※本記事は、ふくおかフィナンシャルグループの有価証券報告書(第19期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月19日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. ふくおかフィナンシャルグループってどんな会社?
銀行業務を中核に、九州地域で多様な金融商品やサービスを提供する広域展開型地域金融グループです。
■(1) 会社概要
同社は2007年4月に福岡銀行と熊本ファミリー銀行(現熊本銀行)の共同株式移転により設立され、上場しました。同年10月に親和銀行を完全子会社化し、2019年4月には十八銀行を完全子会社化しています。その後、2020年10月に親和銀行と十八銀行が合併して十八親和銀行が発足し、2023年10月には福岡中央銀行を完全子会社化するなど、九州全域でのネットワークを強固なものにしています。
現在の従業員数は連結で8,050名、単体で328名です。筆頭株主は信託業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位も信託業務を担う日本カストディ銀行(信託口)、第3位は保険会社の日本生命保険相互会社となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 15.12% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 7.82% |
| 日本生命保険相互会社 | 2.25% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.0%です。代表者は取締役社長の五島久氏です。社外取締役比率は36.4%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 柴戸隆成 | 取締役会長(代表取締役) | 1976年福岡銀行入行。同行頭取などを経て2019年より同社取締役会長兼社長。2022年より現職。 |
| 五島久 | 取締役社長(代表取締役) | 1985年福岡銀行入行。同行専務などを経て2022年より同社取締役社長および福岡銀行頭取に就任し現職。 |
| 三好啓司 | 取締役副社長(代表取締役) | 1986年福岡銀行入行。同行専務などを経て2022年より同社取締役副社長および福岡銀行副頭取に就任し現職。 |
| 橋爪政博 | 取締役 | 1989年福岡銀行入行。同行専務などを経て2025年より同社取締役執行役員。2026年よりみんなの銀行取締役会長。 |
| 坂本俊宏 | 取締役 | 1987年熊本相互銀行入行。熊本銀行専務などを経て2024年より同社取締役執行役員および熊本銀行頭取に就任し現職。 |
| 山川信彦 | 取締役 | 1989年親和銀行入行。十八親和銀行営業推進部長などを経て2022年より同社取締役執行役員および同行頭取に就任し現職。 |
社外取締役は、深沢政彦(元A.T. カーニー日本代表)、花岡久美(元三菱UFJモルガン・スタンレー証券決済部長)、山田英夫(早稲田大学名誉教授)、石橋伸子(弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「銀行業務」および「その他事業」を展開しています。
■銀行業務
同社グループの中核として、預金業務、貸出業務、内国為替業務、外国為替業務などの多様な金融サービスを個人および法人の顧客向けに幅広く提供しています。
収益源は主に貸出金等から得られる資金運用収益や、金融商品販売等に伴う手数料収入です。運営は福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、福岡中央銀行、みんなの銀行がそれぞれ地域や顧客特性に合わせて担っています。
■その他事業
銀行業務に関連する多様な金融サービスやコンサルティングなどを提供し、顧客の幅広いニーズに応えることでグループ全体の付加価値を高めています。
証券業務、保証業務、事業再生支援・債権管理回収業務、リース業務などを通じて多角的に収益を獲得しています。運営はふくおかフィナンシャルグループをはじめ、FFG証券、FFGリースなどの各関係会社が行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近5年間の業績推移を見ると、経常利益は一時的に落ち込みを見せたものの、その後は力強い回復基調にあり、直近では大きく伸長しています。利益面でも同様に改善傾向が続いており、安定した成長を実現しています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | - | - | - | - | - |
| 経常利益 | 761億円 | 501億円 | 569億円 | 1,036億円 | 1,206億円 |
| 利益率(%) | - | - | - | - | - |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 221億円 | 23億円 | 160億円 | 350億円 | 568億円 |
■(2) 損益計算書
営業利益は前年から順調に増加しており、貸出金利息などの資金運用収益の拡大を背景に、強固な収益基盤の構築が進んでいることが伺えます。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | - | - |
| 売上総利益 | - | - |
| 売上総利益率(%) | - | - |
