※本記事は、株式会社滋賀銀行の有価証券報告書(第139期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月17日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 滋賀銀行ってどんな会社?
滋賀銀行は、滋賀県を地盤とし、地域に根ざした銀行業を中心に多様な金融サービスを提供する地方銀行です。
■(1) 会社概要
同社は1933年に百卅三銀行と八幡銀行が合併して設立されました。1987年に東京証券取引所に上場し、2020年に信託業務の取り扱いを開始しています。2022年に東京証券取引所プライム市場へ移行しました。2024年にはしがぎんキャピタルパートナーズを設立し、地域課題の解決に向けた取り組みを進めています。
現在の従業員数はグループ全体で2,243名、単体で1,936名です。大株主の構成を見ると、筆頭株主ならびに第3位株主には資産管理業務を行う信託銀行が名を連ねています。また、第2位株主は投資ファンドとなっており、地域金融機関として安定した経営基盤を構築しています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 8.86% |
| ARIAKE MASTER FUNDDIRECTOR TAKANO SHIGERU(常任代理人 立花証券) | 5.82% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 4.82% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性12名、女性1名の計13名で構成され、女性役員比率は7.0%です。代表取締役は久保田真也氏、堀内勝美氏が務めており、取締役9名のうち社外取締役の比率は33.3%となっています。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 久保田真也 | 取締役頭取代表取締役 | 1986年同行入行。総合企画部長、常務取締役、専務取締役などを経て、2023年より現職。 |
| 堀内勝美 | 取締役専務執行役員代表取締役 | 1987年同行入行。経営管理部長、京都支店長、常務取締役市場国際部長などを経て、2025年より現職。 |
| 高橋祥二郎 | 取締役会長 | 1979年同行入行。営業統轄部長、常務取締役、取締役頭取などを経て、2023年より現職。 |
| 戸田秀和 | 取締役常務執行役員 | 1990年同行入行。執行役員業務統轄部長、常務執行役員業務統轄部長などを経て、2025年より現職。 |
| 遠藤良則 | 取締役常務執行役員 | 1991年同行入行。総務部長、執行役員総務部長、常務執行役員京都支店長などを経て、2025年より現職。 |
| 田中伸幸 | 取締役常務執行役員 | 1990年同行入行。執行役員大阪支店長、執行役員審査部長などを経て、2025年より現職。 |
社外取締役は、竹内美奈子(TM Future代表取締役)、服部力也(元三井住友トラスト・ホールディングス取締役副社長)、鎌田沢一郎(元日本銀行京都支店長)です。
2. 事業内容
同社グループは、銀行業を中心とする事業を展開しています。
■(1) 銀行業
同社は預金、貸出、内国為替、外国為替、有価証券投資等の業務を行っています。地域に根ざした営業を展開する中で、コンサルティング機能を発揮した営業力の強化に注力し、多様な顧客ニーズに対応したサービスを提供しています。
収益源は貸出金利息や有価証券利息配当金、各種手数料などです。運営は主に滋賀銀行が行い、代理店業務はしがぎん代理店が担っています。
■(2) その他周辺業務
リース、クレジットカード、信用保証、企業経営に関するコンサルティングなど、銀行業を補完する金融サービスを提供しています。また、太陽光発電所の運営事業やファンド運営なども手がけています。
収益源は各種手数料やリース料、保証料などです。運営はしがぎんリース、滋賀ディーシーカード、滋賀保証サービス、しがぎんエナジーなどの子会社がそれぞれ行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、経常利益および当期利益は一定の変動を含みつつも、総じて安定した水準を維持しています。特に直近の2026年3月期には経常利益と当期利益がともに増加し、堅調な収益基盤を確保していることが伺えます。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常利益 | 240億円 | 200億円 | 240億円 | 189億円 | 290億円 |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 174億円 | 144億円 | 157億円 | 188億円 | 214億円 |
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
同社のキャッシュ・フローは、営業CFと投資CFがプラス、財務CFがマイナスとなる改善型の傾向を示しています。営業利益と資産の売却や回収等で得た資金を活用し、借入金の返済などを進めている局面です。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -4,057億円 | 24億円 |
| 投資CF | -476億円 | 1,175億円 |
| 財務CF | -80億円 | -76億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.5%で市場平均を下回り、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も6.6%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
創立90周年に際し、「『三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)』で地域を幸せにする」とのパーパス(存在意義)を制定しています。伝統ある近江商人の精神を継承した行是「自分にきびしく 人には親切 社会につくす」を原点に、「地域社会」「役職員」「地球環境」との「共存共栄」の実現を目指しています。
■(2) 企業文化
伝統ある近江商人の「三方よし」の精神を尊重する文化が根付いています。また、「挑戦」と「称賛」の企業文化の醸成に取り組んでおり、職員同士が行是を体現する行動を称え合う取り組みなどを通じて、変化を恐れず挑戦し続ける風土を大切にしています。
■(3) 経営計画・目標
第8次中期経営計画(2024年4月~2029年3月)において、地域の持続可能な成長と経営基盤の強化を推進しています。財務およびサステナビリティの達成指標として、以下の目標を掲げています。
- 連結ROE:8%以上
- 地域の成長を支える投融資額(期間累計):1兆2,000億円
- サステナブルファイナンス実行額(期間累計):7,000億円
■(4) 成長戦略と重点施策
「インパクトデザイン」「ベース for グロース」「ヒューマンファースト」の3つの基本戦略を柱としています。地域課題の解決による持続可能な成長のデザイン、データ活用やAIを用いた経営基盤の強化、そして人的資本の最大化に向けた人材育成と成長支援を通じて、持続的な企業価値の向上を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「ヒューマンファースト」を掲げ、人的資本の最大化を進めています。求める人材像を「個性を磨き、価値創造の主役として、地域の未来へ挑戦できる人」とし、自律的なキャリア形成の支援や多様な採用手法の活用、専門資格取得の奨励等を通じて、従業員一人ひとりが能力を発揮できる環境整備に取り組んでいます。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 37.7歳 | 14.7年 | 7,320,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 19.0% |
| 男性育児休業取得率 | 100.0% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 50.4% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 69.9% |
| 男女賃金差異(非正規雇用労働者) | 42.0% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、新卒採用後3年以内の定着率(87.9%)、障がい者雇用率(2.152%)、有給休暇の平均取得日数(17日)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 地域経済の縮小、人口減少
地域産業の衰退やお取引先の業績悪化による与信コストの増加、人口減少や少子高齢化に伴う顧客基盤の減少によって、同社の収益力が低下するリスクがあります。
■(2) 同業・異業種との競合激化
デジタル技術の革新や異業種の銀行業参入により、預金や貸出金の獲得競争が激化し、利鞘の縮小や顧客基盤の減少が生じて収益に影響を及ぼすリスクがあります。
■(3) 大規模システム障害、サイバー攻撃の脅威
大規模なシステム障害の発生や、高度化するサイバー攻撃による不正アクセス、情報流出等が発生した場合、業務継続が困難となり同社の社会的信用や業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。



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