ヤマノホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヤマノホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヤマノホールディングスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、美容室運営や和装品・宝飾品販売、学習塾、古着買取販売、写真スタジオなどを展開する企業です。直近の業績では、和装宝飾事業の収益構造改善や成長領域の拡大により、売上高147.2億円、当期純利益3.2億円と増収増益を達成しています。


※本記事は、ヤマノホールディングスの有価証券報告書(第40期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヤマノホールディングスってどんな会社?


美容室運営や和装品・宝飾品販売の既存事業に加え、教育やリユースなどの新規事業を展開する企業です。

(1) 会社概要


同社は1987年に設立されました。2001年に持株会社体制へ移行し、ヤマノホールディングコーポレーションに商号変更した後、2006年に現在のヤマノホールディングスへと商号を変更しました。近年は事業承継型のM&Aを積極的に推進しており、2020年にマンツーマンアカデミー、2022年にOLD FLIP、2025年に薬師スタジオおよびニューヨークジョーエクスチェンジをグループ化するなど、新たな領域での成長を図っています。

現在の従業員数はグループ全体で566名、単体で357名です。筆頭株主は不動産・有価証券等の管理を行うヤマノネットワークで、第2位は代表取締役社長CEOの山野義友氏、第3位は化粧品製造販売を行うヤマノビューティメイトグループです。

氏名 持株比率
ヤマノネットワーク 13.70%
山野義友 10.90%
ヤマノビューティメイトグループ 9.60%

(2) 経営陣


同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長CEOは山野義友氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
山野義友 代表取締役社長CEO アールエフシー代表取締役社長、ら・たんす山野代表取締役社長、マンツーマンアカデミー代表取締役会長を経て現職。
岡田充弘 取締役専務執行役員管理本部長 同社入社後、連結管理部長、執行役員財務経理部長、常務執行役員などを歴任し、2019年より現職。
山野功子 取締役社主 ヤマノビューティメイト取締役、全日本エステ指導育成協会会長などを歴任し、2017年より現職。


社外取締役は、松尾茂(元SHIFT取締役副社長)、公文裕子(山野美容芸術短期大学客員教授)、成島由美(元ベネッセコーポレーション取締役常務執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「ニューバリュー」および「コアバリュー」セグメントの事業を展開しています。

ニューバリューセグメント


学習塾の運営を行う教育事業、古着の買取・販売を行うリユース事業、写真スタジオの運営を行うフォト事業を展開しています。主に個人顧客向けにサービスや商品を提供しており、事業承継型M&Aを通じてグループの成長を牽引する領域として位置づけられ、事業基盤の拡充が進められています。

生徒からの授業料や、顧客からの古着買取・販売代金、写真撮影等のサービス料が主な収益源です。運営は、教育事業をマンツーマンアカデミー、東京ガイダンス、灯学舎、アークネットが、リユース事業をOLD FLIP、ニューヨークジョーエクスチェンジが、フォト事業を薬師スタジオがそれぞれ行っています。

コアバリューセグメント


美容室・ネイルサロンの経営、和装品・宝飾品の販売、家電・健康関連商品等の訪問・催事販売を展開しています。安定的な利益創出とキャッシュ・フロー創出力の向上を担う基盤事業として位置づけられ、販売効率の向上や店舗運営の効率化による収益構造の改善が進められています。

美容サービスの提供料、和装品や宝飾品の販売代金、割賦手数料などが主な収益源です。運営は同社の各部門が行っているほか、和装宝飾事業を子会社のすずのきが、前払式特定取引業などをヤマノセイビングが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の売上高は130億円台から140億円台へと緩やかな増加傾向にあります。経常利益は一時的に落ち込みを見せたものの、足元では収益構造の改善や成長領域への投資が奏功し、回復基調にあります。最終利益についても黒字幅が大きく拡大しており、既存事業の安定と新規事業の寄与により、全体の業績は成長軌道に乗っています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 131.8億円 139.0億円 138.4億円 139.6億円 147.2億円
経常利益 2.7億円 2.9億円 1.0億円 2.4億円 3.6億円
利益率(%) 2.0% 2.1% 0.7% 1.7% 2.4%
当期利益(親会社所有者帰属) 1.1億円 2.1億円 0.6億円 -1.4億円 3.2億円

