千葉銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

千葉銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東証プライム上場の地方銀行。千葉県を主要地盤とし、銀行業務を中心に証券、リース、クレジットカード等の金融サービスを展開しています。2025年3月期の連結業績は、貸出金利息などの資金運用収益が増加したこと等により、経常収益、経常利益ともに前期比で増加し、増収増益となりました。


※本記事は、株式会社千葉銀行 の有価証券報告書(第119期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 千葉銀行ってどんな会社?

千葉県を主要地盤とする地方銀行グループです。銀行業務を中心に、証券、リース、カード、コンサルティング等の幅広い金融サービスを提供しています。

(1) 会社概要

1943年、千葉合同銀行、第九十八銀行、小見川農商銀行の3行合併により設立されました。1970年に東京証券取引所市場第二部に上場し、翌年第一部に指定されました。海外展開も早く、1987年のニューヨーク支店開設を皮切りに香港、ロンドン等に拠点を拡大。2024年にはAI技術を持つエッジテクノロジーを子会社化しました。

2025年3月31日現在、連結従業員数は4,280名、単体では3,761名です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行で、第2位は株式会社日本カストディ銀行、第3位は日本生命保険相互会社となっており、機関投資家や保険会社が上位を占めています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 15.27%
日本カストディ銀行(信託口) 5.75%
日本生命保険相互会社 3.79%

(2) 経営陣

同社の役員は男性10名、女性4名の計14名で構成され、女性役員比率は28.5%です。代表取締役頭取(代表取締役・グループCEO)は米本努氏です。社外取締役比率は44.4%です。

氏名 役職 主な経歴
米本 努 取締役頭取(代表取締役・グループCEO) 1987年入行。営業支援部長、取締役専務執行役員(企画本部長)などを経て、2023年4月より現職。
山﨑 清美 取締役専務執行役員(代表取締役・グループCBO・営業本部長) 1988年入行。本店営業部長、取締役専務執行役員(グループCBO・営業本部長)を経て、2024年4月より現職。
淡路 睦 取締役専務執行役員(代表取締役・グループCSuO) 1989年入行。法人営業部長、取締役専務執行役員(代表取締役・グループCSO・グループCDTO)を経て、2025年4月より現職。
牧之瀬 孝 取締役常務執行役員(グループCSO) 1990年入行。人材育成部長、常務執行役員(グループCHRO)を経て、2025年4月より現職。
小野 雅康 取締役常務執行役員(グループCRO・管理本部長) 1990年入行。経営企画部長、ちばぎん商店取締役社長を経て、2023年10月より現職。


社外取締役は、田島優子(弁護士)、高山靖子(元資生堂常勤監査役)、木内登英(元日銀政策委員会審議委員)、吉澤亮二(元S&Pグローバル・レーティングマネージング・ディレクター)です。

2. 事業内容

同社グループは、「銀行業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 銀行業

本店及び支店、出張所等において、預金業務、貸出業務、内国為替業務、外国為替業務を行っています。また、商品有価証券売買業務、有価証券投資業務、国内為替業務に付随する債務の保証業務、社債受託及び登録業務等も行っています。同社が中心となり、地域の個人・法人顧客に対して金融サービスを提供しています。

主な収益源は、貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金運用収益、および各種手数料収入などの役務取引等収益です。運営は主に千葉銀行が行っていますが、信用保証業務を行う「ちばぎん保証」、債権管理回収業務を行う「ちば債権回収」などの連結子会社も、それぞれの専門分野で銀行業務を補完・推進しています。

(2) リース業

リース業務を行っています。地域の企業の設備投資ニーズに対応し、物件の賃貸借契約を通じて金融サービスを提供しています。

顧客からリース料を受け取ることで収益を得ています。運営は、連結子会社である「ちばぎんリース」が行っています。

(3) 証券業

金融商品取引法に基づく証券業務を行っています。株式、債券、投資信託などの金融商品の販売や売買の媒介などを通じて、顧客の資産形成を支援しています。

顧客からの委託手数料や募集・売出しの手数料などが主な収益源です。運営は、連結子会社である「ちばぎん証券」が行っています。

(4) その他

クレジットカード業務、信用保証業務、店舗保守管理業務、ソフトウェア開発、情報処理受託業務、投資運用・助言業務、地域商社業務、AIアルゴリズム事業などを行っています。

クレジットカード会員からの年会費や加盟店手数料、業務委託元からの委託料などが収益源です。運営は、「ちばぎんカード」「ちばぎんコンピューターサービス」「ちばぎんアセットマネジメント」「ちばぎん商店」「エッジテクノロジー」などの連結子会社及び関連会社が行っています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

