カッパ・クリエイト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

カッパ・クリエイト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の回転寿司大手。「かっぱ寿司」の直営展開を柱とし、コンビニ向けデリカ事業も手掛ける。直近決算は、売上高732億円(前期比1.4%増)と増収を確保したが、原材料価格の高騰や人件費増等のコスト増が響き、経常利益は15億円(同16.0%減)と減益になった。


※本記事は、カッパ・クリエイト株式会社 の有価証券報告書(第47期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. カッパ・クリエイトってどんな会社?


回転寿司チェーン「かっぱ寿司」を全国展開するコロワイドグループの中核企業。コンビニ向け惣菜製造も行う。

(1) 会社概要


1973年に長野県で創業し、1979年に回転寿司「かっぱ寿司」の1号店を出店しました。2014年にコロワイドグループ入りし、経営体制を刷新しています。2016年にはリブランディングを実施し、ロゴデザインを一新しました。2022年の市場区分見直しにより東証プライム市場へ移行し、2025年にはインドネシアに子会社を設立するなど海外展開も進めています。

同グループの連結従業員数は799人、単体では664人です。筆頭株主は親会社で外食大手のコロワイドグループの持株会社であり、第2位は資産管理業務を行う信託銀行です。

氏名 持株比率
SPCカッパ 50.54%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 6.40%
みずほ信託銀行 退職給付信託 みずほ銀行口 0.78%

(2) 経営陣


同社の役員は男性5名、女性3名の計8名で構成され、女性役員比率は37.5%です。代表取締役社長は山角豪氏で、社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
山角豪 代表取締役社長 すかいらーく、ニラックス取締役等を経て、アトム代表取締役社長を歴任。2022年より現職。
石川恵輔 取締役 レインズインターナショナル事業統括本部長、アトム代表取締役社長等を歴任。2025年5月より新規事業・外商統括部長。
久保田令 取締役 ローランド・ベルガー、経営共創基盤ディレクター等を経て入社。経営戦略本部長等を務める。N Baton Company社長等を兼任。
角田朗 取締役(監査等委員) ロッテリアを経て同社入社。総務部長、内部監査室長などを歴任。2024年6月より現職。


社外取締役は、才門麻子(元アメリカン・エキスプレス日本支社副社長)、河本拓也(アサヒビール常勤監査役)、木村敬子(元グーグル統括部長)、中西麻理(公認会計士事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「回転寿司事業」、「デリカ事業」を展開しています。

(1) 回転寿司事業


国内および海外において、回転寿司チェーン「かっぱ寿司」を直営で展開しています。主にロードサイド店舗を中心に、ファミリー層などの幅広い顧客に寿司やサイドメニューを提供しています。

収益は、店舗に来店した顧客からの飲食代金によって得ています。運営は、国内では主に同社が行い、海外では韓国の子会社などが事業を展開しています。

(2) デリカ事業


主に本州地区において、コンビニエンスストアやスーパーマーケット向けに、寿司や調理パンなどの製造および販売を行っています。

収益は、製造した商品をコンビニエンスストアやスーパーマーケット等の取引先へ販売することで得ています。運営は、子会社のジャパンフレッシュが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は回復基調にあり、600億円台半ばから700億円台へと推移しています。利益面では、経常損益が赤字の時期もありましたが、直近2期は黒字を維持しています。ただし、当期は増収ながらもコスト増等の影響により、経常利益、当期利益ともに前期を下回る減益となりました。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 649億円 672億円 704億円 722億円 732億円
経常利益 -15億円 -19億円 -11億円 17億円 15億円
利益率(%) -2.3% -2.8% -1.6% 2.4% 2.0%
当期利益(親会社所有者帰属) -13億円 3億円 -27億円 14億円 12億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益構成を比較すると、売上高は増加し、売上総利益も微増していますが、営業利益は減少しています。売上総利益率は52%台を維持していますが、販管費の増加が利益を圧迫している構造が見て取れます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 722億円 732億円
売上総利益 375億円 383億円
売上総利益率(%) 52.0% 52.3%
営業利益 17億円 14億円
営業利益率(%) 2.3% 2.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が162億円(構成比44%)、地代家賃が45億円(同12%)を占めています。売上原価は350億円で、売上高に対する構成比は約48%となっています。

(3) セグメント収益


主力の回転寿司事業は、既存店の強化や新商品投入により増収となりましたが、原材料価格の高騰などにより減益となりました。デリカ事業は、売上高が減少したものの、生産性の向上等により赤字幅は縮小しましたが、依然として損失を計上しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
回転寿司事業 583億円 596億円 16億円 14億円 2.3%
デリカ事業 139億円 136億円 1億円 -0億円 -0.2%
連結(合計) 722億円 732億円 17億円 14億円 2.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 36億円 38億円
投資CF -25億円 -19億円
財務CF -6億円 -19億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は9.9%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は34.9%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「お客様の喜びが私たちの喜びです」を社是としています。この基本理念のもと、食のインフラの担い手として、社会の持続可能な発展に貢献するとともに、中長期的な企業価値の向上を目指すことを基本方針として掲げています。

(2) 企業文化


「お客様に喜びと満足を提供し、社員自ら改善、改革、成長しながら社会に必要とされ、貢献し続ける競争力No.1の企業を目指す」というビジョンを掲げています。また、ESGへの取り組みを重視し、多様な人材が活躍できる職場環境の整備や、コンプライアンスの強化を推進する風土があります。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、基幹事業である回転寿司事業を安定的な成長軌道に戻し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、以下の経営指標を目標として掲げています。

* ROE 8%以上
* ROIC 6%以上
* Net Debt(純有利子負債)/EBITDA倍率 3倍以内

(4) 成長戦略と重点施策


「強い既存店づくり」「成長投資」「コストの最適化」を重点施策としています。具体的には、来店頻度向上のための商品・サービス強化、駅前立地への出店や不採算店の整理による店舗配置の最適化、生産性向上設備の導入やグループシナジーによるコストコントロールを推進します。また、海外では韓国やインドネシアでの展開を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「働く仲間の成長と多様性の尊重」を掲げ、従業員が自律的に成長できる機会の提供と、多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。具体的には、階層別研修やeラーニングによる育成、JOB型人事制度による適材適所配置、ライフステージに合わせた働き方を選択できる制度の導入などを推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.4歳 14.0年 4,505,437円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 5.4%
男性労働者の育児休業取得率 150.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 88.6%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 82.4%
労働者の男女の賃金の差異(非正規) 125.3%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(14.8%)、外国人管理職比率(1.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 事業展開と競争環境


国内および韓国で回転寿司事業を展開していますが、競合他社との競争激化や消費者ニーズの変化、米・魚などの原材料価格の上昇が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 商品の品質管理及び衛生管理


商品の鮮度管理や衛生管理を徹底していますが、食中毒などの衛生問題や社会的な衛生問題が発生した場合、信用の低下や売上の減少を招き、業績に悪影響を与える可能性があります。

(3) 有利子負債への依存


設備資金等を主に借入金や社債で調達しており、有利子負債依存度は30%台で推移しています。金利が上昇した場合には支払利息が増加し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) コンプライアンスと訴訟


過去の不正競争防止法違反による有罪判決や、競合他社からの損害賠償請求訴訟などが存在します。これらが将来の業績や社会的信用に影響を与える可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。