※本記事は、イオン北海道株式会社 の有価証券報告書(第43期、自 2020年3月1日 至 2021年2月28日、2021年5月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. イオン北海道ってどんな会社?
イオングループの北海道エリアにおける小売事業を担い、GMSやスーパーマーケット等を展開する企業です。
■(1) 会社概要
1978年に株式会社北海道ニチイとして設立され、1998年に株式を上場しました。2002年に株式会社ポスフールへ商号変更した後、2007年にイオン株式会社の北海道における総合小売事業を承継し、現社名となりました。2020年にはマックスバリュ北海道株式会社と合併し、道内の店舗網を大幅に拡大しています。
現在の従業員数は単体で2,933名です。筆頭株主はイオングループの持株会社であるイオンで、第2位は北海道を地盤とする地方銀行です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| イオン | 75.73% |
| 北洋銀行 | 1.57% |
| 加藤産業 | 1.27% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性1名の計11名で構成され、女性役員比率は9.1%です。代表取締役社長は青栁英樹氏が務めています。社外取締役比率は18.2%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 青栁 英樹 | 代表取締役社長 | 1983年信州ジャスコ入社。イオンリテール執行役員、同社デジタル推進リーダー等を経て、2018年より現職。 |
| 笠島 和滋 | 取締役常務執行役員商品本部長 | 1984年北陸ジャスコ入社。イオンリテール執行役員営業企画本部長、同社商品本部長等を経て、2020年より現職。 |
| 関矢 充 | 取締役執行役員営業本部長 | 1997年ジャスコ入社。同社オムニチャネル事業部長、執行役員営業本部副本部長等を経て、2020年より現職。 |
| 吉田 昭夫 | 取締役 | 1983年ジャスコ入社。イオンモール代表取締役社長、イオン代表執行役社長等を経て、2020年より現職。 |
| 豊田 靖彦 | 取締役執行役員管理本部長 | 1988年ウエルマート入社。イオンマーケット代表取締役社長、ミニストップ専務取締役等を経て、2021年より現職。 |
社外取締役は、中田美知子(エフエム北海道常務取締役)、廣部眞行(廣部・八木法律事務所弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「小売事業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 小売事業
北海道内において、総合スーパー(GMS)、スーパーマーケット(SM)、ディスカウントストア(DS)、小型スーパー、自転車専門店など多様な業態で店舗を展開しています。食料品、衣料品、住居余暇商品などを地域住民に提供し、道内の生活インフラとしての役割を担っています。
主な収益は一般顧客への商品販売による売上です。運営は主にイオン北海道が行っており、イオングループのプライベートブランド「トップバリュ」商品のほか、北海道の地産地消にこだわった商品開発や販売も強化しています。インターネット販売事業や店舗受取サービスなどのデジタル施策も推進しています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
2017年2月期から2020年2月期までは売上高1,850億円前後で推移していましたが、2021年2月期にマックスバリュ北海道との経営統合効果により売上高が約3,200億円へと急拡大しました。経常利益も統合効果や内食需要の高まりを受けて増加し、過去最高益を更新しています。当期純利益も特別損失を計上しつつ増益を確保しました。
| 項目 | 2017年2月期 | 2018年2月期 | 2019年2月期 | 2020年2月期 | 2021年2月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,845億円 | 1,867億円 | 1,858億円 | 1,859億円 | 3,199億円 |
| 経常利益 | 83億円 | 86億円 | 81億円 | 80億円 | 93億円 |
| 利益率(%) | 4.5% | 4.6% | 4.4% | 4.3% | 2.9% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 42億円 | 65億円 | 40億円 | 39億円 | 59億円 |
■(2) 損益計算書
経営統合により事業規模が拡大し、売上高および売上総利益が大きく伸長しました。営業利益率は低下したものの、営業利益額は増加しています。コロナ禍における内食需要の取り込みや統合シナジーの創出が利益確保に寄与しました。
| 項目 | 2020年2月期 | 2021年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1,859億円 | 3,199億円 |
| 売上総利益 | 515億円 | 813億円 |
| 売上総利益率(%) | 27.7% | 25.4% |
| 営業利益 | 81億円 | 94億円 |
| 営業利益率(%) | 4.4% | 2.9% |
販売費及び一般管理費のうち、給与手当などの人件費(従業員給料及び賞与、福利厚生費等)が約389億円(構成比43%)、賃借料が118億円(同13%)を占めています。売上原価は商品売上原価が大部分を占め、売上原価合計の99%以上となっています。
