エステールホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

エステールホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、宝飾品事業を主力に、眼鏡事業や食品販売・飲食店事業を展開しています。直近の業績は、売上高が微減となったものの、営業利益は増益を確保しました。一方で、当期純損失は縮小傾向にあるものの、赤字が継続しています。


※本記事は、エステールホールディングス株式会社の有価証券報告書(第67期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. エステールホールディングスってどんな会社?


宝飾品事業を中心に、製販一貫体制を強みとする企業グループです。眼鏡や食品販売など多角的な展開も行っています。

(1) 会社概要


1959年に株式会社信州宝石として設立され、1997年に店頭登録を果たしました。2009年にあずみ株式会社を吸収合併し、商号をAs-meエステール株式会社に変更しました。その後、2018年に持株会社体制へ移行し、現在の商号となりました。2022年の市場区分見直しに伴い、スタンダード市場へ移行しています。

連結従業員数は2,751名、単体では189名です。筆頭株主は創業家の資産管理会社である株式会社雅コーポレーションで、第2位は宝飾品関連企業の株式会社桑山です。第3位は資産管理を行う銀行決済営業部となっています。

氏名 持株比率
雅コーポレーション 33.90%
桑山 7.34%
BANK JULIUS BAER AND CO. LTD. SINGAPORE CLIENTS常任代理人 三菱UFJ銀行決済営業部 2.61%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性0名、計11名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は丸山雅史氏です。社外取締役比率は36.4%です。

氏名 役職 主な経歴
丸山 雅史 代表取締役社長 1993年同社入社。キンバレー社長、ベトナム子会社社長などを経て、2009年より現職。As-meエステールや賛光の社長も兼務。
平野 和良 専務取締役 ジュエリーデン取締役、ベリテ社長等を経て2014年同社入社。BLOOM社長などを歴任し、2015年より現職。
佐野 司郎 取締役社長室長 1981年ツルカメ商事入社。常務取締役営業本部長、BLOOM社長などを経て、2015年より現職。
森 元隆 取締役経営企画本部長 日本交通公社、海外物産を経て2000年同社入社。あずみ取締役を経て2009年より現職。
小野 隆 取締役 1982年ツルカメ商事入社。営業本部副本部長、営業本部長などを経て、2018年より現職。
横内 達治 取締役管理本部長 公認会計士。ライトオン社長、副会長を経て2021年同社入社。2022年より現職。


社外取締役は、齋藤理英(齋藤綜合法律事務所代表)、白川篤典(ヴィレッジヴァンガードコーポレーション社長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「宝飾品」、「眼鏡」、「食品販売・飲食店」および「その他」事業を展開しています。

(1) 宝飾品


指輪、ネックレス、ブレスレット、ピアス、イヤリング、アクセサリー等の製造および販売を行っています。ESTELLE、Milluflora、BLOOMなどのブランドを展開し、全国の店舗網を通じて一般消費者に商品を提供しています。

収益は主に一般消費者への商品販売による代金です。運営は、製造をエステールベトナム、ハリー & CO.などが担い、販売をAs-meエステール株式会社、エステールカンボジアなどが行う製販一貫体制を構築しています。真珠養殖はサイゴンパールが行っています。

(2) 眼鏡


主に眼鏡等の製造および販売を行っています。T.G.C.の店舗ブランドで展開し、国内の一般消費者を対象としています。また、海外子会社を通じて眼鏡フレームの製造も行っています。

収益は主に一般消費者への眼鏡販売による代金です。運営は、販売をキンバレー株式会社が担い、製造をコンセプトアイウェアマニュファクチャーベトナムが行う製販一貫体制を有しています。これにより、手頃な価格で高品質な商品を提供しています。

(3) 食品販売・飲食店


主に食品の販売および飲食店の運営を行っています。食品販売では付加価値のある商品を扱い、飲食店では「人生最高のハンバーガー」をテーマにした店舗運営などを行っています。

