※本記事は、豊トラスティ証券株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
豊トラスティ証券は、商品デリバティブ取引業を主要な事業とし、金融商品取引業や不動産管理業も展開しています。同社グループは、受託業務と自己売買業務を通じて多岐にわたる金融商品を扱っています。
単体従業員数は356名、連結従業員数は358名です。同社グループの事業セグメントは、商品デリバティブ取引業等の単一セグメントとなっています。
主な国内グループ会社は、ユタカ・アセット・トレーディング(商品デリバティブ取引業等)、ユタカエステート(不動産管理業)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
豊トラスティ証券は、商品デリバティブ取引業および金融商品取引業を通じて、お客様の資産形成と価格変動リスク管理に貢献しています。同社グループは「お客様第一主義」を企業理念とし、専門性を追求しながら、多様な人材が活躍できる職場環境の整備にも力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、平均勤続年数と平均年齢から、比較的経験豊富な人材が長く定着している傾向が見られます。従業員が安定してキャリアを築ける環境がうかがえます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 8,866,000円 |
| 平均勤続年数 | 12.3年 |
| 平均年齢 | 40.6歳 |
| 単体従業員数 | 356人 |
| 連結従業員数 | 358人 |
| 単体のグループ内比率 | 99.4% |
同社は、従業員の退職給付に充てるため、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の制度を採用しています。
退職一時金制度があり、退職給付として給与と勤務期間に基づいた一時金が支給されます。
なお、確定給付制度における退職給付債務は7.2億円となっています。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、中期ビジョン「顧客のリスク・リターン選好に最適なサービスを提供し、最も選ばれる会社」の実現に向け、人的資本を重要な経営基盤と位置付けています。従業員一人ひとりが知識や実践力を深め、能力を最大限に発揮できるよう、人材の採用・育成、適材適所の配置、教育研修、資格取得支援、女性活躍の推進、再雇用制度の整備、従業員の健康保持、働きがいのある職場環境の整備に取り組んでいます。
人材育成においては、これまでのデリバティブ市場での経験と専門性に加え、現物株式や投資信託などの金融商品知識、法人顧客のヘッジニーズへの対応力、コンプライアンス、リスク管理、システム、経理、経営企画といった専門能力を備えた人材の確保・育成に注力しています。人事部を司令塔として強化し、入社から退職まで一貫して従業員に寄り添い、切磋琢磨しながら成長できる環境を整えています。
給与、賞与その他の処遇については、職務内容、職責、職能、勤務成績、業績への貢献、会社業績、経営環境、人材確保の必要性などを総合的に勘案して決定することを基本方針としています。従業員が能力を高め、業務成果を適切に発揮することが、同社グループの持続的な成長と企業価値向上につながるとの考えのもと、適正な評価と処遇に努めています。
社内環境整備では、性別、年齢、国籍などに関係なく多様な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、ワークライフバランスの確保にも取り組んでいます。具体的には、育児休業を子が3歳に達するまで取得可能とし、子の看護等休暇の有給付与、育児短時間勤務の延長、生理休暇の有給付与、業務職から基幹職への職種変更制度など、女性従業員の活躍を支援する制度を設けています。また、定年後の再雇用制度も整備し、経験豊富な人材が引き続き能力を発揮できる環境づくりを進めています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。管理職に占める女性労働者の割合は当事業年度末時点、その他の指標は当事業年度における実績を記載しています。提出会社の労働者の賃金は、性別に関係なく、同一の基準を適用しています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.9% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 50.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 69.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 70.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 46.5% |
有報に開示される平均年収は全社平均です。職種・年次・職位ごとの実際の給与水準は、社員・OBOGの給与明細データで確認できます。
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
豊トラスティ証券グループは、商品デリバティブ取引業と金融商品取引業を主要な事業として展開しています。加えて、研修施設等の管理を行う不動産管理業も手掛けています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、商品デリバティブ取引業等と不動産管理業の二つの事業を行っています。主要な事業である商品デリバティブ取引業等では、商品デリバティブ取引と金融商品取引を提供しています。商品デリバティブ取引では、貴金属市場、エネルギー市場、米穀指数市場などの上場商品について受託業務と自己売買業務を行っています。金融商品取引では、取引所株価指数証拠金取引(くりっく株365)、取引所為替証拠金取引(くりっく365)、株価指数先物取引などの受託業務と自己売買業務を展開しています。
収益は主にこれらの取引における受入手数料とトレーディング損益から得ています。特に金を中心とした商品デリバティブ取引業の手数料収入が、同社グループの収益の大きな割合を占める構造となっています。不動産管理業は、子会社であるユタカエステートが研修施設等の管理事業を行っています。同社グループの事業セグメントは、商品デリバティブ取引業等の単一セグメントであり、国内市場が収益の大部分を占めています。
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
