ヒラキ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

ヒラキ 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証スタンダード上場の靴・履物等の販売会社。「靴のヒラキ」として知られ、自社企画開発商品を中心とした通信販売、店舗販売、卸販売を展開しています。直近の業績は、店舗販売が堅調に推移したものの、主力の通信販売が低調で減収となり、営業損失および経常損失を計上、最終損益も減損損失の影響で大幅な減益となりました。


#記事タイトル:ヒラキ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

※本記事は、ヒラキ株式会社 の有価証券報告書(第48期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月30日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. ヒラキってどんな会社?


自社企画開発による低価格な靴・履物を主力に、衣料や日用雑貨品等を通信販売や店舗で提供する企業です。

(1) 会社概要


同社のルーツは1961年に神戸市で創業した靴の部品製造販売を行う平木製作所です。1978年に靴小売業を目的にヒラキ商事(現同社)を設立し、「靴のヒラキ」として店舗展開を開始しました。1987年に通信販売事業を譲受し、商号を現在のヒラキに変更。2006年には東京証券取引所市場第二部(現スタンダード市場)へ上場を果たしました。

連結従業員数は240名、単体では236名です。筆頭株主は同社の創業家に関連する株式会社マヤハで15.44%を保有しています。次いでヒラキ従業員持株会が5.38%、地域の金融機関である神戸信用金庫が5.16%を保有しており、創業家および従業員、取引金融機関が主要な株主となっています。

氏名 持株比率
マヤハ 15.44%
ヒラキ従業員持株会 5.38%
神戸信用金庫 5.16%

(2) 経営陣


同社の役員は男性8名、女性1名、計9名で構成され、女性役員比率は11.1%です。代表取締役社長執行役員は梅木孝雄氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
伊 原 英 二 取締役会長 1974年兵庫相互銀行(現みなと銀行)入行。監査部長等を経て、2005年同社入社。監査役、代表取締役会長兼社長執行役員を歴任し、2025年6月より現職。
梅 木 孝 雄 代表取締役社長執行役員 1992年同社入社。通信販売部長、専務執行役員、営業本部長、店舗販売事業部長兼店舗統括部長などを歴任し、2025年6月より現職。
姫 尾 房 寿 取締役常務執行役員現業支援本部長兼総務部長兼経営戦略室管掌 1981年兵庫相互銀行(現みなと銀行)入行。2011年同社入社。執行役員総務部長などを経て、2019年6月より現職。
堀 内 秀 樹 取締役執行役員店舗販売事業部長兼店舗統括部長 1999年同社入社。通信販売事業部長、開発商品事業部長兼品質管理部長、上海子会社董事長などを歴任。2025年6月より現職。


社外取締役は、朝家修(公認会計士・税理士)、船瀬紗代子(西須磨幼稚園副園長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「通信販売事業」、「店舗販売事業」および「卸販売事業」を展開しています。

通信販売事業


靴を中心としたカタログ、インターネット販売を行っています。自社企画開発による低価格帯の靴・履物、衣料、日用雑貨品等を、カタログや自社ECサイトを通じて全国の個人顧客に提供しています。

収益は、顧客への商品販売代金です。運営は主にヒラキ(同社)が行っており、連結子会社の上海平木福客商業有限公司が商品の調達機能を担っています。

店舗販売事業


靴を中心とした総合ディスカウントストアならびに靴専門店の運営、店舗販売を行っています。兵庫県にある岩岡本店などの大型総合店では靴以外に食品や雑貨も扱い、京阪神エリアには靴専門店を展開しています。

収益は、来店客への商品販売代金です。運営は主にヒラキ(同社)が行っており、食品などの一部商品についてはテナントからの賃貸収入等も含まれます。

卸販売事業


大手小売店、量販店等への卸販売を行っています。自社企画開発商品やOEM供給などを通じて、ホームセンターや靴販売店などの法人顧客へ商品を供給しています。

収益は、取引先企業への商品販売代金です。運営は主にヒラキ(同社)が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


売上高は長期的に減少傾向にあり、直近5期で約30億円減少しています。利益面では、かつては一定の黒字を確保していましたが、直近2期は利益率が低下し、当期は経常損失および大幅な当期純損失を計上するなど、厳しい業績推移となっています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 160億円 152億円 143億円 133億円 130億円
経常利益 9.1億円 7.0億円 1.9億円 0.1億円 -0.0億円
利益率(%) 5.7% 4.6% 1.3% 0.0% -0.3%
当期利益(親会社所有者帰属) 5.6億円 4.6億円 1.3億円 -0.1億円 -7.8億円

