マツキヨココカラ&カンパニー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マツキヨココカラ&カンパニー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マツキヨココカラ&カンパニーは東京証券取引所プライム市場に上場し、ドラッグストアや保険調剤薬局のチェーン経営を主力としています。近年はアプリやオンラインストアを融合した施策や独自ブランドの強化により顧客基盤を拡大しており、直近の連結業績においても売上高と経常利益がともに増加する増収増益のトレンドを維持しています。


※本記事は、株式会社マツキヨココカラ&カンパニーの有価証券報告書(第19期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. マツキヨココカラ&カンパニーってどんな会社?


ドラッグストアや調剤薬局の展開を通じ、美と健康の分野で幅広い商品やサービスを提供する企業です。

(1) 会社概要


1932年にマツモト薬舗として開業し、1954年に有限会社化されました。2007年に持株会社として設立され、上場を果たしています。2021年にはココカラファインとの経営統合により現在の社名に変更しました。直近では2025年に新生堂薬局を子会社化するなど、事業規模の拡大を続けています。

現在の従業員数は連結で14,293名、単体で74名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行で、第2位も同様に資産管理業務を行う銀行です。第3位には地方銀行が名を連ねており、安定した資本基盤を構築しています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行 14.24%
日本カストディ銀行 5.32%
千葉銀行 3.40%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性5名の計18名で構成され、女性役員比率は27.8%です。代表取締役社長は松本清雄氏が務めています。取締役の社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
松本清雄 代表取締役社長 1995年マツモトキヨシ入社。同社取締役商品部長等を経て、2014年より現職。
松本南海雄 取締役会長 1965年有限会社薬局マツモトキヨシ入社。同社代表取締役社長等を経て、2023年より現職。
塚本厚志 代表取締役副社長 1985年セイジョー入社。ココカラファイン代表取締役社長等を経て、2021年より現職。
松本貴志 代表取締役副社長グループ営業企画統括 2002年マツモトキヨシ入社。同社取締役等を経て、2026年より現職。
小部真吾 専務取締役グループ管理統括 2006年マツモトキヨシ入社。同社人事部長等を経て、2026年より現職。
石橋昭男 常務取締役グループ経営企画統括 2009年マツモトキヨシ入社。同社経営企画部長等を経て、2022年より現職。
山本剛 取締役グループ事業企画統括 2016年ココカラファイン顧問。同社取締役副社長等を経て、2021年より現職。
松田崇 取締役グループ営業企画統括副統括 1996年マツモトキヨシ入社。同社取締役等を経て、2022年より現職。


社外取締役は、大村宏夫(元日本道路執行役員)、木村惠司(元三菱地所社長)、沖山奉子(元東亜建設工業執行役員)、品田英明(元味の素AGF社長)、山本多絵子(元富士通執行役員)です。

2. 事業内容


同社グループは、「マツモトキヨシグループ事業」「ココカラファイングループ事業」「アンドカンパニー事業」および「管理サポート事業」を展開しています。

マツモトキヨシグループ事業


ドラッグストアおよび保険調剤薬局のチェーン店経営を中心に、店舗の展開とフランチャイズ事業を行っています。都市部や商業施設などを中心に出店し、一般消費者に美と健康に関する多様な商品を提供しています。

収益は一般消費者への商品販売や、フランチャイジーへの商品供給から得ています。運営は主にマツモトキヨシ、マツモトキヨシ東日本販売などが行っています。

ココカラファイングループ事業


ドラッグストアや保険調剤薬局のチェーン店経営のほか、介護施設の運営や訪問介護、介護用品のレンタル・販売など、ヘルスケア周辺領域のサービスを総合的に提供しています。

収益は一般消費者からの商品代金や、介護サービスに対する利用料などから得ています。運営はココカラファインヘルスケアなどが担当しています。

アンドカンパニー事業


新たにグループに参画した企業を中心に、ドラッグストアや保険調剤薬局のチェーン店経営、および保険調剤薬局の開局・運営を行っています。地域の特性に応じたドミナント戦略を推進しています。

収益は一般消費者からの商品購入代金や処方箋に基づく調剤報酬などから得ています。運営は中間持株会社であるアンドカンパニーや、子会社化された新生堂薬局が行っています。

管理サポート事業


小売事業を営むグループ各社が取り扱う商品の仕入れ・販売を一括して行うほか、グループ会社の経営管理・統轄や間接業務の受託、プライベートブランド商品の企画開発を担っています。

収益はグループ会社への商品供給や、管理業務の受託手数料などから得ています。運営は同社やMCCマネジメントなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、売上高は右肩上がりで順調に推移しており、最新期には1兆円を突破しています。経常利益も売上の増加に伴い毎期連続して成長しており、利益率も6%台から8%台へと改善傾向にあります。事業統合や規模拡大の成果が表れ、安定した成長軌道を描いていることが伺えます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上高 7,300億円 9,512億円 10,225億円 10,616億円 1,1174億円
経常利益 446億円 667億円 805億円 863億円 899億円
利益率(%) 6.1% 7.0% 7.9% 8.1% 8.0%
当期利益(親会社所有者帰属) 159億円 39億円 305億円 200億円 168億円

