大戸屋ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

大戸屋ホールディングス 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

大戸屋ホールディングスは東京証券取引所スタンダード市場に上場し、定食店「大戸屋ごはん処」を国内外で直営・フランチャイズ展開する企業です。2025年3月期は、既存店の回復や価格改定効果により売上高は前期比12.5%増と伸長しましたが、特別損失の計上等により当期純利益は12.7%減となりました。


※本記事は、大戸屋ホールディングス の有価証券報告書(第42期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 大戸屋ホールディングスってどんな会社?


定食店「大戸屋ごはん処」を国内外で展開する外食チェーンです。店内調理にこだわった定食を提供しています。

(1) 会社概要


1983年5月に株式会社大戸屋(現・大戸屋ホールディングス)として設立され、2001年8月に株式を店頭登録しました。2005年1月にはタイ王国に海外第1号店を出店し、グローバル展開を開始。2011年7月に持株会社体制へ移行し、現商号に変更しました。2020年11月にはコロワイドが親会社となり、同社グループの一員となっています。

2025年3月31日現在、連結従業員数は713名、単体従業員数は36名です。筆頭株主は外食大手の事業会社であるコロワイドで、第2位は食品卸売業の事業会社である日本アクセス、第3位は総合商社の事業会社である住友商事となっています。

氏名 持株比率
コロワイド 46.72%
日本アクセス 0.69%
住友商事 0.59%

(2) 経営陣


同社の役員は男性7名、女性1名の計8名で構成され、女性役員比率は12.5%です。代表取締役社長は蔵人賢樹氏です。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
蔵人 賢樹 代表取締役社長 2010年コロワイド入社。コロワイドMD社長、WORITS社長等を経て、2020年11月より現職。
橋澤 順 取締役経営管理本部長 2002年コロワイド入社。シルスマリア取締役営業本部長、大戸屋取締役営業本部長等を経て、2024年6月より現職。
三森 智仁 取締役 2011年三菱UFJ信託銀行入社。大戸屋執行役員社長付、常務取締役海外事業本部長等を経て、2020年11月より現職。


社外取締役は、小濵直人(オフィス小浜代表取締役)、山田奈央子(シルキースタイル代表取締役社長)、河合宏幸(河合公認会計士・税理士事務所所長)、田村吉央(弁護士法人ノーサイド法律事務所代表弁護士)です。

2. 事業内容


同社グループは、「国内直営事業」「国内フランチャイズ事業」「海外直営事業」「海外フランチャイズ事業」および「その他」事業を展開しています。

国内直営事業

日本国内において定食店「大戸屋ごはん処」などの直営店舗運営を行っています。店内調理による出来立ての定食や弁当を提供し、一般消費者を顧客としています。

収益源は、来店客からの飲食代金やテイクアウト商品の販売代金です。運営は主に子会社の大戸屋が行っています。

国内フランチャイズ事業

日本国内において「大戸屋ごはん処」のフランチャイズ展開を行っています。加盟店に対して店舗運営のノウハウ提供やブランド使用許諾を行います。

収益源は、加盟店からのロイヤルティ収入、加盟金、および食材等の販売代金です。運営は主に子会社の大戸屋が行っています。

海外直営事業

海外(香港、シンガポール、アメリカ、タイ)において飲食事業の直営展開を行っています。現地の一般消費者に対し、日本式の定食メニュー等を提供しています。

収益源は、来店客からの飲食代金です。運営は、香港大戸屋有限公司、OOTOYA ASIA PACIFIC PTE. LTD.、AMERICA OOTOYA INC.、M OOTOYA (THAILAND) CO., LTD.等の海外子会社が行っています。

海外フランチャイズ事業

海外(タイ、台湾、インドネシア等)において飲食事業のフランチャイズ展開を行っています。現地のパートナー企業等に対し、店舗運営の権利を付与しています。

収益源は、加盟店からのロイヤルティ収入や加盟金等です。運営は主に子会社の大戸屋が行っています。

その他

タイ王国において、プライベートブランド商品の輸入・販売業務を行っています。

収益源は、商品販売による代金です。運営は子会社のTHREE FOREST (THAILAND) CO., LTD.が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの5期間の業績推移です。売上高は2021年3月期以降、回復基調にあり、2025年3月期には314億円に達しています。経常利益も赤字から黒字転換し、直近では17億円の水準を維持しています。親会社株主に帰属する当期純利益も2022年3月期以降は黒字を継続しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 161億円 188億円 238億円 279億円 314億円
経常利益 -34億円 -5億円 4億円 17億円 17億円
利益率(%) -20.9% -2.8% 1.5% 6.1% 5.5%
当期利益(親会社所有者帰属) -9億円 3億円 2億円 3億円 2億円

