千葉興業銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

千葉興業銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場する千葉興業銀行は、預金・貸出等の銀行業務を中心に、リース業務などの金融サービスを総合的に展開しています。第104期の連結業績は、資金運用収益の増加などを背景に経常収益が前期比で増収となり、親会社株主に帰属する当期純利益も増益を達成し、堅調な推移を示しています。


※本記事は、千葉興業銀行の有価証券報告書(第104期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 千葉興業銀行ってどんな会社?

千葉県を基盤とし、銀行業務をはじめとする各種金融サービスを総合的に提供しています。

(1) 会社概要

1952年1月に千葉興業銀行として設立され、1973年8月に東京証券取引所市場第一部へ上場しました。1982年に千葉総合リース(現・連結子会社)を設立し、近年では2024年に地域商社業務等を担うちばくる、および投資事業組合の運営・管理を行うちば興銀キャピタルパートナーズを設立しています。

従業員数は連結で1,307名、単体で1,225名です。筆頭株主は同業の千葉銀行で、第2位はみずほ銀行となっています。

氏名 持株比率
千葉銀行 19.12%
みずほ銀行 14.54%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 7.22%

(2) 経営陣

同社の役員は男性11名、女性2名の計13名で構成され、女性役員比率は15.3%です。代表取締役頭取は梅田仁司氏が務めており、社外取締役の比率は30.8%です。

氏名 役職 主な経歴
梅田仁司 取締役頭取(代表取締役) 1986年4月同行入行。経営企画部長、本店営業部長などを経て、2019年4月より現職。
松丸隆一 取締役副頭取(代表取締役) 1983年4月富士銀行(現みずほ銀行)入行。みずほ証券執行役員等を経て、2017年6月より現職。
青柳俊一 取締役会長 1980年4月同行入行。国際部調査役、経営企画部長等を経て、2009年6月取締役頭取・CEO、2019年4月より現職。
田中啓之 取締役常務執行役員 1988年4月同行入行。浦安支店長、営業統括部部長代理、経営企画部長等を経て、2025年6月より現職。


社外取締役は、戸谷久子(元千葉県環境生活部長)、山田英司(元日本電子計算社長)、杉浦哲郎(元みずほ総合研究所副理事長)、木下由美子(元KCJ GROUP経営企画部長)です。

2. 事業内容

同社グループは、「銀行業」「リース業」および「その他」事業を展開しています。

銀行業

同行の本店ほか支店、出張所において、預金、貸出、内国為替、外国為替業務等を行い、地域に密着した営業活動に取り組んでいます。
収益源は貸出金利息や各種手数料などで、運営は主に千葉興業銀行が担っています。

リース業

企業や個人向けのリース業務を提供しています。
リース料等を主な収益源としており、連結子会社の千葉総合リースが事業を行っています。

その他

コンピュータシステムの開発・販売・保守管理、地域商社・農業・コンサルティング業務、投資事業組合の運営・管理等を行っています。
システム利用料や各種手数料等を収益源とし、ちば興銀コンピュータソフト、ちばくる、ちば興銀キャピタルパートナーズがそれぞれ運営しています。

3. 業績・財務状況

同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

直近5期間では、経常収益は安定的な成長軌道を描いており、経常利益も右肩上がりで推移しています。利益率も18%台という高水準を維持しており、着実な収益基盤の拡大がうかがえます。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
経常収益 512億円 513億円 546億円 569億円 689億円
経常利益 90億円 97億円 103億円 107億円 127億円
利益率(%) 17.6% 18.9% 18.8% 18.8% 18.5%
当期利益(親会社所有者帰属) 63億円 64億円 113億円 85億円 86億円

(2) 損益計算書

直近2期間において経常収益は増加しており、本業の堅調さが確認できます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
経常収益 569億円 689億円