(2) 損益計算書


利益率については大きな変動はなく、売上総利益率は約35%台、営業利益率は約7%台後半で安定的に推移しています。増収効果により、利益の絶対額も着実に増加しています。

項目 2025年3月期 2026年3月期
売上高 10,616億円 11,174億円
売上総利益 3,722億円 3,938億円
売上総利益率(%) 35.1% 35.2%
営業利益 821億円 849億円
営業利益率(%) 7.7% 7.6%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が1,126億円(構成比36.5%)、地代家賃が793億円(同25.7%)を占めています。

(3) セグメント収益


主力のマツモトキヨシグループ事業が増収を牽引しており、都市部やインバウンド需要を取り込んで順調に成長しています。ココカラファイングループ事業は横ばい圏内で推移し、新設されたアンドカンパニー事業が新たな収益の柱として立ち上がりつつあります。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
マツモトキヨシグループ事業 6,670億円 7,110億円
ココカラファイングループ事業 3,910億円 3,899億円
アンドカンパニー事業 - 129億円
管理サポート事業 37億円 35億円
連結(合計) 10,616億円 11,174億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業といえる健全型です。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 815億円 732億円
投資CF -208億円 -342億円
財務CF -667億円 -341億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.5%で市場平均を上回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も71.9%で市場平均を大きく上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


「未来の常識を創り出し、人々の生活を変えていく」をグループ理念とし、「美しさと健やかさを、もっと楽しく、身近に。」をビジョンとしています。地域におけるヘルスケアネットワークを構築し、顧客の「健康でいたい」「美しくありたい」という想いに独自の価値で応えることを使命として掲げています。

(2) 企業文化


「価値を共創し分かち合う」という基本的な考え方を重視しています。あらゆるステークホルダーと価値を共創し、獲得した収益を社会や環境課題の解決に向けて還元していくことを文化としています。多様な人材が活躍できるよう「人間性尊重の職場」の実現も目指しています。

(3) 経営計画・目標


アジアNo.1のドラッグストアとなり、美と健康の分野でのリーディングポジションの確立を目指しています。事業を持続的に稼げるかを優先的な評価軸とし、収益性を重視した以下の指標を目標として設定しています。

* ROE 10.5%以上
* 配当性向(連結)50%
* DOE(純資産配当率)6%

(4) 成長戦略と重点施策


変化の激しい環境に対し、差別化戦略、投資戦略、社会貢献・還元の3つを推進しています。ブランド力を活かした体験価値の提供に加え、デジタル技術を活用した利便性の追求、重点エリアへの出店強化、M&Aによる連合体構想の推進に注力しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「従業員の成長」を競争優位の源泉と位置づけ、専門性と接客力を備えた人材の育成を推進しています。女性活躍や次世代リーダーの育成、多様な人材の活躍を支えるDE&Iの強化を図るとともに、働きがいのある労働環境の整備と従業員の健康維持・増進にも力を入れています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 48.3歳 10.7年 7,460,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 20.7%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 54.3%
男女賃金差異(正規雇用) 52.9%
男女賃金差異(パート・有期) 59.6%


※男性育児休業取得率は対象期間における該当者がいないため「-」としています。

また、同社は「人的資本に関する「戦略」並びに「指標及び目標」」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、連結会社の女性管理職比率(23.8%)、連結会社の男性育児休業取得率(65.6%)、連結会社の男女賃金差異(54.1%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合状況の発生と競争の激化


ドラッグストア業界だけでなく、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、eコマース企業等との業種を超えた競争が激化しています。各種販売促進や独自の商品の強化を図っていますが、競争環境の変化が業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 法的規制と出店への影響


医薬品医療機器等法に基づく各種許可や、大規模小売店舗立地法など様々な法的規制を受けています。規制の改正や予期せぬ処罰、自治体との調整に伴う出店遅延などが発生した場合、事業計画や経営成績に影響を与えるリスクがあります。

(3) 専門人材の確保と育成


医薬品の販売や調剤業務には薬剤師や医薬品登録販売者の配置が法令で義務付けられています。事業拡大に応じた専門人材の確保や育成が十分にできない場合、あるいは採用・教育コストが想定以上に増加した場合、店舗展開や業績に支障をきたす恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


関連記事

マツキヨココカラ&カンパニーの転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

マツキヨココカラ&カンパニーの2026年3月期2Q決算は、中間期として過去最高の売上高を更新。新生堂薬局のグループ入りやPBシェア拡大、1.6億の顧客接点を活用したデータ戦略など、小売りの枠を超えた変革が進んでいます。「なぜ今マツキヨココカラなのか?」を整理し、専門人材の活躍フィールドを分析します。