(2) 損益計算書


直近2期間の損益実績です。売上高は前期比で増加し、売上総利益も増加しています。売上原価率は前期の約40.6%から当期は約41.8%へと若干上昇しました。営業利益率は5%台を維持しており、安定した収益性を確保しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 279億円 314億円
売上総利益 166億円 183億円
売上総利益率(%) 59.4% 58.2%
営業利益 16億円 17億円
営業利益率(%) 5.9% 5.3%


販売費及び一般管理費のうち、給与及び手当が74億円(構成比44%)、地代家賃が22億円(同13%)を占めています。売上原価は131億円で、売上高に対する構成比は42%です。

(3) セグメント収益


各セグメントの業績です。主力の国内直営事業と国内フランチャイズ事業が増収に寄与しています。国内直営事業は売上高が増加したものの、コスト増等により減益となりました。一方、海外フランチャイズ事業やその他事業は増収増益を達成しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
国内直営事業 165億円 191億円 6億円 6億円 3.2%
国内フランチャイズ事業 76億円 84億円 16億円 15億円 17.9%
海外直営事業 30億円 31億円 -1億円 -0億円 -0.3%
海外フランチャイズ事業 3億円 3億円 1億円 1億円 33.1%
その他 4億円 6億円 1億円 1億円 19.9%
調整額 -0億円 0億円 0億円 0億円 0.0%
連結(合計) 279億円 314億円 23億円 23億円 7.4%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、本業で稼いだ資金で借入金の返済を進めつつ、手元資金で投資も賄う「健全型」のキャッシュ・フロー状態にあります。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 22億円 21億円
投資CF -8億円 -15億円
財務CF -9億円 -11億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は26.4%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は37.7%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「人々の心と体の健康を促進し、フードサービス業を通じ人類の生成発展に貢献する。」という経営理念を掲げています。この理念のもと、食を通じて顧客へ健康を提供しながら、食の総合カンパニーを目指しています。

(2) 企業文化


「健康」をキーワードに、食のインフラの担い手として社会の持続可能な発展と企業価値の向上を目指す文化があります。具体的には「地球環境への貢献」「食の安全・安心の提供」「働く仲間の成長と多様性の尊重」「地域・社会への貢献」「経営基盤の強化」という5つのマテリアリティ(重要課題)を特定し、持続的成長に向けた取り組みを推進しています。

(3) 経営計画・目標


同社グループは、「中期経営計画(2025年3月期-2027年3月期)」に基づき、売上高増による利益体質の強化を掲げています。持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を企図し、2026年3月期の具体的な数値目標を設定しています。

* 売上高:33,727百万円
* 営業利益:1,732百万円

(4) 成長戦略と重点施策


中期経営計画に基づき、既存事業の改善と更なる発展、出店地域・立地の明確化、新業態の創出、中食事業の強化、海外事業の改善と拡大、人材基盤の強化を重点施策としています。また、メディア露出増加やアプリ活用による集客強化、店内調理の価値向上、サステナビリティ経営の推進にも注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「働く仲間の成長と多様性の尊重」を掲げ、全従業員が自律的に成長できる機会を提供し、自己成長していく人材を育成する方針です。多様な人材が能力やライフステージに合わせて働き方を選択できる制度(JOB型人事制度、フレキシブル社員制度等)を導入し、働きがいのある職場環境の整備に努めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 47.1歳 8.8年 6,509,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 10.3%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 74.9%
男女賃金差異(正規雇用) 74.6%
男女賃金差異(非正規雇用) -


男性育児休業取得率は、HTML原文において数値が「-」と記載されており、具体的な算出値の記載がありません。また、非正規雇用の男女賃金差異についても同様に「-」となっています。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性社員比率に関する目標(2026年度までにグループ全体で30%)、女性管理職比率に関する目標(2026年度までにグループ全体で30%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 株式会社日本アクセスに対する配送依存度


同社グループは、各店舗で使用する食材の配送を全面的に株式会社日本アクセスに委託しています。配送集中のメリットはあるものの、同社の配送センターにおける事故等により配送機能が停止した場合、食材欠品により店舗営業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 店舗展開と出店政策


駅周辺や繁華街、ショッピングセンター等への出店を中心に展開していますが、出店先の選定では採算性を最重視しています。出店条件(周辺人口、投資回収期間等)を満たす物件が出店計画数に満たない場合、グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 人材の確保及び育成


店内調理による高品質な商品提供のため、調理技術と店舗運営管理能力を備えた店主の育成が重要です。人材育成が順調に進まない場合、グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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