※本記事は、株式会社ワークマンの有価証券報告書(第45期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ワークマンってどんな会社?
作業服、作業関連用品、アウトドアウエアなどの小売事業を展開し、フランチャイズチェーンを運営しています。
■(1) 会社概要
1982年に作業服及び作業用品の専門小売業として設立されました。1997年に日本証券業協会へ株式を店頭登録し、2004年にジャスダック証券取引所へ上場しています。2018年には新業態「ワークマンプラス」の1号店を出店し、2020年に全国47都道府県への出店を達成しました。
従業員数は単体で440名です。筆頭株主はベイシア興業で、第2位は土屋裕雅氏、第3位はカインズとなっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| ベイシア興業 | 28.23% |
| 土屋裕雅 | 14.09% |
| カインズ | 9.67% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性1名の計7名で構成され、女性役員比率は14.3%です。代表取締役社長は大内康二氏が務めています。社外取締役比率は42.9%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 大内康二 | 代表取締役社長 | 1996年4月同社入社。スーパーバイズ部西日本エリアブロック部長代理、商品部長、役員待遇商品本部長兼生産管理部長などを経て、2026年4月より現職。 |
| 土屋哲雄 | 専務取締役経営企画部担当 | 1975年4月三井物産入社。三井情報取締役執行役員などを経て、2012年4月同社常勤顧問。常務取締役情報システム部担当などを経て、2025年6月より現職。 |
| 飯塚幸孝 | 取締役財務部担当 | 1989年8月同社入社。財務部会計グループマネジャー、財務部長代理、財務部長兼会計グループ担当、役員待遇財務部長などを経て、2025年6月より現職。 |
| 加藤昌宏 | 取締役(監査等委員) | 1991年4月同社入社。総務部長代理、総務部長、営業企画部兼販促サービス部長、営業企画部長、法務部長などを経て、2023年6月より現職。 |
社外取締役は、濱屋理沙(インターネットでのアパレル販売等)、堀口均(弁護士)、信澤山洋(公認会計士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「小売事業」を展開しています。
■小売事業
同社は、作業服、作業関連用品、アウトドア・スポーツウエア、およびカジュアルウエアの小売事業を展開しています。主な商品は、ファミリー衣料、カジュアルウエア、ワーキングウエア、ユニフォーム、履物、作業用品に分かれており、プロの職人から一般の消費者まで幅広い顧客層に向けた商品を提供しています。
収益の柱は、フランチャイズ・ストアに対する情報・ノウハウの供与などから得る加盟店からの収入と、加盟店向けの商品供給売上、ならびに直営店での売上高です。同社が主体となって全国47都道府県で店舗網を展開し、消費者の地域性に合わせた商品構成による販売と流通業務の受託を行っています。
3. 業績・財務状況
同社の業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
営業総収入は継続して拡大基調にあり、直近の第45期にかけて一段と増加しています。経常利益は一時的に足踏みしたものの、直近では大きく伸長し、利益率も19%台まで回復するなど、収益性の向上が確認できます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1163億円 | 1283億円 | 1327億円 | 1369億円 | 1609億円 |
| 経常利益 | 274億円 | 247億円 | 237億円 | 249億円 | 306億円 |
| 利益率(%) | 23.6% | 19.2% | 17.8% | 18.2% | 19.0% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 183億円 | 167億円 | 160億円 | 169億円 | 206億円 |
■(2) 損益計算書
売上高(営業総収入)、売上総利益ともに前事業年度から増加しています。売上総利益率も堅調に推移し、営業利益率も向上するなど、全体として収益性の高い事業運営が行われています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 1369億円 | 1609億円 |
| 売上総利益 | 512億円 | 610億円 |
| 売上総利益率(%) | 37.4% | 37.9% |
| 営業利益 | 244億円 | 297億円 |
| 営業利益率(%) | 17.8% | 18.4% |
販売費及び一般管理費のうち、地代家賃が72億円(構成比23%)、業務委託費が52億円(同17%)を占めています。
■(3) セグメント収益
同社は作業服やアウトドア・スポーツウエア等の小売事業を営む単一セグメントのため、セグメント別の記載はありません。全社として、機能性とファッション性を融合させた商品の拡充や店舗網の拡大が寄与し、堅調な売上と利益を生み出しています。
| 区分 | 売上(2025年3月期) | 売上(2026年3月期) | 利益(2025年3月期) | 利益(2026年3月期) | 利益率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 小売事業 | 1369億円 | 1609億円 | 244億円 | 297億円 | 18.4% |