同社グループの業績は、過去5年間で営業収益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに増加傾向を示しています。特に直近の2026年3月期においては、営業収益が大幅に増加し、それに伴い経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益も大きく伸びています。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 67.2億円 | 68.7億円 | 74.0億円 | 76.6億円 | 130億円 |
| 経常利益 | 14.6億円 | 16.1億円 | 21.0億円 | 21.5億円 | 63.7億円 |
| 経常利益率 | 21.8% | 23.4% | 28.3% | 28.1% | 49.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 9.8億円 | 8.9億円 | 14.3億円 | 19.2億円 | 44.2億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 177.77 | 161.83 | 259.93 | 343.86 | 779.11 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
同社グループの従業員1人あたりの売上高(連結)は、前期から当期にかけて増加しています。また、従業員1人あたりの営業利益(連結)も前期から当期にかけて大きく伸びており、同社グループ全体の生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標は、同社グループが効率的に収益を生み出す体制を強化していることを示しています。
| 指標 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 22.0百万円 | 36.3百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 6.0百万円 | 17.6百万円 |
業績データからは見えない「この会社で実際に働くとどうか」は、社員・OBOGの口コミで確認できます。
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、事業活動と投資活動を通じて資金を創出していることを示しています。これにより、安定した事業運営と将来への投資余力を確保していることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループの財務基盤を見ると、純資産は当期に182億円となり、前期から増加しています。自己資本比率は当期に6.3%であり、前期の11.0%から減少しました。ROE(自己資本利益率)は当期に27.7%となり、前期の14.6%から上昇しています。手元資金である現金及び預金は当期に110億円となり、前期から増加しています。
なお、証券会社は事業の構造上、自己資本比率が一般事業会社より低くなる傾向があります。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 138億円 | 182億円 |
| 自己資本比率 | 11.0% | 6.3% |
| ROE(自己資本利益率) | 14.6% | 27.7% |
| 現金及び預金 | 84.7億円 | 110億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、当期は営業活動による資金の取得が29.9億円となりました。これは主に預り証拠金の増加や委託者先物取引差金の減少などによるものです。投資活動による資金の取得は7.4億円であり、有価証券の償還や売却による収入が主な要因となっています。財務活動による資金の使用は5.2億円で、主に配当金の支払額によるものです。
これらの結果、事業活動と投資活動を合わせたフリーキャッシュフローは当期に37.4億円の取得となりました。前期と比較して営業活動による資金の取得が増加し、投資活動による資金の取得に転じたことで、同社グループは事業運営に必要な資金を確保しつつ、資金の余力を生み出している状況です。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 17.7億円 | 29.9億円 |
| 投資CF | △8.3億円 | 7.4億円 |
| 財務CF | △4.1億円 | △5.2億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 9.4億円 | 37.4億円 |
※フリーCF(フリーキャッシュ・フロー)とは、会社が事業活動と投資活動を通じて自由に使える余剰資金のこと。
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループの事業構造・収益性に関するリスクとして、商品デリバティブ取引業等の動向が挙げられます。金価格は国際金融市場、為替相場、金利動向、地政学リスク等により大きく変動する可能性があり、受入手数料等に影響を及ぼす可能性があります。
また、市場の自由化や国際化の進展に伴い、異業種や外資系企業からの参入が拡大する可能性があり、企業競争が経営環境に影響を及ぼすリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
人材・組織に関するリスクとして、従業員である外務員が顧客との受託業務活動において権限外の行為により第三者に損害が発生した場合、同社が損害賠償責任を負う可能性があります。このような損害賠償が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
財務指標だけでは分からない、実際の残業の実態や職場環境は、社員の声から確認できます。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
豊トラスティ証券は、「お客様第一主義」を企業理念に掲げ、商品デリバティブ取引業と金融商品取引業を通じて、お客様の資産形成とリスク管理に貢献することを目指しています。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
豊トラスティ証券は、「お客様第一主義」を企業理念としています。お客様の資産形成及びリスク管理に資する商品・サービスを提供することを基本方針としています。
同社グループは、中期ビジョンにおいて、10年後の目指す企業像を「顧客のリスク・リターン選好に最適なサービスを提供し、最も選ばれる会社」と定めています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
