北洋銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

北洋銀行 転職ガイド:有価証券報告書等から読み解く会社の実態

北洋銀行は、東京証券取引所プライム市場および札幌証券取引所に上場し、北海道を基盤に銀行業務を中心にリースや証券などの金融サービスを展開しています。直近の業績は、貸出金利息の増加などを背景に大幅な増収増益を達成しており、地域経済の活性化と持続可能な未来の実現に向けた取り組みを推進しています。


※本記事は、株式会社北洋銀行の有価証券報告書(第170期、自 2025年4月1日 至 2026年3月31日、2026年6月15日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。

1. 北洋銀行ってどんな会社?


北海道を基盤に銀行業務やリース業務などの金融サービスを展開し、地域経済の持続的な発展に貢献しています。

(1) 会社概要


1917年に設立され、1951年に相互銀行業の免許を取得して北洋相互銀行へ商号変更しました。1989年に普通銀行業に転換して北洋銀行へ商号変更し、同年に上場を果たしています。1998年には北海道拓殖銀行から営業を譲り受け、2008年に札幌銀行と合併して事業基盤を拡大しました。

現在の同社グループは、連結従業員数2,828名、単体従業員数2,391名体制で運営されています。大株主については、筆頭株主が資産管理業務を行う信託銀行であり、第2位および第3位にはそれぞれ国内の大手生命保険会社が名を連ねています。

氏名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 9.31%
日本生命保険 8.24%
明治安田生命保険 8.24%

(2) 経営陣


同社の役員は男性9名、女性2名の計11名で構成され、女性役員比率は18.1%です。代表取締役頭取は津山博恒氏が務めています。社外取締役比率は36.3%です。

氏名 役職 主な経歴
津山 博恒 取締役頭取兼CEO兼CHRO(代表取締役) 1991年に北海道拓殖銀行、1998年に同社へ入行。経営企画部長や本店営業部副本店長などを経て、2023年に常務取締役に就任し、2024年より現職。
安田 光春 取締役会長 1983年に同社へ入行。宮の沢支店長や融資第一部長、経営企画部長などを歴任し、2016年に常務取締役、2018年に代表取締役頭取を務め、2024年より現職。
増田 仁志 取締役副頭取兼CBPO(代表取締役) 1987年に同社へ入行。リテール部ローン課長や豊平支店長などを経て、2022年に専務取締役本店営業部本店長を務め、2024年より現職。
山田 明 常務取締役兼CRO 1990年に北海道拓殖銀行、1998年に同社へ入行。融資第一部副部長や法人営業部長、法人推進部長兼ソリューション部長などを経て、2024年より現職。
米田 和志 常務取締役兼CSO兼CFO 1989年に北海道拓殖銀行、1998年に同社へ入行。資金証券部運用課長やソリューション部長、営業店サポート部長などを歴任し、2025年より現職。


社外取締役は、神戸俊昭(弁護士法人神戸・万字・福田法律事務所代表社員)、西田直樹(元財務省北陸財務局長)、谷口雅子(公認会計士青山祥子事務所開設)、田原咲世(北桜労働法務事務所開設)です。

2. 事業内容


同社グループは、「銀行業」および「リース業」「その他」事業を展開しています。

銀行業


本店や支店を通じて、地域の個人・法人や地方公共団体を対象に、預金、貸出、内国・外国為替、有価証券、クレジットカードなどの多様な金融商品・サービスを提供しています。

主な収益源は、貸出金に伴う受取利息や有価証券の運用収益、および為替取引や代理業務などに伴う各種手数料です。事業の運営は北洋銀行(同社)が行っています。

リース業


主に北海道内の法人顧客などを対象として、店舗設備や事務機器などの各種設備に関するリースサービスを提供しています。

顧客からのリース料を収益源としています。事業の運営は同社の子会社である札幌北洋リースが行っています。

その他


銀行業務やリース業務に関連する多様なサービスを提供しています。クレジットカード業務や信用保証、証券、コンサルティング、人材紹介などの事業を展開しています。

各サービスの利用に伴う手数料などを主な収益源としています。事業は、札幌北洋カード、北洋ビジネスサービス、ノースパシフィック、北洋証券、北海道共創パートナーズが運営しています。

3. 業績・財務状況


同社の連結業績をデータで分析します。

(1) 業績推移


直近5年間の業績を見ると、利益面において力強い成長傾向が確認できます。一時的に伸び悩む時期もあったものの、その後は連続して増益を達成しており、特に直近2期間における利益拡大のペースが加速しています。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
売上収益 - - - - -
経常利益 192億円 173億円 186億円 281億円 375億円
利益率(%) - - - - -
当期利益(親会社所有者帰属) 111億円 105億円 128億円 201億円 251億円