| 連結(合計) | 1369億円 | 1609億円 | 244億円 | 297億円 | 18.4% |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業となっています。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 248億円 | 188億円 |
| 投資CF | -299億円 | -134億円 |
| 財務CF | -57億円 | -61億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.3%で、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は82.8%であり、いずれも市場平均を上回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「声のする方に、進化する。」を経営理念として掲げています。常にお客様の立場に立って日々の暮らしに密着した安心と信頼を提供し、生活文化の向上に役立つことを使命としています。また、機能と価格に新基準を実現し、生活者の「可処分所得」を増やすことを存在意義(Purpose)として定めています。
■(2) 企業文化
「共存共栄」の精神を重視し、お客様の満足を第一に、加盟店と取引先の発展、地域社会への貢献に努めることを文化としています。ローコスト経営、データ経営、標準化を柱に長期的な優良関係を目指し、自ら意欲的に力を発揮できる環境を整備して、自然体で成果を生む行動がとれる組織構築を掲げています。
■(3) 経営計画・目標
同社の事業活動における最重要課題は、加盟店の業績向上とフランチャイズ・ストア化の推進です。目標とする経営指標として、既存店売上高の伸び率とフランチャイズ比率を重視しています。また、サステナビリティに関する目標として以下を掲げています。
- 2030年に1店舗当たりのGHG排出量を2013年比50%削減
- 女性社員比率25%、女性管理職比率10%(2030年3月期まで)
■(4) 成長戦略と重点施策
客層拡大と顧客満足度の向上により持続的成長を目指しています。「より良いものをより安く」をモットーに、機能・価格等を追求したプライベートブランド商品の拡大や、店舗改装・新業態の出店を通じた一般顧客へのアプローチを強化します。また、販売データ活用による緻密な品揃えや、物流インフラへの継続的な投資によるコスト抑制を図ります。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
中期成長ビジョン「すべての人に機能性ウエアを」の実現に向け、自律的に思考し行動する「自走型組織」の構築を目指しています。全社員へのデータ分析・AI活用スキル研修やジョブローテーションを推進し、社員が長く安心して働ける環境の整備とともに、生産性の最大化と会社成長に伴う平均年収アップを図る方針です。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく上回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 37.0歳 | 11.6年 | 8,046,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 1.7% |
| 男性育児休業取得率 | 73.3% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 45.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 80.9% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 68.0% |
また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、フランチャイズ・ストア比率(92.0%)、再契約率(96.2%)、事業継承率(29.6%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 地震等の発生による影響
大規模な地震や火災などの自然災害が発生した場合、インフラ機能の麻痺や店舗・流通センターなどの設備に損害が生じるリスクがあります。これにより、復旧費用の発生や店舗営業への支障が生じ、同社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 異常気象による影響
季節商品や雨具類など、天候により販売数量が大きく左右される商品を扱っているため、販売時期に冷夏や暖冬などの異常気象が発生した場合、商品に対する需要が低下し、過剰在庫を招くことで業績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 流行の変化による影響
一般個人消費者が主要購買層となるアウトドア・スポーツやカジュアル商品は、流行や嗜好の変化など比較的短期間での外部環境変化が生じる可能性が高く、商品需要の減少や在庫増加に伴う値引き販売が増加するリスクがあります。
■(4) 仕入価格の変動によるリスク
同社のプライベートブランド商品は概ね海外から直接仕入れており、円安の進行や原材料価格、海上輸送費の高騰などが仕入価格の上昇を招くリスクがあります。為替予約などの対策を行っても吸収しきれない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。



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