| 営業利益 | 487億円 | 581億円 |
| 営業利益率(%) | - | - |
販売費及び一般管理費のうち、給料・手当が74億円(構成比36%)、通信費が30億円(同15%)を占めています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業が低迷し、事業の見直しが迫られる状況です。なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に貸出金の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | -5,039億円 | -2,354億円 |
| 投資CF | -7,628億円 | 2,029億円 |
| 財務CF | -231億円 | -299億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は8.5%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も3.2%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループが目指す社会は「経済的・物質的・精神的にゆたかな地域社会」です。経済的なゆたかさに加え、安心・安全で快適な生活といった物質的なゆたかさ、そして日々の充実感などの精神的なゆたかさを提供することで「真のゆたかさ」の実現に貢献し、中長期的な企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループの理念体系は、社員一人ひとりが持つべき考え方や行動のよりどころとなるものです。技術がどれだけ進化しても最後の決め手は「人間味」であるという価値観を重視し、役割や成果を重視した人財マネジメントを推進することで、専門性を発揮する自律的で活力ある組織づくりを進める企業文化を持っています。
■(3) 経営計画・目標
2025年度にスタートした「第8次中期経営計画(2025年4月~2028年3月)」において、持続的な成長と「真のゆたかさ」の実現を目指し、以下の数値を目標として掲げています。
* 親会社株主に帰属する当期純利益:1,100億円超
* ROE(連結自己資本利益率):10%程度
* 自己資本比率:10%台
■(4) 成長戦略と重点施策
「地域の産業振興」「人生100年時代への対応」「デジタル社会への対応」「気候変動への対応」を重要課題(マテリアリティ)と定義しています。具体的な重点施策として以下を掲げ、持続的な成長を目指しています。
* 既存ビジネスの変革によるお客さまとの接点高度化の追求
* 成長分野(GXやスタートアップ)でのビジネス拡大と投資推進
* 多様なプレイヤーとの協業による地域プラットフォームの構築
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
長期戦略を支えるため、第8次中期経営計画における人財戦略の柱として「戦略的人財ポートフォリオの構築」と「従業員エンゲージメントの向上」を掲げています。その土台として「DE&Iの推進」と「組織風土の醸成」を置き、多様な人材の採用や育成を加速させるとともに、最適かつ柔軟な人材配置を実施しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年3月期 | 38.7歳 | 10.8年 | 7,789,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 20.1% |
| 男性育児休業取得率 | 103.7% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 42.5% |
| 男女賃金差異(正規雇用労働者) | 63.7% |
| 男女賃金差異(パート・有期労働者) | 40.7% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、キャリア採用割合(23.8%)、エンゲージメントスコア(61.0)、多様な背景を持つ人財の役職者比率(31.0%)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 貸出先の財務悪化等に伴う信用リスク
世界経済の動向や特定の業種における経営環境悪化により、不良債権や信用コストが増加するリスクがあります。同社グループでは、景気予測に基づくデフォルト率の推計など、将来のリスクを合理的に見積もるフォワードルッキングな引当を行い、安定的な金融仲介機能の発揮と適切なリスクコントロールに努めています。
■(2) 金利や株式相場の変動による市場リスク
市場関連業務において様々な金融商品での運用を行っており、金利・為替・株式などの相場変動の影響を受けます。国内外の経済動向や地政学リスクの影響で市場が混乱し、これらのリスク・ファクターが大幅に変動した場合、同社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(3) システム障害やサイバー攻撃によるオペレーショナル・リスク
営業店やATM、他行とを結ぶオンラインシステムなどを保有しており、サイバー攻撃によるシステムの停止や顧客情報の漏洩などが発生した場合、決済業務に支障をきたす恐れがあります。同社グループでは、セキュリティ管理態勢の強化や厳格な情報管理を実施することで、システム障害の未然防止を図っています。



上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。