■(3) セグメント収益
同社は小売事業の単一セグメントですが、商品カテゴリー別の売上動向を見ると、食品部門が前期比約2.2倍と大きく伸長し、全体の成長を牽引しました。これは経営統合による規模拡大に加え、内食需要の増加が要因です。一方、衣料品は外出自粛の影響を受け減少しました。住居余暇商品は衛生用品などが好調で増加しました。
| 区分 | 売上(2020年2月期) | 売上(2021年2月期) |
|---|---|---|
| 衣料品 | 329億円 | 268億円 |
| 食品 | 1,153億円 | 2,505億円 |
| 住居・余暇 | 365億円 | 416億円 |
| その他 | 12億円 | 10億円 |
| 合計 | 1,859億円 | 3,199億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
イオン北海道は、サステナブル経営を実践し、地域に根差した事業改革を進めています。
同社の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益や減損損失などにより増加しましたが、法人税等の支払いで減少しました。投資活動では、有形固定資産の取得や事業譲受により、多額の資金が使用されました。財務活動では、長期借入れによる収入が、長期借入金の返済や配当金の支払いによる支出を上回り、資金が増加しました。
| 項目 | 2020年2月期 | 2021年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 110億円 | 137億円 |
| 投資CF | -92億円 | -70億円 |
| 財務CF | -13億円 | -43億円 |
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」というイオングループの基本理念を共有し、北海道の地元企業として顧客に信頼される店づくり、人づくりを目指しています。北海道にこだわり、その発展に貢献することを役割とし、「北海道でNo.1の信頼されるお店」の実現を掲げています。
■(2) 企業文化
人間尊重を掲げ、従業員を最大の資産と位置づけています。北海道の文化や歴史を踏まえ、日々の暮らしに根ざした活動を通じて地域社会との信頼関係を強化することを重視しています。また、自ら平和を追求し、絶えず革新し続ける姿勢を持ち、従業員が共に成長できる働きやすい環境づくりにも注力しています。
■(3) 経営計画・目標
2025年度のありたい姿の実現に向けた中期経営計画を推進しています。経営上の目標達成状況を判断する指標として、売上高営業利益率を重視しており、スケールメリットや自社開発商品の強化、ローコスト運営の追求により、営業利益の安定的確保を目指しています。
* 売上高営業利益率:4%以上
* ROE(自己資本利益率):10%以上
■(4) 成長戦略と重点施策
中期経営計画において、「商品と店舗の付加価値向上」「顧客化の推進」「地域との連携」「収益構造の改革」の4つを重点施策としています。食品の強化やデジタル技術の活用、地産地消の推進、コスト構造の最適化に取り組みます。特に「食」を基軸としたヘルス&ウエルネス企業を目指し、競争力の高いカテゴリーの強化や新規出店を加速させます。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
北海道の地元企業として、お客さまに頼りにされる「人づくり」を実現することを目指しています。従業員を最大の資産と捉え、働きやすく共に成長できる環境の整備に努めています。また、コンプライアンス教育の徹底や、多様な人材が活躍できるダイバーシティ推進にも取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2021年2月期 | 43.1歳 | 9.4年 | 4,714,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社および連結子会社は公表義務の対象ではないため、有報には本項の記載がありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 競争激化と消費動向
個人消費の動向や天候不順、さらに地域内における業態を超えた店舗間競争の状況により、経営成績や財政状態が影響を受ける可能性があります。特に人口減少や少子高齢化が進む北海道市場において、消費構造の変化への対応が求められています。
■(2) 店舗出店に関するリスク
店舗出店時に土地・建物の賃借に伴い敷金・保証金等を差し入れています。貸主の破綻等により債権回収が困難になった場合や、同社の事情による中途解約で敷金等の一部を放棄する場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 法的規制への対応
大規模小売店舗立地法や独占禁止法、食品安全管理、環境・リサイクル等の法令遵守に努めていますが、違反が生じた場合の活動制限や、規制対応に伴うコスト増加が業績に影響を与える可能性があります。
■(4) 感染症拡大の影響
新型コロナウイルス感染症等の流行が想定を上回る規模で拡大した場合、来店客数の減少や店舗休業による売上減少、テナント賃料減免等の対応が必要となり、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。



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