの管理・運用に伴う管理報酬や、投資先の成長・エグジットに伴う成功報酬などが主な収益源です。運営は2025年に子会社化したバイオ・サイト・キャピタルが主体で行っており、投資人材やノウハウを活用しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
当期より連結財務諸表を作成しているため、過年度の売上高および経常利益のデータはありません。当期の売上高は21億円となり、経常利益はマイナスに落ち込んでいますが、事業譲渡や固定資産売却に伴う特別利益を計上したことなどから、当期利益は黒字を確保して推移しています。
| 項目 | 2026年3月期 |
|---|---|
| 売上高 | 21億円 |
| 経常利益 | -0.5億円 |
| 利益率(%) | -2.4% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 1.9億円 |
■(2) 損益計算書
当期より連結決算へ移行した影響で前期の売上高に関するデータはありませんが、当期の売上総利益率は高い水準を確保しています。一方で販売費及び一般管理費等の負担もあり、当期の営業利益はマイナスとなっています。
| 項目 | 2026年3月期 |
|---|---|
| 売上高 | 21億円 |
| 売上総利益 | 6億円 |
| 売上総利益率(%) | 30.2% |
| 営業利益 | -0.3億円 |
| 営業利益率(%) | -1.4% |
販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が1.7億円(構成比26%)、販売手数料が0.7億円(同10%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力である石油事業は、販売網の縮小により売上が減少したものの、油外販売に重点を置いた収益の効率化が奏功し利益を確保しています。不動産事業は保有物件の売却や新規取得を進めて高い利益を計上しました。一方、専門店事業は新車の買い替え需要減少の影響により損失となっています。
| 区分 | 売上(2026年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 石油事業 | 17億円 | 1.0億円 | 5.8% |
| 専門店事業 | 0.9億円 | -0.2億円 | -17.1% |
| 不動産事業 | 2.7億円 | 1.3億円 | 47.9% |
| ファンド事業 | 0.2億円 | 100万円 | 6.1% |
| 連結(合計) | 21億円 | -0.3億円 | -1.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、本業のマイナスを資産売却と資金調達で補填する「救済型」の傾向を示しています。
| 項目 | 2026年3月期 |
|---|---|
| 営業CF | -21億円 |
| 投資CF | 6億円 |
| 財務CF | 19億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は34.2%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
経営理念として「至誠の精神」を掲げています。これを実現するため、経営資源の有効活用、変化・改革・挑戦をし続ける会社、CS(顧客満足)及びES(従業員満足)の継続と強化、営業利益目標の必達という4つの基本方針を定めて事業を推進しています。
■(2) 企業文化
同社は、経営の健全性や透明性を高め、企業の社会的責任を果たすことを重視しています。コンプライアンスやリスク管理を徹底し、従業員に対して階層別の教育や研修を行うなど、法令や社会規範を遵守する文化を醸成しています。また、激しく変化する経営環境に迅速に対応できる組織運営を志向しています。
■(3) 経営計画・目標
健全性の高い経営を維持するため、自己資本比率および流動比率を重視しています。また、収益力の向上および財務体質改善のための指標として、売上高営業利益率ならびにフリーキャッシュ・フローを重視した効率性の高い経営を目指しています。
■(4) 成長戦略と重点施策
燃料油販売だけに頼らない運営形態を進め、経営資源の有効活用をテーマに油外製品や新規商材の販売に注力し、石油事業の利益構造改革を推進しています。また、不動産事業では資産の入れ替えや環境負荷の低い建物へのシフトを進めるほか、成長企業への投資を通じて事業ポートフォリオの変革を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
基本方針である「変化・改革・挑戦をし続ける会社」に対応できる人材育成・戦略を行い、CS(顧客満足)と同時にES(従業員満足)の継続と強化を実施しています。また、従業員の産前産後休業、介護休業の実施、有給休暇の取得、健康診断の実施など、働きやすい社内環境整備を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 47.5歳 | 13.4年 | 5,407,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | - |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社は規定による公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、健康診断受診の割合(65.9%)、有給休暇の取得率(69.3%)、残業時間(月平均8.3時間)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 原油価格の変動による影響
石油製品の仕入価格は原油価格の高騰など市況変動の影響を直接的に受けます。販売価格の決定において調達コストを考慮しているものの、他社との競合状況や対応次第では同社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 気象条件の変動による需要変動
石油事業における売上計画は季節変動を考慮して策定されています。しかし、予想以上の暖冬などの気候変動が発生した場合、灯油やA重油などの暖房油種関連の需要が変動し、事業計画や業績に影響を与える懸念があります。
■(3) 環境汚染および事故への対応コスト
サービスステーションでは危険物を取り扱っているため、漏洩チェックなど万全の管理体制を取り、賠償責任保険にも加入しています。しかし、土壌汚染や水質汚染などによる賠償額が予想を大きく超えた場合、相応のコストが発生するリスクがあります。



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