滋賀銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

滋賀銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

東京証券取引所プライム市場に上場する、滋賀県を主要基盤とする地方銀行です。銀行業を中心とした金融サービスを提供し、地域経済の発展に貢献しています。2025年3月期の連結業績は、貸出金利息や有価証券利息配当金の増加等により資金運用収益が伸長し、増収増益(経常収益増、当期純利益増)となりました。


※本記事は、株式会社滋賀銀行 の有価証券報告書(第138期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月18日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 滋賀銀行ってどんな会社?


滋賀県大津市に本店を置く地方銀行です。「三方よし」の精神を継承し、地域社会・役職員・地球環境との共存共栄を目指しています。

(1) 会社概要


1933年、百卅三銀行と八幡銀行が合併し設立されました。1987年に東京証券取引所市場第一部に上場し、地域のリーディングバンクとしての地位を確立しました。2020年には地方銀行として初めて国連「責任銀行原則(PRB)」に署名し、サステナビリティ経営を推進しています。2024年には再生可能エネルギー関連業務を行う「しがぎんエナジー」や投資専門子会社「しがぎんキャピタルパートナーズ」を設立し、事業領域を拡大しています。

2025年3月31日現在の連結従業員数は2,171名(単体1,873名)です。大株主の構成は、資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行が筆頭株主で、第2位は立花証券、第3位は日本生命保険となっています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.18%
立花証券 3.96%
日本生命保険相互会社 3.49%

(2) 経営陣


同社の役員は男性11名、女性1名、計12名で構成され、女性役員比率は8.0%です。代表取締役頭取は久保田真也氏が務めています。社外取締役比率は25.0%です。

氏名 役職 主な経歴
久保田 真 也 取締役頭取代表取締役 1986年4月同行入行。総合企画部長などを経て、2020年6月専務取締役就任。2023年6月より現職。
高 橋 祥二郎 取締役会長 1979年4月同行入行。営業統轄部長、専務取締役などを経て、2016年4月取締役頭取就任。2023年6月より現職。
堀 内 勝 美 専務取締役代表取締役 1987年4月同行入行。経営管理部長、市場国際部長、常務取締役などを経て、2024年6月より現職。
戸 田 秀 和 常務取締役 1990年4月同行入行。執行役員業務統轄部長、常務執行役員業務統轄部長を経て、2023年6月より現職。
遠 藤 良 則 常務取締役 1991年4月同行入行。執行役員総務部長、常務執行役員京都支店長を経て、2023年6月より現職。
田 中 伸 幸 常務取締役 1990年4月同行入行。執行役員審査部長、常務執行役員監査部長などを経て、2024年6月より現職。


社外取締役は、竹内美奈子(TM Future代表取締役)、服部力也(元三井住友信託銀行取締役副社長)、鎌田沢一郎(元日本証券業協会管理本部共同本部長)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」および「その他」事業を展開しています。

(1) 銀行業


滋賀銀行の本支店および代理店において、預金、貸出、内国為替、外国為替、有価証券投資等の業務を行っています。地域に根ざした営業を展開する中で、コンサルティング機能を発揮した営業力強化に注力しています。また、投資事業有限責任組合の運営・管理業務や、事業会社への投融資業務等も行っています。

主な収益源は、貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金運用収益、および各種手数料収入です。運営は主に滋賀銀行が行い、銀行代理店業務は連結子会社のしがぎん代理店などが担っています。

(2) 金融関連サービス(子会社群)


銀行業を補完する業務として、ファイナンス・リース、クレジットカード、信用保証、コンサルティング、再生可能エネルギー関連業務などを展開しています。企業のGX(グリーントランスフォーメーション)に向けたコンサルティングや太陽光発電所の運営なども手掛けています。

各サービスの手数料やリース料等が収益源となります。運営は、しがぎんリース、滋賀ディーシーカード、しがぎんジェーシービー、滋賀保証サービス、しがぎんビジネスサービス、しがぎん経済文化センター、しがぎんエナジー、しがぎんキャピタルパートナーズなどの連結子会社が行っています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移

当期は、第8次中期経営計画初年度として、お客さま・地域の持続可能な成長をデザインする「インパクトデザイン」等の基本戦略を推進した結果、経常収益は増加しました。一方で、経常費用が増加したことなどから、経常利益は前期を下回りました。当期純利益は、特別利益の計上などにより増加しました。過去5期においては、経常収益は増加傾向で推移しております。