(2) セグメント収益


各セグメントの収益状況を見ると、主力である銀行業が大幅な増収を牽引していることが分かります。また、リース業やその他の事業についても堅調に推移しており、グループ全体として事業規模の拡大が進んでいます。

区分 売上(2025年3月期) 売上(2026年3月期)
銀行業 1,211億円 2,049億円
リース業 233億円 244億円
その他 63億円 66億円
調整額 - -0.4億円
連結(合計) 1,506億円 2,359億円

(3) キャッシュ・フローと財務指標


同社のキャッシュ・フローは、本業が低迷し、事業の見直しが迫られる状況を示す「事業検討型」の傾向となっています。なお、同社は金融・証券関連事業を主力としているため、営業CFのマイナスは主に貸出金の増加(事業拡大)によるものであり、直ちに業績悪化を意味するものではありません。

項目 2025年3月期 2026年3月期
営業CF -675億円 -3,751億円
投資CF -3,285億円 200億円
財務CF -91億円 -147億円


企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は6.7%で市場平均を下回っており、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率も2.9%で市場平均を下回っています。

4. 経営方針・戦略


同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。

(1) 経営理念


同社グループは、すべての事業活動の基軸となる「経営理念」を掲げています。さらに、10年後の2035年に目指す姿として長期ビジョン「北海道の魅力度・幸福度をともに日本一へ」と4つのミッションを策定し、北海道のポテンシャルを最大限に引き出すための経営を行っています。

(2) 企業文化


同社は、グループが一丸となって地域の皆さまとともに明るい未来を創っていくという強い思いを文化として根付かせています。また、職員が失敗を恐れずに挑戦できる風土への変革を目指しており、従業員満足を重視することで、質の高いサービスを提供し、顧客や地域の成長へとつなげる価値観を大切にしています。

(3) 経営計画・目標


同社は、新中期経営計画「Make the HOKKAIDO Way 1st stage」を策定し、収益性や健全性、効率性などの持続可能性を高める目標を掲げています。具体的な計数計画として、2028年度を最終年度とする以下の数値目標を設定しています。

* 親会社株主に帰属する当期純利益:500億円程度
* 連結ROE:11%程度
* 連結コアOHR:50%程度

(4) 成長戦略と重点施策


同社は、人口減少や産業構造の転換といった課題に対し、5つの全体戦略(北海道密着戦略、完全デジタル化戦略、ロイヤルティ向上戦略、非金融・多角化戦略、人財・組織変革戦略)を柱に据えています。GX(グリーントランスフォーメーション)や半導体関連産業への伴走型支援を通じ、企業価値の向上を図ります。

5. 働く環境


同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。

(1) 人材戦略・方針


同社は、組織と職員のあるべき姿として「ほくよう人財ポリシー」を制定し、新人事制度「ポラリス」を導入しています。実力本位の評価や複線的なキャリアパスの設定、公募チャレンジ制度を通じて、年齢を問わず自律的に挑戦できる風土を醸成し、専門性の高い人材の確保と育成を強力に推進しています。

(2) 給与水準・報酬設計


同社(単体)従業員の平均年間給与はプライム市場の平均とほぼ同じ水準です。

項目 平均年齢 平均勤続年数 平均年間給与
2026年3月期 42.8歳 19.1年 7,400,000円


※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。

(3) 人的資本開示


同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。

項目 数値
女性管理職比率 25.6%
男性育児休業取得率 100.0%
男女賃金差異(全労働者) 52.4%
男女賃金差異(正規雇用) 65.8%
男女賃金差異(非正規雇用) 48.9%


また、同社は「サステナビリティに関する考え方及び取組」等のセクションにおいて、法定開示以外の指標も掲載しています。例えば、年次有給休暇取得日数(10.9日)、新卒採用者早期離職率・1年内離職(0.0%)、プレゼンティーイズム(15.0%)などです。

6. 事業等のリスク


事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。

(1) 自己資本比率の低下リスク


同社は国内基準行として、自己資本比率を4%以上に保つことが求められています。有価証券ポートフォリオの価値低下や、債務者の信用力悪化に伴う不良債権処理費用などの発生により、自己資本比率が低下した場合、業務改善命令等の措置を受けるリスクがあります。

(2) 業務遂行に伴う市場・システムリスク


有価証券の運用において、金利上昇や株価下落による減損損失が発生する可能性があります。また、サイバー攻撃などによるシステム障害が発生した場合、決済機能の停止や顧客情報の流出につながり、同社の社会的信用や業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

(3) 地域経済の動向と競争激化リスク


同社は北海道を主要な営業基盤としており、インバウンドの低迷や公共事業の縮小等により地域経済が悪化した場合、収益基盤の拡大が困難となる可能性があります。加えて、金融制度の規制緩和に伴う競争激化により、優位性を確保できず業績に影響が及ぶリスクがあります。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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