※本記事は、株式会社ふくおかフィナンシャルグループ の有価証券報告書(第18期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月24日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
ふくおかフィナンシャルグループ転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態
1. ふくおかフィナンシャルグループってどんな会社?
福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行などを傘下に持つ広域展開型地域金融グループとして、銀行業務を中心に多様な金融サービスを展開しています。
■(1) 会社概要
2007年4月、福岡銀行と熊本ファミリー銀行(現・熊本銀行)の経営統合により設立されました。同年10月に親和銀行を完全子会社化し、2019年には十八銀行を完全子会社化しました。2020年に親和銀行と十八銀行が合併して十八親和銀行が発足。2021年には国内初のデジタルバンクであるみんなの銀行がサービスを開始しました。2023年には福岡中央銀行を完全子会社化しています。
連結従業員数は7,928名、単体従業員数は318名です。筆頭株主は資産管理業務を行う信託銀行(信託口)で、第2位も同様に信託銀行の信託口です。第3位はカストディ銀行等の常任代理人である銀行となっています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 16.42% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 10.42% |
| STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001(常任代理人 みずほ銀行決済営業部) | 3.04% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性9名、女性1名の計10名で構成され、女性役員比率は10.0%です。代表者は取締役社長の五島 久氏です。社外取締役比率は40.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 五島 久 | 取締役社長(代表取締役) | 1985年福岡銀行入行。同行執行役員、常務執行役員、ふくおかフィナンシャルグループ執行役員等を経て、2022年4月より同社社長および福岡銀行頭取に就任。 |
| 柴戸 隆成 | 取締役会長(代表取締役) | 1976年福岡銀行入行。同行頭取、ふくおかフィナンシャルグループ社長などを歴任。2022年4月より同社および福岡銀行の取締役会長。 |
| 三好 啓司 | 取締役副社長(代表取締役) | 1986年福岡銀行入行。同行副頭取、ふくおかフィナンシャルグループ執行役員経営企画部長等を経て、2022年4月より現職。みんなの銀行非業務執行取締役も兼務。 |
| 坂本 俊宏 | 取締役 | 1987年熊本相互銀行(現熊本銀行)入行。同行取締役常務執行役員事務IT部長等を経て、2024年4月より熊本銀行頭取。同年6月より現職。 |
| 山川 信彦 | 取締役 | 1989年親和銀行(現十八親和銀行)入行。同行執行役員営業推進部長等を経て、2022年4月より十八親和銀行頭取。同年6月より現職。 |
| 丸田 哲也 | 取締役監査等委員(常勤) | 1990年福岡銀行入行。同行長崎支店長、FC推進部長、投信事業部長、営業統括部部長などを経て、2023年6月より現職。 |
社外取締役は、深沢 政彦(カーライル・ジャパン・LLC マネージングディレクター)、小杉 俊哉(合同会社THS経営組織研究所代表社員)、山田 英夫(早稲田大学名誉教授)、石橋 伸子(弁護士法人神戸シティ法律事務所代表社員弁護士)です。
2. 事業内容
同社グループは、「銀行業務」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 銀行業務
福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行、福岡中央銀行およびみんなの銀行において、預金、貸出、内国為替、外国為替等の業務を行っています。また、それぞれの銀行が地域の顧客基盤を活かし、多様な金融ニーズに応えるサービスを提供しています。
収益は主に、貸出金利息や有価証券利息配当金などの資金運用収益、および振込手数料などの役務取引等収益から構成されます。運営は、株式会社福岡銀行、株式会社熊本銀行、株式会社十八親和銀行、株式会社福岡中央銀行、株式会社みんなの銀行が行っています。
■(2) その他事業
銀行業務以外の金融関連サービスとして、証券業務、保証業務、事業再生支援・債権管理回収業務、リース業務などを展開しています。グループ各社が専門性を活かし、銀行業務と連携しながら総合的な金融サービスを提供しています。
主な収益源は、証券業務における委託手数料、保証業務における保証料、リース業務におけるリース料などです。運営は、FFG証券株式会社、ふくぎん保証株式会社、ふくおか債権回収株式会社、FFGリース株式会社(持分法適用関連会社)などが担っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近の業績を見ると、経常収益は順調に拡大傾向にあります。特に最新期では4,557億円に達し、経常利益も1,000億円の大台を超えました。当期純利益も増加基調を維持しており、収益性・利益水準ともに向上しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益 | 2,748億円 | 2,804億円 | 3,313億円 | 4,047億円 | 4,557億円 |
| 経常利益 | 604億円 | 761億円 | 501億円 | 569億円 | 1,036億円 |
| 利益率(%) | 22.0% | 27.1% | 15.1% | 14.1% | 22.7% |
| 当期利益(親会社所有者帰属) | 446億円 | 541億円 | 312億円 | 612億円 | 721億円 |
■(2) 損益計算書
※以下のデータは持株会社単体の数値です。