項目 2021年3月期 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期
経常収益(億円) 857 983 1,153 1,226 1,331
経常利益(億円) 111 240 200 240 189
当期純利益(億円) 114 177 149 159 187

(2) 損益計算書

当期は、経常収益が増加したものの、経常費用も増加したため、経常利益は前期を下回りました。当期純利益は、特別利益の増加などにより増加しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
経常収益 1,226 1,331
経常費用 987 1,142
経常利益 240 189
当期純利益 159 187

(3) 役務取引等収益の内訳

同行の役務取引等収益合計は、当期は前期比で微減となりました。最も大きい「預金・貸出業務」は前期と同水準で推移し、2番目に大きい「為替業務」も前期比で増加しました。

(4) キャッシュ・フローと財務指標

滋賀銀行グループは、銀行業を単一セグメントとして事業を展開しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、借用金等の減少により支出となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得による支出が売却収入を上回り、支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や配当金の支払いにより支出となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ大きく減少しました。

項目 2024年3月期 2025年3月期
営業活動によるキャッシュ・フロー 453 △406
投資活動によるキャッシュ・フロー △289 △48
財務活動によるキャッシュ・フロー △6 △8

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、「『三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)』で地域を幸せにする」というパーパス(存在意義)を制定しています。これに基づき、「自分にきびしく 人には親切 社会につくす」という行是を活動の原点とし、「地域社会」「役職員」「地球環境」との「共存共栄」を経営理念として掲げています。

(2) 企業文化


同社は、「挑戦」と「称賛」の企業文化の醸成に取り組んでいます。価値創造を支える様々な役割や行動、人材に光を当て、互いの仕事や役割に関心を持ち、尊重し認め合う意識づくりを行っています。個性が輝く組織づくりを目指し、「しがぎんヒューマンアワード」を創設するなど、従業員のエンゲージメント向上を重視しています。

(3) 経営計画・目標


第8次中期経営計画(2024年4月~2029年3月)では、「自分らしく未来を描き、誰もが幸せに暮らせる社会」の実現を目指しています。最終年度である2029年3月期の目標として、以下の指標を掲げています。

* 連結ROE:6%以上

(4) 成長戦略と重点施策


「インパクトデザイン」「ベースforグロース」「ヒューマンファースト」の3つの基本戦略を掲げています。地域課題の解決を通じた新たな価値創造、データドリブン経営やDXによる経営基盤の強化、人的資本の最大化に注力します。また、事業承継支援や再生可能エネルギー事業への取り組みを加速させ、地域経済の活性化を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


「個性を磨き、価値創造の主役として、地域の未来へ挑戦できる人」を求める人材像とし、「Design人材の育成」を方針としています。若手から管理職まで幅広い層への外部研修派遣や、アルムナイネットワークの創設、社内公募制度の拡充など、多様な人材が活躍できる環境整備と人的資本への投資を積極的に進めています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2025年3月期 37.9歳 15.0年 6,916,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 18.6%
男性育児休業取得率 94.0%
男女賃金差異(全労働者) 49.7%
男女賃金差異(正規雇用) 70.2%
男女賃金差異(非正規雇用) 41.2%


また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒採用後3年以内の定着率(87.3%)、有給休暇の平均取得日数(17日)、エンゲージメントスコア(70)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 信用リスク


国内外の経済環境や特定業種の業況変化により、取引先企業の財政状態が悪化する可能性があります。また、貸出先の経営状況が悪化した場合や担保価値が下落した場合、貸倒引当金の積み増しや債権償却が必要となり、与信関係費用が増加して業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

(2) 市場リスク


金利、株価、為替の変動により、保有する有価証券等の価値が下落したり、資金調達コストが上昇したりするリスクがあります。特に、保有する国債や地方債等の債券価格の下落や、保有株式の減損処理が発生した場合、業績や自己資本比率に影響を与える可能性があります。

(3) 流動性リスク


市場環境の急変や同社の信用力低下等により、必要な資金が確保できなくなる、または通常より著しく高い金利での調達を余儀なくされる可能性があります。これにより、資金繰りが悪化したり、収益が圧迫されたりして、経営に重大な影響を及ぼす恐れがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。