(2) 損益計算書


売上高および売上総利益ともに前年を上回って推移しており、営業利益率も改善しています。既存事業における不採算店舗の見直しや営業体制の最適化といった収益力強化施策が奏功し、増収増益の基盤が明確に形成されています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 139.6億円 147.2億円
売上総利益 70.6億円 74.2億円
売上総利益率(%) 50.6% 50.4%
営業利益 2.6億円 4.1億円
営業利益率(%) 1.9% 2.8%


販売費及び一般管理費のうち、給与手当が27.1億円(構成比38.7%)、賃借料が7.5億円(同10.8%)、販売手数料が4.1億円(同5.9%)を占めています。

(3) セグメント収益


コアバリュー事業は、和装宝飾事業における新システムの稼働や不採算店舗の整理により業務効率が向上し、着実に売上を伸ばしています。ニューバリュー事業は、M&Aによる新規グループ企業の寄与や教育事業の堅調な推移により、前年から大幅な増収を達成しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
ニューバリュー 17.6億円 22.4億円
コアバリュー 122.0億円 124.8億円
連結(合計) 139.6億円 147.2億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は積極型に分類されます。営業で利益を出し、借入によって積極投資を行う状態です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 3.8億円 3.8億円
投資CF -1.3億円 -3.0億円
財務CF -5.5億円 3.2億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は14.7%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は17.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「美道五原則 髪・顔・装い・精神美・健康美」を企業理念に掲げています。この理念に基づき、事業を通じて顧客の豊かな暮らしに貢献するとともに、持続的な企業価値の向上を目指しています。また、ミッションとして「豊かさと彩りあるライフスタイルを創造し続けます」と定めています。

(2) 企業文化


従業員一人ひとりが同社グループの将来性に誇りと期待を持ち、「従業員が投資したくなる会社へ」というビジョンの実現を重視しています。対象会社の歴史やブランド、人材、事業運営ノウハウを尊重しながら、友好的な「Win-WinのM&A」を推進する文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


2024年5月に「中期経営計画~Tsunageru2027~」を発表し、2027年3月期を最終年度とする経営基盤強化期間と位置づけています。事業ポートフォリオの最適化や人的資本をより活かす経営、資本コストや株価を意識した経営を重要課題とし、グループ全体の成長基盤の強化に取り組んでいます。

(4) 成長戦略と重点施策


「ニューバリュー」と「コアバリュー」の2区分による経営管理体制のもと、成長領域への投資と既存事業の利益創出力強化を両立させます。教育、リユース、フォト事業の拡充や、和装宝飾事業等の販売効率向上による安定的な利益成長を目指し、事業承継型M&Aと買収後のPMIを推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、「人的資本経営方針」のもと、多様な社員一人ひとりが能力を発揮できる環境づくりに取り組んでいます。「人財育成方針」に基づき公平な能力開発の機会や公正な評価を提供し、「社内環境整備方針」により仕事と生活の調和を図りながら安心して活躍できる風土の醸成を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 48.1歳 11.7年 3,805,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 23.9%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 63.8%
男女賃金差異(正規雇用) 70.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 58.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率(75.8%)、女性準管理職比率(35.3%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 業績変動のリスク

同社の事業は成熟産業に属し、特に高額な和装品や宝飾品は景気後退に伴う需要縮小の影響を受けやすく、消費性向の変化や天候不順、自然災害などにより業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

(2) 顧客情報の管理に関するリスク

商品・サービスの販売過程で多くの顧客情報を取り扱っており、IT統制等による管理を徹底しています。しかし、世界的なサイバー攻撃や不正アクセス等で情報流出が発生した場合、将来的な事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) M&A等の投資に関するリスク

事業拡大の重要な成長戦略としてM&Aを推進していますが、買収後に偶発債務や未認識債務が発覚する可能性があります。また、のれん等の超過収益力の効果が発現せず、将来にわたり減損処理が必要となった場合、業績に影響を及ぼす恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。