営業経費のうち、給料・手当が113億円(構成比43%)、システム利用料が28億円(同11%)を占めています。

(3) セグメント収益

主力である銀行業が全体の収益を牽引しており、リース業も安定的な売上を維持しています。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
銀行業 481億円 601億円
リース業 82億円 85億円
信用保証・クレジットカード業 3億円 -億円
その他 4億円 4億円
調整額 -億円 -0億円
連結(合計) 569億円 690億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標

営業CFはプラス、投資CFおよび財務CFはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う健全型の状態です。なお、同社は金融関連事業を主力としているため、営業CFの増減は貸出金や預金の増減等に大きく影響を受けます。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF 137億円 364億円
投資CF -160億円 -517億円
財務CF -122億円 -36億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.8%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は5.7%であり、いずれも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略

同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念

同社は『地域とともに、お客さまのために、「親切」の心で』を企業理念として掲げています。また、「いちばん近くで、いちばん先まで。千のしあわせを、興そう。」をパーパスとし、「親切なパートナーとしてみなさまの幸せをともにデザインし続ける」という長期経営ビジョンの実現を目指しています。

(2) 企業文化

パーパスや企業理念の実現に向け、お客さまの親切なパートナーとして常に考え行動する「コンサルティング考動」を重視しています。金融に限らず様々なシーンにおいて多くの「幸せ」をデザインし、地域金融機関として地域のお客さまのお役に立ち、信頼され支持される銀行となる文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標

2025年4月から新たな中期経営計画「幸せデザイン 絆プロジェクト 2028」をスタートさせています。2028年3月期までに以下の目標達成を目指しています。
・連結当期利益110億円以上
・連結普通株ROE7%以上
・単体コアOHR65%未満
・連結自己資本比率8.5%以上

(4) 成長戦略と重点施策

中期経営計画では、「エンゲージメント向上によりコンサルティング考動を進化させる組織への成長」および「次世代成長エンジンを活用した卓越した顧客提供価値の実現」を主要テーマとしています。以下の5つの戦略的強化項目を設定し、企業価値向上を図ります。
・人材の活躍推進
・DX実装による営業プロセス変革
・コンサルティング考動の追求
・CKBコミュニティ活性化
・サステナビリティ

5. 働く環境

同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針

お客さまに新しい価値創造を担う「コンサルティング人材」の育成を重視しています。「コアコンピテンシー発揮型人事制度」を導入し、職務や適性を5つの職務Typeに分け、専門性を高める研修体系やポスト公募制度を通じて自律的なキャリア形成を支援しています。

(2) 給与水準・報酬設計

同社(単体)従業員の平均年間給与は東京証券取引所プライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 40.0歳 15.9年 6,808,000円

※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示

同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 25.1%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 60.3%
男女賃金差異(正規雇用) 77.0%
男女賃金差異(パート・有期) 61.0%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性経営職比率(11.9%)、有給休暇取得日数割合(74.0%)、健康診断受診率(100.0%)などです。

6. 事業等のリスク

事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 信用リスク

景気の低迷、取引先の業況悪化、不動産価格の下落等による担保・保証価値の下落等によって不良債権が顕在化し、与信関係費用の追加的損失が発生する可能性があります。同社では個々の貸出先の信用状態や再建計画を継続的にモニタリングし、担保価値の定期的な検証を行っています。

(2) 市場・流動性リスク

金利の変動、外貨建資産・負債における為替レートの変動、保有する有価証券等の価格変動に伴う資産価値の減少などにより損失を被るリスクがあります。また、予期せぬ資金流出等による流動性リスクに対しても、厳格なリスク管理体制の下で適切にコントロールしています。

(3) オペレーショナルリスク

故意や過失による事務ミスの発生、システム機器の停止やサイバー攻撃によるシステム障害、事実に基づかない風評の発生、法令手続きの不備等に伴うコンプライアンスリスクが存在します。各種規程の整備や教育研修の徹底、バックアップセンターの設置等により影響の極小化に努めています。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。