カッパ・クリエイト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

カッパ・クリエイト 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

カッパ・クリエイトは、東京証券取引所プライム市場に上場し、「かっぱ寿司」などの回転寿司事業やコンビニ向けのデリカ事業を展開する企業です。直近の業績では、売上高は732億円と前年並みを維持したものの、原材料価格高騰や店舗の減損損失の計上などにより経常利益は6億円に減少し、最終赤字となっています。


※本記事は、カッパ・クリエイトの有価証券報告書(第48期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月22日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. カッパ・クリエイトってどんな会社?


カッパ・クリエイトは、「かっぱ寿司」ブランドによる回転寿司のチェーン展開とデリカ事業を行う企業です。

(1) 会社概要


1973年設立のジェム・エンタープライズから寿司部門が独立し、1979年に回転寿司「かっぱ寿司」第1号店をオープンしました。1994年に日本証券業協会に店頭登録し、2003年には東京証券取引所市場第一部に上場を果たしています。2014年にはSPCカッパの公開買付けにより、コロワイドグループに参画しました。

従業員数は連結で801名、単体で648名です。筆頭株主は事業会社であるSPCカッパで、第2位および第3位は資産管理業務を行う信託銀行となっています。

氏名 持株比率
SPCカッパ 50.54%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 5.18%
みずほ信託銀行 退職給付信託 みずほ銀行口 再信託受信者 日本カストディ銀行 0.78%

(2) 経営陣


同社の役員は男性4名、女性3名の計7名で構成され、女性役員比率は42.9%です。代表取締役社長は山角豪が務めています。社外取締役比率は57.1%です。

氏名 役職 主な経歴
山角豪 代表取締役社長 すかいらーく等を経て、2020年アトム代表取締役社長に就任。2022年より現職。
福谷史郎 取締役 2001年入社。経営企画部長、管理統括部長を経て、2024年より経営戦略本部長。2025年より現職。
角田朗 取締役(監査等委員) ロッテリアを経て、2006年入社。教育部次長、総務部長、内部監査室長を経て、2024年より現職。


社外取締役は、河本拓也(元アサヒビール常勤監査役)、才門麻子(クラッセ・ドゥ・クラッセ代表取締役社長)、木村敬子(モニクル執行役員)、中西麻理(中西麻理公認会計士事務所所長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「回転寿司事業」および「デリカ事業」を展開しています。

回転寿司事業


同社グループの主力事業であり、国内および海外において直営方式による回転寿司チェーン「かっぱ寿司」の店舗展開を行っています。幅広い顧客層を対象に、主力である税込110円商品の提供に加えて、期間限定のフェア商品やサイドメニュー、キャラクターとのコラボレーション企画などを通じて新たな価値を提供しています。

収益源は、店舗を利用する顧客からの飲食代金およびテイクアウト商品の販売代金です。国内の店舗運営はカッパ・クリエイトが主体となって行っており、海外ではカッパ・クリエイトコリアなどの子会社が韓国やインドネシアで事業を展開しています。

デリカ事業


主に本州地区を中心に、コンビニエンスストアやスーパーマーケット向けに寿司、調理パン、デザート類などの製造および販売を行っています。冷凍弁当や健康に配慮した製品の開発を進めるなど、新たな市場需要の開拓や新規取引先の獲得にも注力しており、生産性向上によるコスト競争力の強化を図っています。

収益源は、小売店やスーパーマーケットなどの取引先企業に対する商品の卸売代金です。当事業の運営は、子会社であるジャパンフレッシュが主体となって行っており、回転寿司事業とのシナジー効果を最大化するための連携強化にも取り組んでいます。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


過去5期間の連結業績を見ると、売上高は700億円前後で概ね横ばい傾向にあります。利益面では、一時期の赤字から営業利益・経常利益ともに黒字転換を果たしたものの、当期は原材料価格やエネルギーコストの高止まりによる影響を受け、経常利益が減益となり、減損損失の計上も重なって最終赤字となっています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 672億円 704億円 722億円 732億円 732億円
経常利益 -19億円 -11億円 17億円 15億円 6億円
利益率(%) -2.8% -1.6% 2.4% 2.0% 0.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 3億円 -27億円 14億円 10億円 -4億円

