※本記事は、株式会社東和銀行 の有価証券報告書(第120期、自 2024年4月1日 至 2025年3月31日、2025年6月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 東和銀行ってどんな会社?
群馬・埼玉を基盤とする地方銀行です。地域密着型の「お客様応援活動」を通じ、総合金融サービスを提供しています。
■(1) 会社概要
1917年に群馬貯蓄無尽として創立され、1951年に大生相互銀行へ商号変更しました。1989年に普通銀行へ転換し、現在の東和銀行に行名を変更しています。1990年に東京証券取引所市場第二部へ上場し、翌1991年に同第一部へ指定替えとなりました。
2025年3月31日現在、連結従業員数は1,232人、単体従業員数は1,203人です。筆頭株主は資産管理業務を行う日本マスタートラスト信託銀行(信託口)で、第2位も同様に株式会社日本カストディ銀行(信託口)です。第3位には東和銀行従業員持株会が名を連ねています。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 12.30% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 7.43% |
| 東和銀行従業員持株会 | 2.61% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性10名、女性2名の計12名で構成され、女性役員比率は16.7%です。代表取締役頭取執行役員は江原 洋氏です。社外取締役比率は25.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 江原 洋 | 代表取締役頭取執行役員 | 1980年4月同行入行。秘書室副部長、川越支店長、執行役員高崎支店長、取締役常務執行役員、取締役副頭取執行役員などを経て、2020年6月より現職。 |
| 櫻井 裕之 | 代表取締役副頭取執行役員 | 1980年4月同行入行。総合企画部長、執行役員総合企画部長、常務執行役員東京支店長、取締役専務執行役員などを経て、2020年9月より現職。 |
| 北爪 功 | 取締役専務執行役員 | 1987年4月同行入行。篭原支店長、伊勢崎支店長、執行役員リレーションシップバンキング推進部長などを経て、2020年6月より現職。 |
| 鈴木 信一郎 | 取締役常務執行役員 | 1985年4月日本債券信用銀行入行。2017年6月同行入行。国際部長、執行役員国際部長兼事務統括システム部長などを経て、2023年6月より現職。 |
| 岡部 晋 | 取締役常務執行役員 | 1985年4月同行入行。蓮田支店長、総合企画部長、執行役員総合企画部長、常務執行役員などを経て、2024年6月より現職。 |
| 水口 剛 | 取締役 | 1984年4月ニチメン入社。高崎経済大学経済学部教授、同大学副学長・理事などを経て、2019年6月より現職。2021年4月より高崎経済大学学長・副理事長。 |
| 大西 利佳子 | 取締役 | 1997年4月日本長期信用銀行入行。2002年10月コトラ代表取締役就任。ベルパーク社外取締役などを経て、2019年6月より現職。 |
| 丸山 彬 | 取締役 | 2016年12月丸山法律事務所入所副所長。早稲田大学ビジネスファイナンス研究センターエグゼクティブMBA essence修了を経て、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、水口剛(高崎経済大学学長)、大西利佳子(コトラ代表取締役)、丸山彬(丸山法律事務所副所長)です。
2. 事業内容
同社グループは、「銀行業」および「その他」事業を展開しています。
■(1) 銀行業
群馬県および埼玉県を中心に店舗網を展開し、預金業務、貸出業務、内国為替業務、外国為替業務等を行っています。地域社会に対して総合金融サービスを提供しており、同社グループの中核事業となっています。
収益は、主に顧客からの貸出金利息や各種手数料収入(為替手数料、投資信託販売手数料等)から構成されています。運営は主に東和銀行が行っています。
■(2) その他
銀行業以外の金融サービスとして、リース業務およびクレジットカード業務を行っています。
収益は、リース契約に基づくリース料収入や、クレジットカード利用者および加盟店からの手数料収入等が該当します。運営は、連結子会社である東和銀リースおよび東和カードが行っています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
当期は増収増益となりました。これは、主に貸出金利息や償却債権取立益の増加により経常収益が増加したこと、一方で信用コストの減少などにより経常費用が増加幅を抑えられたことが要因です。過去数期においては、経常収益は概ね横ばいで推移していましたが、当期は大きく増加しました。経常利益についても、過去数期と比較して当期は大幅な増加を示しています。
| 項目 | 2021年3月期 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 経常収益(億円) | 3,644 | 3,691 | 3,351 | 3,414 | 3,782 |
| 経常利益(億円) | 409 | 371 | 399 | 434 | 639 |
| 当期純利益(億円) | 250 | 175 | 409 | 353 | 452 |
■(2) 損益計算書
当期は、貸出金利息の増加などにより経常収益が増加しました。経常費用は、信用コストの減少があったものの、預金利息や営業経費の増加などにより増加しました。この結果、経常利益は前期から増加し、当期純利益も増加しました。