収益は主に一般消費者への食品販売や飲食提供による代金です。運営は、エステールホールディングス株式会社が直接行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5期間の業績を見ると、売上高は約280億円から310億円台で推移しており、大きな変動はありません。利益面では、経常利益率が1%前後で推移しており、収益性の改善が課題となっています。当期利益は直近2期で赤字となっており、業績の回復が求められる状況です。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 280億円 300億円 296億円 317億円 313億円
経常利益 4億円 8億円 3億円 3億円 3億円
利益率(%) 1.5% 2.6% 1.1% 1.0% 1.0%
当期利益(親会社所有者帰属) -4億円 -3億円 0.3億円 -14億円 -4億円

(2) 損益計算書


売上高は前期比で微減となりましたが、売上総利益率は高い水準を維持しています。営業利益は増加し、営業利益率も改善傾向にあります。販管費のコントロールが進んでいることがうかがえます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 317億円 313億円
売上総利益 176億円 175億円
売上総利益率(%) 55.5% 56.1%
営業利益 2億円 2億円
営業利益率(%) 0.5% 0.6%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が76億円(構成比44%)、支払家賃が33億円(同19%)を占めています。

(3) セグメント収益


宝飾品セグメントは、人員不足等の影響により減収となりましたが、主力事業としての規模を維持しています。眼鏡セグメントは、国内小売事業の見直しや海外卸売の伸長により増収となりました。食品販売・飲食店セグメントは、商品力強化等の施策を進めましたが減収となりました。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
宝飾品 266億円 258億円
眼鏡 28億円 32億円
食品販売・飲食店 23億円 22億円
連結(合計) 317億円 313億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスで「健全型」です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 10億円 1億円
投資CF -5億円 -3億円
財務CF -7億円 -10億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は当期純損失のため算出されず、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は39.9%でスタンダード市場(非製造業平均48.5%)を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は、「思いやりと誠実さ、そして信用」を基本理念とし、お客様との縁を大切にしています。トータルファッションの提案を通じて、心豊かな生活文化の創造に貢献することを目指しています。

(2) 企業文化


同社は、社内の総力を結集し、高品質で信頼性の高い商品と最良のおもてなしを提供し続けることを方針としています。常に学習し、創意工夫して自らを高め、それを仲間と教え合い、成果に応じた公平かつ公正な処遇のある働き甲斐のある職場を構築することを重視しています。

(3) 経営計画・目標


現在、客観的な指標等(KPI)は設けていませんが、経営の基本方針を徹底することで、売上高だけでなく売上総利益、営業利益の向上にも注力し、企業価値を高め、ROEの向上につなげることを目指しています。

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、店頭販売の拡充や販売促進の展開、社内業務の効率化・平準化に取り組む方針です。多様化するニーズに対応するため、品質・価格・品揃えにこだわった店舗政策を推進し、人材育成を強化して顧客満足度の向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人材を競争力の源泉と捉え、各年次・職位に応じた研修制度やモチベーション向上のためのコンテストを実施し、自律的な成長を支援しています。また、多様な人材の活躍推進やワークライフ・バランスの実現に向け、女性活躍推進、キャリア採用、年間休日数の増加、リモートワークの推進など、働きやすい環境整備に取り組んでいます。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 43.2歳 10.7年 4,151,000円

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 26.2%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 62.0%
男女賃金差異(正規雇用) 73.6%
男女賃金差異(非正規雇用) 64.3%


※男性労働者の育児休業取得率は記載がありません。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 市場リスク(パンデミック等)


感染症の流行による店舗休業や個人消費の低迷が業績に影響を与える可能性があります。また、自然災害や地政学リスク等による景気変動の影響を受けやすい事業構造です。これに対し、従業員の健康確保や、高品質な商品・サービスの提供による企業体質の強化を図っています。

(2) インターネット販売の普及


ネット販売の拡大や消費スタイルの変化が、対面販売中心の事業に影響を及ぼす可能性があります。同社は、店頭販売員の能力向上による付加価値の提供に加え、ネット販売にも注力し、実店舗との相乗効果を図ることで経営基盤の強化を目指しています。

(3) 品質リスク(海外生産拠点等)


生産拠点がベトナムに集中しており、地政学リスクや感染症拡大等による生産停滞が業績に影響する可能性があります。また、原材料の市況変動や為替変動のリスクもあります。これに対し、サプライヤーの分散やバランス調整等により備えています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。