※本記事は、株式会社安楽亭の有価証券報告書(第48期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月24日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。
1. 安楽亭ってどんな会社?
安楽亭は、焼肉レストランをはじめとする多様な外食ブランドをチェーン展開する企業です。
■(1) 会社概要
同社は1978年に設立され、焼肉レストランのチェーン展開を開始しました。1997年に店頭登録、2000年に東京証券取引所市場第二部へ上場を果たしています。近年では、2020年にステーキ・しゃぶしゃぶ業態を展開するアークミールを連結子会社化し、2022年に東証スタンダード市場へ移行しました。
現在の従業員数は連結551名、単体225名です。筆頭株主は代表取締役社長の柳先氏の関連会社である豊山開発で、第2位も同様に同氏の関連会社である北与野エステート、第3位には柳先氏本人が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 豊山開発 | 11.60% |
| 北与野エステート | 4.58% |
| 柳先 | 4.42% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性0名の計9名で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は柳先氏が務めています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 柳先 | 代表取締役社長 | 2000年同社入社。2002年常務取締役、2012年代表取締役専務を経て、2019年より現職。アークミール代表取締役社長などを兼任。 |
| 柳允 | 常務取締役商品本部長 | 2001年同社入社。マーケティング関連の部長や取締役商品部長などを経て、2022年より現職。 |
| 青木茂雄 | 取締役営業副本部長 | 2001年同社入社。埼玉エリア部長や取締役営業本部長、取締役運営本部長などを経て、2024年より現職。 |
| 日比野健朗 | 取締役東海エリア部長 | 2010年同社入社。静岡エリア次長や東海エリア部長などを経て、2024年より現職。 |
社外取締役は、河合明弘(税理士法人おしどり会計社代表社員)、蒲島竜也(社会保険労務士法人LMC社労士事務所代表社員)です。
2. 事業内容
同社グループは、「安楽亭・七輪房業態」「アークミール業態」および「その他業態」の事業を展開しています。
■安楽亭・七輪房業態
郊外型で開放的な空間での焼肉をリーズナブルな価格で提供する「安楽亭」と、個室を多く配置し落ち着いた空間を提供する「七輪房」を運営し、幅広い層の顧客を対象に焼肉レストランを展開しています。
顧客からの飲食代金が主な収益源です。運営は同社のほか、サリックスマーチャンダイズシステムズなどのグループ会社が行っています。
■アークミール業態
「ステーキのどん」「しゃぶしゃぶどん亭」「フォルクス」といったステーキやしゃぶしゃぶを提供するレストラン事業を展開しています。
飲食メニューの提供により顧客から料金を受け取ります。運営は主にアークミールが行っています。
■その他業態
安楽亭や七輪房とは異なるコンセプトの焼肉レストランや、和食、洋食、中華のレストラン等で食事を提供しています。ベトナムでの事業も含まれます。
飲食の提供による対価が収益源となります。運営は同社およびグループの各子会社が担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5期間の業績は、アークミール業態の連結子会社化等の効果もあり売上収益が順調に拡大し300億円台に達しています。利益面では一時期赤字を計上しましたが、直近では経常利益が安定して10億円以上を確保しており、当期利益も回復傾向にあります。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 235億円 | 286億円 | 303億円 | 304億円 | 308億円 |
| 経常利益 | 9億円 | 2億円 | 13億円 | 14億円 | 13億円 |
| 利益率(%) | 3.7% | 0.9% | 4.3% | 4.5% | 4.3% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | -1億円 | -6億円 | 0.5億円 | 3億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
売上高は増加したものの、原材料費などの高騰により売上総利益率は微減となりました。また、販売費及び一般管理費においても人件費の増加が影響し、営業利益率は低下しています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 304億円 | 308億円 |
| 売上総利益 | 189億円 | 191億円 |
| 売上総利益率(%) | 62.2% | 62.0% |
| 営業利益 | 15億円 | 14億円 |
| 営業利益率(%) | 4.8% | 4.7% |
販売費及び一般管理費のうち、給料手当が80億円(構成比46%)、地代家賃が33億円(同19%)を占めています。
■(3) セグメント収益
主力の安楽亭・七輪房業態は苦戦したものの、アークミール業態やその他業態が堅調に推移し、全社的な増収に寄与しました。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) |
|---|---|---|
| 安楽亭・七輪房業態 | 114億円 | 107億円 |
| アークミール業態 | 186億円 | 196億円 |
| その他業態 | 4億円 | 5億円 |
| 連結(合計) | 304億円 | 308億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業状態です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 13億円 | 20億円 |
| 投資CF | -3億円 | -7億円 |
| 財務CF | 12億円 | -5億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.8%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は32.1%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
「食を通じて地域社会の豊かな生活文化の向上に貢献する」という理念を掲げています。お客様の要望に適う、魅力あふれる「安全・健康」に配慮した商品を、心をこめた「おもてなし」のサービスにより提供することを基本方針としています。信頼される地域サービスの提供者として継続的な発展を目指しています。
■(2) 企業文化
安全・安心な食の提供を何よりも大切な使命と考え、生産地まで通じた安心食材の調達や安定管理下での加工調理の仕組みを構築しています。また、多様な働き方を尊重し、能力や知見を総合的に判断した人材登用を行うなど、実力を発揮できる環境整備を重んじる文化が窺えます。
■(3) 経営計画・目標
株主の期待に応えるべく株主資本利益率(ROE)の向上を目標に掲げています。また、売上高営業利益率を経営指標とし、安定的・継続的な利益を確保して企業価値を高めることを基本的な責務としています。
■(4) 成長戦略と重点施策
「外部環境の変化への対応と店舗営業力の強化」および「社会的責任への対応」を2大方針としています。新時代のニーズに応える新業態や新商品の開発、サービス向上に注力するとともに、DXやAI活用による業務生産性と利便性の向上を図ります。人的投資も計画的に進める方針です。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
人的資本を持続的な企業価値向上のための最も重要な経営基盤と位置づけています。専門的知見を持つ人材の積極的な中途採用や、実務に即した人事制度に基づく人材育成を中心としています。働き方の多様性を尊重した労働環境改善や、多様な人材の確保と定着の対策強化を推進しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 36.9歳 | 6.9年 | 3,903,143円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 9.6% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 80.2% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 75.8% |
| 男女賃金差異(パート・有期) | 106.7% |
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 食の安全・安心リスク
顧客への安全・安心な食の提供を使命としていますが、社会的な食中毒事故や風評被害が発生した場合、同社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。過去の汚染問題等に類する事態への対応が重要となります。
■(2) 大規模災害等の影響リスク
自社物流体制を構築して安全・安心な商品を低価格で提供していますが、大規模災害により製造・物流機能が停止した場合には販売活動に支障をきたす可能性があります。また、天候不順による原材料価格の高騰もリスクとなります。
■(3) 財務体質の課題リスク
出店に伴う設備投資を借入金に依存しており、総資産に占める借入依存度が高い状況です。今後の金利変動等により金利負担が増加した場合や、財務制限条項に抵触した場合には、財政状態に悪影響を及ぼすリスクがあります。



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