持株会社単体の業績を見ると、営業収益が前期比で大幅に増加しています。これに伴い営業利益も倍増し、高い利益率を記録しました。営業収益の大半は関係会社からの受取配当金等が占めており、グループ会社の業績拡大が親会社の収益増に直結しています。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 363億円 | 653億円 |
| 売上総利益 | - | - |
| 売上総利益率(%) | - | - |
| 営業利益 | 217億円 | 487億円 |
| 営業利益率(%) | 59.8% | 74.5% |
販売費及び一般管理費のうち、給料・手当が69億円(構成比42%)、通信費が21億円(同13%)を占めています。
■(4) キャッシュ・フローと財務指標
本業の収益に関連する資金の出入りを示す営業CFはマイナスですが、これは事業拡大に伴う資産増加等の影響を含んでいます。投資CFもマイナスで、積極的な投資が行われています。一方で財務CFはマイナスとなっており、借入返済や配当支払いが進んでいます。
なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に借用金(劣後特約付借入金を除く)の減少の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 14,809億円 | -5,039億円 |
| 投資CF | -7,901億円 | -7,628億円 |
| 財務CF | -207億円 | -231億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は7.4%で市場平均をやや下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は2.9%で市場平均を大きく下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社グループは、「経済的・物質的・精神的にゆたかな地域社会」を目指す社会像として掲げています。「あなたのいちばんに。」という価値観と、「一歩先を行く発想で、地域に真のゆたかさを。」という存在意義(パーパス)を定め、多様な豊かさが地域を巡る「真のゆたかさ」の実現を通じて企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業文化
同社グループの理念体系を経営の基本とし、社員一人ひとりの考え方や行動の拠り所としています。2025年4月には新たな理念を定め、先行き不透明な環境下でもグループ一丸となって目指す方向性を示しました。
■(3) 経営計画・目標
第8次中期経営計画(2025年4月~2028年3月)において、以下の経営指標を目標として設定しています。
* 親会社株主に帰属する当期純利益:1,000億円
* ROE(連結自己資本利益率):9%程度
* 自己資本比率(バーゼルⅢ最終化ベース):10%台
■(4) 成長戦略と重点施策
「創りたい社会=真のゆたかさ」の実現に向けた10年間の「長期戦略」を策定し、その第1ステージとして第8次中期経営計画を推進します。「地域の産業振興」「人生100年時代への対応」「デジタル社会への対応」「気候変動への対応」をマテリアリティと定義し、解決に取り組みます。
具体的には、デジタル/AIを活用した既存ビジネスの変革、GXやスタートアップ支援による新たな価値創造、広域展開やみんなの銀行などのデジタルビジネスによる収益獲得を目指します。また、地域企業や自治体等との連携によるアプローチ革新や、人材育成・リスク管理高度化による強靭な基盤造りにも注力します。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「戦略的人財ポートフォリオの形成」と「従業員エンゲージメント向上」を柱とし、DE&I推進や心理的安全性の確保された組織風土を土台としています。事業戦略に必要な人材の確保・再配置、キャリア採用強化に加え、自律的なキャリア形成を支援する育成プログラムを拡充しています。また、柔軟な働き方の推進や処遇への納得感を高めることで、活力ある組織づくりを目指しています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 38.3歳 | 11.1年 | 7,168,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 19.4% |
| 男性育児休業取得率 | 100.9% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 39.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 62.2% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 35.9% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、役職者に占める多様な背景を持つ人財の比率(28.1%)、金融経済教育受講者数(53,419人)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 信用リスク
貸出先の財務状況悪化等により信用コストが増加するリスクがあります。世界・日本経済の動向、不動産価格や株価の変動、特定の業種の経営環境悪化などが影響します。貸倒引当金が不十分となる可能性や、支援継続に伴う損失、担保処分の困難性などが業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 市場リスク
金利、為替、株式等の相場変動により、保有する金融資産の価値が変動するリスクです。国内外の経済動向や政治情勢、地政学リスクの高まり等により市場が混乱した場合、金利リスクや価格変動リスクが顕在化し、業績や財務状況に悪影響を与える可能性があります。
■(3) 流動性リスク
予期せぬ資金流出や市場の混乱により、必要な資金確保が困難になる、または著しく高い金利での調達を余儀なくされる「資金繰りリスク」と、市場で取引ができない、または不利な価格での取引を強いられる「市場流動性リスク」があります。格下げや市場環境の悪化が引き金となる可能性があります。



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