| 項目 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 経常収益 | 3,414 | 3,782 |
| 経常費用 | 2,980 | 3,143 |
| 経常利益 | 434 | 639 |
| 当期純利益 | 353 | 452 |
■(3) 役務取引等収益の内訳
当期の役務取引等収益合計は前期比で増加しました。その中でも、預金・貸出業務が最も大きな割合を占めており、当期も引き続き収益を牽引しています。次いで、証券関連業務も一定の規模を維持しています。
| 区分 | 2024年3月期 | 2025年3月期 |
|---|---|---|
| 役務取引等収益 合計 | 623 | 658 |
| 預金・貸出業務 | 2,025 | 374 |
| 証券関連業務 | 2,025 | 374 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は4.3%で市場平均を下回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は3.8%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社はパーパスとして「私たちは、地域のお客さまに寄り添い、ともに豊かな未来を創造します。」を掲げています。地域社会や全てのステークホルダーの持続的な発展に貢献し、長期ビジョンの達成と企業価値の向上を目指しています。
■(2) 企業文化
同社は「TOWAお客様応援活動」をビジネスモデルとして掲げています。これは、顧客の課題やニーズを的確に捉え、本業支援や経営改善支援などを通じて最適なソリューションを提供する活動です。全役職員がこの活動を基礎とし、地域経済の発展に貢献する企業風土を醸成しています。
■(3) 経営計画・目標
2024年4月より中期経営計画「TOWA Future PlanⅠ」をスタートさせています。2024年度末の実績として以下の指標が開示されています。
* ROE(連結):4.97%
* コア業務純益:47億円
* 単体自己資本比率:9.71%
* 業務粗利益経費率(OHR):71.80%
■(4) 成長戦略と重点施策
「TOWAお客様応援活動」の強化・深化を基本戦略の柱とし、それを支える態勢の強化、ローコスト・オペレーションの確立、責任ある経営体制の確立に取り組んでいます。具体的には、顧客の本業支援、経営改善・事業再生支援、資産形成支援などを通じて、顧客が資金繰りを心配せずに事業に専念できる環境づくりを支援しています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
「価値創造の源泉となる人財の育成」に注力し、人が活きる企業風土づくりを進めています。コンサルティング能力を高めるための資格取得奨励や、キャリアサポートとしての自立的な学習促進を行っています。また、2023年4月より全行員を総合職とする新人事制度を導入し、性別に関わらず活躍できる制度を整えています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均を大きく下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 41.0歳 | 17.4年 | 6,030,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 20.6% |
| 男性育児休業取得率 | 77.8% |
| 男女賃金差異(全労働者) | 51.3% |
| 男女賃金差異(正規雇用) | 61.3% |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | 60.1% |
また、同社は「サステナビリティ」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、有給休暇取得率(74.9%)、女性の平均勤続年数(13.3年)などです。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 信用リスク
貸出先の業況変動や不動産価格の変動等により、不良債権が増加する可能性があります。貸倒引当金を計上していますが、経済状態の悪化等により実際の貸倒れが予想を上回った場合、引当金の積み増しが必要となり、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(2) 市場リスク
金利、株価、為替の変動により、保有する資産の価値が変動するリスクがあります。特に金利上昇局面においては、保有債券の価格下落や調達コストの増加などが懸念されます。また、有価証券の価格下落による減損や評価損の発生も業績への影響要因となります。
■(3) システムリスク
銀行業務においてコンピュータシステムやネットワークは不可欠ですが、災害、停電、サイバー攻撃等によるシステム障害が発生した場合、決済機能の停止や情報漏洩などが起こる可能性があります。これらは業務運営に支障をきたし、社会的信用の失墜や損害賠償等により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 地域経済情勢に係わるリスク
同社は群馬県および埼玉県を中心に店舗網を構築しているため、これらの地域の経済状況の影響を強く受けます。地域経済の低迷や人口減少などは、資金需要の減少や信用コストの増加につながり、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。



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