マツキヨココカラ&カンパニー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

マツキヨココカラ&カンパニー 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム市場に上場する大手ドラッグストアチェーンです。マツモトキヨシグループとココカラファイングループを中心に、ドラッグストア・調剤薬局の運営やフランチャイズ展開を行っています。直近の業績は、売上高が1兆616億円、経常利益が863億円となり、増収増益で推移しています。


※本記事は、株式会社マツキヨココカラ&カンパニー の有価証券報告書(第18期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. マツキヨココカラ&カンパニーってどんな会社?


国内最大級の店舗網を持つドラッグストアグループの持株会社です。美と健康の分野で地域医療を支えています。

(1) 会社概要


1932年に創業者が「マツモト薬舗」を開業し、1954年に有限会社マツモトキヨシ薬店を設立しました。2007年に持株会社としてマツモトキヨシホールディングスを設立し、東証一部に上場しました。2021年にココカラファインと経営統合し、現在の社名へ変更しました。海外ではタイや台湾、ベトナム等にも店舗を展開しています。

連結従業員数は12,753名、単体では74名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行です。第2位も同様に資産管理を行う株式会社日本カストディ銀行で、第3位には事業資金の融資等で関係のある株式会社千葉銀行が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行 14.98%
日本カストディ銀行 5.16%
千葉銀行 3.35%

(2) 経営陣


同社の役員は男性13名、女性5名の計18名で構成され、女性役員比率は27.8%です。代表取締役社長は松本清雄氏です。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
松本 清雄 代表取締役社長 1995年マツモトキヨシ入社。商品部長、専務取締役などを経て2014年よりマツモトキヨシホールディングス代表取締役社長。2021年より現職。
松本 南海雄 取締役会長 1965年マツモトキヨシ入社。同社代表取締役社長、マツモトキヨシホールディングス代表取締役会長兼社長などを歴任。2023年より現職。
塚本 厚志 代表取締役副社長 1985年セイジョー入社。同社代表取締役社長、ココカラファイン代表取締役社長などを経て2021年より現職。
松本 貴志 代表取締役専務グループ営業企画統括 1999年佐藤製薬入社。2002年マツモトキヨシ入社。同社代表取締役社長、マツモトキヨシホールディングス専務取締役などを経て2023年より現職。
小部 真吾 常務取締役グループ管理統括 1985年ダイエー入社。アデコキャリアスタッフ人事部長等を経て2006年マツモトキヨシ入社。マツモトキヨシホールディングス取締役管理本部長等を経て2022年より現職。
石橋 昭男 常務取締役グループ経営企画統括 1989年三井銀行入社。三菱商事を経て2009年マツモトキヨシ入社。マツモトキヨシホールディングス取締役経営企画本部長等を経て2022年より現職。
山本 剛 取締役グループ事業企画統括 1990年富士銀行入社。みずほ銀行営業本部部長、ココカラファイン取締役副社長などを経て2021年より現職。
松田 崇 取締役グループ営業企画統括副統括 1996年マツモトキヨシ入社。マツモトキヨシホールディングス執行役員営業統括本部営業企画部長などを経て2022年より現職。


社外取締役は、大村宏夫(元日本道路常務執行役員)、木村惠司(元三菱地所取締役会長)、河合順子(弁護士)、沖山奉子(元東亜建設工業執行役員)、品田英明(元味の素AGF代表取締役社長)、山本多絵子(ヤンマーHDマーケティング部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「マツモトキヨシグループ事業」、「ココカラファイングループ事業」および「管理サポート事業」を展開しています。

マツモトキヨシグループ事業


ドラッグストアおよび保険調剤薬局のチェーン店経営を行っています。また、フランチャイズ事業の展開やフランチャイジーへの商品供給も手掛けています。顧客は一般消費者やフランチャイズ加盟店です。

収益源は、店舗での医薬品・化粧品等の販売による売上や、フランチャイズ加盟店への商品卸売・ロイヤルティ収入です。運営は主に株式会社マツモトキヨシ、株式会社ぱぱす、株式会社マツモトキヨシ東日本販売などのグループ各社が行っています。

ココカラファイングループ事業


ドラッグストアおよび保険調剤薬局のチェーン店経営、介護施設の運営や訪問介護、介護用品のレンタル・販売を行っています。また、医薬品・化粧品等の商品供給も行っています。

収益源は、店舗での商品販売や調剤報酬、介護サービスの利用料などです。運営は主に株式会社ココカラファインヘルスケアや株式会社岩崎宏健堂などのグループ各社が行っています。

管理サポート事業


小売事業を営むグループ会社が取り扱う商品の仕入・販売や、グループ会社の経営管理・統轄、間接業務の受託を行っています。また、プライベートブランド商品の企画開発や、店舗の建設・営繕、保険代理業なども手掛けています。

収益源は、グループ会社に対する経営指導料や業務受託料、外部への商品販売代金などです。運営は主に株式会社MCCマネジメントなどが行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


2021年3月期から2025年3月期までの5期間において、売上高は継続的に増加しており、特に2022年3月期には大幅な増収を達成しました。経常利益および当期純利益も売上高の伸長に伴い増加傾向にあり、利益率も改善基調で推移しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 5,447億円 7,300億円 9,512億円 10,225億円 10,616億円
経常利益 341億円 446億円 667億円 805億円 863億円
利益率(%) 6.3% 6.1% 7.0% 7.9% 8.1%
当期利益(親会社所有者帰属) 216億円 344億円 405億円 523億円 547億円