2021年3月期から2025年3月期までの5期間において、経常収益(一般企業の売上高に相当)は一貫して増加傾向にあります。経常利益も増益基調で推移しており、特に直近の2025年3月期は経常収益が3,600億円を超え、経常利益も1,000億円台に乗せるなど、業績は好調に推移しています。当期純利益も順調に拡大しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
経常収益 2,329億円 2,361億円 2,784億円 3,107億円 3,622億円
経常利益 718億円 788億円 870億円 903億円 1,075億円
利益率(%) 30.8% 33.4% 31.2% 29.0% 29.7%
当期利益(親会社所有者帰属) 496億円 545億円 603億円 624億円 743億円

(2) 損益計算書

直近2期間の経常収益は増加しており、これに伴い経常利益も拡大しています。資金運用収益や役務取引等収益などの増加が収益全体を押し上げています。経常利益率は30%前後と高い水準を維持しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
経常収益 3,107億円 3,622億円
経常利益 903億円 1,075億円
経常利益率(%) 29.0% 29.7%

(3) セグメント収益

同社グループは銀行業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略されていますが、全体の業績としては経常収益が増加しています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
銀行業 3,107億円 3,622億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスで、本業で得た現金を投資や借入返済に充てている健全型です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF 7,879億円 242億円
投資CF -1,360億円 -3,925億円
財務CF -318億円 -650億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.4%で市場平均(9.4%)を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は5.3%で市場平均(24.2%)を下回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社グループは、パーパス(存在意義)として「一人ひとりの思いを、もっと実現できる地域社会にする」を掲げています。また、ビジョン(目指す姿)を「地域に寄り添う エンゲージメントバンクグループ」と定め、ステークホルダーとの深いつながりを背景とした価値提供を通じて、地域とともに成長し続ける銀行グループを目指しています。

(2) 企業文化

「千葉銀行グループの企業行動指針」を全ての企業行動の基本としています。揺るぎない信頼の確立、質の高い金融サービスの提供、地域経済・社会への貢献、法令やルールの徹底した遵守、透明な経営などを重視しており、サステナビリティ経営や人権の尊重にも取り組む姿勢を示しています。

(3) 経営計画・目標

2023年4月から2026年3月を計画期間とする第15次中期経営計画「エンゲージメントバンクグループ ~フェーズ1~」を策定しています。「収益性」「健全性」「効率性」の観点から以下の指標を目標としています。

* 連結ROE(連結自己資本利益率):8%台前半(2025年度目標)
* 親会社株主に帰属する当期純利益:850億円(2025年度目標)
* 連結業務純益:1,251億円(2025年度目標)
* 連結普通株式等Tier1比率:10.5%~11.5%(2025年度目標)
* 連結OHR:45%程度(2025年度目標)

(4) 成長戦略と重点施策

中期経営計画では、「最高の顧客体験の創造」「既存事業の質の向上」「新たな価値の提供」を基本方針とし、これらを支える基盤として「DX」「GX」「アライアンス」「人的資本」「グループ・ガバナンス」の5つを設定しています。AI活用やデジタルチャネルの強化、サステナブル・ファイナンスの推進、他行・異業種との連携強化等に取り組んでいます。

* DX:AIソリューション室の新設やエッジテクノロジーの子会社化によるAI活用の高度化。
* GX:サステナブル・ファイナンスの実行額目標達成に向けた取組み強化。
* アライアンス:TSUBASAアライアンスや他行との連携によるトップライン向上やコスト削減。
* 人的資本:人的資本投資額4億円超(2025年度目標)やDX人材の育成。

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

「人が育つちばぎんグループの構築」と「エンゲージメントの高い人材と組織の創出」を柱とし、人材育成方針「共に走り続ける人に。」を掲げています。人的資本投資を拡充し、専門人材向けの研修や異業種派遣などを通じて専門性の高い人材を育成しています。また、健康経営や従業員エンゲージメントの向上、ダイバーシティ&インクルージョンの推進にも注力しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや上回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 38.5歳 14.7年 7,948,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 29.4%
男性育児休業取得率 115.3%
男女賃金差異(全労働者) 52.7%
男女賃金差異(正規) 69.5%
男女賃金差異(非正規) 78.9%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(82%)、人的資本投資額(3.6億円)、一人当たり学習時間(51時間)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 信用リスク

景気悪化や地域経済の停滞により融資先の経営状況が悪化し、不良債権処理額や引当金が増加するリスクがあります。また、特定の国や業種への与信集中、地価下落による担保価値の減少なども損失要因となり得ます。同社は厳正な審査や与信上限額の設定等によりリスク削減に努めています。

(2) 市場関連リスク

金利、株価、為替等の市場変動により、保有する有価証券等の資産価値が減少し損失を被るリスクがあります。特に株価下落や金利上昇は財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。同社はVaR(想定最大損失額)に基づくリスク量の管理や限度額の設定等により、市場リスクを適切にコントロールしています。

(3) オペレーショナル・リスク

事務ミス、システム障害、不祥事、法令違反などにより損失を被るリスクです。特にサイバー攻撃や大規模システム障害は、業務停止や顧客からの信頼低下を招く可能性があります。また、2023年には仕組み債販売に関わる行政処分を受けており、再発防止策の徹底と信頼回復が重要な課題となっています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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