同社グループは、中期ビジョンの実現に向け、成長性と持続性の両立を目標とするESG経営を継続しています。その実現のため、コンプライアンスの更なる徹底、ガバナンス及びリスクコントロールの強化、情報セキュリティ及びサイバー対策の深化に取り組んでいます。
また、人材のダイバーシティ及びインクルージョンの向上、社会・教育活動等への参画も重視しています。人的資本を重要な経営基盤と位置付け、社員一人ひとりが知識や実践力を深め、能力を最大限に発揮できるような取り組みを推進しています。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
同社グループは、お客様に信頼される企業集団となるべく、コンプライアンス態勢、リスク管理態勢及びガバナンスの一層の強化に取り組んでいます。商品ラインアップの拡充や国内外のデリバティブ市場への対応にあたり、各市場の制度や規制対応能力の向上が不可欠であることから、関連部署間の連携を強化し、適切な業務運営体制の整備に努めています。
情報ネットワーク社会においてお客様情報を守るため、情報セキュリティ及びサイバー対策の向上・維持にも取り組んでいます。
会社が掲げる価値観と現場の実態が一致しているかどうかは、社員・OBOGの口コミが参考になります。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
豊トラスティ証券は、公正で透明な経営システムを重視し、経営環境の変化に対応した企業統治体制を構築しています。取締役会が経営戦略の意思決定と業務執行の監督を行い、監査役制度を通じて経営監視機能の強化を図っています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社グループの株主構成を見ると、株式会社多々良マネジメントが筆頭株主として名を連ねています。創業家と見られる個人株主も上位に複数名を占めており、特定の株主グループが同社グループの経営に影響力を持つ資本構成となっています。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 多々良マネジメント | 16.52% |
| 多々良 義成 | 6.73% |
| 椛田 法義 | 6.63% |
| 日本カストディ銀行(信託E口) | 6.00% |
| 豊トラスティ証券従業員持株会 | 5.30% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は15名(男性15名・女性0名)で構成され、女性役員比率は0.0%です。代表取締役社長は安成政文氏が務めています。社外取締役比率は8.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 多々良 實夫 | 代表取締役会長 | 1960年6月同社入社。1990年6月同社代表取締役社長。2007年6月同社代表取締役会長より現職。 |
| 安成 政文 | 代表取締役社長 | 1976年3月同社入社。2008年6月ユタカ・アセット・トレーディング代表取締役社長。2015年4月同社代表取締役社長より現職。 |
| 多々良 孝之 | 専務取締役管理本部長 | 1980年3月同社入社。2013年6月同社常務取締役管理本部長兼デリバティブス・IT業務部長兼コンプライアンス部長。2016年4月同社専務取締役管理本部長より現職。 |
| 安達 芳則 | 専務取締役営業統括本部長 兼証券統括部長 | 1975年3月同社入社。2018年4月同社専務取締役営業統括本部長兼CXオンライン部長。2022年1月同社専務取締役営業統括本部長兼証券統括部長より現職。 |
| 日下 伸一 | 取締役名古屋営業本部長 兼名古屋支店長 | 1986年4月エース交易入社。2000年8月同社入社。2025年4月同社取締役名古屋営業本部長兼名古屋支店長より現職。 |
| 瀧田 照久 | 取締役コンプライアンス部長 | 1986年3月同社入社。2014年6月同社取締役東京第三営業本部長。2019年10月同社取締役コンプライアンス部長より現職。 |
| 鷹啄 浩 | 取締役法人営業部長 | 1982年3月関東砂糖入社。2008年8月同社入社。2015年6月同社取締役法人営業部長より現職。 |
| 大橋 正直 | 取締役東京第三営業本部長 兼横浜支店長 | 1986年4月エース交易(現・EVOLUTION JAPAN)入社。2017年11月同社入社。2025年4月同社取締役東京第三営業本部長兼横浜支店長より現職。 |
| 松本 一明 | 取締役総務部長兼人事部長 | 1988年4月時事通信社入社。2020年2月同社入社。2023年6月同社取締役総務部長兼人事部長より現職。 |
| 寺田 達史 | 取締役経営企画・リスク管理部長 | 1984年4月大蔵省(現・財務省)入省。2019年6月日本信用情報機構取締役常務執行役員。2024年6月同社取締役経営企画・リスク管理部長より現職。 |
| 嶋埜 勝己 | 取締役福岡営業本部長 兼福岡支店長 | 2003年4月同社入社。2023年4月同社執行役員福岡営業本部長。2025年6月同社取締役福岡営業本部長兼福岡支店長より現職。 |
社外取締役は、長尾和彦氏(元金融庁証券取引等監視委員会事務局長)です。
同社は監査役制度を採用しており、取締役の業務執行に対する監査を行うことで、公正で透明な企業活動の充実化と経営監視機能の強化に努めています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社グループの役員報酬は、持続的な企業価値の向上を図ることを基本方針としています。報酬体系は、固定報酬である「基本報酬」と業績連動報酬である「業績連動型株式報酬」を軸に構成されています。代表取締役会長、代表取締役社長、専務取締役、常務取締役、相談役には、これに加えて「賞与」が支給される仕組みです。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(社外除く) | 12名 | 3.8億円 | 31.9百万円 |
| 監査役(社外除く) | 1名 | 6百万円 | 6.0百万円 |
| 社外役員 | 3名 | 16百万円 | 5.3百万円 |
なお、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。
個人別報酬が開示されている役員は、連結報酬等の総額が1億円以上である者が存在しないため、記載されておりません。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。
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