(2) 損益計算書


売上高の減少に伴い売上総利益が減少し、営業損失の状態が続いています。当期は特別損失として減損損失を約6億円計上したため、当期純損失が前期に比べて大幅に拡大しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 133億円 130億円
売上総利益 61億円 59億円
売上総利益率(%) 45.7% 45.2%
営業利益 -0.5億円 -0.0億円
営業利益率(%) -0.3% -0.0%


販売費及び一般管理費のうち、給料手当及び賞与が18億円(構成比31%)、広告宣伝費及び販売促進費が15億円(同26%)を占めています。

(3) セグメント収益


店舗販売事業は増収増益となりましたが、主力の通信販売事業が大幅な減収減益となり、全体を押し下げました。卸販売事業は黒字転換したものの、売上規模は縮小しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
通信販売事業 67億円 61億円 2.9億円 2.0億円 3.3%
店舗販売事業 64億円 66億円 0.6億円 1.8億円 2.7%
卸販売事業 2.1億円 1.9億円 -0.1億円 0.1億円 3.2%
調整額 - - -3.8億円 -3.9億円 -
連結(合計) 133億円 130億円 -0.5億円 -0.0億円 -0.0%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社は、営業で利益を出し、借入返済を行い、投資も手元資金で賄う「健全型」のキャッシュ・フロー状態です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 14.3億円 1.6億円
投資CF -8.9億円 -0.0億円
財務CF -3.1億円 -3.4億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は-11.2%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は43.2%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「お客様に支持され、社会に貢献し、世の中に必要とされ、そして従業員の拠り所となる会社であり続けること。」を経営の基本方針としています。この実現のため、お客様が本当に欲しいと思われる商品を気持ちよく買っていただくことをポリシーとした商品作りを行い、長期安定的な企業価値の向上を目指しています。

(2) 企業文化


同社は「よい商品をどこよりも安く」をモットーに掲げ、品質を守りながら気軽に買える価格設定を重視しています。お客様に「驚き」「楽しさ」「満足感」を届けることを商売の原点とし、社訓に基づき企業の永続性と次代の礎となることを目指す文化があります。

(3) 経営計画・目標


同社は『2026中期経営計画(2024~2026年度)』を策定し、収益モデルの再構築と強靭な企業体質の確立を目指しています。

* 自己資本利益率(ROE):5%以上
* 自己資本比率:47%

(4) 成長戦略と重点施策


「商品力の強化」を基本戦略とし、オリジナル商品について「価格から価値へ」の方針を掲げています。通信販売では機能訴求型商品の開発やWEB集客強化、店舗販売では靴専門店の出店加速と既存店の活性化に取り組みます。また、ECの強化、販売足数日本一の売場づくり、卸販売によるシェア拡大、ローコストオペレーションの徹底を推進します。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は「企業は人で決まる」との考えのもと、多様な価値観を持つ人材が活躍できる環境づくりを進めています。性別や国籍に関わらない採用・登用を行い、特に主力顧客層である女性の管理職登用や、将来を担う新卒採用者の管理職育成を重視しています。また、社員の人間性尊重を基本とし、意欲ある者が挑戦して報われる社風と、働きやすい職場環境の整備を目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均を大きく下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 45.5歳 16.5年 4,721,000円


※平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
管理職に占める女性労働者の割合 7.4%
男性労働者の育児休業取得率 100.0%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 58.1%
労働者の男女の賃金の差異(正規雇用) 71.8%
労働者の男女の賃金の差異(非正規) 99.7%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、サステナブル商品の開発割合(3.7%)、係長以上に占める女性の割合(22%)、年度採用者に占める新卒採用割合(64%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 生産国の経済情勢等による影響


同社のオリジナル商品は主に中国等の海外工場で生産されており、輸入取引の大部分を中国が占めています。そのため、中国の政治情勢や経済環境、人民元相場の変動などが生じた場合、安定的な商品供給やコスト構造に影響を与え、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 為替相場変動の影響


海外生産委託に伴う輸入取引は米ドル建て決済が中心です。為替予約等でリスク軽減を図っていますが、急激な円安の進行などは仕入コストの上昇要因となり、同社の強みである低価格戦略の維持や利益率に影響を与え、経営成績を圧迫する可能性があります。

(3) 天候要因による影響


靴や衣料等の季節商品を多く取り扱っているため、冷夏や暖冬などの異常気象や大規模な自然災害が発生した場合、季節商品の販売が低迷するリスクがあります。これにより在庫の増加や売上の減少が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 金利変動の影響


店舗開発や物流センターへの設備投資に伴い、有利子負債残高が総資産の一定割合を占めています。市場金利が大幅に上昇した場合、支払利息の増加により利益が圧迫される可能性があります。同社は有利子負債の削減や固定金利調達を進めていますが、金利動向には注意が必要です。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。