大垣共立銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

 大垣共立銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

大垣共立銀行は東京証券取引所プライムおよび名古屋証券取引所プレミア市場に上場し、銀行業務を中心にリースや信用保証等を展開する地域金融機関です。直近の業績は資金運用収益の増加などを背景に、経常利益が前年比で約64億円増の208億円と大幅な増益を達成しており、地域経済の発展と持続的な成長を推進しています。


※本記事は、株式会社大垣共立銀行の有価証券報告書(第213期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月20日提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準はJapan GAAPです。

1. 大垣共立銀行ってどんな会社?


銀行業務を中心にリースや信用保証などの総合金融サービスを展開し、地域社会の発展に貢献しています。

(1) 会社概要


1896年に設立され、長年にわたり地域の金融基盤を支えてきました。1973年に東京証券取引所市場第一部(現プライム)へ上場しました。1978年に共友リースを子会社化してリース業務に参入し、1982年には信用保証事業のため現在のOKB信用保証を設立するなど、総合金融サービスへの展開を進めています。

現在の従業員数は連結で2,960名、単体で2,300名体制です。大株主の状況を見ると、筆頭株主ならびに第2位は資産管理業務を行う信託銀行となっており、第3位には大垣共立銀行従業員持株会が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 12.84%
日本カストディ銀行(信託口) 6.92%
大垣共立銀行従業員持株会 2.99%

(2) 経営陣


同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.6%です。代表は取締役会長の境敏幸、取締役頭取の林敬治が務めています。取締役9名のうち社外取締役は3名で、社外取締役比率は約33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
境敏幸 取締役会長(代表取締役) 1979年大垣共立銀行入社。総合企画部長や専務取締役等を経て、2019年に取締役頭取に就任。2024年より現職。
林敬治 取締役頭取(代表取締役) 1982年入社。岐阜支店長やOKBフロント社長を歴任し、2019年に常務取締役に就任。2024年より現職。
土屋諭 取締役常務執行役員 2003年オリックス入社後、みずほ銀行等を経て2014年入社。愛知法人営業部長等を経て、2024年より現職。
五藤義徳 取締役常務執行役員 1987年入社。OKB総研社長や統括執行役員総合企画部長等を歴任し、2024年より現職。
金森靖 取締役常務執行役員関連事業部長 1987年入社。市場金融部長や統括執行役員関連事業部長を経て、2024年より現職。
田邊孝平 取締役常務執行役員 1986年入社。OKB信用保証社長や統括執行役員営業統轄部長等を経て、2024年より現職。


社外取締役は、丹呉泰健(元財務事務次官)、森口祐子(日本女子プロゴルフ協会ツアー永久シード獲得)、清水千弘(一橋大学教授)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」「リース業」「信用保証業」および「その他」事業を展開しています。

銀行業


預金、貸出、国内・外国為替、国債や投資信託、保険の販売など、地域顧客のニーズに合わせた幅広い金融商品とサービスを提供しています。また、有価証券投資業務による機動的かつ効率的な資金運用も行っています。

主な収益源は、顧客への貸出に伴う金利収入や、各種金融サービスの提供による手数料収入です。事業の運営は大垣共立銀行が担い、一部の代理店業務を連結子会社であるOKBフロントが担当しています。

リース業


地域の法人や個人顧客の設備投資ニーズなどに積極的に応えるため、各種リース業務を展開しています。機械設備や情報通信機器など多様な資産を対象とし、経営基盤の強化をサポートしています。

顧客からのリース料が主な収益源となっており、契約に基づく安定したキャッシュ・フローを生み出しています。運営は子会社である共友リースが担当しています。

信用保証業


地域の顧客が円滑に資金調達を行えるよう、個人向けローンや住宅ローンなどを対象とした信用保証業務を提供しています。地域経済の活性化を金融面からサポートし、安全な取引を支えています。

提携する金融機関の融資に対する保証料が主な収益源です。グループ内の住宅ローンや消費者ローンのリスク管理の役割も担い、運営はOKB信用保証が行っています。

その他


コンピュータ関連業務、シンクタンク、証券業務、クレジットカード、ベンチャーキャピタルなど、金融周辺の多様なサービスを展開し、地域社会の課題解決を支援しています。

システムの受託開発料やコンサルティング報酬、証券取引手数料などが収益源です。OKB総研、OKB証券、OKBペイメントプラットなど複数のグループ会社が運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、経常収益は安定して1,100億円から1,300億円台で推移しています。経常利益は市場環境の変動により増減が見られますが、直近の2025年3月期には資金運用収益の増加などにより208億円と過去5年で最高の水準を記録し、高い収益性を確保しています。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,164億円 1,154億円 1,228億円 1,341億円 1,314億円
経常利益 120億円 167億円 94億円 144億円 208億円
利益率(%) 10.3% 14.5% 7.7% 10.7% 15.8%
当期利益(親会社所有者帰属) 80億円 106億円 48億円 95億円 147億円