(2) 損益計算書


直近の業績を見ると、売上高は前年と同水準を確保していますが、原材料価格の高騰等の影響により売上総利益率は低下しています。また、各種コストの最適化に努めたものの、販売費及び一般管理費が微増したことで、営業利益は前年から減少する結果となりました。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 732億円 732億円
売上総利益 383億円 378億円
売上総利益率(%) 52.3% 51.6%
営業利益 14億円 5億円
営業利益率(%) 2.0% 0.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が164億円(構成比44%)、地代家賃が47億円(同13%)を占めています。

(3) セグメント収益


回転寿司事業は既存店強化やプライシングの見直し等を進めましたが、原材料高の影響等で減益となりました。デリカ事業は価格転嫁や調理パン等の販売増により売上が伸長しましたが、損失を計上しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期) 利益(2025年3月期) 利益(2026年3月期) 利益率
回転寿司事業 596億円 592億円 14億円 5億円 0.9%
デリカ事業 136億円 139億円 -0.3億円 -0.5億円 -0.3%
連結(合計) 732億円 732億円 14億円 5億円 0.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


当期のキャッシュ・フローは、営業活動で利益を確保しつつ、借入金の返済など財務活動で資金を減少させ、投資活動も手元資金等で賄う健全型のパターンを示しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 38億円 25億円
投資CF -19億円 -21億円
財務CF -19億円 -23億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-3.7%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は35.2%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「お客様の喜びが私たちの喜びです」を社是に掲げています。また、「お客様に喜びと満足を提供し、社員自ら改善、改革、成長しながら社会に必要とされ、貢献し続ける競争力No.1の企業を目指す」というビジョンのもと、食のインフラの担い手として社会の持続可能な発展と中長期的な企業価値の向上を図ることを使命としています。

(2) 企業文化


同社は、従業員が働きやすく、それぞれの成長を目指せる職場環境の提供を重視しています。「働く仲間の成長と多様性の尊重」をマテリアリティ(重要課題)の一つに掲げ、一人一人が働きがいを感じて自己成長することがグループ全体の発展につながるとの考えから、自律的な成長を支援する文化を育んでいます。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、基幹事業である回転寿司事業を安定的な成長軌道に戻し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現することを目指しています。そのための定量的な経営指標として、以下の目標数値を設定して事業運営に取り組んでいます。

・ROE:8%以上
・ROIC:6%以上
・Net Debt(純有利子負債)/EBITDA倍率:3倍以内

(4) 成長戦略と重点施策


強い既存店づくり、成長投資、コストの最適化を軸とした戦略を推進しています。マスメディアやSNSを活用した来店頻度の向上や、新規顧客層の獲得を図るほか、店舗の省力化に向けた設備投資を実施します。また、コロワイドグループのシナジーを活かした共同調達やメニュー開発により、原材料高騰に対応していく方針です。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、性別、年齢、国籍などの多様性を尊重し、組織の競争力強化を図ることを基本方針としています。従業員があらゆるライフステージにおいて安心して勤務できるよう、JOB型人事制度の導入やフレキシブル社員制度などを通じて、多様な働き方を選択できる柔軟で働きがいのある職場環境の整備を進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 39.8歳 14.5年 4,691,656円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 8.6%
男性育児休業取得率 280.0%
男女賃金差異(全労働者) 86.1%
男女賃金差異(正規雇用労働者) 81.7%
男女賃金差異(パート・有期労働者) 122.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(15.3%)、外国人管理職比率(1.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 調達コストの変動リスク


世界的な政情不安や為替変動、地政学リスクなどの影響により、原材料価格やエネルギー価格の高騰が継続しています。同社は仕入価格の変動が経営成績に与える影響を抑制するための施策を実施していますが、これらの価格高騰が想定を超えて推移した場合、同社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 店舗設備の減損リスク


同社グループは、回転寿司事業を中心に店舗設備などの有形固定資産を多数保有しています。将来的な店舗損益の悪化などにより、営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなった場合には、固定資産の減損に係る会計基準の適用により減損損失が計上され、同社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3) システム障害の発生リスク


同社グループはDX化やIT化を推進し、商品の注文、食材の発注、売上管理等の店舗管理システムを運用しています。しかし、停電や機器の欠陥、コンピュータウイルス等による予期せぬシステム障害が発生した場合、機密データの漏洩や店舗運営に支障をきたし、賠償責任の発生などで業績に影響を及ぼすリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。