(2) 損益計算書


直近2期間において、売上高の増加に伴い売上総利益および営業利益はいずれも増加しています。売上総利益率はほぼ横ばいから微増で推移しており、営業利益率も改善傾向が見られます。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 10,225億円 10,616億円
売上総利益 3,541億円 3,722億円
売上総利益率(%) 34.6% 35.1%
営業利益 757億円 821億円
営業利益率(%) 7.4% 7.7%


販売費及び一般管理費のうち、給料及び手当が1,053億円(構成比36.3%)、その他が777億円(同26.8%)を占めています。

(3) セグメント収益


全てのセグメントで売上高およびセグメント利益が増加しました。特にマツモトキヨシグループ事業は利益率の改善も伴い、増益に大きく寄与しています。ココカラファイングループ事業も堅調に推移しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期) 利益(2024年3月期) 利益(2025年3月期) 利益率
マツモトキヨシグループ事業 6,331億円 6,672億円 517億円 580億円 8.7%
ココカラファイングループ事業 3,868億円 3,910億円 218億円 238億円 6.1%
管理サポート事業 6,365億円 6,551億円 303億円 202億円 3.1%
調整額 -6,340億円 -6,518億円 -281億円 -199億円 -
連結(合計) 10,225億円 10,616億円 757億円 821億円 7.7%

(4) キャッシュ・フローと財務指標


なお、同社は在庫を多く抱える事業を主力としているため、営業CFのマイナスは棚卸資産(商品・販売用不動産等)の増加(事業拡大)に起因している可能性があり、必ずしも業績悪化を意味するものではありません。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 635億円 815億円
投資CF -228億円 -208億円
財務CF -183億円 -667億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は10.6%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は73.1%で市場平均を上回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「未来の常識を創り出し、人々の生活を変えていく」をグループ理念として掲げています。また、「美しさと健やかさを、もっと楽しく、身近に。」をグループビジョンとし、地域におけるヘルスケアネットワークの構築を通じて、人々の「健康でいたい」「美しくありたい」という想いに応え続けることを役割としています。

(2) 企業文化


同社は、「価値を共創し分かち合う」を基本的な考え方としています。あらゆるステークホルダーと価値を共創し、事業で獲得した収益を還元することを重視しています。また、持続可能な経営の実践に向け、「人間性尊重の職場」「ガバナンスの充実・強化」を経営の前提とし、「美と健康への貢献」「地球環境の保全」を成長戦略として位置づけています。

(3) 経営計画・目標


アジアNo.1のドラッグストアとなり、美と健康の分野でのリーディングポジション確立を目指し、新たなグループ経営目標を設定しています。2026年3月期の目標として、オーガニックグロースによる売上高の明確化や、キャッシュベースの収益力を示すEBITDAマージンなどを掲げています。

* ROE(自己資本当期純利益率):12%以上
* 配当性向(連結):50%

(4) 成長戦略と重点施策


2031年3月期の目標達成に向け、3つの重点戦略を推進しています。ドラッグストアと調剤事業の連携による利便性向上、デジタル技術を活用した運営効率化、BtoBを含む事業領域の拡張に取り組みます。また、大都市圏への出店強化、M&Aによる規模拡大、ASEANを中心とした海外事業の拡大を目指しています。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は人的資本への投資として、従業員にとって働きやすい労働環境、働きがい・やりがいのある環境の整備を進めています。プロフェッショナル人材やグローバル人材の継続的な育成を行うとともに、従業員エンゲージメントの向上を図り、グループの成長を支える基盤となる「人間性尊重の職場」を実現することを目指しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 45.2歳 15.6年 7,272,000円


※平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 15.6%
男性育児休業取得率 -
男女賃金差異(全労働者) 46.9%
男女賃金差異(正規) 60.6%
男女賃金差異(非正規) 28.7%


※男性労働者の育児休業取得率の「-」は、対象期間における該当者がいないことを示しております。

また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、グループ会員数(4,500万人)、従業員意識調査(3.94pt)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 競合状況の激化


同社グループは、ドラッグストアだけでなくスーパーやコンビニ、ネット通販など異業種とも競合しています。これらの企業との競争激化は、各種販売促進策やPB商品の開発等で対抗しているものの、事業計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) インバウンド需要の変動


訪日外国人観光客によるインバウンド需要は回復傾向にありますが、政治・経済情勢や自然災害、伝染病等の発生により訪日客が減少した場合、インバウンド需要が減少し、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 法的規制の改正


医薬品医療機器等法や介護保険法などの法的規制を受けて事業を行っています。これらの法規制の改正や、予期せぬ処罰・訴訟による対応コストの増加、社会的信用の低下などが生じた場合、事業計画や業績に影響を与える可能性があります。

(4) 薬剤師等の人材確保


店舗運営には薬剤師や医薬品登録販売者の配置が必要不可欠です。これら有資格者を十分に確保できない場合や、人材獲得競争による採用コスト・人件費の増加が生じた場合、出店計画や業績に影響を及ぼす可能性があります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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