(2) 損益計算書


売上高は前年比で微減となったものの、売上総利益(連結粗利益)は大幅に増加しており、収益構造の改善が進んでいます。これに伴い、売上総利益率も30.6%から40.7%へと大きく向上しています。

項目 2024年3月期 2025年3月期
売上高 1,341億円 1,314億円
売上総利益 411億円 535億円
売上総利益率(%) 30.6% 40.7%


販売費及び一般管理費に相当する営業経費は419億円であり、そのうち給料・手当が214億円(構成比51%)と大きな割合を占めています。

(3) セグメント収益


主力の銀行業およびリース業が売上高の大部分を占めています。金利動向など市場環境の変化を受けて銀行業やリース業は微減となりましたが、信用保証業やその他事業の売上は堅調に推移し、グループ全体の安定した収益基盤を支えています。

区分 売上(2024年3月期) 売上(2025年3月期)
銀行業 831億円 806億円
リース業 429億円 419億円
信用保証業 18億円 21億円
その他 63億円 68億円
連結(合計) 1,341億円 1,314億円

(4) キャッシュ・フローと財務指標


営業CFがプラス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなっており、営業利益や資産の売却などによって借入の返済を進める「改善型」のキャッシュ・フロー状況です。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業CF -1,125億円 99億円
投資CF 2,832億円 974億円
財務CF -30億円 -30億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.5%、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は4.9%であり、いずれも市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社は「地域に愛され、親しまれ、信頼される銀行」を経営の基本理念に掲げています。今日まで積み上げてきた地域社会との密接な繋がりを礎として、顧客のニーズに的確かつ迅速に応え、地域と共に歩む銀行として地域社会の発展に貢献することを重要な社会的使命としています。

(2) 企業文化


同社は「変化を恐れず、変わることを“CHANCE”と捉え、自身の成長やスキルアップに貪欲に取り組める多様な人材」の育成を重視しています。「OKB SDGs宣言」を掲げ、従業員一人ひとりが地域の課題解決に積極的に取り組み、持続的な成長を目指す「高活力・自律型組織」の実現に向けた文化が根付いています。

(3) 経営計画・目標


2024年度からスタートした3カ年の中期経営計画「Always ~変わらぬ想いで、明日を変える~」において、持続的な成長を支える強固な経営基盤の構築を目指しています。最終年度である2027年3月期の主な数値目標は以下の通りです。

* ROE:3.5%以上
* 連結当期純利益:120億円以上
* コアOHR:75%以下
* 連結自己資本比率:9.0%以上

(4) 成長戦略と重点施策


本格的な「金利のある世界」への移行を好機と捉え、預貸ビジネスの強化や持続的な企業価値の向上に注力しています。具体的には、DXを活用した生産性向上を進めるとともに、再生可能エネルギーを活用した「OKBソーラーパーク養老」の稼働など、地域のサステナビリティ課題の解決にも取り組んでいます。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


人的資本経営による「高活力・自律型組織」を実現するため、社員の自律的なキャリア形成を支援しています。社内の求人に応募できる「ジョブリクエスト制度」や全ての配属先に応募できる「FA制度」を活用するほか、専門人材の育成とリスキリングを目的とした「育成ファンド」を設け、多様な人材が活躍できる環境を整備しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 39.2歳 16.6年 6,572,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 5.1%
男性育児休業取得率 103.7%
男女賃金差異(全労働者) 51.7%
男女賃金差異(正規雇用) 57.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 73.1%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、女性リーダー職比率(28.7%)、中途採用比率(5.7%)、有給休暇取得率(75.6%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 有価証券の価格下落リスク


同社は資金運用の一環として、国債や地方債、上場株式などの有価証券を保有しています。景気動向や市場環境の変化、あるいはカントリーリスクなどによって保有する有価証券の市場価格が下落した場合、減損や評価損が発生し、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 地域経済の動向に影響を受けるリスク


同社は主に岐阜県や愛知県を主要な営業基盤として事業を展開しています。そのため、当該地域における主要産業の動向や経済環境が悪化した場合には、取引先企業の業況悪化などを通じて信用リスクが増大し、与信関連費用が増加して業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 情報システムへの依存とシステムリスク


銀行業務の運営において基幹系システムをはじめとする多様なコンピュータネットワークを利用しています。万が一、サイバー攻撃や不正アクセス、機器の故障などによってシステムの誤作動や停止などの障害が発生した場合には、業務の継続に支障をきたし、顧客からの信用低下や業績悪化に繋がるリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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